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LAN Emulation (LANE)
LAN Emulation (LANE)の通信方式・機能
次期マルチメディア対応WAN「B-ISDN」の基本技術であるATM技術をLANに取り込むことで、LANをより高速かつ快適に運用することが可能となります。LANとWANが同じ技術で通信できるようになることで、今後のLANの発展が期待されています。ここでは、ATMについて説明します。
ATM(Asynchronous Transfer Mode)
ATMは次世代ネットワークの最有力テクノロジーとして注目される通信方式です。
ISDNに提案された遠距離通信(テレコミュニケーション)基準であり、1つの通信網でデータ、音声、画像等を通信する目的で開発され、マルチメディア通信に対応しています。
ATMテクノロジーの特長は、
(1) セル(53byteフレーム)の使用と高速スイッチング技術による高速通信。図1参照。
(2) 仮想チャンネル・コネクション(VCC)による同時多重通信。図2参照。
(3) データ/音声/画像などさまざまな通信特性の要求に応じた帯域の割当て(QoS)が可能。 
(4) LAN/WAN を区別しないネットワークの構築が可能。
しかし、上記(3)〜(4)の特長を有効に利用するには新しい通信プロトコルとアプリケーションが必要になり、今後の対応が予定されています。現状で最も一般的なATMの利用方法は、(1)〜(2)の特長を活かし、既存のLANの大幅な帯域拡張と高速化の手段として、LANのバックボーンにATMを利用する方法です。ATMをLANのバックボーンとして構築する際にはLAN Emulation(ATM Forum LANE Phase1)等の通信プロトコルをATM上で使用します。ATMは拡張性や柔軟性、将来性を考えた場合においても、非常に優れたLANバックボーン選択肢です。

図1 ATMの基本原理
図1 ATMの基本原理

図2 VCCによる多重通信とVPI、VCIの関係
図2 VCCによる多重通信とVPI、VCIの関係
ATM Forumについて
ATMの仕様及び標準化の殆どはATM Forumと呼ばれる民間団体によって標準化されています。Forumの代表的な仕様を下記に記述します。
UNI3.0:
UNIの通信プロトコル仕様。UNI(User Network Interface)とは、ATMエンドシステムとATMスイッチとを接続するインターフェース。
UNI3.1:
LAN/WAN を区別しないネットワークの構築が可能。
UNI4.0:
UNI3.Xに対して、トラフィックコントロール機能等を追加したもの。
LANE Phase1:
LUNI(LAN Emulation User Network Interface)プロトコル。LAN Emulation Ver1.0。
MPOA
Multi-Protocol over ATMの略。ATMネットワーク環境でレイヤー3(マルチプロトコル)のルーティング/フォワーディングを行うプロトコル。
PNNI
Private Network-Network Interfaceの略。ATM交換機間のシグナリングを記述したもの。
ATMの通信方式について
ATMの通信方式は基本的に回線交換(コネクション型通信サービス)ですが、回線交換とパケット交換方式の長所を合わせ持つことで、従来よりも高速な通信を実現します。
従来の回線交換では任意の番号(電話番号等)による経路選択を行っていた関係上、幾つもの「局」を必要とし、接続のための遅延が発生していましたが、ATMでは階層化されたATMアドレスを利用することで近距離になるほど接続遅延は抑えられます。また従来のパケット交換では通信データを可変長で送信していたためパケットの処理に要する遅延が発生していましたが、ATMでは固定長セルを利用することでハードウェア処理による高速通信を実現できます。
ATMのコネクション型通信とは
(1) 宛先ATMアドレスを基に、経由するATM機器間の通信経路を確立(通信経路に対し、識別子を割り当てるが、この識別子をVPI/VCIと言う)。
(2) セルのヘッダにVPI/VCIを付加し、1)で確立した経路に送信。
ATMの通信経路の確立方式として、PVC方式とSVC方式の2方式があります。上記(2)におけるコネクション確立後の処理は両者共に同じですが、(1)についての処理が「PVC」方式の場合は、ネットワーク管理者がVPI/VCIを決定し、各機器に設定します。
「SVC」方式の場合は、ATM機器間で必要に応じて通信経路の確立/解放を自動的に行う方式です。この機器間で通信経路の確立/解放を行うための手順はUNIで規定されています。
イーサネット/IEEE802.3とATMとの相違
イーサネットとATMとでは、下図のように通信に関する全ての処理体系が異なります。
イーサネット/IEEE802.3
(802.3u)
ATM
帯域幅 10Mbps (IEEE802.3)
100Mbps (IEEE802.3u)
155. 52Mbps STM-1/OC-3
622.08Mbps STM-4/OC-12 etc.
通信形態 コネクション・レス(単一回線) Point-to-Pointコネクション
(複数仮想回線)
データフレーム
64〜1518byte(可変長パケット)
53byte
(固定長セル)
アドレス体系 6byte(48bit) 20byte(160bit)
階層化サポート
呼出設定 ブロードキャストでの無作為通信相手を検索 階層化アドレスにより通信相手を検索
データ通信形式 コネクションはせず、
データを送受信。
それぞれのPoint-to-Pointコネクションでデータを送受信。
ATMアドレスは階層構造をサポートしており、アドレス体系はDCC、ICD、E.164が規定されています(ATM Forum UNI3.0)。
イーサネットとATMを通信させるためには、これらの処理体系の違いを吸収してATMネットワークをあたかもイーサネットのように通信させる技術が必要となります。その技術の代表的なものにLAN Emulationがあります。
ATMアドレスフォーマット(単位:byte)
Prefix(13) ESI(6) SEL(1)
Prefix : ATMアドレスの先頭から13byte。SVC方式の環境下では、エンドシステム側はATMスイッチ側のPrefix13byteを使用。
ESI(End System Identifier) : エンドシステムを特定するための識別子。ATM/LANではMACアドレスを使用。
SEL(Selector) : エンドシステム内で複数の論理デバイスを特定するため等に使用。
LAN Emulation(LANE)
ATMをLANのバックボーンとして利用するためのテクノロジーが「LAN Emulation(LANE)」です。
LAN Emulation(LANE)
LANEのプロトコルは、ATMプロトコル上に実装されます。「LANE」は、従来のLAN(イーサネット、FDDI、トークンリング)の処理が行われる「MAC層」に代わって、ATMとLANの間に必要な変換などを処理します。
具体的には、互いのアドレスを変換し、呼出設定の違いを埋め、ブロードキャストを疑似的にサポートします。この「LANE」の存在により、現在使用中のアプリケーションに修正を加えることなく、ATMの広帯域上でTCP/IPやNetWareなどイーサネットプロトコルの高速通信がシームレスにATMを意識することなく可能となります。(現在の資産"イーサネット上のNOSや通信アプリケーション"の継承が可能)
LECS
ELAN@
LES@
ELANA
LESA
ELANB
LESB
BUS@
BUSA
BUSB
LEC
(使用必要数)
LEC
(使用必要数)
LEC
(使用必要数)
上図は3つの「ELAN」を定義する場合のシステム構成です。ELAN(エミュレーテッドLAN)とは、ATM上でのバーチャルLAN(仮想ブロードキャスト・ネットワークグループ)を意味します。
LECSは、LECを各ELANに割り当てるために最低1台が必要です。
3つのELAN構築には、ELAN毎に1台ずつのLES、BUSを設置する必要があります。
ELAN間の通信はイーサネットローカルルーターもしくはATMルーターが必要です。
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LAN Emulation(LANE)の通信方式・機能
図3 Basic LAN Emulation Client Connections across LUNI
図3 Basic LAN Emulation Client Connections across LUNI
図3 Basic LAN Emulation Client Connections across LUNI
従来のイーサネットで受信端末のアドレスを取得する際は、ネットワーク上にブロードキャストを送信し、ブロードキャストを受け取った内の受信すべき端末が送信端末にアドレスを返信していました。ブロードキャストを考慮しないATMでは、通信に必要なATMアドレスとMACアドレスのデータベース管理を「LAN Emulationサービス」と呼ばれる3つの「LANE」管理サーバーで一括して処理を行い、ATMエンドシステム「LEC」からの通信要求に対処します。

※ 図3 ATM Forum LANE Ver1.0資料抜粋
LAN Emulation Configuration Server(LECS)
LECSはある単位のATMネットワークに対して、ELAN数、各ELANに所属するLES、BUS、LEC等を定義したデータベースを保持します。各LECがどのELANに対してどのELANに接続し、どのLEC、BUSと 通信を行うかを指定することが大きな役割となります。どのELANにも所属していないLECは、まず一番最初にLECSとのPoint-to-Pointコネクション(Configration Direct VCC)の接続を行います。LECSはConfigration Direct VCC経由でLECからELAN所属のためのリクエスト情報を受け取り、そのリクエスト情報とELAN管理データベースとを照合して、リクエストに対する情報(ELAN所属の可否、LESのATMアドレス等)を同VCC経由でLECへ送信します。


図4 Configration Direct VCC(コントロール通信用VCC)
図4 Configration Direct VCC(コントロール通信用VCC)
LAN Emulation Server(LES)
LESは、個々のELAN毎に通信情報の管理を行うために、それぞれのELAN毎に1つのLESが必要になります。LECはLESに登録されることでELAN内での通信が可能になります。LESはMACアドレスとATMアドレスを変換する為のアドレステーブルを管理します。LECは、ELANに所属する際にLESとの間にPoint-to-Pointコネクション(Control Direct VCC)とPoint-to-Multipointコネクション(Control Distribute VCC)の接続を行います。LECがデータ転送を行うためには、送信先ATMアドレスを収集する必要があり、送信を開始するLECにおいて宛先ATMアドレスが不明な場合には、Control Direct VCCを経由してLESから送信先ATMアドレスを入手します。また、送信先ATMアドレスの要求を受けたLESにおいてもアドレスが不明な場合にはControl Distribute VCCを経由してELAN内の全LECに対して問い合わせを行い、通信対象となるLECを検索します。最終的に通信対象となるLECのATMアドレスはControl Direct VCCでLESを経由して送信元のLECに送られます。

図5Control Direct & Control
図5 Control Direct & Control
Broadcast and Unknown Server(BUS)
図6 Multicast Send VCC and Multicast Forward VCC(データ通信用VCC)
図6 Multicast Send VCC and Multicast Forward VCC(データ通信用VCC)
LAN Emulation Client(LEC)
Proxy LEC: 
代表的なものが、ATMインターフェースを装備するイーサネットスイッチです。イーサネットスイッチ配下の多数のイーサネット端末の代理としてATM通信を行います。イーサネットスイッチ配下の多数のイーサネット端末のMACアドレスをサポートします。
Non Proxy LEC:
ATMインターフェースを装備する端末(PC、EWS)です。ATM に直結されるので ATM NIC が必要となります。
LEC間でのデータ通信は、 LEサービスの制御によってELANに所属し、相手先ATMアドレスを入手した後Point-to-Pointコネクション(Data Direct VCC)を確立して行われます。また、Data Direct VCC経由でデータ通信を行うまでの間、BUS経由で通信を行います。異なるELAN間での通信は、VLANと同様にルーターが必要となります。
図7 Data Direct VCC(データ通信用VCC)
図7 Data Direct VCC(データ通信用VCC)
※図4〜7:ATM Forum LANE Ver.1.0資料抜粋
ATMについてご理解いただけたでしょうか。このテクノロジー講座の他にも、「ネットワーク機器講座」「ネットワーク構築講座」を開講しております。是非ご覧下さい。

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