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近年の著しいトラフィックの増加に対処するために、さらに広帯域のネットワークが必要とされるようになりました。従来の10Mbpsや100Mbpsのイーサネットの資産を活かしつつ、低コストで広帯域ネットワークを実現するギガビットイーサネットについて説明します。
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ギガビットイーサネットはIEEEの802.3ワークグループにおいて、1996年7月から標準化作業が始められました。標準化作業は以下の指針に沿って進められています。 |
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・ |
通信レート1000Mbpsでの半二重および全二重通信 |
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・ |
802.3/イーサネットフレームの使用 |
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・ |
10BASE-Tおよび100BASE-Tとのコンパチビリティー |
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標準には、大きく分けて二つの流れがあります。一つはファイバーチャネルの物理層仕様を流用する1000BASE-Xで、802.3zとして標準化されています。もう一方はUTPケーブルを媒体とする
1000BASE-Tで、802.3abとして標準化されています。 |
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IEEE802.3z
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IEEE802.3ab
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1000BASE-CX
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1000BASE-LX
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1000BASE-SX
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1000BASE-T
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帯域幅
(Mbps) |
1000(全二重:2000)
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信号タイプ
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ベースバンド(Baseband) |
符号化方式
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8B/10B |
8B/1Q4
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最長距離
(m) |
25
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5000(SMF)
550(MMF)
(全二重)*2) |
550
*1)
(全二重)*2) |
100
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ケーブル
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150
ohm Shield
balanced Cable*3) |
62.5um
MMF
50um MMF
10um SMF |
62.5um
MMF
50um MMF |
Cat.5 UTP |
光波長
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―
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1300nm
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850nm
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―
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接続形態
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スター型
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*1) |
1000BASE-SXの場合、使用する光ファイバーの種類によって最長距離が異なります。 |
*2) |
半二重通信ではコリジョンドメイン全体としての配線長制限があります。 |
*3) |
IEEE802.3z
Clause39 で規定される特殊なケーブルです。 |
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光ファイバーの種類と通信距離 |
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・1000BASE-LX |
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Fiber
Type |
Modal
bandwidth@1300nm (MHz×km)*1) |
通信距離(m)
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62.5um
MMF |
500 |
2-550 |
50um
MMF |
400
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2-550
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50um
MMF |
500 |
2-550 |
10um
SMF |
N/A |
2-5000
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・1000BASE-SX |
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Fiber
Type |
Modal
bandwidth@850nm (MHz×km)*1) |
通信距離(m)
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62.5um
MMF |
160 |
2-220
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62.5um
MMF |
200 |
2-275
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50um
MMF |
400
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2-500
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50um
MMF |
500 |
2-550
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*1)ファイバー特性一つで、伝送距離と波形の歪みの関係を表します。 |
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帯域幅(1000Mbps) |
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ギガビットイーサネットでは、半二重通信の場合、最大で1000Mbps近くの通信帯域を実現します。ただし、フレーム長が短いほど、実効帯域が減少します*1)。全二重通信では、フレーム長に関わらず、2000Mbps近くの通信帯域を実現します。
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*1) |
ギガビットイーサネットでは配線長を実用的な長さ(1セグメント25m以上)にするために、Carrier
Extension と呼ばれる方法で フレームを拡張します。Extensionはキャリアの存在のみを示すため、フレーム長が短いほど実効帯域が減少します。 |
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Preamble |
SFD
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DA
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SA
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Type/Length |
Data/PAD |
FCS
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Extension |
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信号伝搬方式、通信方式、接続形態 |
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信号伝搬方式(ベースバンド方式)、通信方式(CSMA/CD)についてはイーサネット、ファーストイーサネットと同様です*1)。接続形態は、スター型です。 |
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*1) |
半二重通信では、実効帯域を増やすためにオプションとしてFrame
Burstingという方法が用いられます。Frame Burstingとは数フレームをバースト的に連続して送信する方法です。 |
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符号化方式 |
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ギガビットイーサネットでの通信レートとシンボルレートは以下のようになります。 |
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インターフェース名
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使用帯域
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符号化方式
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1000BASE-CX |
1000Mbps=1対×1.25Gbaud×80% |
8B/10B
エンコーディング |
1000BASE-LX |
1000Mbps=1対×1.25Gbaud×80% |
8B/10B
エンコーディング |
1000BASE-SX |
1000Mbps=1対×1.25Gbaud×80% |
8B/10B
エンコーディング |
1000BASE-T |
1000Mbps=4対×125Mbaud×200% |
8B/1Q4
エンコーディング |
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GMII(Gigabit
Media Independent Interface) |
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ギガビットイーサネットではMAC層と物理層のインターフェースとしてGMIIが規定されています。GMIIの実装はオプションです
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Full
DuplexにおけるフローコントロールはPAUSEフレーム*1)をやり取りすることによって行われます。DTEは内部に輻輳状態(未使用メモリの欠乏等)が発生すると、PAUSEフレームを送信します*2)。PAUSEフレームを受け取ったDTEは一定時間送信を止めます。セグメントの両端のDTEがPAUSEフレームを用いたフローコントロールをサポートする場合、オートネゴシエーション時に自動的に本機能が有効になります。
Half Duplexにおけるフローコントロールはバックプレッシャーと呼ばれるコリジョンを強制的に発生させる方法がよく使われますが、802.3標準ではありません。
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*1) |
PAUSEフレームは802.3xにおいて標準化されています。 |
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*2) |
PAUSEフレームのDAは01-80-C2-00-00-01というマルチキャストアドレスが使用されます。 |
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例1)スイッチ間の高速リンクとしてギガビットイーサネットを使用する。 |
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例2)スイッチ−サーバー間の高速リンクとしてギガビットイーサネットを使用する。 |
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例3)バックボーンとしてギガビットイーサネットスイッチまたはリピーターを使用する。 |
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LANやWAN上でのボイスアプリケーションや、ビデオアプリケーションが90年後半から出現しました。これらのアプリケーションはネットワーク上での帯域確保、遅延、ジッタといった通信品質について新しい要求を生み出しました。これらの要求に対応するためさまざまな標準化作業が進められています。ここでは代表的な例を幾つか紹介します。
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RSVP(Resource
Reservation Protocol) |
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RSVPはアプリケーションのデータフローに必要な資源をあらかじめネットワーク上に予約するために使用されます。RSVPはICMPやルーティングプロトコルのようにIP上に実装されます。RSVPをサポートするクライアントがアプリケーションを起動すると上流にあるサーバー方向にRSVPリクエストが発行されます。クライアントからサーバーの中間にある各ノード(ルーター、サーバーのポート等)は要求に応じて資源(帯域等)をあらかじめ予約します。中間にあるノードが要求された資源を割り当てることが不可能なときは、要求を発行したクライアントに対してエラーメッセージを返します。RSVPによるQoSを完全に実現するためには、クライアントからサーバーまでのすべてのノードがRSVPをサポートすることが推奨されます。 |
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IEEE802.1p/802.1Q
Tagging |
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IEEE802.1p/802.1QではイーサネットフレームにVLANやプライオリティ情報を含むタグをつけることによってイーサネット上でのQoSを実現する手段を提供します。 |
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Preamble |
SFD |
DA |
SA |
TAG |
Type/Length |
Data/PAD |
FCS |
Extension |
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フレームのプライオリティーは最大で8段階に区別されます。VLAN数は最大で4096です。 |
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IPマルチキャスト |
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ビデオ配信等のアプリケーションでは、マルチキャストIPアドレスによって指し示されるホストグループにIPパケットを伝送します。ホストは複数のマルチキャストグループに属することができます。マルチキャストIPアドレスとしてクラスDのIPアドレス(224.0.0.0-239.255.255.255)が使われます。マルチキャストIPアドレスの下位23ビットはイーサネットマルチキャストアドレス01-00-5E-00-00-00の下位23ビットにマップされます。
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IGMP(Internet
Group Management Protocol) |
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マルチキャストルーターは配下のホストに属するマルチキャストグループを知ることによって、不必要なパケットの転送による帯域の減少を防ぎます。代表的な例として、IGMPプロトコルがあります。IGMPでは、マルチキャストルーターはローカルネットワークにクエリメッセージ(Host
Membership Query Message)を送ることによって配下のホストが属するマルチキャストグループを尋ねます。クエリメッセージの宛先IPは224.0.0.1というマルチキャストアドレスです。また、TTLを1に設定することでクエリメッセージが他のLANに転送されるのを防ぎます。クエリメッセージを受けとったホストはレポート(Host
Membership Reports)を返し、自分が属するマルチキャストグループをマルチキャストルーターに伝えます。このようなやり取りにより、マルチキャストルーターは配下のホストが属するマルチキャストグループを常に把握します。 |
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ギガビットイーサネットについてご理解いただけたでしょうか。このテクノロジー講座の他にも、「ネットワーク機器講座」「ネットワーク構築講座」を開講しております。是非ご覧下さい。
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