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国立大学法人 九州大学
中断が許されないラジオ放送スタジオに「x900」で冗長ネットワークを構築
朝日放送株式会社
「朝日放送株式会社」
大阪のテレビ・ラジオのキー局、朝日放送では新社屋の竣工に伴いネットワークを刷新。社内の5つのラジオ・スタジオを結ぶコンテンツ系ネットワークに、イーサネットリングプロテクション機能(EPSR)を備えるアライドテレシスのギガビット対応アドバンスト・レイヤー3スイッチ「x900-12XT/S」および、レイヤー2plusスイッチ「CentreCOM 9424T/SP」を導入し、リング構成の冗長ネットワークを構築。万一の障害時にも高速な経路切り替えにより、スタジオへのコンテンツ(プロ野球や天気予報などの情報)配信を中断することなく番組を聴取者に送り届ける、高信頼性のインフラを実現している。
プロフィール
■朝日放送株式会社
本社: 大阪市福島区福島1-1-30
創立: 1951年3月
資本金: 52億9,980万円
新社屋への移転を契機に、「デジタル時代の創造工場」を基本コンセプトに放送事業を展開。より質の高いソフトの提供を通じて視聴者、聴取者に親しまれる「力強い創造集団」を目指している。
http://asahi.co.jp
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最新設備を整えた「デジタル時代の創造工場」
高速な経路切り替えが可能なリング型の冗長ネットワーク
x900シリーズを中心に止まらないネットワークを実現
デジタル化、多メディア化で求められる高信頼のネットワーク
最新設備を整えた「デジタル時代の創造工場」
新田威史氏
朝日放送株式会社
技術局開発部 部長 新田威史氏
大阪の中心部を流れる堂島川のほとりに新しい街が誕生した。「水都・OSAKA αプロジェクト」と名付けられた中之島地区の再開発事業により、商業施設や多目的ホール、超高層マンションなどが立ち並ぶ。中でも、ひときわ目を引くのが朝日放送の新社屋である。6月23日から放送を開始した新社屋の基本コンセプトは「デジタル時代の創造工場」。社内には制作系、報道・情報系を合わせて4つのテレビ・スタジオと5つのラジオ・スタジオ、新・ABCホールが設置され、最新の放送設備を導入。デジタル時代に求められる、より質の高いコンテンツ、信頼できる情報を視聴者、聴取者に送り届けるインフラを整備している。

「テレビやラジオ放送向けの映像、音声のコンテンツはもちろん、インターネットや携帯電話といった多メディアに対応していくためには、広帯域・高信頼性のネットワークインフラが欠かせません。そのため、新社屋では基幹系から支線系まで、豊富な光ネットワークのインフラを整備しています」と、朝日放送技術局開発部長の新田威史氏は話す。  

ラジオスタジオ内部
サブ(調整室)から見たラジオスタジオ内部。朝日放送にはこのようなラジオスタジオが5室ある。
社内には大別して、放送系、業務系、制作技術系、開発系の4つのネットワークがあり、それぞれ専門の部署が構築・運用を担当。技術局開発部では番組で利用するコンテンツ配信の支援や新技術の適用など、開発系ネットワークの構築・運用を担う。  

その1つに、ラジオ・スタジオの端末にプロ野球や天気予報などの情報を配信するコンテンツ系ネットワークがある。  

例えば、ラジオ番組の放送中、アナウンサーやパーソナリティがサーバーに蓄積されたプロ野球の途中経過などの情報をスタジオ内の端末で参照して聴取者に伝えるなど、コンテンツ系ネットワークは番組づくりで重要な役割を果たしている。
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高速な経路切り替えが可能なリング型の冗長ネットワーク
赤藤倫久氏
朝日放送株式会社
技術局開発部 赤藤倫久氏
開発部では、新社屋の13階に配置された5つのラジオ・スタジオをリング構成で結ぶコンテンツ系ネットワークを構築している。「ネットワークを冗長化する場合、スパニングツリーなどさまざまな方法がありますが、リング構成であれば非常に高速な経路切り替えを行うことができます」と、同ネットワークを設計した技術局開発部の赤藤倫久氏はリング構成を採用した理由を説明する。  

そのリング構成による冗長ネットワークのプラットフォームとして、イーサネットリングプロテクション機能(EPSR)を備えるアライドテレシスのギガビット対応アドバンスト・レイヤー3スイッチ「x900-12XT/S」およびレイヤー2plusスイッチ「CentreCOM 9424T/SP」を導入した。  

ネットワーク機器
ラック室に収められたx900-12XT/S。EPSRのマスターノードとして機能する。
EPSRは、トポロジーをリング構成のネットワークに限定し、各スイッチの役割をあらかじめ固定することで障害の検出と経路の切り替えを高速に実行する機能で、RFC3619として標準化されている。具体的には、リングを制御するマスターノードのプライマリーポートから定期的に送出されるヘルスチェック・メッセージをセカンダリーポートで受信できれば、リングの状態は正常と判断。一方、ヘルスチェック・メッセージを受信できず、タイムアウトになった場合、マスターノードはリング内に障害が発生したと判断。障害箇所を検出して経路を切り替える仕組みだ。  

開発部では、マスターノードに「x900-12XT/S」を1台、トランジットノードに「9424T/SP」を6台導入し、ラック室と5つのラジオ・スタジオ、さらにファイリング室をリング構成で接続している。トランジットノードには低コストのスイッチを利用することもでき、x900シリーズと9424T/SPを組み合わせることで、「コストパフォーマンスの高い冗長ネットワークを構築できました」と、赤藤氏はアライド製品を評価する。
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x900シリーズを中心に止まらないネットワークを実現
開発部では、ラジオ・スタジオのインフラの本格運用に先立ち、EPSRの試験を実施している。「映像データをサーバーからスタジオの端末に送信中、擬似的にリンクをダウンさせてテストしましたが、ほぼ瞬時に経路が切り替わることを確認できました。このため、万一の障害時にも番組のスタッフはトラブルに気がつかないはずです。x900シリーズにより、懸案だった信頼性の高い冗長ネットワークを構築できました」と赤藤氏は述べる。  

旧社屋では建物の増築などに合わせて開発系ネットワークも増設を重ねており、運用やアプリケーションにより冗長化に対応していたため、管理者にとっては運用の負担が大きかった。  

こうした経緯もあり、冗長ネットワークに高い期待を寄せている。「放送局は24時間・365日、休みなく稼動しています。とはいえ、コンテンツ系ネットワークを常時監視しているわけにはいかず、万一の障害時にも止まらないネットワークは不可欠でした。障害時には開発部のスタッフが現場に駆けつけて修復するにしても、その間、冗長化でネットワークが稼動していれば業務を停滞させることはありません」と、赤藤氏はEPSRの効果に期待する。  

また、開発部では予備機として、x900-12XT/Sをもう1台導入している。x900シリーズは、複数台のスイッチを同期させて仮想的に1台のスイッチとして動作するVCS(Virtual Chassis Stacking)に対応。今後、x900-12XT/Sをスタック接続してネットワークの負荷分散を行うなど、より信頼性を高める計画だという。リング構成であれば、こうしたスイッチの追加、拡張にも柔軟に対応できる利点がある。
ネットワーク機器


x900シリーズは新OS「AlliedWare Plus」を搭載。業界標準のCLI(Command Line Interface)を採用している。「他ベンダーの設定をすることもあるのですが、x900に搭載された新OSから業界標準コマンドが採用されたので、分け隔てなく設定できるようになりました。また、設定で不明な点があればアライドテレシスの担当者が的確に助言してくれますし、詳細なコンフィグ情報なども同社のWebページに公開されているので運用管理に役立ちます」と、自らネットワーク機器の設定・運用管理を行う赤藤氏はアライドテレシスのサポート体制を評価する。
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デジタル化、多メディア化で求められる高信頼のネットワーク
「デジタル化、多メディア化が進展する放送業務において、ネットワークの役割はますます大きくなります」と新田氏は強調する。テレビやラジオの放送設備に加え、近年はコンテンツをサーバーに蓄積し、ネットワークを介して制御するケースも多いという。そして、「放送局内のみならず、外部に対してもネットワーク経由でコンテンツを提供するケースが増えてきました」と述べる。

例えば、朝日放送ではインターネットラジオの「WEBIO」やpodcastといったラジオ関係のコンテンツを提供している。こうしたコンテンツを編集後、サーバーにアップロードするネットワークにもリング構成の冗長ネットワークを活用。「多数のユーザーへコンテンツを提供するためにも、ネットワークのダウンは許されず、信頼性の高いインフラが欠かせません」と新田氏は付言する。  

また、放送業界ではラジオ放送のデジタル化により、音声のみならず簡易動画を提供する動きもある。IPネットワークを放送に利用する試験なども行われているが、「将来、映像データなどをIP化して本格的にネットワークに乗せていくことも考えられます」と、赤藤氏は話す。また、朝日放送では本社と支局を結ぶネットワークに現在は広域WANを利用して業務の情報をやり取りしているが、いずれ大容量の映像コンテンツなどを利用するようになれば、より広帯域の光インフラによるリング構成の冗長ネットワーク導入も選択肢に入るのではないかと見ている。  

今回、同一フロアのラジオ・スタジオを結ぶ支線ネットワークでリングを構成。上位は開発系のコアネットワークに接続され、高速なデータ伝送を実現している。今後、EPSRの導入効果を見極めながら、ニーズに応じてフロアをまたがるリング型ネットワークの導入も検討するという。  

「技術局開発部には新技術にチャレンジする使命もあります」と新田氏は述べる。放送技術のみならず、EPSRなどの新たなネットワーク技術への取り組みを通じて、より質の高いコンテンツ、信頼できる情報を視聴者、聴取者へ提供。朝日放送が掲げる「デジタル時代の創造工場」のネットワークインフラの一翼を、アライドテレシスのx900シリーズなどの製品群が担っている。(取材:2008年6月)
EPSR (Ethernet Protected Switched Ring)

ネットワーク構成図
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