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財団法人結核予防会 複十字病院
医療情報システムのインフラとなる安定性の高い院内ネットワークを構築
財団法人結核予防会 複十字病院
「財団法人結核予防会 複十字病院」
医療現場でIT導入が加速する一方、医療情報システム(HIS)を導入する際、システムベンダーに院内ネットワークの構築までも任せてしまう例も見受けられるようだ。こうしたなか、財団法人結核予防会 複十字病院では、HISのリプレースや放射線のフィルムレス化を契機に、情報システム部が主導となって院内ネットワークの再構築に着手。ネットワークの安定性や高速性などの要件を複数ネットワーク・ベンダーに提示して入札を行った結果、アライドテレシスのスイッチ製品群を採用。機器のコストパフォーマンスのみならず、ネットワーク・ベンダーとして培ってきた院内ネットワークの豊富な経験とノウハウに基づく提案力やサポート力が評価された。
プロフィール
■財団法人結核予防会 複十字病院
所在地:東京都清瀬市松山3-1-24
設立:1947年11月
病床数:339床
診療科数:18診療科
急性期一般病床のほか、60床の結核病床を持つ。PET/CT装置などを用いた検査や外来化学療法、緩和ケアなどのがん治療にも注力。病病連携、病診連携にも積極的に取り組み、地域医療に貢献している。
http://www.fukujuji.org
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HISベンダーの提案に従って院内ネットワークを構築・運用
診療や会計業務を止めないインフラの安定稼働が至上命題
院内ネットワークの要件を洗い出して再構築に着手
冗長化や50℃環境温度対応機器でネットワークの安定性を確保
HISベンダーの提案に従って院内ネットワークを構築・運用
早乙女 幹朗氏
財団法人結核予防会
複十字病院
呼吸器センター 呼吸器内科 医師
情報システム部 部長
早乙女 幹朗氏
東京郊外の清瀬市にある複十字病院は、1939年に設立された財団 法人結核予防会を母体として、1947年に結核研究所臨床部として発足。その後、結核研究所付属病院と名称を変更するとともに機能の充実を図り、1989年に複十字病院の名称になった。同病院は設立以来、「不治の病」と言われた結核治療、結核対策の先導役を担い、結核の減少後は従来から培ってきた基盤をもとに呼吸器疾患などの診療を実施。現在は呼吸器科を中心とし、消化器科や乳腺科など18診療科、339床の一般病院として地域医療に取り組んでいる。

こうした医療活動を支えるのが医療情報システム(HIS)と院内ネットワークである。複十字病院では、1999年にグループウェアなどインターネット系のネットワークを構築。続いて、2003年にオーダリングシステムや医事会計システムなどHISのインフラとなるオーダリング系ネットワークを構築、運用してきた。

「本格的にHISを導入した当時、当院にはネットワークの専門知識を持つ職員はいませんでした。そのため、ネットワークについてもHISベンダーの提案に従って構築、運用を開始したのです」と、複十字病院呼吸器内科の医師で情報システム部長を兼務する早乙女幹朗氏は振り返る。

そして、HISのリプレースと放射線のフィルムレス化を契機に院内ネットワークの再構築に着手。フィルムレス化で高速・広帯域の院内ネットワークが必須になることに加え、既存のオーダリング系ネットワークはさまざまな課題を抱えていたからだ。
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診療や会計業務を止めないインフラの安定稼働が至上命題
オーダリング系ネットワークの課題の1つがフロア・スイッチの熱障害による停止である。コア・スイッチは空調設備が整ったサーバー室に設置され、適切な環境で運用管理している。それに対してフロア・スイッチは診療室や機器室などに設置されるため、夏になると室温が上昇し、スイッチ内部の熱障害が度々、発生していたという。

その対策として診療室に家庭用エアコンを設置したが、患者が寒がるといった理由から看護師がエアコンの電源を切ることもあった。障害発生時にフロア・スイッチを導入したHISベンダーに連絡するものの、対応策を講じる手立てがないのが実情だったようだ。

フロア・スイッチの障害により、「院内ネットワーク上のHISが使えず、診療や会計窓口の業務がストップすることもありました。ネットワークは動いて当たり前、というのが一般的な医療従事者の意識です。ネットワークの停止は許されず、安定稼働は至上命題でした」と早乙女氏は述べる。

多くの医療機関にとって、院内ネットワークの課題の1つに「ベンダー任せ」が挙げられる。医療業務と密接にかかわるHISの選定、導入には細心の注意を払うものの、ネットワークは「二の次」と考えがちだ。だが、インフラとなるネットワークが十分にパフォーマンスを発揮できなかったり、障害を起こしたりする事態になれば、HISの運用に支障を来たすことになる。そして、HISベンダー任せのネットワークがブラックボックスになる結果、現場では障害時の迅速な対応が困難になるだけでなく、導入コストや保守・サポートの切り分けが不明確になるといった課題も指摘されている。

実際、「ネットワークに熟知し、仕様書の作成などが行えるIT専任担当者を配置できる病院は、そう多くはありません。そのため、HISの導入に合わせてネットワークを構築、拡張するなど、どうしてもベンダーに任せがちになるのです」と、早乙女氏は一般論として院内ネットワークの状況を述べる。
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院内ネットワークの要件を洗い出して再構築に着手
千葉 大輔氏
財団法人結核予防会
複十字病院
情報システム部 システム管理室
千葉 大輔氏(医療情報技師)
院内ネットワークの課題を解決するためには、インフラは専門のネットワーク・ベンダーに任せるとともに、「医療従事者も積極的に情報収集を行い、ネットワークの知識を蓄える必要があります」と早乙女氏は強調する。同氏は医療情報学連合大会などのイベントに積極的に参加し、情報を収集している。アライドテレシスとの出会いも同学会を通じたものだった。

また、複十字病院のHISと院内ネットワークの再構築に先立ち、大規模な大学病院から小規模なクリニックまで、規模や病床数の異なる10数ヵ所の病院を見学。「導入後の運用を含め、HISやネットワークでうまくいっていることだけでなく、困っていることを直接、病院の担当者に聞いています。その困り事を当院の状況に照らし合わせ、解決策をベンダーに提示してもらう手順を踏んでいます」(早乙女氏)。

そして、見学とともに「自分たちの病院にとって何が必要か、HISやネットワークの要件を明確化するとともに、要件を実現するためにはベンダー とのコミュニケーション力もポイントになります」と、複十字病院情報システム部システム管理室の千葉大輔氏は付言する。

複十字病院では院内ネットワークの再構築にあたり、いくつかの選定ポイントを挙げている。その第1が「ミッションクリティカルなシステムの稼働」である。2003年にオーダリング系ネットワークが稼働を開始して以来、コア・スイッチは安定稼働していたものの、フロア・スイッチは前述のように熱暴走でたびたび停止することがあった。また、コア・スイッチはシングル構成だったため、止まらないネットワークを実現するには、機器と経路の冗長化がポイントになった。

第2の選定ポイントは「遅延ストレスのない、高速ネットワークの構築」である。既存ネットワークでもそれほどストレスを感じることはなかったというが、今回はフィルムレスの運用を開始することから、ストレスのない高速・広帯域ネットワークが不可欠になると判断した。

第3の選定ポイントは「ループによるダウンの防止」である。「以前は、ケーブルが床に散乱しているような状態だったため、職員がエッジスイッチのケーブルを誤って接続し、ループが発生することもありました」と千葉氏は説明する。ネットワークを継ぎ足しで拡張してきたため、配線図もなく、障害個所の特定や復旧に時間がかかり、改善策が求められていた。

第4の選定ポイントは「ネットワーク管理の一元化」である。システム管理室では、各部門から障害の電話連絡を受けて対応してきた。だが、電話では障害の状況や障害個所を特定するのも困難なため、復旧までにかなりの時間を要していたという。そこで、ネットワーク機器を視覚的に管理でき、状況を把握したうえで障害対応が行えるよう、ネットワーク管理ツールの導入を選定ポイントの1つにした。

そして、「当院で必要かつ十分と思われるこれらのネットワーク要件を複数のネットワーク・ベンダーに提示して入札を行った結果、アライドテレシスの提案を採用することになったのです」と早乙女氏は述べる。
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冗長化や50℃環境温度対応機器でネットワークの安定性を確保
ネットワーク機器
ラックに収められたVCS接続のx900-12XT/S。
アライドテレシスの提案は次のようなものだ。まず、コア・スイッチに「x900シリーズ」を2台導入し、VCSで冗長化する。VCSで冗長化することにより、従来の冗長化方式であるVRRPやSTPのような複雑な設定が不要になる。「2台のコア・スイッチはアクティブ-アクティブで動作するため、2倍の帯域を確保できます。加えて、冗長化はコストメリットもあります」と千葉氏は述べる。機器を冗長化するとコストが割高になると考えがちだ。だが、「シングル構成で障害を起こした場合のリスクや対応の手間と費用を計算すると、機器を冗長化したほうがコストを抑えられると判断しました」。

また、フロア・スイッチは熱障害対策として50℃環境温度対応のレイヤー2インテリジェント・スイッチ「GS900Mシリーズ」と「FS900Mシリーズ」を導入。高温になる環境下でも安定稼働できる配慮とともに、両シリーズが備えるループガード機能により、万一のループ障害時にも局所化が可能になる。そして、コア・スイッチとフロア・スイッチのリンクアグリゲーションにより、基幹ネットワークの経路の冗長化と2Gbpsの帯域拡大を図り、ストレスのない高速・広帯域ネットワークを実現している。

ネットワーク設計についても、アライドテレシスがサポート。各部門のネットワーク帯域の利用を効率化するため、タグVLANを構成することも、その一例だ。部門システムごとにトラフィックを分割することにより、ブロードキャスト・トラフィックによる帯域の圧迫を回避することができる。

そして、院内ネットワークを一元管理するため、ネットワーク管理ツールの「Swim Manager」を導入。「システム管理室から院内ネットワークの機器の状態を視覚的に把握でき、障害の切り分けが容易に行えます」と、ネットワーク管理を担う千葉氏は効果を説明する。例えば、Swim Managerのモニター画面で障害機器を確認後、代替機にコンフィグを設定して障害機器と交換することにより、迅速な復旧を可能にしている。

新たな院内ネットワークが稼働を開始して半年あまりが過ぎたところだ。その効果について早乙女氏は「当院の要件通り、高速かつ安定的に稼働するコストパフォーマンスの高いネットワークを構築できました。将来の電子カルテシステムなどの導入時にも、このネットワークを基盤に必要な機能を拡張すればよく、安心感があります」と述べる。

複十字病院では将来、電子カルテシステムと無線LAN端末を組み合わせ、看護師がベッドサイドで患者の情報を確認するといった構想もある。院内の情報活用の促進に向け、医療機関のネットワークで豊富なノウハウを持つアライドテレシスへの期待は大きいようだ。(取材:2010年1月)
ネットワーク構成図
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