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長崎県庁
「オープン」をキーワードに電子県庁の基幹LANを再構築
長崎県庁
「長崎県庁」
電子県庁を推進する長崎県では、オープンかつシンプルなネットワークを目指して県庁の基幹LANを再構築した。米国大手ネットワークベンダーのシャーシ型ハイエンドスイッチからアライドテレシスのアドバンスト・レイヤー3スイッチ「CentreCOM 9924T/4SP」にリプレース。5組(ホットおよびコールド)10台の冗長構成で障害時のリスクをコントロールするとともに、構築・運用にかかわるコスト削減を可能にしている。「ネットワーク機器ベンダーが責任を持って設計、導入を行い、運用は地元のIT企業に任せる」という長崎県総務部理事(情報政策担当)の島村 秀世氏に、オープンなネットワークの必要性を聞いた。
プロフィール
■長崎県 県庁
長崎市江戸町2-13
長崎県長期総合計画では、「地域社会に新しい価値を創造する長崎県づくり」を基本方針に掲げる。その個別計画である長崎県情報化推進計画は、ITの活用により、島や半島、過疎地などが多い長崎県の地理的なハンディを解消させるだけでなく、医療・福祉、教育の充実や地域産業の発展など、県民サービスの向上と地域の活性化を目指している。
http://www.pref.nagasaki.jp
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「ITの地産地消の推進」が情報化推進の基本戦略
オープンな情報に基づき庁内基幹LANのリプレース
ホットとコールド用に10台の基幹スイッチで冗長構成
「ITの地産地消の推進」が情報化推進の基本戦略
長崎県では、平成19年11月に「e県ながさき戦略〜長崎県情報化推進計画〜」(第2次改訂)を公表した。これは、13年10月に長崎県長期総合計画の個別計画として、情報通信分野における県の施策を明確化・具体化した「e県ながさき戦略〜長崎県情報化推進計画」および、16年11月の同計画(第1次改訂)に続くものである。2次改訂では、ITを県民の豊かな暮らしを実現するためのツールとして使いこなす視点に立ちながら、急速に進展するIT化に適切に対応するために必要な見直しを行い、20〜22年度の3年間の行動計画を取りまとめている。

具体的には、サービスの利用主体である県民の視点(利便性の向上、安全・安心の確保、多様なコミュニケーションの実現)から見直しを行い、生活シーンごとに課題を設定。そして、情報化でどのようなことができるのかといったアウトカムの重視やソフト面の重視、情報格差への配慮などを策定の視点に掲げている。

長崎県では情報化推進の基本戦略として、「ITの地産地消の推進と県内IT産業の振興」、「他自治体との連携推進のあり方」、「高速情報通信網の整備」に取り組んできた。地産地消は、「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味で、ITの分野においても、地場の企業が情報システムの構築・更新などを受注することで雇用機会の創出や地域産業の活性化を促進する狙いがある。

また、地域でシステム開発を行うことで、ニーズに合ったシステムをより低コストで調達できるようになり、サービスの利用者、提供者の双方にメリットがある。さらに、県内のIT企業が開発した各種システムを他県に展開することで大きな成果が見込めるとして、長崎県では地域のIT需要を地域でまかなう「ITの地産地消の推進と県内IT産業の振興」を積極的に展開している。
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オープンな情報に基づき庁内基幹LANのリプレース
島村 秀世氏
長崎県総務部
理事(情報政策担当)
島村 秀世氏
長崎県では14年度から電子県庁の構築を推進。現在、電子申請システム、地図情報・経路検索システム、電子調達システム、電子決裁システム、文書保管システムなど24システムが稼動している。これら電子県庁システムの開発では、独自の発注方式を採用。県で電子県庁の全体設計を行うとともに、オープンソースを用いることで特定の企業に依存しないシステム開発環境を整えている。

また、個別のシステム開発にあたっては「ながさきITモデル」と呼ばれる開発手法を推進。県庁側で詳細な仕様書を用意するとともに、システムを分割することで地場企業でも技術力があれば大手と対等の立場で入札に参加でき、直接受注が可能だ。さらに下請けとして受注していたときには困難だったシステム開発の技術監理などのノウハウを習得する機会を得られ、技術者の養成が行えるようになるなどの利点があるという。14〜18年度の5年間で総発注件数の約7割を県内IT企業が受注し、システム開発のコスト削減を可能にしている。

システム開発同様に、「これまで、県庁のネットワークにおいても特定のベンダーが情報をクローズする傾向があり、この状況を変えたかったのです」と話すのは、ながさきITモデルを推進する長崎県総務部理事(情報政策担当)の島村 秀世氏である。

県庁では従来、米国ネットワーク機器ベンダーのシャーシ型スイッチを冗長化して庁内の基幹LANを構築。東京の販売代理店やその下請け企業が設計から運用まで担っていたため、さまざまな課題があったという。基幹スイッチが障害を起こした場合、設定情報などがクローズされていたことから障害箇所の特定、修復が難しい。「庁内LANの構築を担当したシステムエンジニアが東京から長崎へ修理に来るまで待たねばならず、障害回復まで多くの時間を要していたのです。また、代理店や孫受け企業に庁内LANの運用を任せていたため、そのコストがかかることに加え、地場IT企業を活用する観点からも、オープンな情報に基づく庁内基幹LANのリプレースが求められていました」と島村氏は述べる。
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ホットとコールド用に10台の基幹スイッチで冗長構成
ネットワーク機器
基幹スイッチとしてギガビットネットワークを支える「9924T/4SP」「9924SP」。
庁内基幹LANのリプレースに際し、総務部情報政策課ではシステム開発と同様の方式を採用。詳細な仕様書を作成し、代理店を介さずに直接、ネットワーク機器ベンダーに設計・構築・導入までを発注する仕組みに変更した。ネットワーク機器を開発・製造するベンダーが設計から導入まで責任を持つ。そして、設定情報などをオープンにすることで導入後の運用は地場IT企業に発注し、万一の障害時にも即応できる体制を整備する狙いがある。

情報政策課では、いくつかのネットワーク機器ベンダーを検討した結果、アライドテレシスに基幹LANのリプレースを依頼。要求仕様のキーワードは「オープンかつシンプル」なネットワークを、責任を持って提案、構築することである。アライドテレシスでは要件に基づくネットワーク機器を提案するとともに、専任SEが設計・構築・導入から、安定稼動の技術サポートまで一貫して対応。基幹スイッチにアドバンスト・レイヤー3スイッチ「CentreCOM 9924T/4SP」と「CentreCOM 9924SP」、フロアスイッチにレイヤー2plusスイッチ「CentreCOM 9424T/SP」で構成するギガビットイーサネットの基幹LANを提案、構築している。

ネットワーク機器
ギガビットの基幹LANで接続されるフロアスイッチ「9424T/SP」。
従来、県庁では基幹LANにシャーシ型のハイエンドスイッチを導入していたが、今回はアライドのボックス型スイッチでリプレース。「LANが狭帯域の時代にはハイエンドの基幹スイッチが必要だったかもしれません。しかし、ギガビットの帯域もフルに使いきれるほどのトラフィックはまだなく、ボックス型の9924でもハイエンドスイッチとパフォーマンスの遜色はありません」と島村氏は述べる。

9924をトランク接続することで双方向8Gbpsのスイッチング容量を確保し、基幹LANのパフォーマンスを維持しつつ、冗長化を実現している。「リスクをいかにコントロールするかがリプレースの仕様書のポイントの1つでした」と島村氏が述べるように、アライドでは基幹スイッチの障害時にも迅速に回復する工夫を図っている。具体的には、冗長プロトコルで自動的にスイッチを切り替える従来の形態から、ホットとコールド用に各2台の9924を5組用意するとともに、特注の電源切替機を設置している。これにより、「万一の障害時にも手動でコールド機に迅速に切り替えられ、ネットワークの可用性を高められます」と情報政策課電子県庁推進班の主事、上川 達弘氏は話す。
上川 達弘氏
長崎県総務部 情報政策課
電子県庁推進班
主事 上川 達弘氏


また、フロアに設置した9424T/SPのMACアドレスフィルタリングにより、6,000台におよぶ庁内の端末をコントロールしてLAN接続のセキュリティーを確保。「セキュリティーはアプリケーション側で確保する」(島村氏)との考えから、一部のシステムを除いてVLANは導入せず、シンプルなネットワーク構成にしている。

今回のリプレースにより、庁内のシステム全体で保守・運用まで含めて約5割のコストを削減している。島村氏は「単にコスト削減がリプレースの目的ではなく、機器を変えることで設定情報などをオープンにする。従来の東京中心のネットワーク構築、運用の仕組みを地域主導に変え、地場IT企業がネットワーク運用業務に参入できるようにすることが重要です」と強調する。

そして、各部局が仕様書を作成するオープンソースのシステム開発を引き合いに、「ネットワーク構築を担うベンダーはもちろん、発注者側も責任を持つことで地場のIT企業に運用を任せることができるのです」と指摘する。アライドテレシスでは基幹LAN構築で培った経験とノウハウを生かし、今後も長崎県庁のLANの最適化に向けてさまざまな提案を行っていく考えだ。(取材:2007年12月)
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ネットワーク構成図 ネットワーク構成図
ネットワーク構成図 ネットワーク構成図
ネットワーク構成図 ネットワーク構成図
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