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神戸電鉄株式会社
 
安心・安全・快適な鉄道事業を支える高信頼・大容量のリングネットワーク
神戸電鉄株式会社
「神戸電鉄株式会社」
IC乗車券やIC定期券など、鉄道のIC化が進展。神戸電鉄では改札機や券売機などのIC対応駅務機器を沿線の全46駅に設置し、乗客の利便性向上を推進している。ミッションクリティカルな駅務遠隔システムの新たなネットワーク基盤として、アライドテレシスの「CentreCOM x900シリーズ」と「CentreCOM FS926M」を導入。高速な経路切り替えが可能なEPSR(Ethernet Protected Switched Ring)によるリングの冗長化と、VCS(Virtual Chassis Stacking)およびリンクアグリゲーションによるネットワークの帯域拡張を図り、鉄道運行と同様の安心・安全・快適な次世代ネットワークを構築している。
プロフィール
■神戸電鉄株式会社
本社:兵庫県神戸市兵庫区新開地1-3-24
設 立:1926年3月
資本金:116億6,400万円(2008年9月30日現在)
従業員数:562名
輸送人員:4,733万7,000人(2007年度)
鉄道事業(営業キロ69.6km)をはじめ、不動産事業、スーパーマーケット・駅売店、飲食業、介護・保育事業など、地域に密着した広範な事業を展開。関連会社に神鉄バス、大阪神鉄豊中タクシー、神鉄エンタープライズなどがある。
http://www.shintetsu.co.jp
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IC対応駅務機器の導入で増大するデータトラフィック
駅務遠隔システム向け次世代ネットワークの要件
EPSRとVCSで高信頼性のリング型ネットワークを構築
広帯域の次世代ネットワークで駅務機器へ高速なデータ伝送
IC対応駅務機器の導入で増大するデータトラフィック
三谷 弘志氏
神戸電鉄株式会社
鉄道事業本部 技術部
調査役 三谷 弘志氏
神戸電鉄は1928年に開業、2008年11月に80周年を迎えた。沿線には六甲、有馬温泉など自然豊かな観光地やニュータウンなどの住宅地があり、通勤、通学、レジャーなどで多くの人に利用されている。神戸電鉄グループの経営理念は、「安心・安全・快適をお届けすることで、お客様の豊かな暮らしを実現し、地域社会に貢献する」ことである。

この経営理念のもと、2008年度から2012年度までの新たな中期経営計画「グループビジョン2012」を策定。地域社会に貢献する企業として安全の絶対確保のため、安全管理体制の確立と強化を進め、鉄道施設や車両の安全性向上を図っている。また、駅務に関連する事業計画では、(1)ICカードの機能強化とサービスの充実に向けたIC対応駅務機器(改札機や券売機、精算機など)の整備、(2)駅施設の防犯体制強化、治安向上に向けた駅の改良、(3)高齢者向けIC乗車券導入への対応などを促進している。

「鉄道は安全確保が絶対条件です。そして、IC対応駅務機器の導入が進展する中、機器を接続するネットワークについても、鉄道の運行と同様に安心・安全・快適がキーワードになります。駅務機器のIC化でデータトラフィックが増えることから、ネットワークの再構築が急務になっていたのです」と、神戸電鉄鉄道事業本部技術部調査役の三谷弘志氏は鉄道事業を取り巻くネットワーク環境の変化を説明する。
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駅務遠隔システム向け次世代ネットワークの要件
田附 大作氏
神戸電鉄株式会社
鉄道事業本部 技術部
情報システム担当
田附 大作氏
神戸電鉄は、有馬線、三田線、公園都市線、粟生線の路線があり、全46駅のうち、駅係員のいる駅は8ヵ所である。1998年には155Mbpsのリング型光ネットワーク(SDH)を構築し、2000年4月から係員無配置駅の券売機や改札機などをセンター駅の駅係員が遠隔操作する「駅務遠隔システム」を運用してきた。

だが、近年のIC化に伴い、高速ネットワーク接続が必要な駅務機器が増えてきたことや、安全確保のための駅構内の監視強化、SDHの帯域不足や保守部材の生産停止といった課題を抱えていたという。さらに、「既存ネットワークは障害発生時の原因究明に時間がかかるという問題もありました。駅務機器の保守を担当する神鉄コミュニティサービスの保守負荷を軽減し、こうしたさまざまな課題を解決するためにも、IC対応の駅務機器や駅務遠隔システム向けに高信頼・大容量の次世代ネットワーク構築が求められていたのです」と鉄道事業本部技術部の田附大作氏は述べる。

森内 和也氏
神戸電鉄株式会社
鉄道事業本部 技術部 電気課
課長 森内 和也氏
そして、技術部では2007年から次世代ネットワークの検討を開始。その要件として、(1)24時間・365日、途切れないネットワークであること、(2)単一障害点を回避する構成により可用性を確保すること、(3)迂回経路を確保すること、(4)夜間作業などで駅舎が停電中にも、他の駅に影響をおよぼさないことなどが挙がった。「当社では、終列車後の停電作業のため、毎晩どこかの駅が停電となっていることが多いのですが、停電中にも他の駅に影響を与えないネットワーク構成は必須です」と、技術部電気課課長の森内和也氏は鉄道事業のネットワークの特殊事情を説明する。

このほか、(5)既存の光ファイバーの空き心線を利用し、コストダウンを図ること、(6)全駅にネットワーク(イーサネット)・インターフェースを設けること、(7)駅務遠隔システムのデータ伝送を効率よく行える構成にすること、(8)将来の映像・音声アプリケーションに向けた広帯域のインフラを構築すること、(9)メンテナンスが容易で、シンプルな構成にすることが要件として挙げられた。
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EPSRとVCSで高信頼性のリング型ネットワークを構築
ネットワーク機器

各駅に設置され、EPSRを構成するFS926M。

これらの要件を満たすのがリング型ネットワークである。従来は1つのリング上に全ノード(駅)を接続するネットワーク構成で、どこかのノードに障害が発生した場合、ループバック(逆周り)して障害個所を迂回する仕組みだ。それに対し、次世代ネットワークでは、鈴蘭台、岡場、志染のセンター駅を中核に3ブロックに分けて7つのリングを構成するリング型ネットワークを設計。「今後、大容量のアプリケーションが利用されるようになるとセンター駅にトラフィックが集中します。従来のように1つのリングではなく、センター駅ごとに複数のリングを構成したほうがトラフィック管理をしやすいと判断したのです」と、田附氏はネットワーク設計の狙いを説明する。

そして、技術部ではリング型ネットワークの基盤となるスイッチの冗長化方式を比較・検討している。VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)とRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)による冗長化も候補の1つだった。だが、VRRPは障害時の経路切り替えに時間がかかることや、RSTPは段数制限があり、設計したリング内の駅を収容できない問題がある。また、RPR(Resilient Packet Ring)によるリング構成も検討。既存のネットワーク構成(SDH)を継承でき、高速な経路切り替えが可能なものの、導入機器が割高になることや、コアとエッジのスイッチが階層化されないためトラフィック管理が難しいといった問題がある。

ネットワーク機器
保守センターに設置されたx900-12XT/S。このほか3ヵ所のセンター駅にも設置されている。
これらの問題を解消したのが、アライドテレシスのアドバンスト・レイヤー3スイッチ「CentreCOM x900シリーズ」とレイヤー2インテリジェント・スイッチ「CentreCOM FS926M」である。センター駅と保守センターに各2台のx900を設置し、VCSでスイッチの冗長化を図る一方、EPSRでリング型ネットワークの障害検出と高速な経路切り替えが可能だ。また、EPSRはマスターノード以外のスイッチは安価なレイヤー2スイッチを利用することもでき、導入コストを抑えられる利点がある。

「2台のx900を仮想的に1台のスイッチのように扱えるVCSで構成をシンプルにでき、管理が容易になります。また、EPSRはRPRに匹敵する最短50ミリ秒の高速な経路切り替えが行えることに加え、エッジのスイッチの段数制限がありません。機能面、コストパフォーマンスとも、当社の要件に合致していました」と田附氏はアライド製品の導入理由を述べる。

このほか、x900は業界標準のCLIを採用しており、運用管理が容易に行えることも採用のポイントになったという。ちなみに、機器とともに5年間の保守サービスを導入。「稼動後、新たに保守費用を確保しにくいこともありますが、初期費用で5年間の保守契約が行えるので安心感があります」(田附氏)。
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広帯域の次世代ネットワークで駅務機器へ高速なデータ伝送
伴 和隆氏(左) 堂田 昭男氏(右)
富士通ネットワークソリューションズ株式会社
地域ビジネス本部
エンタープライズ営業部
伴 和隆氏(左)
フィールドエンジニアリング本部
関西・中部統括部
関西サポート部
堂田 昭男氏(右)
次世代ネットワークのインテグレーションは富士通ネットワークソリューションズ(FNETS)が担当した。「EPSRはRSTPに比べ、シンプルに設計できます。導入にあたり、障害時のスムーズな経路の変更を検証しています。高速系切り替えが要求される企業にEPSRは有効です」とFNETSの高野祐司氏は述べる。同社の伴和隆氏は「冗長化1つとってもさまざまな方法があります。お客様のニーズに応じ、適材適所に機器を組み合わせるなど、現在と将来を見据えたインテグレーション力が当社の強みです」と強調する。
鈴木 秀和氏(左) 高野 祐司氏(中央) 藤原 秀聡氏 (右)
富士通ネットワークソリューションズ株式会社
地域ビジネス本部
エンタープライズシステム部
鈴木 秀和氏(左)
地域ビジネス本部
エンタープライズシステム部
高野 祐司氏(中央)
地域ビジネス本部
公共営業部
藤原 秀聡氏 (右)


また、「神戸電鉄様の要件にアライドテレシスの製品は機能、価格の両面でマッチしていました。ネットワークがビジネスのライフラインとなり、冗長化を要求される顧客が多くなっていますが、コストが割高になる問題もあります。その解決策としてアライドテレシスの製品は選択肢の1つになります」とFNETSの藤原秀聡氏は評価している。  

神戸電鉄では2008年10月から駅務遠隔システム向け次世代ネットワークの本格稼動を開始。その導入効果について、森内氏は「既存ネットワークに比べ、駅務機器へ高速にデータ伝送が行えるようになりました」と述べる。例えば、鉄道会社ではICカードの情報を毎日、始発前に各駅の駅務機器にデータ伝送している。従来は帯域の制約からデータ伝送に時間がかかり、始発が過ぎても伝送が完了しない駅もあったという。リンクアグリゲーションを活用してネットワークが高速・大容量になったことで瞬時にデータ伝送を完了できる。  

駅務遠隔システムの管理画面
駅務遠隔システムの管理画面。係員無配置駅の監視やセンター駅から係員無配置駅の改札や券売機の操作が可能。
また、駅業務の1つに各駅での売上集計がある。「各駅から保守センターの端末を遠隔操作して券売機などの売上情報を報告する際、レスポンスがスピーディになったという駅係員の声も聞かれます」と田附氏は導入効果の一端を話す。  

岡場駅の外観
センター駅の一つ、岡場駅の外観。
今後、各駅に設置している既存のノンインテリジェント・スイッチをx900やFS926Mに集約し、ネットワークをシンプルにする計画もある。また、現在は駅の監視カメラやインターフォンは既存ネットワークを利用している。将来、映像・音声をIP化して広帯域の次世代ネットワークに統合する構想もあるという。  

利用者が安心・安全・快適に鉄道を利用できるよう、駅務機器は劇的な進化を遂げている。地域社会の交通ネットワークを担う神戸電鉄の次世代ネットワーク基盤をアライドテレシスの先進技術がサポートしている。(取材:2008年12月)
ネットワーク構成図
構成ポイント
(1) センター駅(鈴蘭台、岡場、志染)ごとにリングを形成し、ネットワークの冗長性を保つ。
(2) 停電作業によって、他の駅に影響を与えない構成。
(3) センター駅以外の駅は、EPSR AwareとしてFS926Mを設置し、アップリンクのギガ(光)によりリングを構築。配下はループガード(LDF)により不測の配線ミスにも対応させる。
(4) 駅間の接続はすべてギガ接続とし高速化を実現する。
プロフィール
■富士通ネットワークソリューションズ株式会社
本社:神奈川県川崎市川崎区日進町7-1
設立:1989年3月1日
資本金:39億4,215万円
従業員数:1,591名(2008年3月31日現在)
情報通信ネットワークシステムの企画・コンサルティング・設計・構築などを担うネットワークインテグレーションサービスをはじめ、施工エンジニアリングサービス、カスタマサポートサービスなどをワンストップで提供しているソリューションプロバイダー。
FNETSはお客様のニーズにお応えできる、身近で最も頼られるパートナーを目指している。
http://jp.fujitsu.com/fnets/
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