<前頁 次頁> << >> 目次 (番号順 (詳細)回線別 (詳細)機能別 (詳細)

CentreCOM AR260S V2 設定例集 3.3.3 #17

PPPoE接続環境における2点間IPsec VPN(片側アドレス不定、SSG550対向)


PPPoEでインターネットに接続している拠点間をIPsecで結ぶVPN構築例です。インターネットサービスプロバイダー(以下 ISP)から動的にIPアドレスが割り当てられるルーター(ルーターA:AR260S V2)と固定IPアドレスが割り当てられているルーター(ルーターB:SSG550)をIPsec(ESP)トンネルで接続します。


ここでは、次のようなネットワーク構成を例に解説します。

ISPからは、次の情報が提供されているものとします。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
PPPユーザー名 user2@example user1@example
PPPパスワード password password
IPアドレス 不定 10.10.10.1/32(固定)
DNSサーバー 接続時に通知される 接続時に通知される


ルーターA/Bは以下のように設定するものとします。

表 2
 
ルーターA
ルーターB
WAN側IPアドレス 自動取得(取得アドレスは不定) 10.10.10.1/32
LAN側IPアドレス 192.168.20.1/24 192.168.10.1/24
VPN接続設定
ローカルセキュアグループ 192.168.20.0/24 192.168.10.0/24
リモートセキュアグループ 192.168.10.0/24 192.168.20.0/24
ローカルゲートウェイ pppoe0 ethernet0/2(pppoe)
リモートゲートウェイ 10.10.10.1 ANY
キープアライブ 有効
種別 DPD
DPDリトライ 3
DPD タイムアウト 30
IKE設定
交換モード アグレッシブ
事前共有鍵 secret
暗号化認証アルゴリズム 3DES & SHA1-DH2
ローカルID/リモートID vpn/なし なし/vpn
有効期限 1時間(デフォルト) 1時間
IPsec設定
暗号化認証アルゴリズム ESP 3DES HMAC SHA1
PFSグループ なし





本構成における設定のポイントは、次の通りです。
Note - ルーターB(SSG550)の設定では、ファームウェアバージョン6.1.0r3.0での設定方法を示します。バージョンの違いによって設定画面が異なる場合があります。

ルーターA(AR260S V2)の設定

  1. IPアドレスを自動取得するよう設定したPCを接続し、Webブラウザーを起動します。
    Webブラウザーから「http://192.168.1.1/」を開くとユーザー名、パスワードを求められますので、ユーザー名「manager」、パスワード「friend」を入力すると、次の画面が表示されます。


    次に、左側のメニューから[LAN]-[IP]を選択します。
    [IPアドレス]を192.168.20.1に変更して[適用]を押します。


    [適用]を押した後、IPアドレスを再取得するためにPCを再起動します。PCが起動完了したら、再度Webブラウザーを起動して「http://192.168.20.1/」を開きます。

  2. 左側のメニューから[LAN]-[DHCP]を選択します。
    [始点IPアドレス]を192.168.20.10に、[終点IPアドレス]を192.168.20.41に変更して[適用]を押します。


  3. 左側のメニューから[WAN]-[WAN]を選択します。
    [WAN設定]の[接続モード]に PPPoE を選択し、[デフォルトゲートウェイ]を pppoe0 とします。

    pppoe0の[ユーザー名][パスワード]に、ISPから提供された内容を入力して[適用]を押します。


  4. 左側のメニューから[VPN]-[VPN接続]を選択します。
    [VPN接続設定]に、1つ目のVPNポリシーとして次の内容を設定します。

    表 3
    [詳細設定]を選択  
    [ポリシー名] vpn
    [キープアライブ] 有効
    [種別] DPD
    [仮想トンネルインターフェース] 有効
    [インターフェース] 新規作成
    [リモートゲートウェイ]-[種類] IPアドレス
    [IPアドレス] 10.10.10.1
    [フェーズ2ID]-[ローカル] 192.168.20.0/24
    [フェーズ2ID]-[リモート] 192.168.10.0/24




    引き続き、[IKE設定]を設定します。[IPsec設定] の設定内容に変更の必要はありません。

    表 4
    [IKE交換モード] アグレッシブ
    [事前共有鍵] secret
    [フェーズ1 ローカル ID]-[種類] FQDN
    [FQDN] vpn



    入力が完了したら[追加]を押します。
    画面下部の[サイト間アクセスルール]にて、以下のルールが追加されているかご確認ください。

    表 5
    [ID] 1
    [ポリシー名] vpn
    [ピアアドレス] 10.10.10.1
    [トンネルインターフェース] tunnel0



  5. 左のメニューから[ルーティング]を選択し[スタティックルーティング設定]を行います。

    まず、以下のように入力しIPsecトンネルインターフェースへのルーティング設定を行います。

    表 6
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [ゲートウェイ]-[インターフェース] tunnel0
    [優先度] 1(高、通常設定)




    入力が完了したら、[追加]を押します。

    次にIPsec SAが未確立時、IPsecパケットが平文のままインターネットに送出されることを回避するため、低い優先度のnull(破棄)ルートの設定を行います。

    表 7
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [ゲートウェイ]-[インターフェース] null(破棄)
    [優先度] 10(低)



    入力が完了したら、[追加]を押します。

    画面下部の[ルーティングテーブル]に、同じ宛先ネットワークアドレスへの優先度の異なるスタティックルートが表示されますが、現在有効になっているルーティング情報には[Active]の項に*が表示されます。(以下の画面はIPsecトンネルが確立する前の状態です。)

    表 8
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [インターフェース] tunnel0
    [優先度] 1(高、通常設定)
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [インターフェース] null(破棄)
    [優先度] 10(低)




  6. 画面左上の[設定保存]を押します。
    設定保存ボタン下の「設定が保存されていません」という表示が消えれば設定完了です。

    ルーターAの設定は、以上です。


ルーターB(SSG550)の設定

  1. あらかじめ「192.168.1.0/24」のサブネット内のIPアドレスを設定したPCを接続して「http://192.168.1.1」をWebブラウザーで開くと、[Rapid Deployment Wizard]メニュー画面が表示されます。
    この設定例ではWizardを使用しませんので、[No, skip the Wizard and go straight to the WebUI management session instead.]を選択して[Next >>]を押します。

  2. LOGIN画面が表示されます。ユーザー名とパスワード を入力して[Login]を押します。
    初期状態でのユーザー名/パスワードは「netscreen/netscreen」です。

  3. Main画面が表示されます。

  4. まず、LAN インターフェースの設定を行います。
    画面左のメニューから[Network]-[Interfaces]を選択して、以下のインターフェースリスト画面が表示されたら、[ethernet0/0]の[Edit]を押します。


  5. インターフェース設定画面が表示されます。
    以下のようにLAN側インターフェースの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 9
    [IP Address/Netmask] 192.168.10.1/24
    [Manage IP] 初期設定を削除し、空欄に変更



    Note - OKを押すと機器のIPアドレスが変更されるため、設定画面は更新されません。

  6. PCのIPアドレス設定を「192.168.10.0/24」内のIPアドレスに変更した後、「http://192.168.10.1」をWebブラウザーで開き、再度Main画面を表示させます。

    Note - ルーターBのDHCPサーバー機能は無効になっていますので、PCの設定をそれぞれ変更してください。

  7. 次に、WAN インターフェースの設定を行います。
    画面左のメニューから[Network]-[Interfaces]を選択し、以下のインターフェースリスト画面が表示されたら、[ethernet0/2]の[Edit]を押します。


  8. インターフェース編集画面が表示されます。
    以下のようにWAN側インターフェースの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 10
    [IP Address/Netmask] 10.10.10.1/32
    [Manageable] 無効
    [Manage IP] 初期設定を削除し、空欄に変更



  9. 画面左のメニューから[Network]-[PPP]-[PPPoE Profile]を選択し、以下のPPPoE リストが表示されたら画面右上の[New]を押します。


  10. PPPoE Profile編集画面が表示されます。
    以下のようにPPPoEの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 11
    [PPPoE Instance] ISP-B (任意の名前)
    [Bound to Interface] ethernet0/2
    [Username] user1@example
    [Password] password
    [Auto-Connect]を選択  
    [Auto-Connect右の入力ボックス] 10
    [Static IP] 有効
    [Automatic Update of DHCP Servers' DNS Parameters] 無効
    [PPP lcp Echo Retries] 5
    [PPP lcp Echo Timeout] 30




  11. 次に、IPsecで使用するトンネルインターフェース用のゾーンを作成します。
    画面左のメニューから[Network]-[Zones]を選択して、以下のゾーンリスト画面が表示されたら画面右上の[New]を押します。


  12. ゾーン設定編集画面が表示されます。
    以下のようにゾーンの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 12
    [Zone Name] VPN-ZONE
    [Zone Type] Layer 3





  13. 次に、IPsecで使用するトンネルインターフェースを作成します。
    画面左のメニューから[Network]-[Interfaces]を選択して、以下のインターフェースリスト画面が表示されたら、画面右上のリストから[Tunnel IF]を選択して[New]を押します。

    Note - 以下の画面はethernet0/2のPPPoEがリンクアップした状態です。



  14. インターフェース設定画面が表示されます。
    以下のようにトンネルインターフェースの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 13
    [Zone(VR)] VPN-ZONE(trust-vr)
    [Unnumbered] を選択  
    [Interface] ethernet0/2(trust-vr)




  15. 次に、ルーターA と通信するためのIPsec Phase 1 Proposal設定を作成します。
    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey Advanced]-[P1 Proposal]を選択して、以下のP1 Proposalリスト画面が表示されたら、画面右上の [New]を押します。




  16. P1 Proposal設定画面が表示されます。
    以下のようにPhase1 Proposalの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 14
    [Name] AR260_P1_Proposal
    [Lifetime] 1 Hours




  17. 次に、ルーターA と通信するためのIPsec Phase 2 Proposal設定を作成します。
    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey Advanced]-[P2 Proposal]を選択して、以下のP2 Proposalリスト画面が表示されたら、画面右上の [New]を押します。


  18. P2 Proposal設定画面が表示されます。
    以下のようにPhase2 Proposalの設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 15
    [Name] AR260_P2_Proposal
    [Perfect Forward Secrecy] NO-PFS
    [Encapsulation] Encryption
    [Encryption Algorithm] 3DES-CBC
    [Authentication Algorithm] SHA-1
    [Lifetime] 1 Hours



  19. 次に、IPsecの接続先の設定を作成します。

    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey Advanced]-[Gateway]を選択して、以下のGatewayリスト画面が表示されたら、画面右上の [New]を押します。


  20. Gateway設定画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、さらに詳細設定を行うために[Advanced]を押します。

    表 16
    [Gateway Name] AR260-GW
    [Remote Gateway]-[Dynamic IP Address] を選択  
    [Peer ID] vpn



  21. 詳細設定が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、画面下部の[Return]を押します。

    表 17
    [Preshared Key] secret
    [Outgoing Interface] ethernet0/2
    [Security Level] Custom
    [Phase 1 Proposal] AR260_P1_Proposalのみ選択、その他はNone
    [Mode (Initiator)] Aggressive
    [Pre Status Detection] DPDを選択
    [Interval] 30
    [Retry] 3





  22. 手順20の画面に戻るので、[OK]を押します。


  23. 次に、IPsecトンネルの設定を行います。

    画面左のメニューから[VPNs]-[Autokey IKE]を選択して以下の画面が表示されたら、画面右上の [New]を押します。


  24. VPN設定編集画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、さらに詳細設定を行うために[Advanced]を押します。

    表 18
    [VPN Name] AR260-VPN
    [Remote Gateway]−[Predefined] AR260-GWを選択



  25. 詳細設定が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、画面下部の[Return]を押します。

    表 19
    [Security Level] Custom
    [Phase 2 Proposal] AR260_P2_Proposalのみ選択、その他はNone
    [Bind-to]-[Tunnel Interface] tunnel.1
    [Proxy ID] 有効
    [Local IP/Netmask] 192.168.10.0/24
    [Remote IP/Netmask] 192.168.20.0/24



  26. 手順24の画面に戻るので、[OK]を押します。


  27. 次に、ルーティングについての設定を行います。

    画面左のメニューから[Network]-[Routing]-[Destination]を選択して、以下のRouting Entries画面が表示されたら、画面右上の リストから[trust-vr]を選択して[New]を押します。

    Note - 以下の画面はethernet0/2のPPPoEがリンクアップした状態です。


  28. Routing設定画面が表示されます。
    以下のように設定を変更したら、[OK]を押します。

    表 20
    [IP Address/Netmask] 192.168.20.0/24
    [Next Hop] Gateway
    [Interface] tunnel.1



  29. 次に、ファイアウォールポリシーの設定を行います。
    画面左のメニューから[Policy]-[Policies]を選択して以下のポリシーリスト画面が表示されます。
    まずLAN→IPsecトンネル方向の設定を行うため、以下のようにFrom/ToのZoneを選択して[New]を押します。

    表 21
    [From] Trust
    [To] VPN-ZONE



  30. Policy設定編集画面が表示されるので、[OK]を押します。
    ここでは「すべて許可」のルールを作成するので、特に設定を変更する必要はありません。


  31. ポリシーリスト画面が再度表示されるので、引き続きIPsecトンネル→LAN方向のファイアウォールポリシーの設定を行います。

    以下のようにFrom/ToのZoneを選択して[New]を押します。

    表 22
    [From] VPN-ZONE
    [To] Trust



  32. Policy設定編集画面が表示されるので、[OK]を押します。
    ここでも「すべて許可」のルールを作成するので、特に設定を変更する必要はありません。


  33. ポリシーリスト画面が再度表示されるので、引き続きLAN→WAN方向のファイアウォールポリシーの設定を行います。

    以下のようにFrom/ToのZoneを選択して[New]を押します。

    表 23
    [From] Trust
    [To] Untrust



  34. Policy設定編集画面が表示されるので、[OK]を押します。
    ここでも「すべて許可」のルールを作成するので、特に設定を変更する必要はありません。


  35. ポリシーリスト画面が再度表示されます。

    設定済みポリシーがすべて表示されますので、以下のように手順29〜34で設定したポリシーが表示されます。


    ルーターBの設定は以上です。

    なお設定情報は、これまでの操作を行った際に自動的に更新されていますので、保存操作は不要です。




CentreCOM AR260S V2 設定例集 3.3.3 #17

(C) 2008-2013 アライドテレシスホールディングス株式会社

PN: 613-000902 Rev.H

<前頁 次頁> << >> 目次 (番号順 (詳細)回線別 (詳細)機能別 (詳細)