運用・管理 / RADIUSサーバー


仕様
ローカルRADIUSサーバー
ローカルCA
基本設定
各種情報の確認
電子証明書の配布(ローカルCA機能)
ルートCA証明書の配布
電子証明書の書き出しと取り込み(ローカルCAの移行)
ローカルRADIUSサーバーの利用


本製品は、OpenVPNクライアント認証用のRADIUSサーバー機能(ローカルRADIUSサーバー)を内蔵しています。ローカルRADIUSサーバーを利用すれば、別途RADIUSサーバーを用意することなく、本製品だけでOpenVPNサーバーを構築できます。

ここではOpenVPN機能そのものについては触れません。「VPN」の「OpenVPN」をご覧ください。

仕様

ローカルRADIUSサーバーとローカルCAの基本的な仕様を以下に示します。

ローカルRADIUSサーバー


ローカルCA

EAP-TLSの認証には認証局(CA)が発行する電子証明書が必要ですが、ローカルRADIUS機能には独自の証明書を発行するローカルCA機能が付属しているため、別途認証局(CA)を用意する必要がありません。ローカルCAおよびローカルRADIUSサーバーの証明書は自動的に発行されるため、必要な作業はCA証明書を配布してクライアントにインストールすることだけです。


Note
本製品はローカルCAの証明書データベースのバックアップが取れないので、装置入れ替えなどが発生するとCA局の再構築が必要になり、ルートCA証明書やユーザー証明書を再発行する必要があります。本製品のローカルRADIUSサーバー機能を用いたEAP-TLSまたはEAP-PEAP構成でネットワーク運用する場合はご注意ください。

Note
no crypto pki enroll local user <user-name>で削除したユーザーはフラッシュメモリー上からは消えますが、データベース上に情報が残るため、削除した証明書でPCクライアントから認証ができてしまいます。それを回避するためには、no crypto pki trustpointでローカルCAを一度削除してから、再度ユーザーの証明書を作成してください。

Note
ローカルCAを再構築した場合は、機器の再起動が必要です。新しいルート証明書は再起動後から有効になります。

基本設定

  1. ローカルRADIUSサーバーの設定を開始するには、radius-server localコマンドを実行します。
    awplus(config)# radius-server local
    Created trustpoint "local".
    Generating 2048-bit key for local CA...
    Automatically authenticated trustpoint "local".
    Automatically enrolled the local server to trustpoint "local".
    awplus(config-radsrv)# 
    

    radius-server localコマンドの初回実行時には、ローカルCA(ローカルなルート認証局)の初期設定(自署ルートCA証明書の発行など)やRADIUSサーバーの証明書発行などが自動的に行われ、またローカルホスト(127.0.0.1)をRADIUSクライアント(NAS)として自動登録します。具体的には、下記のコマンドが自動的に実行されます。
    !
    ! 以下はradius-server localの初回実行時に自動実行される内容です。
    !
    awplus(config)# crypto pki trustpoint local
    awplus(config)# end
    awplus# crypto pki enroll local
    awplus# configure terminal
    awplus(config)# radius-server local
    awplus(config-radsrv)# nas 127.0.0.1 key awplus-local-radius-server
    

  2. ユーザーを登録します。

    OpenVPNクライアントにIPアドレスを割り当てる場合は、ユーザーごとに各種属性値を設定する必要があります。これはユーザーグループを使用して次のようにします。


  3. 他の機器にも本製品のRADIUSサーバーを利用させたいときは、それらの機器をRADIUSクライアント(NAS)として登録する必要があります。該当機器のIPアドレス(RADIUSパケットの始点IPアドレス)と、アクセス時の共有パスワードをnasコマンドで設定してください。ここでは、172.16.10.2と172.16.10.3を持つ機器をRADIUSクライアントとして登録しています。
    awplus(config-radsrv)# nas 172.16.10.2 key naspas2
    awplus(config-radsrv)# nas 172.16.10.3 key naspas3
    

  4. 各種登録が終わったら、server enableコマンドでRADIUSサーバーを有効にします。
    awplus(config-radsrv)# server enable
    

基本設定は以上です。

■ ローカルRADIUSサーバーの初期状態では、UDPポート1812番で認証サービスを提供します。認証用のポートを変更するには、server auth-portコマンドを使います。
awplus(config-radsrv)# server auth-port 11812

各種情報の確認

■ ローカルRADIUSサーバーの状態と統計情報を確認するには、show radius local-server statisticsコマンドを使います。
awplus# show radius local-server statistics

■ ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーの情報は、show radius local-server userコマンドで確認します。
awplus# show radius local-server user

■ ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーグループの情報は、show radius local-server groupコマンドで確認します。
awplus# show radius local-server group

■ ローカルRADIUSサーバーに登録してあるRADIUSクライアント(NAS)の情報は、show radius local-server nasコマンドで確認します。
awplus# show radius local-server nas

電子証明書の配布(ローカルCA機能)

ローカルRADIUSサーバーに内蔵されているローカルCA機能の操作について説明します。

ルートCA証明書の配布

OpenVPNクライアントには、ローカルCAの電子証明書(ルートCA証明書)をインストールする必要があります(OpenVPNサーバーの電子証明書を検証するため)。

■ ローカルCAの電子証明書をユーザーに配布するには、次のようにします。
  1. crypto pki export pemコマンドを実行して、ローカルCAの証明書をPEM形式のファイルに書き出します。書き出し先のファイル名は任意ですが、拡張子を.cerか.crtにしておくとSupplicantへの取り込み時に便利です。
    awplus# crypto pki export local pem flash:/localca.cer
    

  2. 書き出したPEM形式ファイル(ここではflash:/localca.cer)をユーザーに渡し、OpenVPNクライアントにインストールしてもらってください。
Note
バージョン5.4.6-1.1以降のファームウェアでCA証明書を作成し使用している場合、それより前のバージョンにダウングレードする時は証明書をクライアントに再配布する必要があります。

電子証明書の書き出しと取り込み(ローカルCAの移行)

OpenVPNサーバーとして使用している既存のルーターを新ルーターに置き換えたい場合、既存ルーターからローカルCAの電子証明書(ルートCA証明書)と秘密鍵をファイルに書き出し、新ルーターに取り込むことでローカルCAの移行ができます。
これによって、新ルーターにて証明書の再発行、再配布をする必要がなくなります。

ローカルCAの移行は次の手順で行います。
  1. (既存ルーター)
    ローカルCAの証明書と秘密鍵をPKCS#12形式のファイルに書き出します。
    これには、crypto pki export pkcs12コマンドを使います。
    書き出し時には秘密鍵を保護するためのパスフレーズを設定しますが、このパスフレーズは取り込み時に入力する必要があるため、忘れないようにしてください。

    ここでは、書き出したPKCS#12形式ファイルを、TFTPサーバー「172.16.10.70」にファイル名「cakeycert.p12」で保存(アップロード)しています。
    awplus# crypto pki export local pkcs12 ca tftp://172.16.10.70/cakeycert.p12
    Enter an export passphrase, or "abort" to cancel.
    XXXXXXXX ↓(実際には表示されません)
    Enter the export passphrase again.
    XXXXXXXX ↓(実際には表示されません)
    Copying...
    Successful operation
    

  2. (新ルーター)
    ローカルRADIUSサーバー機能を有効にします。
    これには、radius-server localコマンドを使います。
    自動でローカルRADIUSサーバー証明書が発行されるため、これをshow crypto pki certificatesコマンドで確認します。
    awplus(config)# radius-server local
    Created trustpoint "local".
    Generating 2048-bit key for local CA...
    Automatically authenticated trustpoint "local".
    Generating 2048-bit key for server...
    Automatically enrolled the local server to trustpoint "local".
    awplus(config-radsrv)# end
    
    awplus# show crypto pki certificates
    
    --------------------
    Trustpoint "local" Certificate Chain
    --------------------
    Server certificate
       Subject     : /O=Allied-Telesis/CN=AlliedwarePlusSystem
       Issuer      : /O=Allied Telesis, Inc./CN=AlliedWarePlusCAA05236G153100015
       Valid From  : Apr  5 08:12:59 2017 GMT
       Valid To    : Apr  4 08:12:59 2022 GMT
       Fingerprint : 2539C03E 3B9D4967 982497C3 D1CA33ED 06AB2FF1
    
    Self-signed root certificate
       Subject     : /O=Allied Telesis, Inc./CN=AlliedWarePlusCAA05236G153100015
       Issuer      : /O=Allied Telesis, Inc./CN=AlliedWarePlusCAA05236G153100015
       Valid From  : Apr  5 08:12:57 2017 GMT
       Valid To    : Apr  3 08:12:57 2027 GMT
       Fingerprint : 00AB18A5 D2C7FFE5 1736DC95 615193C8 A7BBAFBF
    

  3. (新ルーター)
    手順1で書き出した既存ルーターのローカルCA証明書を取り込むため、手順2で確認した証明書を削除します。
    これには、no crypto pki certificateコマンドを使用します。
    同コマンドでは削除対象の証明書を指定するのに、show crypto pki certificatesコマンドで表示される Fingerprint 文字列で指定します。
    証明書の削除は、サーバー証明書、ローカルCA証明書の順に実行する必要があります。
    awplus# no crypto pki certificate local 2539C03E 3B9D4967 982497C3 D1CA33ED 06AB2FF1
    Subject     : /O=Allied-Telesis/CN=AlliedwarePlusSystem
    Issuer      : /O=Allied Telesis, Inc./CN=AlliedWarePlusCAA05236G153100015
    Valid From  : Apr  5 08:12:59 2017 GMT
    Valid To    : Apr  4 08:12:59 2022 GMT
    Fingerprint : 2539C03E 3B9D4967 982497C3 D1CA33ED 06AB2FF1
    Deleted the certificate.
    
    awplus# no crypto pki certificate local 00AB18A5 D2C7FFE5 1736DC95 615193C8 A7BBAFBF
    Subject     : /O=Allied Telesis, Inc./CN=AlliedWarePlusCAA05236G153100015
    Issuer      : /O=Allied Telesis, Inc./CN=AlliedWarePlusCAA05236G153100015
    Valid From  : Apr  5 08:12:57 2017 GMT
    Valid To    : Apr  3 08:12:57 2027 GMT
    Fingerprint : 00AB18A5 D2C7FFE5 1736DC95 615193C8 A7BBAFBF
    Deleted the certificate.
    Deleted the trustpoint key.
    

  4. (新ルーター)
    手順1でTFTPサーバーにアップロードしたローカルCA証明書のPKCS#12形式ファイルを取り込みます。
    これには、crypto pki import pkcs12コマンドを使います。
    取り込む際、手順1で設定したパスフレーズを入力してください。
    awplus# crypto pki import local pkcs12 ca tftp://172.16.10.70/cakeycert.p12
    Copying...
    Successful operation
    Enter the import passphrase.
    XXXXXXXX ↓(実際には表示されません)
    The certificate has been validated successfully.
    Successfully imported the trustpoint.
    
以上で新ルーターへのローカルCA証明書の取り込みが完了しました。
この後、既存ルーターで使用していたOpenVPNサーバーの設定を新ルーターに追加してください。
詳しくは「VPN」の「OpenVPN」をご覧ください。

ローカルRADIUSサーバーの利用

■ 自機のローカルRADIUSサーバーを使用するには、RADIUSクライアントの設定において、IPアドレス「127.0.0.1」、共有パスワード「awplus-local-radius-server」を指定します。たとえば、Web認証機能において、ローカルRADIUSサーバーを使って認証を行う場合は、次のようにします。
awplus(config)# radius-server host 127.0.0.1 key awplus-local-radius-server
awplus(config)# aaa authentication auth-web default group radius

■ 他の機器から本製品のローカルRADIUSサーバーを使用する場合は、該当機器のRADIUSクライアントに対して下記の設定をしてください。なお、他の機器からアクセスさせる場合は、nasコマンドを使って、該当機器のIPアドレスと共有パスワードをあらかじめ登録しておく必要があります。

表 1
RADIUSサーバーのIPアドレス 該当機器から到達可能な本製品のIPアドレス
RADIUSサーバーの共有パスワード nasコマンドのkeyパラメーターで設定した文字列
認証用ポート番号 server auth-portコマンドで設定した値。未設定時は初期値の1812
アカウンティング用ポート番号 使用しない(ローカルRADIUSサーバーはアカウンティング機能をサポートしていないため)


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PN: 613-002107 Rev.P