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無線LAN

5年前とは違う!これからの無線LAN環境の
“課題と解決”&“新たな活用”のポイントとは

第4回
市場別無線LANのトレンド、課題と解決法 その2 自治体・工場・物流

今やあらゆる業種・業界で無線LANの活用が進み、次世代無線LAN通信規格「Wi-Fi6」の登場によりさらに加速している。しかし活用が進むことで新たに生まれる課題もある。そうした課題をいかに解決し、活用を推進、拡大していくべきか。当連載は4回にわたり、これからの無線LAN活用に求められる、さまざまな情報を紹介する。第3回、第4回では市場別に無線LANのトレンドや動向、課題とその解決法を紹介する。第4回の今回は、自治体と工場・物流市場を紹介、その他の市場についても補足する。

自治体市場における無線LANの状況と課題

2020年12月、総務省から「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改定が発表された。新たな働き方を実践するためのネットワークの在り方や、業務の「効率性・利便性向上」と「セキュリティ確保」を両立する対策が求められており、自治体では見直しを進めている。
そもそも従来のガイドラインはどちらかと言えばセキュリティに重きが置かれ、職員の使い勝手が犠牲となっている面があった。使い勝手とセキュリティを両立するということになれば、インフラからの見直しが必要で、特に効率性・利便性を担保する意味では無線LANの活用が鍵となる。

加藤

加藤

エッジ部分の効率化に無線LANを活用することは特に効果的です。自治体は異動が多いものですが、レイアウト変更なども無線なら容易です。職員が動きながら端末を使えるようになり、住民サービスの向上に繋げることもできると思います。

アライドテレシスではガイドライン改定への対応として、従来の三層分離に業務端末用のネットワークを加えた四層分離モデルを提案している。業務端末を新たな「業務系」として分離し、セキュリティを確保したまま業務の効率性と利便性の向上を図るものだ。
業務系ネットワークでは、ローカルコンテナ技術による仮想ブラウザや仮想デスクトップを利用し、セキュアなインターネット接続を実現する。ファイル無害化処理の手間なども減らすことができる。

寺澤

寺澤

この業務系ネットワークの端末に、無線化したシンクライアント1を活用することをご提案しています。仮想ブラウザや仮想デスクトップを利用することで、セキュリティを担保できますし、さらに無線LAN接続なら移動しても利用できて、利便性を両立できます。

近年は業務アプリケーションとしてクラウドアプリを利用する自治体も多くなっているが、シンクライアントでもそうしたクラウドアプリも問題なく利用できるし、場所を選ばず利用できる無線LANは相性が良いとも言える。
また前回、その1でも紹介した「AWC-SDF2」や「AWC-VAS3」を利用することで、無線の端末がどのように利用されているか、その導線は最適かどうかを確認でき、さらなる業務の効率化や住民サービスの質向上などにも繋げることができる。

用語解説
  • 1

    シンクライアント:ユーザー側の端末で最小限の処理しか行わず、アプリケーションの実行やデータ保存・管理などの処理は仮想デスクトップの環境でに接続して利用する仕組み。端末自体に重要なデータが保存されず、単体ではほぼ機能しないため、テレワークや端末紛失などによる情報漏えいを防ぐことができる。ユーザー側でアプリケーションの実行やデータ保存・管理などを行う端末は「ファットクライアント」と呼ぶ。

  • 2

    AWC-SDF:無線環境内にあるBYOD端末のような持ち込み無線端末の接続状況をリアルタイムに把握することができる、無線資産アドバンスド・コントロール機能のこと。端末の登録は管理者が簡単に処理することができる。アライドテレシスが提供しているネットワークソリューション「AT-Vista Manager EX」で実現。

  • 3

    AWC-VAS:VASはVista Appliance Storageの略。無線接続された端末の接続状況や軌跡情報を長期間保存でき、過去の電波状態も容易に参照できるため、不安定になりやすいエリアの特定や無線LANアクセスポイントの配置の見直しなどが可能になり、ネットワーク管理者の工数を減らすことに貢献する。

加藤

加藤

無線LANの活用は非常に効果的で、お勧めではありますが、自治体は個人情報の宝庫です。セキュリティについては改定ガイドラインに沿った対策が必須です。サイバー攻撃は日々悪質化し、複雑化しています。「効率性・利便性向上」と「セキュリティ確保」の両立は慎重に進めていくべきだと思います。

工場・物流市場における無線LANの状況と課題

工場では今急速に「スマートファクトリー化」が進んでいる。スマートファクトリー化にはIoT4やセンサーデータの活用、そしてデータを収集する基盤となる無線LANの整備が欠かせない。

加藤

加藤

すでに多くの工場では無線LANが導入されています。センサーによる工場の環境把握や、生産機器などもすでに多く無線化されています。ただ、さまざまなメーカーの機器が工場に入っていると、複数のシステムが同時に動くことになり、無線を利用するとチャンネルが足りなくなってしまうケースも見受けられます。そこでアライドテレシスでは、シングルチャンネルで展開できるAWC-CB(Channel Blanket)をご提案しています。工場は壁や機器など電波の障害物が多く、電波管理が大変ですが、無線LANアクセスポイントをたくさん置いて、シングルチャンネルで管理すれば電波障害にも強い無線環境を容易に構築できます。

用語解説
  • 4

    IoT(アイ・オー・ティー):Internet of Things の略。モノのインターネットの意味。パソコンやサーバーだけでなく、クルマやカメラ、センサーなどさまざまな端末がインターネットとつながることを指す。

AWC-CBは、単一のチャンネルでアクセスポイント間の移動時にローミングレスで通信が途切れることなく快適な通信を実現するソリューションだ。複数の無線LANアクセスポイントで同一チャンネルを利用して、仮想的な1台の無線LANアクセスポイントとして動作する。これによりローミングしない通信を実現する。

寺澤

寺澤

IoTでは稀にすごく古い端末を利用したいというケースの場合、20年以上前のOSで、セキュリティも昔の規格のままであることもあります。あまり古いと無線LANアクセスポイントが対応できなかったりもするのですが、AWC-CBであれば動く場合もあります。ケースバイケースなので検証する必要はありますが、AWC-CBはローミングの手順がないため、比較的古いOSでも利用可能です。

また近年は物流を中心に工場などでもAGV(Automatic Guided Vehicle、無人搬送車)を導入することが多くなっている。このAGVを制御・遠隔操作するのに無線LANが利用されるが、課題となることも多い。

加藤

加藤

AGVは広い倉庫や工場内を動き回るので、柱や棚などの無線電波が届かない死角に入ってしまったり、AGV自体が電波の陰になったりすることもあります。特に物流業界ではコロナ禍の影響で荷物量が爆発的に増えており、それを処理するためにAGV自体の速度を上げて運用しなければならない状況が続いていることも、電波の送受信に影響が出ている理由の一つです。さらにAGVの台数が増えることで、その数に比例して無線電波の死角に入ってしまうタイミングが多く発生します。こうしたところにAWC-CBのシングルチャンネルは特に有効です。

さらにAGVについても、第2回でも紹介した「無線資産アドバンスド・コントロール(AWC-SDF)」や「履歴データの蓄積(AWC-VAS)」を利用することで、AGVの稼働状態や位置を把握でき、資産や動線の最適化を図ることも可能となる。

●無線LANによるAGVの安定走行実証実験動画

※音声がございますので、再生の際には、お気を付けください。

寺澤

寺澤

製造・物流業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)5が急速に進み、特に製造業では「インダストリー5.06」と呼ばれている変革が進んでいます。無線LANはそれら変革の重要なインフラとなります。無線化、データの有効活用などについても気軽にお問い合わせください。

用語解説
  • 5

    DX(デジタルトランスフォーメーション):Digital Transformationの略。企業や組織が社会的な現象やビジネスを取り巻く激しい変化に対して、IoTやAIなど最新のデジタル技術を活用し、経済や社会に新たな価値を生み出しより良い変革を起こすこと。デジタル化が進んだ今日、企業や組織が生き残るためのキーワードとして注目を集めている。

  • 6

    インダストリー5.0:ドイツが推進する第4次産業革命(インダストリー4.0)に続く、新たなコンセプト。人とAIがデジタル技術をより駆使して協働することで、効率的かつ高い生産性の実現を目的とする構想。

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その他市場での無線LANの状況と課題

コロナ禍によりテレワークを導入する企業が急激に増加したが、働き方とともにオフィスそのものを見直すケースが増えている。テレワーク導入と同時にいわゆる“フリーアドレス”を導入する企業が業種・業界を問わず多くなっており、中にはデスクの数・スペースを抑えて、コストの大幅な削減を実現している企業もある。
フリーアドレスは席が固定されていないため、コンピューター端末の接続を無線LANとするケースが多い。フリーアドレスでも当然、有線の固定座席と同じようにネットワークを利用できることが求められるため、無線LAN環境をいかに快適に保つかは管理者にとって頭の痛い問題となる。

寺澤

寺澤

ほぼすべての端末が無線でネットワークに接続され、ネットワークの利用状況も日々異なるということになると、特定の日に調査した無線LANの利用状況が別の日でも同じとは限りません。つまり、無線LANアクセスポイントの調整が非常に難しくなってしまうのです。

そこでアライドテレシスでは、フリーアドレスの無線LANに、無線環境を自律的に調整する「AWC」を提案している。AWCが無線LAN環境を常に快適に自律調整することで、フリーアドレスのどの席で働いていても、快適でストレスフリーな通信環境を利用できる。
またフリーアドレスでは従来の内線電話をそのまま使うことはできないため、内線電話を無線LAN化、IP電話化することも多いが、この時例えばフロア内を歩きながら利用すると音声が途切れたり、電話の接続が切れてしまったりすると業務に支障が出る。そこでアライドテレシスでは「AWC-CB」を提案。すべての無線LANアクセスポイントを同一チャンネルとすることで、ローミングや電波干渉のない、途切れずに快適な通話が可能となる。

加藤

加藤

働き方改革を実現したいが、どうすればよいか分からないという声をお客様からよくお聞きします。しかし働き方を改革して、業務の効率が落ちてしまっては意味がありません。フリーアドレスについても、使いにくい、働きにくい、安全でないなど、ネガティブな要素があっては仕事になりませんので、それを無線LAN製品、技術で解決し、快適な環境を構築できるよう支援しています。

寺澤

寺澤

アライドテレシスでは、自社オフィスとして東京都中央区京橋に「京橋イノベーションセンター7」を開設しています。センターでは、フリーアドレス化により空間的な自由度を向上させるとともに、通信インフラの機能向上とストレスフリー化を徹底的に追求しています。ご見学も可能ですので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

用語解説
  • 7

    京橋イノベーションセンター:2019年に最新無線LAN技術を導入した当社の最先端スマートオフィス。完全なフリーアドレスを採用し、通信端末を使用しながら移動しても途切れない、安定した環境を実現。

登場者

加藤 紀康

アライドテレシス株式会社
Global Product Marketing部
シニアマネージャー
加藤 紀康

寺澤 雛

アライドテレシス株式会社
Global Product Marketing部
寺澤 雛

  • 本記事の内容は公開日時点の情報です。
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