バーチャルシャーシスタック(VCS) / 導入


本バージョンにおけるVCSの仕様
基本仕様
併用不可機能
その他注意事項
初期設定から運用までの流れ
必要な機材の準備
スタックメンバーの初期設定
スタックメンバーの接続
VCSグループの起動
VCSグループの初期設定
VCSグループの運用設定と運用開始


VCSの設定/運用方法について、各機器に対する初期設定、各機器の接続、VCSグループの起動、VCSグループとしての設定から運用開始まで、順を追って説明します。

本バージョンにおけるVCSの仕様

ファームウェアバージョン5.4.8-2.3におけるVCSの仕様は以下のとおりです。VCSの設定は、以下の各項目を念頭に置きながら進めてください。

基本仕様

Note

併用不可機能

VCS構成時は以下の機能を使用できません。

その他注意事項


初期設定から運用までの流れ

VCSの初期設定から運用までの流れは次のようになります。
  1. 必要な機材の準備
    スタックメンバーとなるスイッチ、スタックモジュールなどを準備します。

    「必要な機材の準備」をご覧ください。

  2. スタックメンバーの初期設定
    VCSの物理的な接続をする前に、各メンバーの設定状態を確認し、必要な初期設定を行っておきます。

    「スタックメンバーの初期設定」をご覧ください。

  3. スタックメンバーの接続
    各メンバーの初期設定が終わったら、メンバー同士を接続してVCSの物理的構成を完成させます。

    「スタックメンバーの接続」をご覧ください。

  4. VCSグループの起動
    接続が完了したら、各メンバーの電源を入れてVCSグループを起動します。CFC上のLEDを見ることで、VCSグループが正常に起動したか、どのスイッチがマスターか、などがわかります。また、CLIコマンドを使うことにより、IDがどのように割り振られているかなども知ることができます。

    「VCSグループの起動」をご覧ください。

  5. VCSグループの初期設定
    VCSグループが正しく起動したことを確認したら、その後の設定や運用をしやすくするため、IDやプライオリティーの調整など、いくつかの初期設定を行います。

    「VCSグループの初期設定」をご覧ください。

  6. VCSグループの運用設定と運用開始
    VCSグループの初期設定が完了したら、その後はVCSグループを1台のスイッチと見なして、運用ネットワークのための設定を行い、運用を開始します。

    「VCSグループの運用設定と運用開始」をご覧ください。

必要な機材の準備

VCSグループを構築するのに必要な機材を手元に準備してください。

スタックメンバーの初期設定

スタックメンバーとなるシャーシを用意したら、最初に各シャーシを単体で起動し、以下の作業を行ってください。

なお、以下の説明では、電源ユニット、コントロールファブリックカード、ラインカードといった必要なコンポーネントは、各シャーシに取り付けられているものとします。


以下、具体的な手順を説明します。
  1. スタックモジュールやスタックケーブルを装着しない状態でシャーシを単体起動したら、コンソールからログインしてください。

  2. VCS plusフィーチャーライセンスを有効化していない場合は、licenseコマンドで有効化してください。
    Note
    licenseコマンドの実行後は再起動が必要です。
    Note
    フィーチャーライセンスの情報はshow licenseコマンドで確認できます。

  3. show bootコマンドを実行して、通常用と緊急用のファームウェアイメージを確認します。すべてのスイッチで「Current boot image」と「Backup boot image」の設定が同じになっていることを確認してください。違いがある場合は、必要に応じてイメージファイルをダウンロードし、boot systemコマンドを実行して、これらの設定をあわせてください。
    awplus# show boot
    Boot configuration
    --------------------------------------------------------------------------------
    Current software   : SBx81CFC960-5.4.8-2.3.rel
    Current boot image : flash:/SBx81CFC960-5.4.8-2.3.rel (file exists)
    Backup  boot image : Not set
    Default boot config: flash:/default.cfg
    Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
    Backup boot config : Not set
    Autoboot status    : disabled
    

  4. 同じshow bootコマンドの出力にある「Current boot config」欄を確認します。「(file exists)」と表示されている場合は、スタートアップコンフィグが存在していることを示していますので、その内容をファイルにバックアップしておいてください。これにはcopyコマンドを使って次のようにします。ここでは、例として「StandaloneConfig.cfg」というファイルにバックアップしています。
    awplus# copy startup-config StandaloneConfig.cfg
    

  5. VCS機能とスタックポートを有効にします。これには、stack enableコマンドを使います。
    awplus# configure terminal
    awplus(config)# stack enable
    % Automatically enabling 'stack virtual-mac' to minimize disruption from failovers.
    % Please check that the new MAC 0000.cd37.03b0 is unique within the network.
    % Save the config and restart the system for this change to take effect.
    
    Note
    バーチャルMACアドレス機能は、stack enableコマンドでVCS機能を有効化すると自動的に有効化されます。stack virtual-macコマンドをno形式で実行することにより無効化もできますが、VCS使用時は必ずバーチャルMACアドレス機能を有効にした状態で運用してください。無効状態での運用はサポート対象外となります。

  6. どちらか一方のシャーシのみ、スタックメンバーIDを2に変更します。
    awplus(config)# stack 1 renumber 2
    

  7. 現在のコンフィグをスタートアップコンフィグとして保存します。
    awplus(config)# end
    awplus# copy running-config startup-config
    

    show bootコマンドで再度確認すると、「Current boot config」欄の末尾に「(file exist)」と表示されていればスタートアップコンフィグは保存されています。
    awplus# show boot
    Boot configuration
    --------------------------------------------------------------------------------
    Current software   : SBx81CFC960-5.4.8-2.3.rel
    Current boot image : flash:/SBx81CFC960-5.4.8-2.3.rel (file exists)
    Backup  boot image : Not set
    Default boot config: flash:/default.cfg
    Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
    Backup boot config : Not set
    Autoboot status    : disabled
    

  8. 最後に、VCS以外のフィーチャーライセンスの必要な機能を利用する場合は、show licenseコマンドを実行して有効化されているライセンスを確認します。
    有効化されているライセンスがシャーシ間で異なる場合はlicenseコマンドで有効なライセンスをそろえてください。

  9. 以上でスタックメンバーの初期設定は完了です。各シャーシの電源を切ってください。

スタックメンバーの接続

スタックメンバーの初期設定が終わったら、各シャーシを実際に接続します。
モジュールやケーブルの具体的な装着方法や注意事項については、取扱説明書をご覧ください。
  1. 各シャーシの電源が入っていないことを確認してください。

  2. 各シャーシのコントロールファブリックカードAT-SBx81CFC960にスタックモジュールを取り付けます。

  3. 各シャーシのスタックモジュール間を適切な光ファイバーケーブルで接続し、スタックリンクを形成します。
    シャーシ間を接続するときは、次の図を参考にして、必ず同じ番号のスタックポート同士を接続するようにしてください。

    Note
    スタックポート間には他の装置をはさまず、スタックポート同士を直接接続してください。

    Note
    光ファイバーケーブルは2本で1対になっています。一方の機器のTXをもう一方の機器のRXに、一方の機器のRXをもう一方の機器のTXに接続してください。

  4. 以上でスタックメンバーの接続は完了です。

VCSグループの起動

スタックメンバーの接続が終わったら、いよいよVCSグループを起動します。これは以下の手順で行います。
  1. 各シャーシに同時に電源を入れます。

  2. 各メンバーは、起動後にメッセージを交換してマスターを選出します。これらが済むと、VCSグループの起動は完了です。
    コントロールファブリックカード上のCFC LEDを確認してください。

    CFC LEDが緑に点灯しているコントロールファブリックカードがアクティブ、橙に点灯しているコントロールファブリックカードがスタンバイで、アクティブのコントロールファブリックカードが存在するシャーシがマスターとなります。

    コントロールファブリックカードを2台ずつ装着したシャーシをスタックした場合は、1台がアクティブ(緑)、残りの3台がスタンバイ(橙)となります。

    CFC LED を見て、アクティブ(緑)のコントロールファブリックカードが1台、スタンバイ(橙)のコントロールファブリックカードが1 ~ 3台存在していることを確認してください。

    また、SFP+スロットのL/A LEDが緑に点灯していることを確認してください。

  3. LED表示に問題がなければVCSグループの起動は完了です。

VCSグループの初期設定

VCSグループが起動したら、その後の設定や運用がしやすいようにVCSグループとしてのホスト名を付け、必要に応じてプライオリティーを調整します。また、運用ネットワークとVCS管理用VLAN/サブネットアドレスが重複しないことを確認し、必要なら管理用VLAN/サブネットアドレスを変更します。

たとえば、2台のシャーシでVCSグループを構成している場合、2台のシャーシを配置順にID=1、ID=2としておき、ID=1をマスターにするのがもっとも直感的で、ケーブルの接続時やポートの設定時にもわかりやすく便利です。

ここでは、例としてVCSグループ起動直後の役割分担が次のようになったと仮定して、これを前記のようなわかりやすい構成に変更する手順を示します。


  1. いずれかのシャーシにコンソールを接続してログインします。どちらのシャーシにコンソールを接続しても、表示されるのはマスター(VCSグループ)のコンソール画面となります。

  2. enableコマンドを実行して、特権EXECモードに移行します。
    awplus> enable
    awplus# 
    

  3. hostnameコマンドでVCSグループとしてのホスト名を設定し、VCSグループを識別しやすくします。
    awplus# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    awplus(config)# hostname vcg
    

  4. ID=1のシャーシをマスターにするため、スイッチAのプライオリティーを初期値の128より小さく設定します。ここでは例として64にします。これには、グローバルコンフィグモードのstack priorityコマンドを使います。このコマンドでは対象メンバーをIDで指定するため、ここではスイッチAのIDである1を指定しています。
    vcg(config)# stack 1 priority 64
    

  5. 同一ネットワーク上に複数のVCSグループが存在するときは、stack virtual-chassis-idコマンドで、バーチャルMACアドレスの下位12ビットとして使用されるバーチャルシャーシIDを設定します。
    vcg(config)# stack virtual-chassis-id 127
    
    Note
    同一ネットワーク上に複数のVCSグループが存在するときは、該当するVCSグループ間でバーチャルシャーシID(stack virtual-chassis-id)が重複しないよう注意して設定してください。バーチャルシャーシIDは、stack enableコマンド実行時のメッセージで表示されるほか、show stackコマンドをdetailオプション付きで実行したときに表示される「Virtual Chassis ID」欄でも確認できます。

    Note
    バーチャルMACアドレス機能は、stack enableコマンドでVCS機能を有効化すると自動的に有効化されます。stack virtual-macコマンドをno形式で実行することにより無効化もできますが、VCS使用時は必ずバーチャルMACアドレス機能を有効にした状態で運用してください。無効状態での運用はサポート対象外となります。

  6. VCS管理用VLANとサブネットアドレスの確認をし、必要に応じて変更します。運用ネットワークの設計資料を参照して、以下の2点を確認してください。


  7. ここまでに行ったVCSグループに対する初期設定内容をshow running-configコマンドで確認した上でスタートアップコンフィグに保存し、reloadコマンドかrebootコマンドでVCSグループを再起動します。
    vcg(config)# end
    vcg# show running-config
    ...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
    vcg# copy running-config startup-config
    vcg# reload
    Are you sure you want to reboot the whole stack? (y/n): y 
    

  8. コントロールファブリックカード上のCFC LEDでVCSグループの再起動が完了したことを確認します。

    CFC LEDが緑に点灯しているコントロールファブリックカードがアクティブ、橙に点灯しているコントロールファブリックカードがスタンバイで、アクティブのコントロールファブリックカードが存在するシャーシがマスターとなります。

    ここまでの操作により、VCSグループ内の役割分担は次のようになったはずです。


これでVCSグループとしての初期設定は完了です。

VCSグループの運用設定と運用開始

スタックメンバーの初期設定が完了したら、運用ネットワークのための設定に入ります。VCSグループを仮想的な1台のシャーシと見なして、通常どおりネットワークの設定を行ってください。設定が完了したらスタートアップコンフィグに保存してください。
  1. いずれかのシャーシにコンソールを接続してログインします。どちらのシャーシにコンソールを接続しても、表示されるのはマスター(VCSグループ)のコンソール画面となります。

    ログインしたら、単独のシャーシを設定するときと同じようにネットワーク構成に応じたインターフェースやプロトコルの設定を行ってください。

    設定コマンドでスイッチポート番号を指定するときは、「portX.Y.Z」の形式で指定します。


  2. 設定内容を確認し、スタートアップコンフィグに保存します。
    vcg(config)# end
    vcg# show running-config
    ...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
    vcg# copy running-config startup-config
    

  3. これで運用前の設定は完了です。各シャーシのポートを実ネットワークに接続し、運用を開始してください。VCSグループとしての動作状況は、スタンドアローン時にも使用する各種コマンドで確認できるほか、SNMPやログ、LEDなどでも確認可能です。

ナビゲーション

■ VCS導入後の日常作業の基本手順については、第3部 運用編をご覧ください。


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