運用・管理 / MODBUS


MODBUSの概要
本製品の仕様
基本設定
レジスターマッピング
製品(部品)種別
センサー種別
センサー単位
アラーム種別
アラーム設定
ポート動作状態・設定状態
ポートPoE給電状態


MODBUSは、工場、インフラなどのオートメーションシステム(*) において、監視用端末が制御装置、測定機器、センサーなどの産業用電子機器から情報を収集したり、それらの機器に指示を出したりするために用いられる産業用通信プロトコルです。
(*) このような監視・制御システムをSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)システムと呼びます。MODBUS関連コマンドのキーワード「scada」はこれに由来しています。

本製品はMODBUS TCPのサーバー機能(監視・制御される側の機能)をサポートしているため、産業用ネットワークに組み込んで、監視用端末からスイッチポートの情報を取得したり、設定を変更したりすることができます。
Note
本機能を使用するにはライセンスが必要です。

MODBUSの概要

MODBUSは、クライアント(監視用端末。マスターともいう)がサーバー(産業用電子機器。スレーブともいう)に要求(コマンド)を送り、サーバーがこれに応じた動作を行ってクライアントに応答を返す、シンプルなリクエスト・レスポンス型のプロトコルです。MODBUSにおいて動作を開始できるのはつねにクライアント(マスター)であり、サーバー(スレーブ)はクライアントから要求を受けたときだけ動作を行います。

MODBUSプロトコルには、シリアル回線用のMODBUS RTU、MODBUS ASCIIと、TCP/IPネットワーク上で使用するためのMODBUS TCPがあります。本製品がサポートしているのはMODBUS TCPです。

本製品の仕様


基本設定

初期状態ではMODBUS TCPサーバー機能は無効です。
また、MODBUSサーバー機能を利用するためには、MODBUSクライアントから接続可能なIPアドレスを本製品に設定しておく必要があります。以下の説明では、本製品のIPアドレスは設定済みであると仮定しています。
  1. MODBUS TCPサーバーを有効にするには、scada modbus tcp serverコマンドを実行します。
    awplus(config)# scada modbus tcp server
    

  2. MODBUSには認証機能がないため、初期状態では本製品に到達できるすべてのホストが本製品のMODBUS TCPサーバーに接続してコマンドを発行できます。
    MODBUS TCPサーバーへの接続を指定したIPv4/IPv6アドレスからだけに限定するには、scada modbus tcp server access permitコマンドを使います。
    awplus(config)# scada modbus tcp server access permit 192.168.10.3
    

  3. MODBUS TCPサーバーを有効にしても、初期状態では情報の読み出しのみが可能で、書き込み(設定値や状態の変更)はできません。
    書き込みが必要な場合は、scada modbus tcp server accessコマンドでread-writeを指定してください。
    awplus(config)# scada modbus tcp server access read-write
    
    Note
    書き込みを許可した場合はMODBUSクライアントから本製品の設定変更が可能になりますので、手順2で述べたscada modbus tcp server access permitコマンドやその他のトラフィック制御機能を利用して、クライアントからのアクセスを限定することをおすすめします。

■ MODBUS TCPサーバーは初期設定でポート502番を使います。別のポートを使用するには、scada modbus tcp server portコマンドを実行します。
awplus(config)# scada modbus tcp server port 30502

■ MODBUS TCPサーバーへの同時接続数は初期状態で1つだけに制限されています。同時接続数を変更するには、scada modbus tcp server connectionコマンドを使います。
awplus(config)# scada modbus tcp server connection 5

■ MODBUS TCPサーバーの設定と統計情報はshow scada modbus tcp serverコマンドで確認できます。
awplus# show scada modbus tcp server

■ MODBUS TCPサーバーの統計情報をクリアするにはclear scada modbus tcp server statisticsコマンドで確認できます。
awplus# clear scada modbus tcp server statistics

■ 接続中のクライアントの情報は show scada modbus tcp server connectionsコマンドで確認できます。
awplus# show scada modbus tcp server connections

■ 接続中のクライアントを強制切断するには clear scada modbus tcp server connectionコマンドを使います。
awplus# clear scada modbus tcp server connections 192.168.10.3 51002

レジスターマッピング

本製品のMODBUS TCPサーバーは、下記の表に示すレジスター(情報)をサポートしています。

[表の読み方]
表 1:本製品のMODBUSレジスターマッピング
アドレス(16進)
サイズ
データ型
アクセス権
意味
VCSグループ全体のシステム情報
0x0000 1 ワード UINT R マッピングバージョン
0x0001 32 ワード ASCII R システム名
0x0021 32 ワード ASCII R ソフトウェアバージョン
0x0041 3 ワード HEX R VCSグループのMACアドレス
0x0044 1 ワード HEX R VCSメンバー構成のビットマップ。下位ビットから順にスタックメンバーID=1~8の有無を表す
0x0045 1 ワード UINT R VCSグループ内の合計ポート数
0x0046 1 ワード UINT R VCSグループ内の合計障害(Fault)数
0x0047 1 ワード UINT R VCSグループ内の合計センサー数
0x0048 1 ワード UINT R VCSグループ内の合計アラーム数
スタックメンバーXのシステム情報(メンバーID「X」はUnit IDで指定)
0x0120 1 ワード UINT R スタックメンバーXの合計ボード数
0x0121 1 ワード UINT R スタックメンバーXのポート数
0x0122 1 ワード UINT R スタックメンバーXの障害(Fault)数
0x0123 1 ワード UINT R スタックメンバーXのセンサー数
0x0124 1 ワード UINT R スタックメンバーXのアラーム数
スタックメンバーXの製品(部品)情報(メンバーID「X」はUnit IDで指定)
0x0200 1 ワード ENUM R 製品(部品)#1の種別
0x0201 1 ワード UNIT R 製品(部品)#1のスロット番号
0x0202 32 ワード ASCII R 製品(部品)#1の名称
0x0222 32 ワード ASCII R 製品(部品)#1のシリアル番号
0x0242 3 ワード HEX R 製品(部品)#1のMACアドレス
0x0245 1 ワード ENUM R 製品(部品)#2の種別
... これ以降、製品(部品)#2~32までの情報が続く
0x0A9D 3 ワード HEX R 製品(部品)#32のMACアドレス
スタックメンバーXのセンサー情報(メンバーID「X」はUnit IDで指定)
0x1000 1 ワード ENUM R センサー#1の種別
0x1001 2 ワード FLOAT R センサー#1の読み取り値
0x1003 1 ワード ENUM R センサー#1の単位
0x1004 1 ワード UINT R センサー#1の障害(Fault)ステータス
0x1005 1 ワード ENUM R センサー#2の種別
... これ以降、センサー#2~128までの情報が続く
0x127B 1 ワード ENUM R センサー#128の種別
0x127C 2 ワード FLOAT R センサー#128の読み取り値
0x127E 1 ワード ENUM R センサー#128の単位
0x127F 1 ワード UINT R センサー#128の障害(Fault)ステータス
スタックメンバーXのアラームモニタリング情報(メンバーID「X」はUnit IDで指定)
0x3000 1 ワード ENUM R アラーム#1の種別
0x3001 1 ワード HEX R/W アラーム#1の設定
0x3002 1 ワード BOOL R アラーム#1の状態
0x0000=クリア
0xFFFF=セット
0x3003 1 ワード ENUM R アラーム#2の種別
... これ以降、アラーム#2~128までの情報が続く
0x317D 1 ワード ENUM R アラーム#128の種別
0x317E 1 ワード HEX R/W アラーム#128の設定
0x317F 1 ワード BOOL R アラーム#128の状態
スタックメンバーXのポート情報(メンバーID「X」はUnit IDで指定)
0x5000 1 ワード HEX R ポート#1の動作状態
0x5001 1 ワード HEX R/W ポート#1の設定状態
0x5002 1 ワード HEX R/W ポート#1のPoE給電状態
0x5003 1 ワード UINT R ポート#1の信号線(1,2,3,6)におけるPoE出力電力(mW)
0x5004 1 ワード UINT R ポート#1の予備線(4,5,7,8)におけるPoE出力電力(mW)
0x5005 4 ワード UINT R ポート#1の受信バイト数
0x5009 4 ワード UINT R ポート#1の送信バイト数
0x500D 1 ワード HEX R ポート#2の動作状態
... これ以降、ポート#2~400までの情報が続く
0x6443 1 ワード HEX R ポート#400の動作状態
0x6444 1 ワード HEX R/W ポート#400の設定状態
0x6445 1 ワード HEX R/W ポート#400のPoE給電状態
0x6446 1 ワード UINT R ポート#400の信号線(1,2,3,6)におけるPoE出力電力(mW)
0x6447 1 ワード UINT R ポート#400の予備線(4,5,7,8)におけるPoE出力電力(mW)
0x6448 4 ワード UINT R ポート#400の受信バイト数
0x644C 4 ワード UINT R ポート#400の送信バイト数
未使用領域
0x6450 - - - これ以降は未使用

製品(部品)種別

製品(部品)種別(ENUM型)の定義は次のとおりです。
  1. 本体
  2. 拡張モジュール
  3. 電源ユニット
  4. ファンモジュール
  5. シャーシのバックプレーン
  6. 拡張モジュールのサブボード

センサー種別

センサー種別(ENUM型)の定義は次のとおりです。
  1. 電圧
  2. 温度
  3. ファン回転数
  4. 電流
  5. 電力
  6. 存在有無
  7. 給電有無
  8. 入力有無
  9. 外部アラーム入力端子の状態
  10. 外部アラーム出力端子の状態
  11. FAULT LEDの点灯状態

センサー単位

センサー単位(ENUM型)の定義は次のとおりです。
  1. V(ボルト)
  2. ℃(摂氏温度)
  3. RPM(1分間あたり回転数)
  4. A(アンペア)
  5. W(ワット)

アラーム種別

アラーム種別(ENUM型)の定義は次のとおりです。
  1. 外部電源ユニット
  2. EPSR
  3. 外部アラーム入力端子
  4. ポートのリンクダウン
  5. ループ検出
  6. PoE電源ユニット障害
  7. PoEポート障害
  8. 温度
  9. G.8032
  10. UFO

アラーム設定

アラーム設定(HEX型)の定義は次のとおりです。

ポート動作状態・設定状態

ポート動作状態と設定状態(HEX型)の定義は次のとおりです。

ポートPoE給電状態

ポートPoE給電状態(HEX型)の定義は次のとおりです。


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