インターフェース / Power over Ethernet
本製品のPoE(Power over Ethernet)給電機能について説明します。
GS980EMシリーズにおいて、PoE給電機能に対応しているのは下記の製品です。本解説編における「本製品」はこれらのPoE対応製品を指します。
PoE(Power over Ethernet)は、UTPケーブルを使って、データと電力を同時に伝送する技術です。PoEの規格(IEEE 802.3af、IEEE 802.3at、IEEE 802.3bt)では、電力を供給する側を「給電機器(PSE: Power Sourcing Equipment)」、電力の供給を受ける側を「受電機器(PD: Powered Device)」と呼びます。
本製品のPoE仕様
AT-GS980EM/10HのPoE給電仕様
AT-GS980EM/10Hは、PoE規格に準拠した給電機器として、1ポートあたり最大90Wの電力供給が可能です。
装置全体の最大供給電力は、使用する電源の数によって下記のとおり異なります。
- AC電源×1 使用時:240W
- AC電源×2 使用時:480W
- AC電源×3 使用時:720W
各ポートへの電力割り当ては、受電機器の電力クラスに基づいて行います。
PoE給電機能に対応しているのは、本体内蔵の10/100/1000BASE-T PoEポート1~8です。
PoE利用時は、意図せずに給電優先度の高いPoE受電機器がダウンしないように、あらかじめpower-inline priorityコマンドで優先的に電力を提供するポートを設定してください。
給電優先度の詳細については「給電時の優先順位」をご参照ください。
また、複数の電源を使用する場合は「電源冗長構成における電源ダウン時のPoEポート給電停止」をご参照の上、各ポートの給電優先度を適切に設定してください。
AT-GS980EM/11PTのPoE受電仕様
AT-GS980EM/11PTでは、電源供給の仕方が以下の二通りあります。
- ACアダプター + DC電源ケーブルからの電源供給
- 10/100/1000BASE-T PoE-INポートによる給電機器からの電源供給
上記のうち 「10/100/1000BASE-T PoE-INポートによる給電機器からの電源供給」では、AT-x320-10GHまたはAT-GS980EM/10HからのPoE受電が可能です。
AT-GS980EM/11PTをPoE受電で駆動する場合は、以下の点にご注意ください。
10/100/1000BASE-T PoE-INポートによるPoE受電動作開始時に、PoE給電機能が有効の10/100/1000BASE-T PoEポートに、給電機器を接続しないでください。
PoE受電動作開始時とは、以下の状態を示します。
- Non-Stop PoE機能が無効状態の給電機器を再起動したとき
- 本製品と給電機器をつなぐケーブルを接続したとき
給電機器からの受電が完了し、本製品のステータスLEDのPOWER(緑)が点灯したのを確認してから、給電機器を接続してください。ただし、接続ポートのPoE給電機能は無効に設定してください。
PoE給電機能の設定については、「PoE給電機能のオン・オフ」をご覧ください。
受け取った電力を使い、本体の駆動と、残った電力で10/100/1000BASE-T PoEポートからPoE受電機器に給電を行うPoEパススルー機能にも対応しています。
本機能により、電源工事が難しい場所へのスイッチの導入と、PoEデバイスへの給電の両方を実現します。
PoE受電機器へのPoE給電の仕様については、以降の説明をご覧ください。
AT-GS980EM/11PTの10/100/1000BASE-T PoEポートに給電機器やPoE非対応の機器を接続する場合は、該当ポートのPoE給電機能を無効にしてから接続してください。
また、電源供給方法の詳細については、GS980EMシリーズの取扱説明書をご覧ください。
AT-GS980EM/11PTのPoE給電仕様
AT-GS980EM/11PTはPoE規格に準拠した給電機器として、1ポートあたり最大30Wの電力供給が可能です。
装置全体の最大供給電力は、電源供給の方法や10/100/1000BASE-T PoE-INポートでのPoE受電の電力によって下記のとおり異なります。
- ACアダプター使用時 :62W
- クラス8給電機器によるPoE受電時:46.2W
PoE給電機能に対応しているのは、本体内蔵の10/100/1000BASE-T PoEポート1~8です。
PoE利用時は、意図せずに給電優先度の高いPoE受電機器がダウンしないように、あらかじめpower-inline priorityコマンドで優先的に電力を提供するポートを設定してください。
給電優先度の詳細については「給電時の優先順位」をご参照ください。
PoE給電機能のオン・オフ
初期状態では、すべてのPoEポートでPoE給電機能が有効になっており、接続された受電機器(PD)の検出、電力クラスの識別を自動的に行い、必要に応じて給電を開始します。
接続されている機器が受電機器ではなく通常のEthernet機器だった場合は、給電を行わず通常のEthernetポートとして動作します。
本製品を給電機器(PSE)とカスケード接続する場合は、本製品のカスケードポートのPoE給電機能を無効に設定してください(power-inline enableコマンドをno形式で実行する)。
AT-GS980EM/11PTの10/100/1000BASE-T PoEポートに給電機器やPoE非対応の機器を接続する場合は、該当ポートのPoE給電機能を無効にしてから接続してください。
■ 指定したポートでPoE給電機能を無効にするには、該当ポートを対象とするインターフェースモードにおいて、power-inline enableコマンドをno形式で実行します。
awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.4 ↓
awplus(config-if)# no power-inline enable ↓
■ 指定したポートでPoE給電機能を再度有効にするには、power-inline enableコマンドを通常形式で実行します。
awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.4 ↓
awplus(config-if)# power-inline enable ↓
AT-GS980EM/10H:ポートへの電力の割り当て
AT-GS980EM/10Hは、受電機器の電力クラス、または手動設定した上限値にもとづき、システム全体の最大供給電力から一定の電力を特定のポート用に確保する(割り当てる)という制御を行います。
電力クラスによる電力割り当て
AT-GS980EM/10HはPoEポートに接続された受電機器の電力クラスを自動的に識別し、電力クラスに応じた電力を該当ポート用に割り当てます。
たとえば、PoEポートで検出された受電機器がクラス1だった場合、AT-GS980EM/10Hは、この受電機器が実際に使用する電力量に関係なく、4W分の電力を該当ポートに割り当てます。これは、最大4Wまでの出力に対応できるよう、装置全体の最大供給電力のうち4W分を該当ポート用に確保するという意味です。
同様に、接続された受電機器がクラス2の場合は7W、クラス3の場合は15.4W、クラス4の場合は30Wの電力を確保します。
仮に63Wの出力で充分なクラス8受電機器を接続した場合でも、接続ポート用に90W分の電力が確保されるため、クラス8受電機器は2ポート(AC電源ユニット×1)、または5ポート(AC電源ユニット×2)までしか同時給電できません。クラス8受電機器をこのポート数より多く接続した場合は、次項「給電時の優先順位」で述べる方法にしたがって優先順位の低いポートへの給電が停止されます。
IEEE 802.3bt で規定されている電力クラス分けと、本製品が同時に給電可能なポートの最大数については、下表をご覧ください。
表 1
クラス |
受電機器の電力(最大) |
給電機器の電力 |
同時に給電可能なポートの最大数 |
AC電源×1個 (240W) |
AC電源×2個 (480W) |
AC電源×3個 (700W) |
0 |
13.0 W |
15.4 W |
8 |
8 |
8 |
1 |
3.84 W |
4.0 W |
8 |
8 |
8 |
2 |
6.49 W |
7.0 W |
8 |
8 |
8 |
3 |
13.0 W |
15.4 W |
8 |
8 |
8 |
4 |
25.5 W |
30.0W |
8 |
8 |
8 |
5 |
40.0W |
45.0W |
5 |
8 |
8 |
6 |
51.0W |
60.0W |
4 |
8 |
8 |
7 |
62.0W |
75.0W |
3 |
6 |
8 |
8 |
71.3W |
90.0W |
2 |
5 |
8 |
電力クラスは、show power-inlineコマンドやshow power-inline interfaceコマンドで確認できます(Class欄やPowered device class欄)。
オートクラス機能による電力割り当て
オートクラス機能は、受電機器(PD)の接続時に実際の電力使用量を計測し、計測された分の電力をポートに割り当てる機能です。
前述した「電力クラスにもとづく電力割り当て」よりもきめ細やかな電力配分が可能ですが、PD側もオートクラスをサポートしている必要があります。
オートクラス機能はpower-inline autoclassコマンドを使ってPoEポート単位で有効・無効を設定します。初期設定は無効です。
awplus(config)# interface port1.0.1 ↓
awplus(config-if)# power-inline autoclass ↓
オートクラス機能が有効なポートでは、PD接続時にPDがオートクラスをサポートしているかどうかチェックします。
- PDがオートクラスをサポートしている場合は、決められた手順にしたがいPDの使用電力を計測し、その結果を該当ポートの出力電力上限値としてセットします。
この場合、show power-inlineコマンドのMax欄には[A]と表示されます。
Interface/ Admin Pri Oper Power Device Class Max
Pair (mW) (mW)
port1.0.1/D Enabled Low Powered 70770 n/a 8 70792 [A]
- PDがオートクラスをサポートしていない場合は、オートクラス機能が無効な場合と同様、PDの電力クラスにもとづいてポートに電力を割り当てます。
この場合、show power-inlineコマンドのMax欄には[C]と表示されます。
Interface/ Admin Pri Oper Power Device Class Max
Pair (mW) (mW)
port1.0.1/D Enabled Low Powered 83168 n/a 8 95580 [C]
AT-GS980EM/10H:給電時の優先順位
PoE電源の電力使用量が装置全体の最大供給電力を上回った場合は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。優先順位は次のようにして決定されます。
- ポートの給電優先度(power-inline priorityコマンドで設定)。critical(最高)、high(高)、low(低)の3段階。
- 給電優先度の同じポート間では、ポート番号の小さいほうが優先順位が高くなる。
PoEポートからの出力電力が受電機器の電力クラスで規定された上限値(クラス1:4W、クラス2:7W、クラス3:15.4W、クラス4:30W、クラス5:45W、クラス6:60W、クラス7:75W、クラス8:90W)、オートクラス機能によって実測されたPDの使用電力上限値、あるいは、power-inline maxコマンドで設定した「ポートからの出力電力の上限」を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電を停止します。
また、複数の電源を使用している環境で一部の電源がダウンした場合には、AT-GS980EM/11PT自身の動作に必要な電力を確保するため、給電優先度が低いPoEポートへの給電をいったん停止します。詳しくは「電源冗長構成における電源ダウン時のPoEポート給電停止」をご覧ください。
初期状態では、すべてのPoEポートで給電優先度がlowに設定されています。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(ポート1が優先順位最高)
■ ポートの給電優先度を変更するには、power-inline priorityコマンドを使います。
awplus(config)# interface port1.0.2 ↓
awplus(config-if)# power-inline priority critical ↓
AT-GS980EM/10H:電源冗長構成における電源ダウン時のPoEポート給電停止
AT-GS980EM/10HにはAC電源を最大3個接続できますが、複数の電源を使用中に一部の電源がダウンして利用可能な電源数が減少した場合は、AT-GS980EM/10H自身の動作に必要な電力を確保するため、給電優先度(power-inline priority)が低いPoEポートへの給電をいったん停止します。
この動作が行われるのは次の場合です。
当初の電源数 |
電源数の変化 |
給電停止動作 |
備考 |
3個 |
3個 → 2個 |
給電優先度がlow(低)のポートへの給電を停止 |
high(高)、critical(最高)ポートへの給電は継続されますが、電源数減少により最大供給電力が720Wから480Wに減少するため、high/criticalポートに接続された受電機器の電力需要がこれを上回る場合は、「給電時の優先順位」により優先順位の低いポートの給電が停止される可能性があります |
2個 |
2個 → 1個 |
給電優先度がlow(低)およびhigh(高)のポートへの給電を停止 |
critical(最高)ポートへの給電は継続されますが、電源数減少により最大供給電力が480Wから240Wに減少するため、criticalポートに接続された受電機器の電力需要がこれを上回る場合は、「給電時の優先順位」により優先順位の低いポートの給電が停止される可能性があります |
本動作は、電源数が減少したときに受電機器が実際に必要としている電力量とは関係なく、純粋にポートの給電優先度にもとづいて行われます。
電力使用量が安定して余剰電力が明確になると、給電は再開されます。
本動作による給電停止が望ましくない場合は、power-inline priorityコマンドでPoEポートの給電優先度をcritical(最高)に設定してください。
なお、すべてのPoEポートをcriticalに設定すれば電源ダウン時の給電停止動作は行われなくなりますが、その場合でもcriticalポートに接続された受電機器の電力需要が残存電源によって供給可能な電力を上回る場合は、「給電時の優先順位」にもとづいて優先順位の低いポート(この場合優先度は同じため、ポート番号の大きいポート)の給電が停止される可能性があります。
AT-GS980EM/10H:ポートからの出力電力の上限
power-inline maxコマンド を使用すると、ポートごとに最大出力電力を任意に設定することができます。
給電中のポートにおいて、なんらかの理由で出力電力が上限値を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電が停止されます。
初期状態では、すべてのPoEポートで上限値が未設定です。未設定時は、接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力、または、オートクラス機能によって実測されたPDの使用電力が上限となります。
たとえば、電力クラスにもとづいて電力が割り当てられたポートの場合、ポートからの出力電力が、クラス1 受電機器の場合4W、クラス2 受電機器の場合7W、クラス3 受電機器の場合15.4W、クラス4 受電機器の場合30W、クラス5の場合45W、クラス6の場合60W、クラス7 の場合75W、クラス8の場合90W を超えると、該当ポートへの給電が停止されます。
power-inline maxコマンド設定時は、接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力、または、オートクラス機能によって実測されたPDの使用電力よりも小さい値を設定している場合、設定された上限値を超えると給電を停止します。
■ ポート1.0.1からの出力電力を6000mW(6W)までに制限するには次のようにします。
awplus(config)# interface port1.0.1 ↓
awplus(config-if)# power-inline max 6000 ↓
この場合、show power-inlineコマンドのMax欄には[U]と表示されます。
Interface/ Admin Pri Oper Power Device Class Max
Pair (mW) (mW)
port1.0.1/D Enabled Low Powered 5200 n/a 2 6000 [U]
AT-GS980EM/11PT:電力配分方法
AT-GS980EM/11PTでは、受電機器が接続されたポートに対して、受電機器が必要とする分だけ電力を供給するという電力配分方法を採用しています。
システム全体の供給電力に余裕があるかぎり、新たに接続された受電機器への給電を開始する仕様で、ポートへの出力電力は、受電機器の実際の電力使用量にもとづいて決まります。
受電機器が必要とする分だけ電力を供給するため、PoE 電源の電力を無駄なく割り振ることができますが、不意の給電停止を避けるため、ケーブルでの内部損失分や受電機器の電力使用量の変動を考慮して、電力配分の見積もりを行う必要があります。
AT-GS980EM/11PT:給電時の優先順位
PoE電源の電力使用量が装置全体の最大供給電力を上回った場合は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。優先順位は次のようにして決定されます。
- ポートの給電優先度(power-inline priorityコマンドで設定)。critical(最高)、high(高)、low(低)の3段階。
- 給電優先度の同じポート間では、ポート番号の小さいほうが優先順位が高くなる。
初期状態では、すべてのPoEポートで給電優先度がlowに設定されています。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(ポート1が優先順位最高)
■ ポートの給電優先度を変更するには、power-inline priorityコマンドを使います。
awplus(config)# interface port1.0.2 ↓
awplus(config-if)# power-inline priority critical ↓
AT-GS980EM/11PT:ポートからの出力電力の上限
power-inline maxコマンド を使用すると、ポートごとに最大出力電力を任意に設定することができます。
給電中のポートにおいて、なんらかの理由で出力電力が上限値を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電が停止されます。
初期状態では、すべてのPoEポートで上限値が未設定です。未設定時は、接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力、または、オートクラス機能によって実測されたPDの使用電力が上限となります。
たとえば、電力クラスにもとづいて電力が割り当てられたポートの場合、ポートからの出力電力が、クラス1受電機器の場合4W、クラス2受電機器の場合7W、クラス3受電機器の場合15.4W、クラス4受電機器の場合30Wを超えると、該当ポートへの給電が停止されます。
power-inline maxコマンド設定時は、接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力、または、オートクラス機能によって実測されたPDの使用電力よりも小さい値を設定している場合、設定された上限値を超えると給電を停止します。
■ ポート1.0.1からの出力電力を6000mW(6W)までに制限するには次のようにします。
awplus(config)# interface port1.0.1 ↓
awplus(config-if)# power-inline max 6000 ↓
この場合、show power-inlineコマンドのMax欄には[U]と表示されます。
Interface/ Admin Pri Oper Power Device Class Max
Pair (mW) (mW)
port1.0.1/D Enabled Low Powered 5200 n/a 2 6000 [U]
AT-GS980EM/11PT:給電拒否動作
前述のとおり、AT-GS980EM/11PTはシステム全体の供給電力に余裕があるかぎり、新たに接続された受電機器への給電を開始する仕様ですが、不意の給電停止を避けるため、電力使用量が一定量を超えた場合には、新たに接続された受電機器への給電を拒否するという動作を行います。
最初にこれ以降の説明で使用する用語についてまとめておきます。
用語 |
show power-inlineコマンドの表示項目名 |
解説 |
PoE電源の最大供給電力 |
Nominal Power |
AT-GS980EM/11PTに搭載されているPoE用電源(システム全体)の最大給電電力 |
PoE電源の電力使用量 |
Actual Power Consumption |
AT-GS980EM/11PTに搭載されているPoE用電源(システム全体)の実際の電力使用量 |
PoE電源の余剰電力 |
- |
「PoE電源の最大供給電力」から「PoE電源の電力使用量」を差し引いた値 |
空きポートに新たに受電機器が接続されると、AT-GS980EM/11PTは受電機器の電力クラスを識別し、該当クラスで規定されている最大電力と、受電機器が接続された時点でのPoE電源の余剰電力とを比較して、新たな受電機器への給電を開始するかどうかを判断します。
新たな受電機器接続時に、「該当クラスの電力」が「余剰電力」を上回る場合は受電機器への給電を拒否し、「該当クラスの電力」が「余剰電力」を下回る場合は受電機器への給電を開始します。
「該当クラスの電力」とは次表の「給電機器の電力」のことで、この値とPoE電源の余剰電力とを比較します。
表 4:IEEE 802.3at で規定されている電力クラス分けと、本製品が同時に給電可能なポートの最大数
クラス |
受電機器の電力(最大) |
給電機器の電力 |
同時に給電可能なポートの最大数 |
ACアダプター使用時(62W) |
クラス8給電機器によるPoE受電時(46.2W) |
0 |
13.0 W |
15.4 W |
4 |
3 |
1 |
3.84 W |
4.0 W |
8 |
8 |
2 |
6.49 W |
7.0 W |
8 |
6 |
3 |
13.0 W |
15.4 W |
4 |
3 |
4 |
25.5 W |
30.0W |
2 |
1 |
AT-GS980EM/11PTでは受電機器のクラス0 はクラス3 と同等に扱われますので、以降の説明ではクラス0 の表記は省略します。
電力クラスは、show power-inlineコマンドやshow power-inline interfaceコマンドで確認できます(Class欄やPowered device class欄)。
PoE 電源の余剰電力に対して、新たに接続された受電機器への給電が拒否されるクラスの分類は以下のとおりです。
PoE 電源の余剰電力 |
新たに接続された受電機器への給電可否 |
15.4W 以上30W未満 |
クラス4 受電機器への給電拒否(クラス1 ~ 3 は給電可) |
7W 以上15.4W未満 |
クラス3 ~ 4 受電機器への給電拒否(クラス1 ~ 2は給電可) |
4W 以上7W 未満 |
クラス2 ~ 4 受電機器への給電拒否(クラス1 は給電可) |
4W 未満 |
全クラスの受電機器への給電拒否 |
電力使用量は常に一定ではないため、実環境においてしきい値は多少増減する可能性があります。
たとえば、最大供給電力が62W(ACアダプター使用時)のAT-GS980EM/11PTにおいて、PoE電源の電力使用量が 52W だった場合、余剰電力は 10W となります。この状態で、新たにクラス3 受電機器を接続した場合、クラス3 = 15.4W > 10W となり、実際の電力使用量が 10W 未満であっても、給電は開始されません。同じ条件でクラス1 ~ 2 の受電機器を接続した場合は、給電が行われます。
なお、接続ポートに「ポートからの出力電力の上限」が設定されている場合は、給電可否の判断には受電機器の該当クラスではなく、設定値が使用されます。たとえば、余剰電力が10Wの状態で、新たな受電機器の接続ポートに 8W の上限値が設定されている場合は、8W < 10Wとなるため、給電が開始されます。ただし、受電機器が必要とする電力が設定値を上回れば、該当ポートへの給電は停止されます。
その他
■ PoE電源の電力使用量を監視するため、ログメッセージの出力、および、SNMPトラップ送信のしきい値を設定することができます。これには、power-inline usage-thresholdコマンドを使います。しきい値は、装置全体の最大供給電力に対する割合(%)で指定します。初期設定は80%です。
awplus(config)# power-inline usage-threshold 90 ↓
PoE電源の電力使用量がしきい値を下から上、あるいは、上から下にまたぐと、ログメッセージが出力されます。また、SNMPトラップの設定がなされている場合はSNMPトラップメッセージも送信されます。
SNMPトラップの設定については、「運用・管理」の「SNMP」をご覧ください。
■ PoE給電機能の各種情報を確認するには、show power-inlineコマンド、show power-inline countersコマンド、show power-inline interfaceコマンドを使います。
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