L2スイッチング / VXLAN


概要
仕様など
VXLANと他機能の併用について
基本設定
前提事項
VTEP-A(スイッチA)の設定
VTEP-B(スイッチB)の設定


概要

VXLANは、レイヤー2フレームをカプセル化することにより、L3ネットワーク上に論理的なL2ネットワークを構築するトンネリングプロトコルです。
Note
本機能を使用するにはライセンスが必要です。
ライセンスのインストール方法については「運用・管理」/「システム」の「ライセンスキーのインストール」をご参照ください。
Note
x530Lはサポート対象外です。

この論理的なL2ネットワークを「オーバーレイネットワーク」と呼びます。
物理的なL3ネットワークを「アンダーレイネットワーク」と呼びます。

オーバーレイネットワークにまたがる各VLANは、24ビットの仮想ネットワーク識別子(VNI)番号にマッピングされます。

VXLANのオーバーレイネットワークのことをVXLANトンネルと呼びます。
VXLANトンネルは2つのVTEP(VXLAN Tunnel End Point)と呼ばれるエンドポイントデバイス経由で通信を行います。
送信側のVTEPでイーサネットフレームにVNIのタグ付加し、フレームをカプセル化し、もうひとつのVTEPへと転送します。
転送先のVTEPのことを「リモートVTEP」と呼びます。

仕様など

次に、VXLANの基本的な動作について説明します。

拠点Aから拠点Bへ通信を行う場合、VTEP-Aではイーサネットフレームを受信すると、まずFDBテーブルを調査します。
宛先のMACアドレスが自装置のポートではなくVXLANトンネルの先にあることを確認すると、フレームにVNIタグを付加し、パケットをカプセル化します。
フレームのVLANタグにマッピングされたVNIでFDBを再調査し、パケットを転送するVTEP(リモートVTEP)を決定します。
パケットを受け取ったVTEPではVNIタグを解除し、イーサネットフレームを取得すると、宛先ホストに転送します。
Note
ブロードキャスト/マルチキャスト/未学習のユニキャストパケットの場合、初期設定ではすべてのVTEPに転送します。
ブロードキャスト/マルチキャスト/未学習のユニキャストパケットを特定のVTEPにのみ転送したい場合は、flood-listコマンドとmap-access vlan vniコマンドで設定してください。
Note
VXLAN使用時は、show vxlanコマンドで表示される Hardware Virtual Port Usage の値が 896 を超えないようにしてください。
Hardware Virtual Port UsageはリモートVTEPの数とVNIにマッピングされたVLANの数、VXLANトンネル用のネクストホップ数に応じて増加するため、上限を超えた場合はこれらの設定要素の数を減らしてください。

VXLANと他機能の併用について

VXLANと他の機能の併用については、以下の通りです。


基本設定

VXLANの基本設定について説明します。
ここでは次のような構成を例に各スイッチの設定方法を説明します。


前提事項


VTEP-A(スイッチA)の設定


1. VXLANではVNIタグが付加されてフレームサイズが1522バイトを超える可能性があるため、ジャンボフレームの転送機能を有効にします。
ジャンボフレームの設定はplatform jumboframeコマンドで行います。
awplus(config)# platform jumboframe
Note
platform jumboframeコマンドの実行後は、設定をスタートアップコンフィグに保存して、再起動してください。

2. VXLAN機能を使用するためのハードウェアを構成します。
ハードウェアの設定にはplatform acls-to-vlanclassifiersコマンドとplatform inter-chip-header 4-wordコマンドを使用します。

awplus(config)# platform acls-to-vlanclassifiers half-and-half tunnel-support
awplus(config)# platform inter-chip-header 4-word

3. VXLANモードに移行して、VXLANパケットの送信元としてループバックインターフェース(lo)を指定します。
VXLANモードに移行にはnvo vxlanコマンド、VXLANパケットの送信元アドレスの設定はsource-interfaceコマンドを使用します。
Note
VXLANパケットの送信元アドレスとして使用できるのはループバックインターフェース(lo)アドレスのみです。
awplus(config)# nvo vxlan
awplus(config-vxlan)# source-interface lo

4. リモートVTEP「VTEP-B」を構成し、リモートVTEPのIPv4アドレス「2.2.2.2」を指定します。
リモートVTEPの設定はremote-vtepコマンドを使用します。
awplus(config-vxlan)# remote-vtep VTEP-B 2.2.2.2

5. VXLAN用VLANにVNIを紐づけます。
ここでは「vlan100」とVNI「vni1000」のマッピングを作成します。
VLANとVNIのマッピングはmap-access vlan vniコマンドを使用します。
awplus(config-vxlan)# map-access vlan 100 vni 1000
awplus(config-vxlan)# exit

6. VXLAN用VLAN「vlan100」でIGMP SnoopingとMLD Snoopingを無効にします。
IGMP Snoopingを無効にするには、ip igmp snoopingコマンドをno形式で実行します。
また、MLD Snoopingを無効にするには、ipv6 mld snoopingコマンドをno形式で実行します。
awplus(config)# interface vlan100
awplus(config-if)# no ip igmp snooping
awplus(config-if)# no ipv6 mld snooping
awplus(config-if)# exit

7. VXLANパケットの送受信を行うインターフェースのMTUを1550以上に設定します。
MTUの設定はmtuコマンドを使用します。
Note
VTEP-A・VTEP-B間(1.1.1.1・2.2.2.2間)の通信を中継する可能性がある機器の中継ポートすべてに対しても、VTEPに設定したのと同じかそれ以上のMTUを設定してください。
中継機器がAW+製品の場合は、mtuコマンドでMTUを設定するとともに、platform jumboframeコマンドかmruコマンドでジャンボフレームの転送機能を有効にしてください(mruコマンドでサイズを指定するタイプの製品では、MTUと同じかそれ以上の値を指定してください)。
awplus(config)# interface vlan100
awplus(config-if)# mtu 1550

設定は以上です。

VTEP-B(スイッチB)の設定


1. VXLANではVNIタグが付加されてフレームサイズが1522バイトを超える可能性があるため、ジャンボフレームの転送機能を有効にします。
ジャンボフレームの設定はplatform jumboframeコマンドで行います。
awplus(config)# platform jumboframe
Note
platform jumboframeコマンドの実行後は、設定をスタートアップコンフィグに保存して、再起動してください。

2. VXLAN機能を使用するためのハードウェアを構成します。
ハードウェアの設定にはplatform acls-to-vlanclassifiersコマンドとplatform inter-chip-header 4-wordコマンドを使用します。

awplus(config)# platform acls-to-vlanclassifiers half-and-half tunnel-support
awplus(config)# platform inter-chip-header 4-word

3. VXLANモードに移行して、VXLANパケットの送信元としてループバックインターフェース(lo)を指定します。
VXLANモードに移行にはnvo vxlanコマンド、VXLANパケットの送信元アドレスの設定はsource-interfaceコマンドを使用します。
Note
VXLANパケットの送信元アドレスとして使用できるのはループバックインターフェース(lo)アドレスのみです。
awplus(config)# nvo vxlan
awplus(config-vxlan)# source-interface lo

4. リモートVTEP「VTEP-A」を構成し、リモートVTEPのIPv4アドレス「1.1.1.1」を指定します。
リモートVTEPの設定はremote-vtepコマンドを使用します。
awplus(config-vxlan)# remote-vtep VTEP-A 1.1.1.1

5. VXLAN用VLANにVNIを紐づけます。
ここでは「vlan100」とVNI「vni1000」のマッピングを作成します。
VLANとVNIのマッピングはmap-access vlan vniコマンドを使用します。
awplus(config-vxlan)# map-access vlan 100 vni 1000
awplus(config-vxlan)# exit

6. VXLAN用VLAN「vlan100」でIGMP SnoopingとMLD Snoopingを無効にします。
IGMP Snoopingを無効にするには、ip igmp snoopingコマンドをno形式で実行します。
また、MLD Snoopingを無効にするには、ipv6 mld snoopingコマンドをno形式で実行します。
awplus(config)# interface vlan100
awplus(config-if)# no ip igmp snooping
awplus(config-if)# no ipv6 mld snooping
awplus(config-if)# exit

7. VXLANパケットの送受信を行うインターフェースのMTUを1550以上に設定します。
MTUの設定はmtuコマンドを使用します。
Note
VTEP-A・VTEP-B間(1.1.1.1・2.2.2.2間)の通信を中継する可能性がある機器の中継ポートすべてに対しても、VTEPに設定したのと同じかそれ以上のMTUを設定してください。
中継機器がAW+製品の場合は、mtuコマンドでMTUを設定するとともに、platform jumboframeコマンドかmruコマンドでジャンボフレームの転送機能を有効にしてください(mruコマンドでサイズを指定するタイプの製品では、MTUと同じかそれ以上の値を指定してください)。
awplus(config)# interface vlan100
awplus(config-if)# mtu 1550

設定は以上です。


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