インストールガイド / Hyper-V編
Hyper-V上に本製品をセットアップする手順と本製品の基本的な操作方法を説明します。
本解説編では、ホストOSであるWindows、Windows ServerやHyper-V自体のセットアップについては触れていません。また、本製品をHyper-V上で使用する場合の必要動作環境については、「インストールガイド」/「はじめに」の「動作環境」をご覧ください。
本解説編で説明している作業の大部分は、Hyper-VのGUI管理ツールであるHyper-V マネージャーを使って行います。Hyper-V マネージャーからHyper-Vホストに接続する方法、Hyper-V マネージャーの全般的な使用方法などについては、各製品のマニュアル等をご参照ください。
本製品のセットアップ
本製品をHyper-V上にセットアップする大まかな手順は次のとおりです。
- インストール方式の選択
本製品のインストール方式をISOイメージ方式、VHDイメージ方式の2つから選択します。
- イメージファイルの準備
選択したインストール方式に応じて、本製品のISOまたはVHDイメージファイルをHyper-Vホストにダウンロードします。
- 仮想マシンの作成
Hyper-Vホスト上に、本製品を実行するための仮想マシンを作成します。
- 仮想スイッチの設定
Hyper-Vホスト上に仮想スイッチを作成、仮想ネットワークを設定します。
- 仮想マシンの設定
作成した仮想マシンの設定を本製品向けに変更します。
インストール方式の選択
Hyper-V環境では、本製品のインストール方式を次の2つから選択できます。
インストール方式によって使用するイメージファイルや仮想マシンの構成だけでなくファームウェア更新の方法も異なりますので、運用方針にあわせてどちらの方式を使用するかを選択してください。

- ISOイメージ方式
仮想DVDドライブにセットした本製品のISOイメージから起動する方式です。
- 仮想DVDドライブに本製品のISOイメージをセットするとともに、データ保存用の仮想HDD(ハードディスク)をユーザー側で作成します。
- ファームウェアはISOイメージから起動します。
- コンフィグなどのデータは仮想HDD内に自動作成される仮想フラッシュ領域に保存されます。
- ファームウェアの更新は、Hyper-V マネージャー上から仮想DVDドライブにセットするISOイメージを切り替えることで実施します。
- VHDイメージ方式
本製品のVHDイメージをそのまま仮想HDD(ハードディスク)として使用する方式です。
- 本製品のVHDイメージをそのまま仮想HDD(ハードディスク)として使用します。仮想DVDドライブは使用しません。
- ファームウェアはVHDイメージにあらかじめ含まれているファームウェア領域から起動します。
- コンフィグなどのデータはVHDイメージ内にあらかじめ含まれている仮想フラッシュ領域に保存されます。
- ファームウェアの更新は、本製品(AW+)のユーザーインターフェース(CLIまたはGUI)から、フラッシュデバイスに本製品の新しいISOイメージをダウンロードし、software-upgradeコマンドを実行することで行います。
イメージファイルの準備
選択したインストール方式に応じて、本製品のISOまたはVHDイメージファイルをHyper-Vホストにダウンロードまたはコピーしてください。
本製品のイメージファイルは次の形式の名前で配布されます。「X.Y.Z-A.B」の部分にはバージョンが入ります。
仮想マシンの作成
本製品を実行するために必要な仮想マシンをHyper-Vホスト上に作成します。
- スタートメニューなどから「Hyper-V マネージャー」を起動します。
- 「Hyper-V マネージャー」ウィンドウの左ペインに作業中のHyper-Vホスト名(ローカルサーバー名)が表示されていない場合は、次の手順で追加してください。
ローカルサーバー名が表示されている場合は手順3に進んでください。
- 左ペインの「Hyper-Vマネージャー」を右クリックし、コンテキストメニューから「サーバーに接続」を選択します。

- 「コンピューターの選択」ダイアログで「ローカル コンピューター」を選択し「OK」をクリックします。

- 左ペインに表示されているローカルサーバー名を右クリックし、コンテキストメニューから「新規」>「仮想マシン」の順に選択します。

- 「仮想マシンの新規作成ウィザード」の「開始する前に」画面が表示されるので、「次へ」をクリックします。

- 「名前と場所の指定」画面では、「名前」欄に仮想マシンの名前を入力して「次へ」をクリックします。
仮想マシンの格納場所はデフォルトのままでかまいません。

- 「世代の指定」画面では、「第 1 世代」を選択して「次へ」をクリックします。

- 「メモリの割り当て」画面では、「起動メモリ」欄に割り当てるメモリー容量を入力して「次へ」をクリックします(参考:推奨システム要件)。
「この仮想マシンに動的メモリを使用します」はチェックしないでください。

- 「ネットワークの構成」画面では、「接続」欄を「接続しない」にしたまま「次へ」をクリックします。
ネットワークの設定は後ほど行います。

- 「仮想ハード ディスクの接続」画面では、選択したインストール方式によって手順が異なります。
- ISOイメージ方式の場合
「仮想ハード ディスクを作成する」を選択して「名前」を指定し、「サイズ」欄に割り当てる容量を入力して「次へ」をクリックします(参考:推奨システム要件)。
「場所」はデフォルトのままにしてください。

- VHDイメージ方式の場合
「既存の仮想ハード ディスクを使用する」を選択して「参照」ボタンをクリックし、本製品のVHDイメージファイルを指定してから「次へ」をクリックします。

- ISOイメージ方式の場合のみ、「インストール オプション」画面が表示されますので、「ブートCD/DVD-ROM からオペレーティング システムをインストールする」を選択し、「イメージ ファイル (.iso)」欄で本製品のISOイメージファイルを指定して「次へ」をクリックします。
VHDイメージ方式では本画面は表示されません。

- 「仮想マシンの新規作成ウィザードの完了」画面で要約された内容を確認し、問題がなければ「完了」をクリックしてウィザード画面を閉じます。
画面はISOイメージ方式の場合の例です。

- これで仮想マシンの作成は完了です。
作成した仮想マシンが「Hyper-Vマネージャー」の「仮想マシン」ペインに表示されるようになります。

仮想スイッチの設定
次に、仮想スイッチの設定を行います。
- 「Hyper-V マネージャー」の左ペインに表示されているHyper-Vホスト名(ローカルサーバー名)を右クリックし、コンテキストメニューから「仮想スイッチ マネージャー」を選択します。

- 本製品で使用するネットワークアダプターの名前を含む仮想スイッチが左ペインの「仮想スイッチ」に表示されている場合はそれを選択し、下記の設定を変更します。
そうでない場合は「新しい仮想ネットワーク スイッチ」を選択して新しい仮想スイッチを作成し、下記の設定を行ってください。

- 「名前」には適切な仮想スイッチ名を入力します。
- 「接続の種類」では仮想スイッチの接続先として適切なものを選択します。
「外部ネットワーク」を選択した場合は、本製品の仮想マシンを接続するネットワークアダプターをドロップダウンリストから選択してください。
必要な数だけ仮想スイッチの設定が完了したら「OK」をクリックして「仮想スイッチ マネージャー」画面を閉じます。
仮想マシンの設定
作成した仮想マシンの設定を本製品向けに変更します。
- 「仮想マシン」ペインの仮想マシンを右クリックし、コンテキストメニューから「設定」を選択します。

- Hyper-Vの仮想マシンはデフォルトでHyper-Vホストの時刻に自動同期しますが、本製品の仮想マシンが独自に時刻合わせできるよう、自動同期を無効にします。
これには、左ペインの「管理」>「統合サービス」を選択すると表示される「サービス」で「時刻の同期」のチェックを外し、「適用」をクリックしてください。

- ISOイメージ方式の場合のみ、左ペインの「ハードウェア」>「BIOS」を選択すると表示される「スタートアップ順序」で「CD」が一番上になっていることを確認します。
「CD」が一番上でない場合は右側のボタンで順序を変更し、「適用」をクリックしてください。

- 左ペインの「ハードウェア」>「プロセッサ」を選択すると表示される「仮想プロセッサの数」に割り当てる仮想CPUの数を入力し、「適用」をクリックしてください(参考:推奨システム要件)。

- 左ペインの「ネットワーク アダプター」を選択すると「ネットワーク アダプター」画面が表示されます。

最初、「仮想スイッチ」は「接続されていません」になっていますが、ドロップダウンリストから 仮想スイッチの設定で作成した仮想スイッチ名を選択し、「適用」をクリックしてください。

- ネットワークアダプターを削除するには「削除」ボタンをクリックします。
- ネットワークアダプターを追加するには左ペインの「ハードウェアの追加」を選択すると表示される「ハードウェアの追加」画面で「ネットワーク アダプター」を選択し、「追加」ボタンをクリックします。

追加したネットワークアダプターは選択された状態になりますので、本製品の仮想マシンで使用するための適切な設定を行ってください。
本製品の基本操作
本製品の起動、停止、コンソールへのアクセス、ファームウェアのアップグレード/ダウングレードなど基本的な操作方法を説明します。
本製品の起動
本製品の仮想マシンは次の手順で起動します。
- Hyper-V マネージャーの「仮想マシン」ペインで本製品の仮想マシンを右クリックし、コンテキストメニューから「起動」を選択します。

本製品の停止
本製品の仮想マシンは次の手順で停止します。
- Hyper-V マネージャーの「仮想マシン」ペインで本製品の仮想マシンを右クリックし、コンテキストメニューから「シャットダウン」を選択します。

コンソールへのアクセス
本製品のコンソールには次の手順でアクセスできます。
- Hyper-V マネージャーの「仮想マシン」ペインで本製品の仮想マシンを右クリックし、コンテキストメニューから「接続」を選択します。

- 仮想マシンウィンドウが開き、本製品のコンソール画面が表示されます。

本製品の起動と停止は、仮想マシンウィンドウの「操作」メニューから「起動」または「シャットダウン」を選択して実行することもできます。
ファームウェアの更新
本製品のファームウェアを更新する場合は、選択したインストール方式に応じた以下の手順にしたがってください。
ISOイメージ方式でインストールした場合
ISOイメージ方式でインストールした場合、ファームウェア更新時にもISOイメージファイルを使用します。
新しいISOイメージファイルを準備してから以下の手順を実行してください。
- 本製品の仮想マシンが実行中の場合は、「本製品の停止」 の手順にしたがい、本製品を停止してください。
- Hyper-V マネージャーの「仮想マシン」ペインで本製品の仮想マシンを右クリックし、コンテキストメニューから「設定」を選択します。
- 左ペインの「ハードウェア」>「IDEコントローラー 1」>「DVDドライブ」を選択すると表示される「イメージ ファイル」で新しいISOイメージファイルを指定し、「OK」をクリックして仮想マシンの設定画面を閉じます。
ファームウェアのダウングレードはサポート対象外です。「イメージ ファイル」には現在使用中のバージョンより新しいISOイメージファイルを指定してください。

- 「本製品の起動」 の手順にしたがい、本製品を起動します。
- 本製品が新しいバージョンで起動します。以上でISOイメージ方式における本製品のファームウェア更新は完了です。
VHDイメージ方式でインストールした場合
VHDイメージ方式でインストールした場合も、ファームウェア更新時にはISOイメージファイルを使用します。
新しいISOイメージファイルを準備してから以下の手順を実行してください。
Web GUIを使用する場合
- 本製品のWeb GUIにアクセスします。
- 画面左側のメニューから「システム」 → 「ファイル管理」とたどって、ファイル管理画面を開き、「アップロード」ボタンを押して新しいISOイメージファイルを本製品にアップロードしてください。

- ファイル管理画面の「起動時ファームウェアファイル設定」の「参照」ボタンを押し、新しい起動時ファームウェアを選択します。
ファームウェアのダウングレードはサポート対象外です。「起動時ファームウェアファイル設定」では現在使用中のバージョンより新しいISOイメージファイルを指定してください。


- ファイル管理画面の「再起動」ボタンを押して本製品を再起動します。

- 以上でVHDイメージ方式における本製品のファームウェア更新は完了です。
CLIを使用する場合
- 本製品のコマンドラインインターフェース(CLI)にアクセスし、特権EXECモードに移行します。
awplus> enable ↓
- copyコマンドを使用して新しいISOイメージファイルを本製品にダウンロードしてください。
以下はISOイメージファイルを置いたHTTPサーバーからダウンロードする例です。
awplus# copy http://example.com/ISO-Images/AR4000S-Cloud-5.5.2-0.3.iso flash: ↓
- software-upgradeコマンドでダウンロードしたISOイメージファイルを指定します。
ファームウェアのダウングレードはサポート対象外です。software-upgradeコマンドでは現在使用中のバージョンより新しいISOイメージファイルを指定してください。
awplus# software-upgrade AR4000S-Cloud-5.5.2-0.3.iso ↓
Install this release to disk? (y/n): y ↓
Upgrade started, the change will take effect after rebooting the device.
- reloadコマンドで再起動します。
awplus# reload ↓
reboot system? (y/n): y ↓
- 以上でVHDイメージ方式における本製品のファームウェア更新は完了です。
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