UTM / アプリケーションコントロール(DPI)


検査タイミング
基本設定
判別されたアプリケーション定義の使用
ログ
AT-Vista Manager EXとの併用


アプリケーションコントロール(DPI = ディープパケットインスペクション)は、本製品を通過するパケットのデータ部分を検査し、通信内容(レイヤー7)にもとづいてどのアプリケーションのトラフィックであるかを判別する機能です。

最近は多くのアプリケーションが通信チャンネルとしてHTTPを使うようになっているため、L3/L4ヘッダーだけではこれらのアプリケーションがすべて「HTTP」としか判定できず、個々のアプリケーションを見分けることができませんが、アプリケーションコントロール(DPI)機能を使えば、アプリケーションシグネチャデータベースによって、各種アプリケーションに特有の通信パターンを検出し、個々のアプリケーションを判別することができるようになります。
Note
基本的には、HTTPSのように暗号化されたパケットは検査・判別できませんが、一部のアプリケーション(Skype、Facebook等)に関しては暗号化されたパケットでも検査・判別が可能です。

アプリケーションシグネチャデータベースは、製品内蔵のものを使えるほか、サンドバイン社が提供するデータベースを使用することもできます(どちらか一方を選択して使用します)。
Note
サンドバイン社が提供するアプリケーションシグネチャデータベースを使用するにはアニュアルライセンスが必要です。
ライセンスのインストール方法については「運用・管理」/「システム」の「ライセンスキーのインストール」をご参照ください。
Note
サンドバイン社が提供するアプリケーションシグネチャデータベースがまだダウンロードされていない状態で、あらかじめDPIの設定を行い、アニュアルライセンスの更新を実行すると、以下のログが表示されますが、ライセンス、データベースともに正しく取得されます。
local5.crit awplus streamd[512]: Could not open NAVL library
local5.crit awplus streamd[512]: Failed to enable DPI provider
Note
サンドバイン社が提供するアプリケーションシグネチャデータベースを使用する場合、サーバーからリソースファイルがダウンロードされると、リソースファイルの読み込みが開始されます。このリソースファイルの読み込み中は通信が破棄される可能性がありますのでご注意ください。


アプリケーションコントロール(DPI)機能自体はアプリケーションの判別を行うだけですが、その情報は動的な「アプリケーション定義」として、下記機能のルール設定時に利用できます。
Note
NAT機能でもルール設定時にアプリケーションの指定を行いますが、NATルールではアプリケーションコントロール(DPI)によって判別されたアプリケーションは指定できません。ruleコマンド(NATモード)でNAT対象トラフィックを指定するときは、あらかじめ定義されている事前定義済みアプリケーションか、applicationコマンドで定義するカスタムアプリケーション、あるいは、すべてを意味する「any」キーワードを指定してください。

アプリケーション定義については「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

また、サンドバイン社が提供するデータベースの更新をつかさどるアップデートマネージャーについては「UTM」/「アップデートマネージャー」をご覧ください。

アプリケーションコントロール(DPI)機能の具体的な使用例については、「設定例集」をご覧ください。

検査タイミング

本機能は下記のタイミングでサポート対象のパケットを検査します。
Note
初期設定では、トンネルインターフェースで受信したパケットは検査されません。
トンネルインターフェースで受信したパケットに本機能を適用するには、グローバルコンフィグモードのtunnel security-reprocessingコマンドを有効にしてください。
tunnel security-reprocessingコマンドの有効時は、すべてのトンネルインターフェースで受信パケットが検査対象になります。

基本設定

アプリケーションコントロール(DPI)の設定は、DPIモード(dpiコマンド)で行います。
providerコマンドでシグネチャデータベースの提供元を指定した後、enableコマンドで有効化します。

以下、アプリケーションコントロール(DPI)機能の基本的な設定手順を示します。
  1. アプリケーションコントロール(DPI)機能の設定を行うため、DPIモードに移行します。これにはdpiコマンドを使います。
    awplus(config)# dpi
    

  2. アプリケーションシグネチャデータベースの提供元を指定します。これにはproviderコマンドを使います。

    [製品内蔵のデータベースを使う場合]
    awplus(config-dpi)# provider built-in
    

    [サンドバイン社が提供するデータベースを使う場合]
    awplus(config-dpi)# provider procera
    
    Note
    アプリケーションコントロール(DPI)機能とファイアウォール機能の併用環境で、サンドバイン社の提供するアプリケーションシグネチャデータベースを使用する場合は、データベースを更新するため、本製品からインターネットへのDNS/HTTPS/SSL/TCP通信を許可する必要があります。

    3.アプリケーションコントロール(DPI)機能を有効化します。これにはenableコマンドを使います。
    awplus(config-dpi)# enable
    

設定は以上です。

■ アプリケーションコントロール(DPI)機能によって判別できるアプリケーションは、show application detailコマンドのdpiオプションで確認できます。
awplus# show application detail dpi

■ サンドバイン社が提供するアプリケーションシグネチャデータベースの更新チェック間隔は、update-intervalコマンドで変更可能です。初期値は1時間です。
awplus(config)# dpi
awplus(config-dpi)# update-interval days 1

■ サンドバイン社が提供するアプリケーションシグネチャデータベースは通常自動更新されますが、update nowコマンドで手動更新することも可能です。
awplus# update dpi_procera_app_db now

■ サンドバイン社が提供するアプリケーションシグネチャデータベースの更新ステータスはshow resourceコマンドで確認できます。
awplus# show resource dpi_procera_app_db
--------------------------------------------------------------------------------
Resource Name          Status       Version   Interval  Last Download
                                                        Next Download Check
--------------------------------------------------------------------------------
dpi_procera_app_db     unknown      -         10        None
                                              minutes   N/A

■ アプリケーションコントロール(DPI)機能の有効・無効とその他の情報は、show dpiコマンドで確認できます。
(表示内容は設定により異なります)
awplus# show dpi
Status:      running
Provider:    built-in
Mode:        learning
Counters:    per entity
Providing application database: enabled
Web Categorization:          disabled

■ アプリケーションコントロール(DPI)機能によって判別されたアプリケーションの統計情報は、show dpi statisticsコマンドで確認できます。
初期状態では、DPI機能の全体統計(アプリケーションごとのパケット数とバイト数)のみが表示可能ですが、設定を追加することでエンティティー別詳細統計(アプリケーションごとの送信パケット数、受信パケット数、送信バイト数、受信バイト数)を有効にすることもできます。

判別されたアプリケーション定義の使用

アプリケーションコントロール(DPI)機能によって判別されたアプリケーションの情報は、動的な「アプリケーション定義」として、下記機能のルール設定時に利用できます。
Note
NAT機能でもルール設定時にアプリケーションの指定を行いますが、NATルールではアプリケーションコントロール(DPI)によって判別されたアプリケーションは指定できません。ruleコマンド(NATモード)でNAT対象トラフィックを指定するときは、あらかじめ定義されている事前定義済みアプリケーションか、applicationコマンドで定義するカスタムアプリケーション、あるいは、すべてを意味する「any」キーワードを指定してください。

Note
アプリケーションコントロール(DPI)機能では、各アプリケーション固有の通信パターンを検出するために一定量のパケットを受信してそのデータ部分を検査する必要があります。判別が完了していないトラフィック(判別中のトラフィック)は、特殊なアプリケーション名「undecided」で表されます。

Note
アプリケーションシグネチャデータベースを使用する場合は、以下の点にご注意ください。

アプリケーション定義の詳細については、「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

■ ファイアウォールルールは、ファイアウォールモードのruleコマンドで作成します。

アプリケーションコントロール(DPI)機能では、各アプリケーション固有の通信パターンを検出するために一定量のパケットを受信してそのデータ部分を検査する必要がありますが、ファイアウォールはその仕様として初期設定ですべてのパケットを破棄するため、ファイアウォールとアプリケーションコントロール(DPI)を併用する場合は注意が必要です。

ファイアウォールの詳細については、「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。

ログ

■ アプリケーションコントロール(DPI)のログを記録するには、以下のコマンド(log(filter))を実行してください。初期設定では本機能のログは記録されません。
awplus(config)# log buffered level informational facility local5

■ DPIによって判別されたアプリケーションの情報は、ファイアウォールログの「MARK」欄に出力されます。
ファイアウォールのログを出力するための設定については、「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。

AT-Vista Manager EXとの併用

AT-Vista Manager EXを使用することで、本製品のDPI学習キャッシュ(対象はTCP/UDPパケットのみ)を他のルーターと共有できます。
共有元はAT-AR4050S, AT-AR4050S-5G, AT-AR3050S, AT-NFV-APL(vFirewall), AT-AR4000S-Cloud、共有先はAT-AR2050V, AT-AR2010V, AT-TQ6702 GEN2-Rです。
利用・設定にはAT-Vista Manager EX 3.7.0以降とインテントベースオーケストレーターライセンスが必要です。
詳細はAT-Vista Manager EXのマニュアルをご覧ください。


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