インターフェース / Power over Ethernet
本製品のPoE(Power over Ethernet)給電機能について説明します。
x230/x230Lシリーズにおいて、PoE給電機能に対応しているのは下記の製品です。本解説編における「本製品」はこれらのPoE対応製品を指します。
- AT-x230-10GP
- AT-x230-18GP
- AT-x230-28GP
PoE(Power over Ethernet)は、UTPケーブルを使って、データと電力を同時に伝送する技術です。PoEの規格(IEEE 802.3af、IEEE 802.3at)では、電力を供給する側を「給電機器(PSE: Power Sourcing Equipment)」、電力の供給を受ける側を「受電機器(PD: Powered Device)」と呼びます。
本製品のPoE仕様
本製品は、PoE規格に準拠した給電機器として、1ポートあたり最大30Wの電力供給が可能です。
装置全体の最大供給電力は、機種によって下記のとおり異なります。
- AT-x230-10GP:124W
- AT-x230-18GP:247W
- AT-x230-28GP:370W
各ポートへの電力割り当ては、受電機器の電力クラスに基づいて行います。
PoE給電機能に対応しているのは、本体内蔵の10/100/1000BASE-T PoEポート1~8(AT-x230-10GP)、1~16(AT-x230-18GP)、1~24(AT-x230-28GP)です。
PoE利用時は、意図せずに給電優先度の高いPoE受電機器がダウンしないように、あらかじめpower-inline priorityコマンドで優先的に電力を提供するポートを設定してください。
PoE給電機能のオン・オフ
初期状態では、すべてのPoEポートでPoE給電機能が有効になっており、接続された受電機器(PD)の検出、電力クラスの識別を自動的に行い、必要に応じて給電を開始します。
接続されている機器が受電機器ではなく通常のEthernet機器だった場合は、給電を行わず通常のEthernetポートとして動作します。
本製品を給電機器(PSE)とカスケード接続する場合は、本製品のカスケードポートのPoE給電機能を無効に設定してください(power-inline enableコマンドをno形式で実行する)。
■ 指定したポートでPoE給電機能を無効にするには、該当ポートを対象とするインターフェースモードにおいて、power-inline enableコマンドをno形式で実行します。
awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.4 ↓
awplus(config-if)# no power-inline enable ↓
■ 指定したポートでPoE給電機能を再度有効にするには、power-inline enableコマンドを通常形式で実行します。
awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.4 ↓
awplus(config-if)# power-inline enable ↓
ポートへの電力の割り当て
本製品は、受電機器の電力クラス、または手動設定した上限値にもとづき、システム全体の最大供給電力から一定の電力を特定のポート用に確保する(割り当てる)という制御を行います。
電力クラスによる電力割り当て
本製品はPoEポートに接続された受電機器の電力クラスを自動的に識別し、電力クラスに応じた電力を該当ポート用に割り当てます。
たとえば、PoEポートで検出された受電機器がクラス1だった場合、本製品は、この受電機器が実際に使用する電力量に関係なく、4W分の電力を該当ポートに割り当てます。これは、最大4Wまでの出力に対応できるよう、装置全体の最大供給電力のうち4W分を該当ポート用に確保するという意味です。
同様に、接続された受電機器がクラス2の場合は7W、クラス3の場合は15.4W、クラス4の場合は30Wの電力を確保します。
仮に15Wの出力で充分なクラス4受電機器を接続した場合でも、接続ポート用に30W分の電力が確保されるため、クラス4受電機器は4ポート(AT-x230-10GP)、または8ポート(AT-x230-18GP)、または12ポート(AT-x230-28GP)までしか同時給電できません。クラス4受電機器をこのポート数より多く接続した場合は、次項「給電時の優先順位」で述べる方法にしたがって優先順位の低いポートへの給電が停止されます。
PoE規格で規定されている電力クラス分けについては、下表をご覧ください。
表 1:電力クラス(参考)
クラス |
用途 |
受電機器の使用電力 |
給電機器の出力電力 |
0 |
デフォルト |
0.44~12.95W |
15.4W |
1 |
オプション |
0.44~3.84W |
4.0W |
2 |
オプション |
3.84~6.49W |
7.0W |
3 |
オプション |
6.49~12.95W |
15.4W |
4 |
オプション |
12.95~25.5W |
30W |
電力クラスは、show power-inlineコマンドやshow power-inline interfaceコマンドで確認できます(Class欄やPowered device class欄)。
給電時の優先順位
PoE電源の電力使用量が装置全体の最大供給電力を上回った場合は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。優先順位は次のようにして決定されます。
- ポートの給電優先度(power-inline priorityコマンドで設定)。critical(最高)、high(高)、low(低)の3段階。
- 給電優先度の同じポート間では、ポート番号の小さいほうが優先順位が高くなる。
PoEポートからの出力電力が受電機器の電力クラスで規定された上限値(クラス1:4W、クラス2:7W、クラス3:15.4W、クラス4:30W)、または、power-inline maxコマンドで設定した「ポートからの出力電力の上限」を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電を停止します。
初期状態では、すべてのPoEポートで給電優先度がlowに設定されています。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(ポート1が優先順位最高)
■ ポートの給電優先度を変更するには、power-inline priorityコマンドを使います。
awplus(config)# interface port1.0.2 ↓
awplus(config-if)# power-inline priority critical ↓
ポートからの出力電力の上限
power-inline maxコマンド を使用すると、ポートごとに最大出力電力を任意に設定することができます。
給電中のポートにおいて、なんらかの理由で出力電力が上限値を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電が停止されます。
初期状態では、すべてのPoEポートで上限値が未設定です。未設定時は、接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力が上限となります。
ポートからの出力電力が、クラス1 受電機器の場合4W、クラス2 受電機器の場合7W、クラス3 受電機器の場合15.4W、クラス4 受電機器の場合30W を超えると、該当ポートへの給電が停止されます。
power-inline maxコマンド設定時は、接続された受電機器の電力クラスにおける最大出力電力よりも小さい値を設定している場合、設定された上限値を超えると給電を停止します。
■ ポート1.0.1からの出力電力を6000mW(6W)までに制限するには次のようにします。
awplus(config)# interface port1.0.1 ↓
awplus(config-if)# power-inline max 6000 ↓
その他
■ PoE電源の電力使用量を監視するため、ログメッセージの出力、および、SNMPトラップ送信のしきい値を設定することができます。これには、power-inline usage-thresholdコマンドを使います。しきい値は、装置全体の最大供給電力に対する割合(%)で指定します。初期設定は80%です。
awplus(config)# power-inline usage-threshold 90 ↓
PoE電源の電力使用量がしきい値を下から上、あるいは、上から下にまたぐと、ログメッセージが出力されます。また、SNMPトラップの設定がなされている場合はSNMPトラップメッセージも送信されます。
SNMPトラップの設定については、「運用・管理」の「SNMP」をご覧ください。
■ PoE給電機能の各種情報を確認するには、show power-inlineコマンド、show power-inline countersコマンド、show power-inline interfaceコマンドを使います。
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