AWCプラグイン編 / 各種操作 / AWC機能 / AWC機能の使用
AWC(Autonomous Wave Control)は、複数の要素を考慮して最適化を行うゲーム理論を用いた無線APの自動制御技術です。
AWCの計算結果を適用することにより常に最適な環境で運用することができます。
AWCの計算は、AWCプラグインの起動直後から1時間後に行われ、2回目以降の計算はその前の計算が完了してから1時間後に開始されます。
AWCの計算および適用は管理グループ単位で行われます。管理下APが他の管理グループで管理されている無線APを検知した場合も、電波干渉として計算されます。
ここではAWC(Autonomous Wave Control)機能を使用する際の事前設定、注意事項、設定方法について説明します。
AWC計算に使用する情報
AWC計算には、次の2通りの方法で採集された近隣無線チャンネルの使用状況を使用します。
- 近隣AP検出(AP共通設定)
無線バンド内の周囲のチャンネルをスキャンして、AWCの管理下・管理外にかかわらず、近隣のすべての無線APの送信出力を検出します。
近隣AP検出による検出結果は、AWC計算以外に、侵入検知/防御機能にも使用されます。
- 近隣管理AP検出(AWC設定)
AWCプラグインの管理下AP内でお互いの無線APの受信強度を検出します。本機能によりAWC計算において、管理下APの送信出力を正しく算出することが可能となります。
AWC計算では、近隣管理AP検出によってシステムが使用しているチャンネルのみをスキャンし、即時性のある検出結果を得ます。さらに、近隣AP検出による全チャンネルのスキャン結果から管理外の無線APによる干渉を加味して、それぞれの管理下APで使用する無線チャンネルや送信出力を決定します。
このため、AWC機能による無線APの自動制御を行う場合は、これら両方の検出機能を有効に設定する必要があります。いずれかの検出機能を無効にした場合、AWC計算に実際の状況が正しく反映されなくなることがあります。
いずれの方法でも、スキャンの際に通信に使用しているチャンネルの出力を停止する必要があるため、無線APのサービスのパフォーマンスは若干低下します。
AWC計算を使用しない場合は、近隣AP検出、近隣管理AP検出機能を無効にすることができます。
AWCを使用する際の事前設定
チャンネルを自動にしている場合、AP共通設定の「自動チャンネル選択」で指定した範囲から選択されます。
- 管理しているすべての無線APに対しNTPサーバーの設定を行い、NTP同期間隔を10分以内にしてください。
AWCプラグインに管理されているすべての無線APと、AWCプラグインがインストールされているPCの時刻が、一致している必要があります。
- 無線APの「共通設定」にて、近隣AP検出を「有効」に設定してください。
- 無線APの「個別設定」にて、チャンネル(送信出力)を「自動」に設定してください。
チャンネル(送信出力)を任意の値に設定している場合は、設定されているチャンネル(送信出力)が使用されます。
「自動」設定と任意の値の混在設定されている場合においても、「自動」設定されている項目において、AWCによる計算は行われます。
例えば、無線1と無線2のチャンネルと送信出力を下表のように設定した場合、
表 1
|
無線1 |
無線2 |
チャンネル |
自動 |
40ch |
送信出力 |
最大 |
自動 |
AWCによって選択される結果は下記のようになります。
表 2
|
無線1 |
無線2 |
チャンネル |
1ch~13ch |
40ch |
送信出力 |
100% |
1%~100% |
- AWC設定にて、管理グループごとの近隣管理AP検出を「有効」に設定してください。
AWCの設定手順
ここでは、管理グループに対してAWCによるチャンネル・送信出力の自動調整を定期的に実行するように設定する手順について説明します。
- 無線APの登録
管理グループに無線APを登録・設定し、管理下に置きます。詳細な手順については「クイックツアー」/「セル型無線ネットワークの設定」/「管理グループの作成」から「クイックツアー」/「セル型無線ネットワークの設定」/「無線APの登録」をご覧ください。
無線APを管理下に置くと、定期的にAWCによる管理グループごとの最適なチャンネル・送信出力が計算されるようになります。
- AWC設定編集
必要に応じて、管理グループごとに、AWC計算における送信出力計算に対するカバーエリア、チャンネル計算に対する管理外APの影響度、計算や適用のタイミング(即時適用、イベントトリガーによるAWC計算の有効/無効)の設定を行います。
これらの設定については、「AWC設定の編集」をご覧ください。
- AWCの計算履歴の確認
計算された結果は「AWC計算履歴」画面から確認できます。
AWC計算結果は自動的には適用されず、手順2の「AWC設定編集」にて計算結果の即時適用、または、手順4の「AWCの計算結果の適用」にてスケジュールを設定する必要があります。
表示内容の詳細については「AWC計算結果の閲覧」をご覧ください。
- AWCの計算結果の適用
AWC計算結果は自動的には適用されず、AWC計算結果を定期的に適用する設定を行う必要があります。
設定方法には「スケジュールの登録」と「即時適用設定」の2通りの方法があります。
即時設定は無効になっていますので、管理グループを作成した場合は必要に応じてスケジュールを登録するか、即時適用を有効にしてください。
初期状態では、管理グループ「Default Group」のAWC計算結果適用のスケジュールが登録されています。
AWC計算結果の適用により無線APのチャンネルが変更される場合、また、AT-TQ5403/AT-TQm5403では無線APの送信出力が変更される場合は、無線APに接続している無線クライアントは切断されます。
※AT-TQ5403/AT-TQm5403以外の無線APでは、送信出力のみが変更される場合は、無線APに接続している無線クライアントは切断されません。
- スケジュールの登録
スケジュールの登録手順については「スケジュールの登録、編集、削除」をご覧ください。
スケジュールを登録すると、「実行タイミング」で指定したタイミングにおいて無線APに適用されるようになります。適用される計算結果は「使用するAWC計算結果の算出時刻」で指定した時刻付近で計算されたものになります。
AWCプラグインはスケジュールされた時間から24時間さかのぼって算出時間に合致する時刻を決定し、算出時間から1時間前までにあるAWC計算結果を適用します。
- 即時適用設定
AWC設定編集で、管理グループに対するAWC動作設定の即時適用を有効にすると、計算結果が算出されたタイミングで無線APにその結果が即時適用されるようになります。AWC計算結果の即時適用設定はデフォルトで無効です。
AWC動作設定の即時適用を有効にする場合、最新の計算結果が適用されたあとに過去の計算結果が再度適用されることを防ぐため、管理グループに対する「AWC計算結果適用」のスケジュールを設定している場合は、スケジュールを「無効」に設定することを推奨します。
手順4が完了すれば、AWCプラグインは管理グループに所属する無線APに設定したタイミングで最適なチャンネル・送信出力を適用するようになります。
- 適用結果の確認
適用結果は無線APの現在のチャンネル・送信出力とログにより確認ができます。
- チャンネル・送信出力
各無線APの現在のチャンネル・送信出力は以下の画面で確認できます。
- ログ
AWC計算結果適用時、管理グループに属するすべての無線APに対し適用が完了した際に適用成功のログが出力されます。
管理グループ内の無線APに対し1台でも失敗した際は該当無線APの情報が出力され、管理グループに対する適用失敗のログが出力されます。
なお、AWC計算結果適用のログは管理者のみが閲覧可能です。
ログの確認方法は「ログ管理」をご覧ください。
注意事項
■ AWC計算結果の適用が正しく行われないケース
初期状態のまま、AWC計算結果適用のスケジュールが無効または未登録、かつ、AWC計算結果の即時設定が無効の場合は、AWC計算結果の適用は行われません。
また、AWC計算結果の適用時、下記の場合において、AWC計算の適用は正しく行われません。
- 無線APに適用されている「AP共通設定」、「個別設定」とAWCの計算が実行されたときにAWCプラグイン上で無線APに設定している「AP共通設定」、「個別設定」が異なる場合
- AWCの計算時に管理されていた無線APが管理外になっていた場合
- 何らかの理由により無線APに対し、適用が失敗した場合
この場合、適用が失敗した段階で、無線APに対するAWC計算結果の適用は途中で終了します。
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