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AWC-DCN(AWC-Dynamic Client Navigation)
AWC-DCNは次のように無線APと無線クライアントの接続を調整し、無線環境を改善する機能です。
- ロードバランシング
接続する無線クライアントの数を無線AP間で均一にします。
- スティッキー端末の解消
接続性の悪い無線クライアントを別のより良い無線APへ移動するよう促します。
- DCNバンドステアリング
無線AP間で無線クライアントを移動させる際に、最適になるよう2.4GHzまたは5GHzの無線バンドの移動を促すことがあります。
■ ロードバランシング
特定のしきい値を超えた場合に、無線APがAWC-DCNを適用している別の無線APへ、無線クライアントが移動するよう促します。
無線クライアントが接続中の無線AP1が高負荷状態で、より低負荷な無線AP2の無線出力が届く範囲にいるときは、無線AP2へローミングした方が全体的な無線パフォーマンスが向上します。
このように無線AP間の負荷を均一にするようロードバランシングを行います。
■ スティッキー端末の解消
接続されている無線クライアントからスティッキー端末を検出します。
まず、IEEE 802.11k Radio Resource Measurement(RRM)を使用してスティッキー端末を移動させる最適な無線APを見つけます。
スティッキー端末が検出された場合、IEEE 802.11v Wireless Network Management(WNM)を使用してスティッキー端末を最適な無線APへ誘導します。
無線APが接続している無線クライアントの情報(パケットの送受信状況や信号強度など)によってスティッキー端末かどうかを判断します。
■ DCNバンドステアリング
一般的に5GHz帯域は2.4GHz帯域よりも高速なため、前述のロードバランシングやスティッキー端末を考慮した上で、パフォーマンス改善のためにバンドステアリングを行います。
AWC-DCNと通常のバンドステアリングは併用不可となります。複数無線バンドでAWC-DCNを使用したい場合は、両無線バンドにDCN VAPを設定してください。これによってDCNバンドステアリングが有効になり、自身の異なる無線バンドが移動先の対象候補になります。
AWC-DCNとAP共通設定の高速ローミングの違い
- 高速ローミングが無効の場合
ローミングの要否の判断は無線クライアントが行っています。
無線クライアントは自ら接続中の無線APから切断要求を行い切断処理し、その後に別の無線APに対して接続要求から接続の手順を順番に行っていきます。
- 高速ローミングが有効の場合
ローミングの要否の判断は無線クライアントが行っています。
認証要求のステップを移動先の無線APへ事前に共有することによって、無線クライアントは接続にかかる手順を省略して接続できるようにしています。
- AWC-DCNを利用する場合
そこで無線APからIEEE 802.11v WNMを使用して別の無線APへ移動するように促すのがAWC-DCNとなります。
ローミングそのものの動作としてはAWC-DCNの有無には関連しません。AWC-DCNはローミングを開始させる前の情報収集、移動先の提供、移動の促進を担う機能です。
IEEE 802.11k RRM/IEEE 802.11v WNMはあくまで枠組みを提供するものであり、有効にするだけでは無線APが自発的に近隣無線APの情報を要求したり、無線クライアントに対してローミングするように促したりすることはありません。これらの機能を有効に動作させる仕組みがAWC-DCNにあたります。
使用するVAP
AWC-DCNによる接続端末の最適化を行うVAPは、DCN VAPと呼び、DCN共通設定にて定義します。
DCN共通設定では、DCN VAPの設定のほかに、AWC-DCNの管理単位であるDCNグループを作成したり、スティッキー端末や負荷の監視間隔を設定したり、適用対象の無線APを指定したりします。
AP本体設定(タイムゾーン、NTP、Syslog、SNMP設定)、無線設定、有線設定といった無線APの管理や基本動作にかかわる設定は、AP共通設定で行います。
AP共通設定と重複したVAP番号のVAP設定は、DCN共通設定が優先します。
なお、その他の共通設定を同時に適用した場合は、SC共通設定、CB共通設定、DCN共通設定、AP共通設定の順に優先されます。
AWC-DCNはAWC-SCやAWC-CBとの混在は未サポートです。
対応無線AP
AWC-DCNで使用できる無線APの機種は以下の通りです。
- AT-TQシリーズ
- AT-TQ6602 GEN2/6702 GEN2、AT-TQm6602 GEN2/6702 GEN2
ファームウェアバージョン 8.0.2-1.1以降
管理可能数
AWCプラグインで管理可能なAWC-DCN関連の設定数は以下の通りです。
- 共通設定数
制限なし
- 1 DCN共通設定当たりの管理AP数
350台(1共通設定当たりの管理AP数上限まで)
- 1 DCN当たりのVAP(マルチSSID)数
- AT-TQ6602 GEN2/6702 GEN2、AT-TQm6602 GEN2/6702 GEN2
32個まで(2.4GHz/5GHzそれぞれ16個)
AWC-DCN導入の流れ
設定は以下の手順で行います。
- 管理グループを作成します。
- 無線APを登録します。
- AP共通設定を作成します。
- DCN共通設定を作成し、割り当てる無線APを選択します。
- DCN共通設定をONにします。
- AP共通設定を無線APに割り当て、AP共通設定とDCN共通設定を適用します。
注意事項
- 無線クライアント側がIEEE 802.11k/v/rをサポートしている必要があります。
- DCN共通設定には管理グループを登録します。同一のDCN設定を適用する無線APはすべて同じ管理グループに所属させる必要があります。
- DCN VAPのSSIDを作成する際、他のDCN共通設定と重複するSSIDは使用できません。
- AWC-DCNとAWC-SCやAWC-CBの併用は未サポートです。
- AWC-DCNとバンドステアリングの併用は未サポートです。
- AWC-DCNとWDSの併用は未サポートです。
- AWC-DCNと緊急モードの併用は未サポートです。
DCNグループに所属する無線APに適用するAP共通設定において、AWC-DCNを使用する無線バンドでは、「使用条件」を「緊急モードのみ」に設定しないでください。
また、該当の無線バンドにて、いずれのVAPステータスでも「緊急」に設定しないでください。