クイックツアー / AT-TQRシリーズの登録 / 概要
AT-TQRシリーズ 無線LANルーター AT-TQ6702 GEN2-R、ATーTQ7403-Rは、弊社スイッチ製品、ルーター製品と同様のコマンドラインインターフェース(CLI)を備えたAlliedWare Plus ファームウェアをサポートしています。
ルーターとしての経路やファイアウォールの設定と同様に、VAPやセキュリティーなどの無線機能の設定も、無線AP本体のCLIまたはWeb管理画面で行い、AWCプラグインからは無線やVAPの設定確認、フロアマップによる無線APや接続クライアントの監視のみを行います。
このクイックツアーでは、AT-TQ6702 GEN2-Rを設定し、AWCプラグインの管理下に登録するまでの流れをご紹介します。
構成
ここでは、AVM EXの管理ネットワーク上の別の機器にインターネットへの接続がある場合を例に説明します。
この例では、管理ネットワーク上のIPアドレスを1個固定で割り当てられる端末型接続の基本設定となります。

無線セキュリティーにはWPAパーソナルを使用します。
本構成では、社内向け無線LANを想定し、3つの同じSSIDのVAPを2.4GHz帯と5GHz帯にそれぞれ作成します。
各VAPからは、ブリッジインターフェースを介して有線ネットワーク側と通信します。この際、VAPからの通信を異なるVLANタグ付きパケットとして送受信するため、eth1インターフェース上に802.1Q Ethernetサブインターフェースを作成します。
同一のSSIDのVAP間ではバンドステアリングを有効にして、混雑していない帯域への接続を促します。
本構成では、AT-TQRシリーズ自身のDHCPサーバー機能を使用しません。別途、上流機器にてVLANごとにDHCPサーバーが設定されていることを前提とします。
また、AVM EXにSTOAT(Standardized Topology Organizer and Transport)による無線クライアントのトポロジー情報を送信するため、AMF PlusマスターにはSTOATコレクターとしての設定が済んでいるものとします。詳しくは、「AT-Vista Manager EX ベースリファレンスマニュアル」をご覧ください。
AMFマスターにAMF Plus未対応のライセンスが適用されている場合はSTOATによるデバイスディスカバリーは使用できません。
AT-TQRシリーズをAWCプラグインの管理下に登録するときは、AMF Plusネットワークとの接続にeth1のみを使用してください。eth2を経由してAMF Plusネットワークに接続しようとした場合、AWCプラグインの管理下に登録することはできません。
AT-TQRシリーズのAWC計算結果を使用したい場合、AP共通設定での設定内容を、無線AP本体のCLIまたはWeb管理画面での設定内容と合わせてください。計算結果を使用しない場合は、デフォルトの状態でAP共通設定を保存してください。
表 1:無線の基本設定
VAPインターフェース
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SSID
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セキュリティー方式
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セキュリティーキー
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WPAバージョン
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vap1.0
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無線1 (2.4GHz) VAP0
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Sales
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WPAパーソナル
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passphrase1
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WPA2 WPA3
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vap1.1
|
無線1 (2.4GHz) VAP1
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Engineer
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WPAパーソナル
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passphrase2
|
WPA2 WPA3
|
vap1.2
|
無線1 (2.4GHz) VAP2
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Management
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WPAパーソナル
|
passphrase3
|
WPA2 WPA3
|
vap2.0
|
無線2 (5GHz) VAP0
|
Sales
|
WPAパーソナル
|
passphrase1
|
WPA2 WPA3
|
vap2.1
|
無線2 (5GHz) VAP1
|
Engineer
|
WPAパーソナル
|
passphrase2
|
WPA2 WPA3
|
vap2.2
|
無線2 (5GHz) VAP2
|
Management
|
WPAパーソナル
|
passphrase3
|
WPA2 WPA3
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表 2
管理ネットワークから管理者提供された情報
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IPアドレス/ネットマスク
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192.168.1.200/24
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デフォルトゲートウェイ
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192.168.1.1
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AMF Plusの設定
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AMF Plusネットワーク名
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AMF001
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AMF PlusマスターのIPアドレス
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192.168.1.254
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有線側の基本設定
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有線LAN側物理インターフェース
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eth1
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有線LAN側(eth1)IPアドレス
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192.168.1.200/24
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802.1QサブインターフェースのVLAN ID
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10 20 100
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DHCPサーバー機能
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無効
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ブリッジの設定
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ブリッジ
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メンバー
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br1
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vap1.0 vap2.0 eth1.10
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br2
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vap1.1 vap2.1 eth1.20
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br3
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vap1.2 vap2.2 eth1.100
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設定開始前に
自動設定の確認と削除
本クイックツアーに掲載されているコマンドは、設定がまったく行われていないAT-TQRシリーズの初期状態(スタートアップコンフィグなしで起動した状態)から入力することを前提としています。
そのため、通常は erase startup-config を実行し、スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動してから、設定を始めてください。
awplus# erase startup-config ↓
ただし、AT-TQRシリーズはスタートアップコンフィグなしで起動した場合でも、特定の条件を満たすと自動的な設定を行うことがあるため、その場合は設定例にしたがってコマンドを入力しても、コマンドがエラーになったり、全体として意図した動作にならない可能性があります。
これを避けるため、設定開始にあたっては次のいずれかの方法をとることをおすすめします。
- ネットワークケーブルを接続せずに起動する。
起動時に自動設定が実行されるための条件の一つに、特定インターフェースのリンクアップがあります。
ネットワークケーブルを接続しない状態で起動することにより、自動設定の適用を回避できます。
- 自動設定を手動で削除してから設定を行う。
前記の方法を採用できず自動設定が適用されてしまった場合は、「AT-TQRシリーズ コマンドリファレンス」の「設定例集 / 自動的な設定内容の削除」にしたがって、これらを手動で削除してから設定を開始してください。
自動設定が行われる条件などの詳細については、「AT-TQRシリーズ コマンドリファレンス」をご参照ください。
注意事項
- 本製品はリアルタイムクロックを内蔵していないため、起動するたびに時刻を合わせる必要があります。
AT-TQRシリーズをAMF Plusメンバーとして管理する場合は、AMF Plusメンバーのシステム時刻はAMF Plusコントローラーまたはマスターと同期されます。
- AWCプラグインに登録後は、AT-TQRシリーズ個別のWeb設定画面、CLIからの設定変更は未サポートとなります。
Web設定画面やCLIからの設定が必要な事項は、AWCプラグインの管理下に登録する前に行う必要があります。
- ソフトウェアバージョン 3.13.1より古いAWCプラグインで取得したバックアップファイルから本バージョンにリストアする際、モデル「AT-TQ6702 GEN2-R」のAP共通設定のデータが存在する場合は、バックアップ当時の設定値が復元されます。
その際、本バージョンでAP共通設定に追加された設定項目は、デフォルトの値が適用された状態で復元されます。
デフォルトでの運用はセキュリティー上の懸念があるため、バックアップファイルのリストア後は速やかに設定の変更を行うことをおすすめします。