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AWC-CB(AWC-Channel Blanket)

AWC-CB(AWC-Channel Blanket)は、セル型ネットワークと併用可能な、かつ、特許技術でより効率的に運用可能な、アライドテレシス独自のチャンネルブランケット型無線ネットワークです。

■ セル型無線ネットワーク
従来型のセル型無線ネットワークでは、無線AP1台でカバーできない広いフロアに無線ネットワークを提供する場合、異なるチャンネルで動作する複数台の無線APを用いてフロアを網羅します。
運用する無線APが増加するとチャンネル設計が複雑になるうえ、フロア内の移動には無線AP間のローミングが伴い、パケットロスが生じたり、移動した先に無線APがあるにもかかわらず先に接続した無線APと低品質な電波状況での通信を続けてしまう「スティッキー端末」が発生したりします。


■ ブランケット型無線ネットワーク
これに対し、チャンネルブランケット、または、ブランケット型ネットワークは、複数の無線APを単一チャンネルで運用し、仮想的に巨大な1つのAPとしてネットワークアクセスを提供する技術です。共通の無線チャンネルでフロア全体を包み込むため、ローミングによるパケットロスやスティッキー端末が発生せず、安定した通信が可能となります。また、煩わしいチャンネル設計は不要です。
一方で、チャンネルブランケット配下の無線クライアントは、すべて同じチャンネルで通信を行うため、同時に送信を行える無線APは原則として1台のみとなり、ダウンリンクのスループットは低下します。
AWC-CBでは、特許技術のマルチコミュニケーションテクノロジーにより、ブランケット型での運用時において、互いに電波干渉しない複数の無線端末は、異なるAPを利用して同時に通信できます。

セル型とブランケット型の無線ネットワークには以下の違いがあります。
表 1:セル型とブランケット型の比較
  セル型(従来型) ブランケット型
ローミング ×
端末に依存

ゼロ時間
設置
煩雑なチャンネル設計が必要

同一チャンネルを利用するため
チャンネル設計不要
スループット
複数セルを運用しセルあたりの端末数を抑えることで
高スループットを実現可能
×
同一チャンネルを利用するため
端末数増加時のスループットは低下

■ ハイブリッドワイヤレスシステム
AWC-CBを利用したハイブリッドワイヤレスシステムでは、セル型とブランケット型の双方の利点を組み合わせ、快適なネットワークを簡便に導入することができます。セル型、ブランケット型のネットワークは、それぞれ、AP共通設定、CB共通設定のVAPとして、同じ無線APに設定できます。
例えば、PCなど比較的移動が少なく高スループットの通信を行う固定端末をセル型VAPに、頻繁に移動を行い、かつスループットを重視しない移動端末をブランケット型VAPに収容することで、ネットワークをより効率的に運用できます。

Note
チャンネルブランケットは複数の無線APを仮想的に1つの大きな無線APとして制御するため、チャンネルブランケット内の無線APが協調して順番にビーコン信号を送信します。そのため、端末によっては受信感度が不安定に見える場合がありますが、実際に通信している無線APとビーコン信号を送信する無線APが異なるためであり、通信品質には問題はありません。

必要ライセンス

AWCプラグインにてAWC-CB機能を使用するには、以下のライセンスが必要となります。
無線チャンネルブランケットライセンスは、AWC-CBに所属する無線APの台数に応じて、必要な口数が変化します。無線チャンネルブランケットライセンス 1口で無線AP 10台まで対応し、ライセンスを追加購入することでチャンネルブランケットに所属可能な無線APの台数を拡張することができます。
例えば、セル型のみで運用する無線APが40台、AWC-CBを構成する無線APが25台の場合、以下のライセンス数が必要です。
表 2:必要ライセンス数の例
  セル型 AWC-CB 合計
無線AP台数 40台 25台 65台
AT-Vista Manager EXライセンス 1口 1口
無線LANコントローラーライセンス(10AP) 4口
(最大40AP)
3口
(最大30AP)
7口
無線チャンネルブランケットライセンス(10AP) 3口
(最大30AP)
3口

対応無線AP

AWC-CBに所属できる無線APの具体的な機種は以下の通りです。
Note
AT-TQ5403/5403e、AT-TQ6403 GEN2、AT-TQ6602、AT-TQ6602 GEN2/6702 GEN2/TQ6702e GEN2、AT-TQ7403の混在はできません。
次の機種の組み合わせのみ、同一チャンネルブランケット上に混在できます。

対応可能数

AWCプラグインで管理可能なAWC-CB関連の設定数は以下の通りです。

ハイブリッドワイヤレスシステム導入の流れ

設定は以下の手順で行います。

■ 新規無線APを設定する場合
  1. 無線APを運用するフロアに設置します。
  2. AWCプラグインに無線APを登録します。
    「AP登録・設定」画面にて、無線APをAWCプラグインに登録します。
  3. フロアマップに無線APを配置します。
    「フロアマップ」画面にて、フロアマップを作成し、無線APを配置します。
    手順6で無線APを選択する際に、管理グループ内の無線AP一覧から選択する場合は、フロアマップの作成は不要です。1つの管理グループに多数の無線APを登録している場合は、フロアマップを作成しておくことをお勧めします。
  4. AP共通設定を作成します。
    「AP共通設定」画面にて、共通設定、AP本体設定、有線設定、無線設定に加え、セル型無線ネットワーク用のVAPを登録します。
  5. ブランケット型無線ネットワークの共通設定である、CB共通設定を作成します。
    「CB共通設定」画面にて、CB共通設定名や管理グループを選択し、CB VAP(ブランケット型無線ネットワークのVAP)を作成します。
  6. CB共通設定を適用するチャンネルブランケットを作成します。
    「CB共通設定」画面にて、チャンネルブランケットを作成し、所属する無線APを選択します。
    無線APは、フロアマップに配置した無線APをクリックして視覚的に選ぶ方法と、管理グループ内の無線AP一覧から選ぶ方法の、2通りの方法で選択できます。
    詳細な手順については、「チャンネルブランケットの作成」をご覧ください。
  7. 無線APにAP共通設定を適用します。
    無線APは、AP共通設定を割り当てるまでAWCプラグインの管理下には入りません。
    「AP登録・設定」画面にて、無線APにAP共通設定を割り当てると、無線APの管理が開始され、セル型、ブランケット型の無線ネットワークが提供されます。

■ 既存の無線APを設定する場合
  1. ブランケット型無線ネットワークの共通設定である、CB共通設定を作成します。
    「CB共通設定」画面にて、CB共通設定名や管理グループを選択し、CB VAP(ブランケット型無線ネットワークのVAP)を作成します。
  2. CB共通設定を適用するチャンネルブランケットを作成します。
    「CB共通設定」画面にて、チャンネルブランケットを作成し、所属する無線APを選択します。
    無線APは、フロアマップに配置した無線APをクリックして視覚的に選ぶ方法と、管理グループ内の無線AP一覧から選ぶ方法の、2通りの方法で選択できます。
    詳細な手順については、「チャンネルブランケットの作成」をご覧ください。
  3. 無線APに変更を適用します。
    「CB共通設定」画面にて、CB共通設定を選択して設定適用を行うと、既設のセル型無線ネットワークに加え、ブランケット型の無線ネットワークの提供が開始されます。
    詳細な手順については、「CB共通設定の適用」をご覧ください。

注意事項

VAPの構成にあたっては、次の点にご注意ください。

■ 一般的な事項

■ ネットワーク単位
チャンネルブランケット機能を使用する場合、無線APの存在するサブネット上のスイッチでは次の点にご注意ください。

■ 管理グループ単位
チャンネルブランケット機能を使用する場合、該当の無線APが所属する管理グループでは次の点にご注意ください。

■ 無線AP単位
チャンネルブランケット機能を使用する場合、該当の無線APに適用するAP共通設定、および個別設定を行う際は次の点にご注意ください。

■ 無線バンド単位
チャンネルブランケット機能を使用する場合、適用するAP共通設定、CB共通設定において、チャンネルブランケットを使用する無線バンド(無線1/無線2/無線3)では、次の点にご注意ください。

■ CB VAP単位
チャンネルブランケット機能を使用する場合、適用するCB共通設定では、次の点にご注意ください。

CB VAPサポート項目一覧

CB VAP(チャンネルブランケット用のVAP)の設定は、CB共通設定で行います。
CB VAPと、セル型のAP共通設定で作成するVAPとでは、サポートする項目が異なります。
表 3:セル型/ブランケット型VAPのサポート項目
項目名 AT-TQ 備考
5403/5403e 6602 6602 GEN2
6702 GEN2
6702e GEN2
6403 GEN2 7403
セル型 VAP ブランケット型 CB VAP セル型 VAP ブランケット型 CB VAP セル型 VAP ブランケット型 CB VAP セル型 VAP ブランケット型 CB VAP セル型 VAP ブランケット型 CB VAP
無線 × × × × ×  
VAP × × × × × 本項目は、CB VAPによって上書きされるVAP番号を指します。
チャンネル × × × × ×  
VAPステータス  
VLAN ID  
SSID  
  ブロードキャスト  
セキュリティー 無し 本項目は、AT-TQ7403で無線3を選択している場合は表示されません。
スタティックWEP × × × × × × 各無線バンドのVAP1でのみ設定可能です。また、チャンネルブランケットに所属する無線APに適用するAP共通設定では、モードにIEEE 802.11nを含まないものを選択してください。
  キーの長さ 64bit × × × × × ×
128bit × × × × × ×
キーのタイプ ASCII × × × × × ×
16進数 × × × × × ×
キーインデックス × × × × × ×
セキュリティーキー(WEPキー) × × × × × ×
WEP認証方式 オープンシステム × × × × × ×
共有キー × × × × × ×
Enhanced Open × × × × × ×  
  OWE × × × × × ×  
管理フレーム保護 × × × × × ×  
WPAパーソナル  
  セキュリティーキー(WPA-PSK)  
WPAバージョン WPA3 × ×  
WPA2  
WPA  
暗号化プロトコル CCMP  
TKIP  
管理フレーム保護  
ブロードキャストキー更新間隔 × × × × × AT-TQ5403/5403e、AT-TQ6602には設定項目は存在しますが、未サポートとなります。
WPAエンタープライズ  
  RADIUS Server Primary IPアドレス  
RADIUS Server Primary シークレット  
RADIUS Server Secondary IPアドレス  
RADIUS Server Secondary シークレット  
RADIUS Server ポート番号  
事前認証 × × × × × CB VAPでは事前認証は未サポートとなります。
WPAバージョン WPA3 × ×  
WPA2  
WPA  
暗号化プロトコル GCMP × ×  
CCMP  
TKIP  
管理フレーム保護  
ブロードキャストキー更新間隔 × × × × × AT-TQ5403/5403e、AT-TQ6602には設定項目は存在しますが、未サポートとなります。
RADIUSアカウンティング × × × × × AT-TQ5403/5403e、AT-TQ6602には設定項目は存在しますが、未サポートとなります。
RADIUSアカウンティングポート番号 × × × × × AT-TQ5403/5403e、AT-TQ6602には設定項目は存在しますが、未サポートとなります。
ダイナミックVLAN × ×  
Web認証 ×  
  外部RADIUS ×  
  認証ページプロキシー ×  
RADIUS Server Primary IPアドレス ×  
RADIUS Server Primary シークレット ×  
RADIUS Server Secondary IPアドレス ×  
RADIUS Server Secondary シークレット ×  
RADIUS Server ポート番号 ×  
RADIUSアカウンティング × × × × ×  
  RADIUSアカウンティングポート番号 × × × × ×  
認証後リダイレクト ×  
ウォールドガーデン ×  
ウォールドガーデン用DNSプロキシー × × × × × × × × TQ6702e GEN2では未サポートとなります。
Web認証用仮想IPアドレス AT-TQ5403/5403eはファームウェアバージョン6.0.2-0.1にてサポートします。
AT-TQ5403/5403e/6602/6602 GEN2/6702 GEN2/6702e GEN2/7403いずれも、CB共通設定には個別の設定項目はありません。AP共通設定にて設定されたWeb認証用仮想IPアドレスが適用されます。
セッションタイムアウト × ×  
セッションタイムアウト時の動作 × ×  
クリックスルー ×  
  認証ページプロキシー ×  
認証後リダイレクト ×  
ウォールドガーデン ×  
ウォールドガーデン用DNSプロキシー × × × × × × × × TQ6702e GEN2では未サポートとなります。
Web認証用仮想IPアドレス AT-TQ5403/5403eはファームウェアバージョン6.0.2-0.1にてサポートします。
AT-TQ5403/5403e/6602/6602 GEN2/6702 GEN2/6702e GEN2/7403いずれも、CB共通設定には個別の設定項目はありません。AP共通設定にて設定されたWeb認証用仮想IPアドレスが適用されます。
セッションタイムアウト × ×  
セッションタイムアウト時の動作 × ×  
外部ページリダイレクト ×  
  外部ページURL ×  
RADIUS Server Primary IPアドレス ×  
RADIUS Server Primary シークレット ×  
RADIUS Server Secondary IPアドレス ×  
RADIUS Server Secondary シークレット ×  
RADIUS Server ポート番号 ×  
RADIUSアカウンティング × × × × ×  
  RADIUSアカウンティングポート番号 × × × × ×  
認証後リダイレクト ×  
ウォールドガーデン ×  
ウォールドガーデン用DNSプロキシー × × × × × × × × TQ6702e GEN2では未サポートとなります。
Web認証用仮想IPアドレス AT-TQ5403/5403eはファームウェアバージョン6.0.2-0.1にてサポートします。
AT-TQ5403/5403e/6602/6602 GEN2/6702 GEN2いずれも、CB共通設定には個別の設定項目はありません。AP共通設定にて設定されたWeb認証用仮想IPアドレスが適用されます。
セッションタイムアウト × ×  
セッションタイムアウト時の動作 × ×  
MACアクセス制御  
  MACアドレスリスト  
  選択中のリスト CB VAPの設定画面では本項目は表示されません。
チャンネルブランケットに所属する無線APに適用されたAP共通設定にて設定されたMACアドレスリストが適用されます。
外部RADIUS AT-TQ5403/5403e ファームウェアバージョン 6.0.1-2.x以降、AT-TQ6602 ファームウェアバージョン 7.0.1-0.1以降、AT-TQ6602 GEN2/6702 GEN2 ファームウェアバージョン 8.0.2-1.1以降が必要です。
  RADIUS Server Primary IPアドレス
RADIUS Server Primary シークレット
RADIUS Server Secondary IPアドレス
RADIUS Server Secondary シークレット
RADIUS Server ポート番号
User-Name Format 区切り文字
User-Name Format 大文字/小文字
User-Password Format 形式
User-Password Format パスワード
エリア認証 ×  
高速ローミング × × × × × AT-TQ5403/5403e、AT-TQ6602には設定項目は存在しますが、未サポートとなります。
  高速移行 × × × × ×
分散システム × × × × ×
モビリティドメイン × × × × ×
PMK-R0 保持時間 × × × × ×
AES Key × × × × ×
802.11k RRM × × × × ×
802.11v WNM × × × × ×
無線クライアント間の通信遮断 セル型VAPでは、AP共通設定の「無線設定」にて設定します。ブランケット型CB VAPではCB VAPごとの設定が優先され、チャンネルブランケットに所属する無線APに適用するAP共通設定の「無線クライアント間の通信遮断」設定は無視されます。
無応答端末切断タイマー × × × × ×  
多重接続要求 × × CB VAPでの設定変更にはAT-TQ5403/5403e ファームウェアバージョン 6.0.1-6.1以降が必要です。
AT-TQ6602 GEN2/6702 GEN2のCB共通設定では、「無視する」に固定されます。
ローミング通知  
DTIM間隔 セル型VAPでは、AP共通設定の「無線設定」にて設定します。
RSSIしきい値 × × × × ×  
送信出力 セル型VAPでは個別設定にて設定します。
チャンネルブランケット使用時に個別設定において送信出力を変更した場合、個別設定が優先されます。
プロキシーARP  
パワーセーブの強制解除 × × × × × × AT-TQ6602には設定項目は存在しますが、未サポートとなります。