クイックツアー / AWC-SCの設定 / AP共通設定の作成


セル型無線ネットワークを構成するAP共通設定を作成します。

スマートコネクトでは、AP共通設定にて無線APの全般的な設定を構成し、SC共通設定でSC管理用SSIDに関する設定のみを構成します。無線APを管理する際は、必ずAP共通設定の適用が必要となります。
AP共通設定とSC共通設定を適用する場合は、SC共通設定による構成が優先され、本体のコンフィグを上書きします。AP共通設定にのみ含まれる設定項目は、AP共通設定の設定内容がそのまま反映されます。
AWC-SCを設定した無線バンドでは、クライアントサービス用VAPは作成できません。
今回のネットワークでは、無線2でスマートコネクトに不可欠なVAP(SC管理用SSID、工場出荷状態AP待機用SSID)を、無線1で一般のクライアントサービスのためのセル型VAPを運用するため、AP共通設定にて、無線APの基本設定とともに、無線1の無線設定やセル型VAPに関する設定を定義します。
また、無線2に関しても、SC共通設定で定義されない無線設定の各項目(特にAWC-SCとの併用ができないバンドステアリング、近隣AP検出など)を、AP共通設定にて定義します。

実際に、AT-TQ5403で使用するAP共通設定を作成します。

  1. AWCプラグインメニューから「無線設定」→「AP共通設定」をクリックします。
    「設定機能/AP共通設定一覧」画面が表示されます。


  2. 画面右上の「新規作成」ボタンをクリックします。
    「カントリーコードとAPシリーズと共通設定タイプの選択」ダイアログが表示されます。


  3. 「カントリーコード」を「JP - Japan」に設定します。
    現在ログインしているユーザーアカウントの「国コード」が「JP - 日本」に設定されている場合は、本ダイアログのカントリーコードがデフォルトで「JP - Japan」となります。

  4. 「シリーズ」を「TQ Series」に設定します。

  5. 「設定タイプ」を選択します。
    AP共通設定の設定タイプは、無線APのサポート機能によって分かれています。
    ここでは、AT-TQ5403に適合する「Tri[11ac Wave2]」を選択します。


  6. 「OK」ボタンをクリックします。
    「AP共通設定新規作成」画面が表示されます。


  7. 「共通設定」にて、AP共通設定の概要を設定します。


  8. 「AP本体」にて、無線APの動作機能を設定します。
    AP共通設定の設定タイプが「Dual[11ax]」、「Tri[11ac Wave2]」、「Tri[11ac Wave2 with External Antenna]」、「Dual[11ac Wave2]」の場合、AP共通設定を適用する無線APのログインユーザー名とパスワードを一括して設定することができます。
    AWCプラグインの管理下にあっても、従来通りに無線APのWeb設定画面にアクセスすることは可能です。
    初期アカウントを使用している場合、無線APのWeb設定画面に侵入されないよう、無線APの管理用アカウントのユーザー名、パスワードを変更します。
    Note
    事前に無線APのWeb設定画面から管理用アカウントの設定を変更したうえでAWCプラグインの管理下に登録することもできます。
    Note
    管理下APに対して共通設定と個別設定の両方でログインユーザー名とログインパスワードを設定している場合、個別設定での指定が反映されます。

    ユーザー設定を「有効」にします。「ログインユーザー名」と「ログインパスワード」を入力し、「ログインパスワード(確認)」に「ログインパスワード」と同じ文字列をもう一度入力します。
    使用できる文字は、機種によって異なります。


    「個別APユーザー設定」にて「無効」のチェックを入れると、個別設定にてログインユーザー名とログインパスワードを変更することを禁止することができますが、今回はチェックは入れず、個別設定できるままにします。

  9. 「タイムゾーン」にて、APに設定するタイムゾーンを選択します。
    今回は時刻表示をJST(日本標準時)に設定するため、ドロップダウンリストから「(UTC+09:00) Asia/Tokyo」を選択します。
    ドロップダウンリスト上部の検索フィールドに、「tokyo」など、上記のタイムゾーンの文字列の一部を入力して、ドロップダウンリストの表示候補を絞り込むこともできます。

  10. 「NTPクライアント」にて、NTPクライアント機能の有効、無効を選択します。
    後述のAWC(Autonomous Wave Control)機能を使用するためには、NTPクライアント機能が有効に設定されている必要があります。
    今回は、「NTPクライアント」を「有効」に設定します。
    追加で「NTPサーバー IPアドレス/ホスト名」が表示されますので、今回NTPサーバーとして動作させるPoE+スイッチのIPアドレス「192.168.1.1」を入力します。

  11. 「Syslogクライアント」にて、Syslogクライアント機能の有効、無効を選択します。
    無線APのログメッセージをSyslogサーバーに送信する場合は、この項目を有効に設定します。
    今回は「無効」を選択します。

  12. 「SNMPエージェント」にて、SNMPエージェント機能の有効、無効を選択します。
    SNMPマネージャーによる遠隔監視、設定を行う場合には、SNMPエージェント機能を有効に設定します。
    今回は「無効」を選択します。


  13. 「+詳細設定」をクリックすると、「MACアドレスリスト」、「LED」、「Web認証用仮想IPアドレス」の項目が表示されます。


  14. 「有線設定」にて、無線APの有線接続に関する設定を行います。
    AT-TQ5403にはLANポートが2系統備わっており、上位のスイッチと適切に設定することで、リンクアグリゲーション機能によりトランクグループを作成し、有線のアップリンクを増強することができます。

    表 1:AT-TQ5403 有線設定
    項目名
    設定値
    説明
    LAN 2 ポート
    無効
    AT-TQ5403/AT-TQm5403のLAN1/PoEポート、LAN2ポートのリンクアグリゲーションまたはカスケード設定を行います。

    • スタティックLAG:
      AT-TQ5403/AT-TQm5403のリンクアグリゲーション機能が有効になります。接続先のスイッチでは手動設定のトランクグループを設定する必要があります。

    • カスケード:
      カスケード機能が有効になり、LAN2ポートがカスケードポートとして使用できます。

    • 無効:
      リンクアグリゲーションまたはカスケード機能を使用しません。LAN2ポートは無効となり、LAN1/PoEポートのみでの接続を行います。
    Note
    AWC-SCでは、リンクアグリゲーションとの併用は未サポートです。

    今回はリンクアグリゲーションまたはカスケード機能を使用しません。「無効」が選択されていることを確認します。


  15. 「無線設定」にて、無線APの無線電波の出力に関する設定を行います。
    「設定タイプ」で選択した機器のタイプに応じて、無線1(2.4GHz帯)、無線2(5GHz帯 W52/W53)、無線3(5GHz帯 W56)を設定します。無線1、無線2、無線3の設定は画面上部の「無線1」ボタン、「無線2」ボタン、「無線3」ボタンで切り替えることができます。
    今回は、従業員用のセル型無線ネットワークを無線1で、スマートコネクトネットワークを無線2で提供するため、以下のように設定します。

    表 2:AT-TQ5403 無線設定
    項目名
    設定値
    説明
    無線1
    無線2
    無線3
    無線送信 有効 有効 無効 選択した周波数帯の無線電波を送受信するか否かを設定します。
    モード b/g/n a/n/ac   サポートするモード(通信プロトコル)です。
    使用帯域幅 40MHz 40MHz   使用する帯域幅です。IEEE 802.11ac、IEEE 802.11nでは、隣接する2つまたは4つのチャンネルを合わせ、40MHzまたは80MHz帯域幅のチャンネルとして使用できます。
    無線2の使用帯域幅設定はSC共通設定で指定された値で上書きされるためデフォルトの「20MHz」のままでも構いません。
    使用条件 常時 常時   無線機能を常に使用する場合は「常時」、緊急モードが有効のときのみ使用する場合は「緊急モードのみ」を指定します。
    緊急モードについては、「緊急モードの有効化」をご覧ください。
    無線クライアント間の通信遮断 無効 無効   同一のバーチャルアクセスポイント(VAP)に接続している無線クライアント同士の通信を許可するか否かを指定します。
    エアタイムフェアネス 無効 無効   通信スピードにかかわらず接続されているすべてのクライアントに同じ通信時間(エアタイム)を提供するか否かを指定します。
    自動チャンネル選択 すべて すべて   無線通信で使用するチャンネルを指定します。デフォルトはすべてが選択されています。
    最大クライアント接続数 200 200   接続可能なクライアント数を設定します。
    固定レート 11 Mbps 6 Mbps   IEEE 802.3マルチキャスト・ブロードキャストの固定送信レート(通信速度)を指定します。
    レガシーレートセット すべて すべて   通信プロトコルがIEEE 802.11b/g、IEEE 802.11aの場合のサポートさせたいレートを選択します。
    RTSしきい値 2347 2347   IEEE 802.11b、g、aによる通信において、送信しようとしているパケットがこのサイズよりも大きな場合に、パケットの送信前にRTS(送信要求)パケットを送信します。
    デフォルトの「2347」に設定すると、RTSパケットを送信しません。
    バンドステアリング
    無効
    無効
      2.4GHz・5GHz帯の両方をサポートしている無線クライアントに対して、5GHz帯への接続を優先するよう促し、2.4GHz帯の混雑緩和を試みる、バンドステアリングの有効、無効を選択します。
    Note
    チャンネルブランケットまたはスマートコネクトを使用する場合は、バンドステアリングは併用できません。
    Wi-Fiマルチメディア
    (WMM)
    有効
    有効
      Wi-Fiマルチメディア(WMM)の有効、無効を選択します。
    Wi-Fiマルチメディアを有効にすると、アクセスポイントのビーコンにWMM情報を含めます。これにより、映像、音声などのストリーミングやVoIP通信のフレーム送信間隔を短くし、通信品質を保つことができます。
    APSD
    有効
    有効
      APSD(Automatic Power Save Delivery)の有効、無効を選択します。
    APSDを有効にすると、モバイル端末(VoIP)の消費電力を抑え、通話時間を延ばすことができます。モバイル端末側でもAPSD(U-APSD)に対応している必要があります。
    近隣AP検出
    有効
    無効
      該当の無線バンドにおける近隣APの検出の有効、無効を選択します。
    近隣AP検出を有効にすると、近くで同じ無線バンドを使用しているAWCプラグイン管理下/管理外の無線APの電波を検出し、侵入検知/防御やAWC計算に反映します。
    無効に設定すると、これらの機能が正常に動作しない場合があります。
    また、AWC-SCを使用する無線バンドでは、近隣AP検出を無効に設定します。


    ■ 無線1


    ■ 無線2


    ■ 無線3


  16. 「VAP(マルチSSID)設定」にて、VAPの設定を行います。

    AP共通設定とともにSC共通設定を適用する際、AP共通設定のみ、または、SC共通設定のみに存在する設定項目は、それぞれそのまま本体のコンフィグに反映されます。AP共通設定とSC共通設定に重複する設定項目は、SC共通設定による構成が優先され、本体のコンフィグに反映されます。
    今回の構成では、無線1のVAP 1にセル型ネットワーク「ForStaff」の設定を行います。
    Note
    AP共通設定上のVAP1のVAPステータスは「無効」に設定することはできませんので、通常はこのままAP共通設定を管理下APに適用してしまうと、デフォルトのSSID「Default-1」がセキュリティー設定なしで公開されてしまいます。
    セル型VAPを構築して、スマートコネクトを使用しない無線APと共通のAP共通設定を適用しようとしている場合は、SC共通設定によって上書きされるVAPに対して、セキュリティーを適用したダミーのVAPを作成しておくことをお勧めします。
    Note
    AWC-SCを使用する無線バンドでは、他のVAPは自動的に無効に設定されます。

    表 3:AT-TQ5403 VAP設定
    項目名
    設定値
    説明
    無線1 VAP1
    VAPステータス 有効 VAPの有効、無効を設定します。
    VLAN ID 100 該当のVAPが使用するVLAN IDを1~4094の数字で入力します。(必須)
    SSID ForStaff 該当のVAPが使用するSSID(ネットワーク名)です。
    ブロードキャスト 有効 該当のVAPでSSID(ネットワーク名)をブロードキャストするか否かです。
    セキュリティ WPA Personal 該当するVAPのセキュリティーです。
    セキュリティーキー(WPA-PSK) 5+@f/=0N1y 暗号キーを設定します。
    WPAバージョン WPA2 使用するWPA のバージョンです。
    暗号化プロトコル CCMP 使用する暗号化プロトコルです。
    管理フレーム保護 利用可能 管理フレームを保護するか否かを指定します。
    ブロードキャストキー更新間隔 0 VAPに接続している無線クライアントに送信するブロードキャストパケットのキーの更新間隔です。「0」はキーを更新しません。
    Web認証 無効 該当のVAPに対してWeb認証を適用するか否かです。
    MACアクセス制御 無効 該当のVAPに対してMACアクセス制御を適用する際の方式、または無効を指定します。
    エリア認証 無効 エリア認証を使用するか否かを設定します。
    高速ローミング 無効 無線クライアントのローミングを高速に行うか否かの設定を行います。
    無応答端末切断タイマー 300 無線APに対し通知が行われずにいなくなった無線クライアントを切断するまでの時間を指定します。
    多重接続要求 切断する 接続状態を保持している端末からの接続要求に対する処理の方法を選択します。
    ローミング通知 無効 ローミング通知を行うか否かを設定します。
    DTIM間隔 1 アクセスポイントが送信するビーコンに、DTIM(Delivery Traffic Information Map)を挿入する割合を設定します。
    Proxy ARP
    無効
    Note
    本バージョンでは未サポートです。有効にしないでください。
    Hotspot 2.0 無効 Passpoint(Hotspot 2.0)機能を使用するか否かを選択します。


    ■ 無線1


  17. 画面右上の「追加」ボタンをクリックします。
    AP共通設定「TQ5403AP」の設定内容が表示されます。



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