[index] CentreCOM AR415S コマンドリファレンス 2.9

VLAN/概要・基本設定


  - スイッチポートとVLAN
  - デフォルトVLAN
  - ポートVLAN
  - タグVLAN
  - 上位層とのインターフェース


VLAN(バーチャルLAN)とは、管理者の設定によって論理的にブロードキャストドメインを分割する機能です。本製品のLAN側スイッチは、ポートVLANとタグVLAN(802.1Q)に対応しており、任意のグループ分けが可能です。

Note - VLAN機能は、LAN側スイッチポートでのみ使用できます。WAN側EthernetインターフェースをVLANに参加させることはできません。

 

スイッチポートとVLAN

スイッチポートのVLAN設定には、次のルールが適用されます。


ポートが複数のVLANに所属している場合、受信フレームの所属先は次の基準にしたがって決定されます。各VLANの所属ポートはSHOW VLAN コマンドで確認できます。


 

デフォルトVLAN

ご購入時の状態では、すべてのLAN側スイッチポートがVLAN default(VID=1)にタグなしポート(Untagged Port)として所属しており、スイッチポート間の通信(スイッチング)が可能になっています。


この状態では、本製品はeth0、vlan1という2つのEthernetインターフェースを持つルーター(vlan1は4ポートスイッチ付き)として機能します。

複数のVLANを必要としない場合は、ご購入時の状態のまま、VLANの設定を意識することなく本製品を使用できます。この場合は、LAN側スイッチ全体を、「vlan1」という名前のデータリンク層インターフェースとして使用します。vlan1インターフェースは、Ethernetインターフェース(eth0、eth1)とほぼ同じように扱えます。

複数のVLANを使用したいときやVLANタグを使用したいときは、明示的にVLANの設定をする必要があります。以下、VLANの設定方法について説明します。

 

ポートVLAN

ポートVLANは、ポート単位でVLANの範囲を設定するもっとも基本的なVLANです。ポート1〜2はVLAN A、ポート3〜4はVLAN B、といったように設定します。

純粋なポートVLAN(タグなしポートだけで構成されたVLAN)の場合、1つのポートは1つのVLANにしか所属できません。特定のポートを複数のVLANに所属させたい場合は、次節で説明するタグVLANを利用してください。

  1. 新規にVLANを作成するにはCREATE VLANコマンドを使います。VLAN作成時には、VLAN名とVLAN ID(VID)を割り当てる必要があります。VLAN名は任意の文字列(ただし、数字だけの文字列と「default」、「ALL」は使用できません)、VIDは2〜4094の範囲の任意の数値です(1はVLAN defaultのために予約済みです)。2つのVLAN、A(VID=10)、B(VID=20)を作成するには次のようにします。


    Note - VLAN名は大文字小文字を区別しません。

    これ以降、VLAN名を指定するときはVLAN名、VIDのどちらを使ってもかまいません。ここではおもにVLAN名を使います。

  2. VLANを作成したら、ADD VLAN PORTコマンドでVLANにポートを割り当てます。ここでは、VLAN Aにポート1〜2を、VLAN Bにポート3〜4を割り当てます。


    このようにしてポートをVLAN default以外のVLANに割り当てると、そのポートは自動的にVLAN defaultから削除されます。すなわち、上記の設定を終えるとVLAN defaultには所属ポートが1つもない状態になります。


これによりLAN側スイッチポートは、VLAN A(vlan10)、VLAN B(vlan20)という2つのグループに分割されます。この状態では、本製品はeth0、vlan10、vlan20という3つのEthernetインターフェースを持つルーター(vlan10、vlan20はどちらも2ポートのスイッチ付き)として機能します。

VLAN AとVLAN Bは、eth0がそうであるのと同じように完全に独立しており、このままでは互いに通信することができません。ルーティングの設定することで、初めて通信できるようになります。

■ VLANの情報を確認するには、SHOW VLANコマンドを使います。


■ VLANからポートを削除するには、DELETE VLAN PORTコマンドを使います。たとえば、ポート2をVLAN Aから削除するには、次のようにします。VLAN default以外のVLANから削除されたポートは、自動的にVLAN defaultの所属に戻ります。


■ VLAN default以外のVLANに所属しているポートを、別のVLAN default以外のVLANに移動するには、いったんDELETE VLAN PORTコマンドでVLAN defaultの所属に戻してから、ADD VLAN PORTコマンドで希望するVLANに追加します。たとえば、ポート3をVLAN AからVLAN Bに移動するには、次のようにします。


■ VLANを削除するには、DESTROY VLANコマンドを使います。VLANの削除は、所属ポートをすべて削除してからでないと行えません。VLAN Bを削除するには、次のようにします。


Note - VLAN defaultは削除できません。

 

タグVLAN

純粋なポートVLANでは、各ポートを1つのVLANにしか所属されられませんが、タグVLAN(802.1Q)を使用すると、1つのポートを複数のVLANに所属させることができます。タグVLANは、複数のVLANを複数の機器にまたがって作成したい場合や、QoS(802.1p)を利用したい場合に利用します。

Note - タグVLANを使用する場合、接続先機器もタグVLAN(802.1Q)に対応している必要があります。

Note - 802.1X認証のAuthenticatorポートとMACベース認証ポートをタグ付きに設定することはできません。

Note - QoS(802.1p)については、「インターフェース」の章の「概要」→「物理インターフェース」→「スイッチポート」→「QoS(802.1p)」をご覧ください。

スイッチポートのVLAN設定ルールを再掲します。


次に例を示します。ここでは、VLANタグを利用して、本製品とタグVLAN対応L2スイッチ(以下、L2スイッチ)の2台にまたがるVLANを作成します。


この構成では、ポート4をVLAN A(VID=10)とVLAN B(VID=20)にタグ付きポートとして所属させ、本製品とL2スイッチの間を、両VLANのトラフィックがタグ付きで流れるようにします。

以下、本製品の設定を示します。L2スイッチの設定については、製品付属のマニュアルをご参照ください。

  1. VLAN A、Bを作成します。タグVLANでは、VLANタグにVLAN IDの値を格納するため、VLAN IDは必ずすべての機器で同じ設定にしてください。なお、VLAN名は機器ごとに異なっていてもかまいませんが、混乱を避けるため通常は同じにします。


  2. VLAN Aにポートを追加します。ポート1はタグを使わない通常のポートに設定し、ポート4はタグを使用するポートとして設定します。VLANにタグ付きポートを追加するときは、ADD VLAN PORTコマンドのFRAMEパラメーターにTAGGEDを指定します。FRAMEパラメーターを付けなかったときはタグなし(UNTAGGED)となります。


  3. VLAN Bにポートを追加します。ポート2〜3はタグを使わない通常のポートに設定し、ポート4はタグを使用するポートとして設定します。



以上で設定は完了です。

これにより、ポート1〜4から送受信されるフレームは次のようになります。

表 1
ポート1 送信 ポート1から送信するフレームはVLAN A宛てのタグなしフレーム。
受信 ポート1で受信したタグなしフレームはVLAN A(VID=10)所属とみなされる。
ポート2〜3 送信 ポート2〜3から送信するフレームはVLAN B宛てのタグなしフレーム。
受信 ポート2〜3で受信したタグなしフレームはVLAN B(VID=20)所属とみなされる。
ポート4 送信 ポート4から送信するフレームは、VLAN A宛てならVID=10のタグ付きで、VLAN B宛てならVID=20のタグ付きで送信される。
受信 ポート4ではVLAN A、B両方のトラフィック(タグ付き)を受信する。受信フレームのタグに格納されているVIDが10ならVLAN A、VIDが20ならVLAN Bのトラフィックであると判断する。


■ 複数のスイッチにまたがるVLANを作成する場合は、各機器で同じVLAN IDを設定するようにしてください。一方、VLAN名は個々の機器でしか意味を持たないので、異なっていてもかまいません(ただし、混乱を防ぐ意味では同じ名前を付けた方がよいでしょう)。

■ 上記の設定では、ポート4はVLAN defaultにも(タグなしポートとして)所属したままになっています。他にもVLAN default所属のポートがあってトラフィックが流れている場合、ポート4にもVLAN defaultのブロードキャストパケットが送出されます。これが望ましくない場合は、DELETE VLAN PORTコマンドを使って、ポート4をVLAN defaultから削除します。


 

上位層とのインターフェース

VLANインターフェースは、EthernetやPPPと並ぶ第2層(データリンク層)インターフェースとして扱われ、上位にIPやIPv6等の第3層(ネットワーク層)インターフェースを作成できます。

上位層の設定でVLANインターフェースを指定するときは、2とおりの方法があります。IPやIPv6のコマンドでVLANインターフェースを指定するときは、どちらの方法を使ってもかまいません。


■ VLANインターフェース上にIPインターフェースを作成するには、ADD IP INTERFACEコマンドを使います。


■ VLANインターフェース上にIPv6インターフェースを作成するには、ADD IPV6 INTERFACEコマンドでアドレスを明示的に割り当てるか、CREATE IPV6 INTERFACEコマンドでリンクローカルアドレスを自動設定します。

グローバルアドレスやサイトローカルアドレスを明示的に割り当てるときは、ADD IPV6 INTERFACEコマンドを使います。リンクローカルアドレスがまだ割り当てられていない場合は、同時に自動設定されます。


リンクローカルアドレスだけで運用する場合は、CREATE IPV6 INTERFACEコマンドを使います。この場合、アドレス自動設定の手順にしたがいリンクローカルアドレスが設定されます。








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