[index] CentreCOM AR550S コマンドリファレンス 2.9

IP/Pingポーリング


  - 基本設定
  - 機器の状態
  - トリガー
  - ログ


Pingポーリングは、監視対象機器にPingパケットを定期送信し、通信が可能かどうか(到達可能かどうか)を監視する機能です。トリガー機能と組み合わせることで、柔軟なネットワーク構成が可能になります。

 

基本設定

Pingポーリングの基本的な使用方法について説明します。

ここでは、IPアドレス「10.1.2.3」の機器を監視するものとします。トリガー機能を用いて、到達性が失われたときにスクリプト「pingdown.scp」が、到達性が回復したときにはスクリプト「pingup.scp」が実行されるよう設定します。

なお、IPの設定までは完了しているものとします。

  1. ADD PING POLLコマンドで監視対象機器を指定します。POLLには、識別子として1〜500の数値を指定します。本コマンド実行直後はポーリングが停止(無効)状態になっているため、すぐにはポーリングが行われません。実際にポーリングを開始するには、トリガーの設定などをすませた後、ENABLE PING POLLコマンドを実行する必要があります。


  2. トリガー機能を有効にします。


  3. 対象機器への到達性が失われたときには、PINGモジュールのDEVICEDOWNイベントが発生します。これを捕捉するモジュールトリガー「1」を作成します。POLLには、手順1で指定したPingポーリングの識別子を指定します。


    本製品は、10.1.2.3へのPingに5回連続して応答がなかったときに到達性が失われたと判断し、DEVICEDOWNイベントを発生します。到達性喪失の判断条件は、ADD PING POLLコマンド、SET PING POLLコマンドのFAILCOUNT、SAMPLESIZEパラメーターで調整可能です。詳しくは次節「機器の状態」、および、各コマンドの解説をご覧ください。

  4. 対象機器への到達性が復旧したときには、PINGモジュールのDEVICEUPイベントが発生します。これを捕捉するモジュールトリガー「2」を作成します。POLLには、手順1で指定したPingポーリングの識別子を指定します。


    本製品は、いったん到達性が失われたと判断した後、10.1.2.3へのPingに30回連続で応答があったとき、到達性が回復したと判断し、DEVICEUPイベントを発生します。到達性回復の判断条件は、ADD PING POLLコマンド、SET PING POLLコマンドのUPCOUNTパラメーターで調整可能です。詳しくは次節「機器の状態」、および、各コマンドの解説をご覧ください。

  5. Pingポーリングを開始します。


■ Pingポーリングの設定は、SHOW PING POLLコマンドで確認します。


■ トリガーの設定は、SHOW TRIGGERコマンドで確認します。


■ Pingポーリングのカウンターは、SHOW PING POLLコマンドのCOUNTERオプションで確認します。


■ Pingポーリングを最初からやりなおすには、RESET PING POLLコマンドを実行します。本コマンドを実行すると、カウンターが初期化され、対象機器の状態が「Up」に戻ります。


Note - 本コマンドの実行により機器の状態が「Down」「Critical Down」から「Up」に戻っても、DEVICEUPイベントは発生しません。

■ Pingポーリングを一時停止するには、DISABLE PING POLLコマンドを使います。


■ Pingポーリングを再開するには、ENABLE PING POLLコマンドを使います。


■ Pingポーリングの設定を削除するには、DELETE PING POLLコマンドを使います。


■ Pingポーリングの実行中であっても、PINGコマンド、TRACEコマンドは問題なく使用できます。

 

機器の状態

Pingポーリングでは、監視対象機器の状態を次の4つに分類しています。初期状態は「Up」です。

Pingパケットの送信間隔(ポーリング間隔)にはNORMALINTERVALとCRITICALINTERVALの2種類があり、機器の状態によって使い分けられます。

表 1:機器の状態
状態
条件
ポーリング間隔
Up 直前のSAMPLESIZE回(デフォルト5回)のPingに対して、すべて応答があった状態(無応答が1回もない状態)。Pingポーリング開始時の初期状態です NORMALINTERVAL(デフォルト30秒)
Critical Up 直前のSAMPLESIZE回(デフォルト5回)のPingに対して、1回以上、FAILCOUNT回(デフォルト5回)未満の無応答があった状態 CRITICALINTERVAL(デフォルト1秒)
Down (Down状態への遷移後)直前のPingに応答がなかった状態 CRITICALINTERVAL(デフォルト1秒)
Critical Down (Down状態への遷移後)直前のPingに応答があった状態 CRITICALINTERVAL(デフォルト1秒)



これら状態間での遷移は次のときに発生します。

表 2:機器の状態遷移
遷移前の状態
図中の番号
遷移条件
遷移後の状態
Up 1 直前のPingに応答がなかった Critical Up
Critical Up 2a 直前のSAMPLESIZE回(デフォルト5回)のPingに対して、FAILCOUNT回(デフォルト5回)の無応答があった Down
2b 直前のSAMPLESIZE回(デフォルト5回)のPingに対して、すべて応答があった Up
Down 3 直前のPingに応答があった Critical Down
Critical Down 4a 直前のUPCOUNT回(デフォルト30回)のPingに対して、すべて応答があった Up
4b 直前のPingに応答がなかった Down


 

トリガー

Pingポーリングは、トリガーと併用することを想定した機能です。

トリガーを使用すると、監視対象機器への到達性喪失時と到達性回復時に任意のスクリプトを実行させることができます。

到達性の喪失と回復は、PINGモジュール固有のモジュールトリガーを使って捕捉します。

CREATE TRIGGER MODULEコマンド、SET TRIGGER MODULEコマンドに、PINGモジュール固有のパラメーターを加えたコマンド構文は次のようになります。



POLLパラメーターには、監視対象機器のPingポーリングID(ADD PING POLLコマンドのPOLLパラメーターに指定した番号)を指定します。また、EVENTパラメーターには、DEVICEDOWN(到達性喪失)かDEVICEUP(到達性回復)のいずれかを指定します。

このトリガーは、POLLパラメーターで指定したIDを持つ監視対象機器への到達性が失われるか(EVENT=DEVICEDOWNのとき)、回復するか(EVENT=DEVICEUPのとき)したときに起動されます。

トリガーから実行されるスクリプトには、特殊な引数として%D(日付)、%T(時刻)、%N(システム名)、%S(シリアル番号)が渡されます。また、引数%1としてPingポーリングIDも渡されます。

Note - DEVICEUPイベントは、Pingポーリングの状態がいったん「Down」にならないと発生しません。

次にトリガーの例を示します。

■ Pingポーリング「1」によって監視対象機器への到達性喪失を検出したら、スクリプト「pingdown.scp」を実行するモジュールトリガー「1」を作成します。


 

ログ

Pingポーリングによって検出された監視対象機器への到達性喪失と回復は、ログにも記録されます。ログレベルは3(INFO)、モジュールはPING(58)です。

■ Pingポーリングのログを表示するには、SHOW LOGコマンドを使います。SHOW LOGコマンドでは他のログメッセージも表示されますが、「MODULE=PING」を指定すればPINGモジュールのログだけを見ることができます。









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