[index] CentreCOM AR740 コマンドリファレンス 2.6

IPX/概要・基本設定


  - IPXルーターとしての基本設定
   - ローカルルーター
   - リモートルーター
    - 交換回線によるPPPダイヤルオンデマンド接続(BRI→ISDN→PPP)
    - 専用回線によるPPP常時接続(BRI→TDM→PPP)
    - フレームリレーによる接続(BRI→TDM→FR)
  - IPX用Ping


IPX(Internet Packet eXchange)はNovell NetWareが使用するネットワークプロトコルです。

 

IPXルーターとしての基本設定

本製品をIPXルーターとして使用するために最低限必要な設定について説明します。

IPXルーターとして機能させるためには、少なくとも2つのIPXインターフェース(コマンドでは「IPXサーキット」と呼んでいます)が必要です。そのためには、データリンク層インターフェース(eth、ppp、frなど)をセットアップし、各インターフェースにIPXネットワーク番号を割り当てる必要があります。

 

ローカルルーター

最初に、Ethernet上で複数のIPXネットワークを接続するローカルルーターとしての設定例を示します。他のデータリンク層インターフェース(ppp、fr)とは異なり、Ethernetインターフェース(eth)は特別な設定を行うことなく使用できます。

Note - Ethernetは物理層からデータリンク層までをカバーする規格です。

ここでは、次のような構成のネットワークを例に、IPXローカルルーターとしての基本設定手順を示します。

EthernetフレームにIPXパケットを載せる(カプセル化する)場合は、4種類のフォーマット(フレームタイプ)があります。そのため、Ethernetインターフェース上にIPXインターフェースを作成するときは、どのフレームタイプを使用するかを指定する必要があります。サーバー等が使用しているフレームタイプをご確認のうえ設定してください。

Note - 同一Ethernetセグメントであっても、フレームタイプが異なれば別のネットワークであると見なすことができます。そのため、1つのEthernetインターフェース上には、フレームタイプの異なる4つのIPXネットワークを設定することができます。


ルーターの設定

  1. IPXモジュールを有効にします。


  2. 各インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。ENCAPSULATIONにはサーバーが使用しているフレームタイプを指定します。また、IPXネットワーク番号を重複しないように割り振る必要があります。


IPXでは、経路情報やサーバー(サービス)情報は、RIP(Routing Information Protocol)とSAP(Service Advertisement Protocol)によって、定期的にブロードキャストされます。そのため、通常スタティックな経路設定は必要ありません。

 

リモートルーター

次に、WAN回線を介して離れた場所にあるIPXネットワーク同士を接続するIPXリモートルーターとしての設定例を示します。

通常、IPXリモートルーターはローカルLANを接続するLAN側(Ethernet)インターフェースと、WAN回線経由でリモートLANに接続するWAN側(pppやfr)インターフェースを最低1つずつ持ちます。

LAN側インターフェースはEthernetなので、特別な設定を行うことなくデータリンク層インターフェースとして使用できます。

一方、WAN側インターフェースは物理層とデータリンク層の組み合わせが多岐にわたるため、さまざまな設定が考えられます。

ここでは、代表的な例として以下の構成におけるIPXリモートルーターの基本設定について解説します。なお、ここでは簡単な説明にとどめますので、各回線上での詳細な設定方法については、それぞれ該当する章をご覧ください。また、具体例については「設定例集」もご参照ください。


 

交換回線によるPPPダイヤルオンデマンド接続(BRI→ISDN→PPP)

ISDNやアナログ公衆網のような交換回線を使う場合は、必要なときに発呼して対向拠点と接続し、無通信状態が一定期間続いたら回線を切断するダイヤルオンデマンド接続が適しています。

ダイヤルオンデマンドを使用する場合は、次の2つの設定がポイントになります。


ここでは、次のような構成を例に解説します。


ルーターAの設定
  1. 物理層(BRI、ISDN)をセットアップします。


  2. データリンク層(PPP)の設定を行います。「IDLE=ON」でダイヤルオンデマンドを有効にするのを忘れないよう注意してください。また、相手ルーターのPPPユーザーアカウントも登録します。


  3. IPXモジュールを有効にします。


  4. LAN側(eth0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。NETWORKパラメーターでネットワーク番号を指定します。また、使用するフレームタイプをENCAPSULATIONパラメーターで指定してください。


  5. WAN側(ppp0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。「DEMAND=ON」を指定して、RIP/SAPパケットの定期交換が行われないように設定してください。


  6. 対向ネットワークへの経路をスタティックに登録します。RIP/SAPの定期交換を行わないよう設定しているため、この設定は必須です。


  7. 対向ネットワークに存在するサーバーへの経路と、サーバーが提供しているサービスの情報をスタティックに登録します。RIP/SAPの定期交換を行わないよう設定しているため、この設定は必須です。


ルーターBの設定
  1. 物理層(BRI、ISDN)をセットアップします。


  2. データリンク層(PPP)の設定を行います。「IDLE=ON」でダイヤルオンデマンドを有効にするのを忘れないよう注意してください。また、相手ルーターのPPPユーザーアカウントも登録します。


  3. IPXモジュールを有効にします。


  4. LAN側(eth0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。NETWORKパラメーターでネットワーク番号を指定します。また、使用するフレームタイプをENCAPSULATIONパラメーターで指定してください。


  5. WAN側(ppp0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。「DEMAND=ON」を指定して、RIP/SAPパケットの定期交換が行われないように設定してください。


  6. 対向ネットワークへの経路をスタティックに登録します。RIP/SAPの定期交換を行わないよう設定しているため、この設定は必須です。


  7. 対向ネットワークに存在するサーバーへの経路と、サーバーが提供しているサービスの情報をスタティックに登録します。RIP/SAPの定期交換を行わないよう設定しているため、この設定は必須です。


 

専用回線によるPPP常時接続(BRI→TDM→PPP)

専用線のような常時接続回線におけるIPXリモートルーターの設定例を示します。経路情報、サービス情報はRIP/SAPを使って自動通知させるため、通常はスタティックな経路情報登録は必要ありません。

ここでは、次のような構成を例に解説します。


ルーターAの設定
  1. 物理層(BRI、TDM)をセットアップします。


  2. データリンク層(PPP)の設定を行います。専用回線なのでPPPのユーザー認証は省略しています。


  3. IPXモジュールを有効にします。


  4. LAN側(eth0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。NETWORKパラメーターでネットワーク番号を指定します。また、使用するフレームタイプをENCAPSULATIONパラメーターで指定してください。


  5. WAN側(ppp0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。


ルーターBの設定
  1. 物理層(BRI、TDM)をセットアップします。


  2. データリンク層(PPP)の設定を行います。専用回線なのでPPPのユーザー認証は省略しています。


  3. IPXモジュールを有効にします。


  4. LAN側(eth0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。NETWORKパラメーターでネットワーク番号を指定します。また、使用するフレームタイプをENCAPSULATIONパラメーターで指定してください。


  5. WAN側(ppp0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。


 

フレームリレーによる接続(BRI→TDM→FR)

フレームリレー網を利用したIPXリモートルーターの設定例を示します。経路情報、サービス情報はRIP/SAPを使って自動通知させるため、通常はスタティックな経路情報登録は必要ありません。

ここでは、次のような構成を例に解説します。


ルーターAの設定
  1. 物理層(BRI、TDM)をセットアップします。フレームリレー接続時の物理層設定は専用線接続と同じです。


  2. データリンク層(FR)の設定を行います。「RESET FR=0」はLMIの設定を有効にするためのものです。


  3. IPXモジュールを有効にします。


  4. LAN側(eth0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。NETWORKパラメーターでネットワーク番号を指定します。また、使用するフレームタイプをENCAPSULATIONパラメーターで指定してください。


  5. WAN側(fr0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。フレームリレーインターフェースの場合は、対向拠点に通じる論理パスのDLCIも指定してください。


    Note - 従量制フレームリレーサービスをご契約の場合は、「DEMAND=ON」を指定してRIP/SAPの定期交換をオフにしてください。また、ADD IPX ROUTEコマンド、ADD IPX CIRCUITコマンドを使って、経路情報、サービス情報をスタティック登録してください。具体例は「交換回線によるPPPダイヤルオンデマンド接続」をご覧ください。

ルーターBの設定
  1. 物理層(BRI、TDM)をセットアップします。フレームリレー接続時の物理層設定は専用線接続と同じです。


  2. データリンク層(FR)の設定を行います。「RESET FR=0」はLMIの設定を有効にするためのものです。


  3. IPXモジュールを有効にします。


  4. LAN側(eth0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。NETWORKパラメーターでネットワーク番号を指定します。また、使用するフレームタイプをENCAPSULATIONパラメーターで指定してください。


  5. WAN側(fr0)インターフェース上にIPXインターフェースを作成します。フレームリレーインターフェースの場合は、対向拠点に通じる論理パスのDLCIも指定してください。


    Note - 従量制フレームリレーサービスをご契約の場合は、「DEMAND=ON」を指定してRIP/SAPの定期交換をオフにしてください。また、ADD IPX ROUTEコマンド、ADD IPX CIRCUITコマンドを使って、経路情報、サービス情報をスタティック登録してください。具体例は「交換回線によるPPPダイヤルオンデマンド接続」をご覧ください。

 

IPX用Ping

本製品のPINGコマンドは、IPだけでなくIPX、AppleTalkにも対応しています。IPXステーションにPingを打つには次のようにします。









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