[index] CentreCOM 8316XL/8324XL コマンドリファレンス 2.7

運用・管理/記憶装置とファイルシステム


  - 物理デバイス
   - NVS
   - フラッシュメモリー
  - ファイルシステム
   - ファイル名
    - 長いファイル名
   - ワイルドカード
   - ファイルの操作


本製品の2次記憶装置とファイルシステムについて説明します。

 

物理デバイス

本製品は、システム再起動後もデータが保持される2次記憶装置として、NVS(Non-Volatile Storage)とフラッシュメモリーを搭載しています。

NVSとフラッシュメモリー上には独自のファイルシステムが構築されており、ファイル単位でデータにアクセスすることが可能です。詳しくは次節「ファイルシステム」をご覧ください。

 

NVS

NVS(Non-Volatile Storage:バッテリーバックアップされたCMOSメモリー)は小容量の記憶装置で、モジュールのコンフィグレーションテーブルや、パッチファイル、スクリプトファイルなどを保存できます。コマンド上での名称は「nvs」です。

■ NVSのブロック情報を確認するにはSHOW NVSコマンドを使います。


■ NVSの空き状況などはSHOW NVS FREEコマンドで確認できます。


Note - NVSには、ログなどのメッセージを保存することができますが、NVSの空き容量によっては、設定した最大数までメッセージを保存できないことがあります。

 

フラッシュメモリー

フラッシュメモリーは(NVSに比べて)大容量の記憶装置で、ファームウェア(リリース)ファイル、パッチファイル、設定スクリプトファイルなどを保存するために使います。

フラッシュメモリーは一般的なコンピューターのハードディスクに相当する記憶装置です。通常のファイル操作はこのメモリーに対して行います。後述するファイルの操作では、デバイス名を省略するとフラッシュメモリー上のファイルに対する操作となります。コマンド上での名称は「flash」です。多くのコマンドでは、デバイス名の指定を省略すると、フラッシュメモリーを指定したことになります。

■ フラッシュメモリー上のファイルシステムに関する情報はSHOW FLASHコマンドで確認できます。


■ フラッシュメモリーの物理情報を確認するにはSHOW FLASH PHYSICALコマンドを使います。


■ フラッシュメモリーのコンパクション(メモリー上のゴミ削除)を行うにはACTIVATE FLASH COMPACTIONコマンドを使います。コンパクションは実行に数十秒を要します。「Flash compaction successfully completed.」というメッセージが表示されるまで、システムを再起動したり、ファイル作成、編集、リネーム、削除などの操作を行ったりしないでください。


Note - コンパクション実行中は、絶対にシステムの再起動やフラッシュメモリーに対する操作(ファイル作成、編集、リネーム、削除など)を行わないでください。

コンパクションは必要に応じて自動実行されるため、通常運用ではこのコマンドを実行する必要はありませんが、空き容量が足りているように見えるにもかかわらずファイルをダウンロードできないといった状況では、本コマンドの実行により解決する可能性があります。このような状況は、ファームウェアなどサイズの大きいファイルを削除した直後に起こります。

 

ファイルシステム

本製品では、NVSとフラッシュメモリー上にファイルシステムが構築されており、物理デバイス上のデータを「ファイル」としてアクセスすることが可能です。このとき、物理デバイスの違いを意識する必要はありません。


 

ファイル名

ファイル名は次の形式で表されます。


表 1
device デバイス名。flash(フラッシュメモリー)、nvs(NVS)のいずれか。大文字・小文字の区別はありません。省略時はflashを指定したことになります
filename ファイル名(ベース名)。文字数は1〜28文字。ただし、8文字を超える場合は特殊な扱いを受けます(「長いファイル名」を参照)。半角英数字とハイフン(-)が使えます。大文字・小文字の区別はありません。
ext 拡張子。ファイル名には必ず拡張子をつける必要があります。文字数は1〜3文字。半角英数字とハイフン(-)が使えます。大文字・小文字の区別はありません。


次におもな拡張子の一覧を示します。

表 2
拡張子
ファイルタイプ
rez 圧縮形式のファームウェア(リリース)ファイル
paz 圧縮形式のパッチファイル。システムが起動するときに、ファームウェアに対して動的に適用されます
cfg 設定スクリプトファイル。システムの設定情報を保存します。scpとの間に明確な区別はありませんが、慣例として設定内容を保存するスクリプトにはcfgを使います。
scp 実行スクリプトファイル。cfgとの間に明確な区別はありませんが、慣例としてトリガースクリプトやバッチファイル的なスクリプトにはscpを使います。
hlp オンラインヘルプファイル。SET HELPコマンドで設定し、HELPコマンドで閲覧します
lic ライセンスファイル。ファームウェア(リリース)や追加機能(フィーチャー)のライセンス情報を格納しているファイルです。絶対に削除しないでください。
ins 起動時に読み込むファームウェアや設定ファイルの情報を格納しているファイルです。削除しないようご注意ください。
dhc DHCPサーバーの設定情報ファイルです。DHCPサーバーに関する設定を行うと自動的に作成されます。
exc 例外発生ログファイル
txt プレーンテキストファイル


以下のファイルは特殊な役割を持ちます。他のファイルも同様ですが、ファイルの取り扱い(削除、リネームなど)にはご注意ください。

表 3
ファイル名
役割
boot.cfg デフォルトの起動スクリプトファイル。SET CONFIGコマンドで起動スクリプトが設定されていない(none)ときは、本ファイルが存在していれば起動時に自動実行されます。起動スクリプトが設定されている場合は、設定されているファイルが実行されます。
config.ins 起動時に読み込む設定スクリプト(起動スクリプト)ファイルの情報を保存しているファイル。SET CONFIGコマンドを実行すると作成(上書き)されます。削除しないようご注意ください。
prefer.ins 起動時にロードするファームウェアファイルの情報を保存しています。削除しないようご注意ください。
enabled.sec セキュリティーモードへの移行時に自動作成されるファイル。システムに対し、起動時にセキュリティーモードへ移行すべきことを示すファイルです。
release.lic リリースライセンスファイル。ファームウェア(リリース)のライセンス情報を持つファイルです。削除しないようご注意ください。
feature.lic フィーチャーライセンスファイル。追加機能(フィーチャー)のライセンス情報を持つファイルです。削除しないようご注意ください。
longname.lfn 短いファイル名(8.3形式)と長いファイル名(28.3形式)の対応を保持しています。ファイル名(ベース名)部分が8文字を超えるファイルを作成すると自動的に作成され、以後自動的に更新されます。削除しないようご注意ください。
login.txt Welcomeメッセージ(ログインバナー)ファイル。本ファイルが存在している場合、ログインプロンプトの前に本ファイルの内容が表示されます。
autoexec.scp Userログイン時自動実行スクリプトファイル。本ファイルが存在している場合、Userレベルのユーザーがログインした直後に本ファイルの内容が自動的に実行されます。Managerレベル、Security Officerレベルのユーザーがログインしたときには実行されません。



 

長いファイル名

ファイル名(ベース名)部分(以下、filename)が8文字を超えるファイルは、長い名前(28.3形式)と短い名前(8.3形式)の2つの名前を持ちます。短い名前は、長い名前を一定の基準にしたがって切りつめたものです。長い名前のファイルを作成すると、短い名前が自動的に生成されます。次に一例を示します。


Note - 名前の切りつめは、既存のファイルと名前が重複しないよう考慮して行われます。そのため、あるファイル名(長い名前)から、常に同じ名前(短い名前)が導き出されるわけではありません。

ファイルシステムに保存されるのは短い名前で、長い名前は特殊なファイルlongname.lfnに保存されます。longname.lfnは、filename部分が8文字を超えるファイルを最初に作ったときに自動的に作成され、以後自動的に更新されます。

なお、filenameが最初から8文字以内の場合は、名前は1つだけ(8.3形式だけ)です。


SHOW FILEコマンドでは、(長い名前があるときは)長い名前で表示されます。


SHOW FFILEコマンドでは、(長い名前があっても)短い名前で表示されます。


■ 短い名前と長い名前の対応を確認するには、SHOW FILEコマンドでlongname.lfnを指定します。


■ コマンドラインでファイル名を指定するときは、原則として長い名前と短い名前のどちらで指定してもかまいません。


または


Note - DELETE FFILEコマンドとSHOW FFILEコマンドは長い名前を認識しません。短い名前で指定してください。

Note - 短い名前は、長い名前を持つファイルを作成したときに自動的に生成されますが、常に同じ名前に切りつめられるわけではありません。すでに存在するファイルと名前が重複しないように選択されます。長い名前を持つファイルを短い名前で指定するときは、必ずSHOW FILEコマンドでlongname.lfnを指定して対応表を確認してから指定してください。

Note - コマンド実行時に長い名前を指定しても、CREATE CONFIGコマンドで保存した設定スクリプト中では短い名前になることがあります(SHOW CONFIGコマンドのDYNAMICオプションで表示される設定スクリプトも同様です)。

■ 上記以外の「SHOW 〜」コマンドで長い名前と短い名前のどちらが表示されるかは、コマンドによって異なります。

長い名前で表示される例


短い名前で表示される例

 

ワイルドカード

ファイルを操作するコマンドの中には、ワイルドカード(*)を使って複数のファイルを一度に指定できるものがあります。ワイルドカード(*)は「任意の文字列」を示すもので、次のように使います。

■ ファイルシステム(フラッシュ、NVS)上の圧縮形式のファームウェアファイル(.rez)をすべて表示

■ フラッシュメモリー上のテキストファイルの一覧を表示(device省略時はflashとみなされる)



■ NVS上のスクリプトファイルをすべて削除


Note - ワイルドカードを使ってファイルを削除するときは、必要なファイルまで削除してしまわないよう十分にご注意ください。

DELETE FILEコマンドとSHOW FILEコマンドでは、次のような指定(前方一致)も可能です。


Note - 後方一致(*base.cfg)や中間一致(*foo*.cfg)は使えません。

■ ワイルドカードが使えるコマンドには以下のようなものがあります。

 

ファイルの操作

おもなファイル操作についてコマンド例を示します。

■ ファイルの一覧は、SHOW FILEコマンドで表示できます。


■ 特定ファイルの一覧を見たいときはワイルドカードを使います。


■ ファイルの内容を見るには、SHOW FILEコマンドで(ワイルドカードでない)ファイル名を指定します。ただし、SHOW FILEコマンドで見ることができるのはテキスト形式のファイル(.txt、.scp、.cfgなど)だけです。


■ ファイルを削除するにはDELETE FILEコマンドを使います。ワイルドカードで複数ファイルをまとめて消すことも可能です。


Note - config.ins、prefer.ins、release.lic、feature.lic、longname.lfnは、システムの動作に必要なファイルです。誤って削除しないようご注意ください。

Note - ワイルドカードを使ってファイルを削除するときは、必要なファイルまで削除してしまわないよう十分にご注意ください。

Note - 削除したファイルを元に戻すことはできません。ファイル操作時は十分注意を払ってください。

■ ファイルをコピーするにはCOPYコマンドを使います。


■ デバイスをまたがるコピーも可能です。次の例では、フラッシュメモリー上のcurrent.cfgというファイルを、nvsにbackup.cfgという名前でコピーします。

■ ファイル名を変更するにはRENAMEコマンドを使います。


■ テキスト形式のファイルを編集するには、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)を使います。


LOADコマンドを使って、別のコンピューターからファイルをダウンロードすることもできます。次の例ではTFTPサーバー192.168.1.11からlong.scpをフラッシュメモリーにダウンロードしています。ダウンロードには、HTTPやZMODEMを使うこともできます。


UPLOADコマンドを使えば、テキスト形式のファイルをTFTPサーバーにアップロードすることができます。次の例では、設定スクリプトtaisetsu.cfgをTFTPサーバーにアップロードします。ZMODEMによるアップロードも可能です。


Note - TFTPサーバーの実装(UNIX系OSのtftpdなど)によっては、サーバー上にあらかじめファイルを作成しておかないとファイルのアップロードができないものがあります。これは、ファイルの新規作成に失敗するためです。このような場合は、サーバー上で空のファイルを作成し、すべてのユーザーに書き込み権限を与えてからアップロードしてみてください。









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