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CentreCOM 9600/8600シリーズ コマンドリファレンス 2.2
IPマルチキャスト/付録
- マルチキャスト
- DVMRP
- メッセージ
- 基本動作
- IGMP
- メッセージ
- 基本動作
IPパケット送信時のアドレス指定方法には次の種類があります。
- ユニキャスト:ネットワーク上の1ホスト(*)に対してパケットを送信します。送信先のホストはクラスA〜CのIPアドレスによって一意に識別可能です。
Note
- 複数のIPインターフェースを持つホストもあるため、「1つのインターフェース」のほうがより正確です(以下同様)。
- マルチキャスト:ネットワーク上の特定ホストのグループに対してパケットを送信します。グループのメンバーは固定的でなく、各ホストが個別に参加・脱退します。グループはクラスD(224.0.0.0〜239.255.255.255)のIPアドレスによって一意に識別が可能です。送信者が宛先のグループに所属する必要はありません。送信者にとって、マルチキャストは単に宛先アドレスがクラスDであるというだけのことです。マルチキャストパケットが別サブネットのグループメンバーに届くためには、マルチキャスト対応ルーターの働きが必要となります。
- ブロードキャスト:ネットワーク(ローカルネットワーク、特定のサブネット、全サブネットなど)上のすべてのホストに対してパケットを送信します。送信者はブロードキャストアドレスに宛ててパケットを送信します。
- エニーキャスト:特定ホストグループ内のどれか1つに対してパケットを送信します。この方式は、次世代のインターネットプロトコルIPv6で導入されたもので、ある種のサービスを提供するサーバー群の中から、ネットワーク的にもっとも近いものと通信したい場合などに使用することが想定されています。エニーキャストの考え方はRFC1542, Host Anycasting Serviceで述べられています。
DVMRP(Distance Vector Multicast Routing Protocol)は、RPM(Reverse Path Multicasting)の技術を用いて、送信者(始点)をルートとするマルチキャスト配送木を動的に構築、最適化するマルチキャスト経路制御プロトコルです。RIPをもとにした経路情報交換メカニズムによって、マルチキャスト用の経路表を独自に管理します。
DVMRPメッセージはIPを直接利用して配送されます。プロトコル番号は2(IGMP)で、IGMPと同じヘッダーを使用します。IGMPパケットタイプは0x13。IPヘッダーのTOSオクテットは0xc0(3ビットの優先度フィールドが110=Internet Control)にセットされます。DVMRPルーターグループアドレスは224.0.0.4。
DVMRPメッセージには以下の種類があります。
表 1
コード |
メッセージ名 |
説明 |
1 |
DVMRP Probe |
隣接ルーターを探索する |
2 |
DVMRP Report |
経路情報を交換する |
3 |
DVMRP Ask Neighbors |
(診断用)現在は使われていない |
4 |
DVMRP Neighbors |
(診断用)現在は使われていない |
5 |
DVMRP Ask Neighbors 2 |
(診断用)隣接ルーターリストを要求する |
6 |
DVMRP Neighbors 2 |
(診断用)隣接ルーターリストを返す |
7 |
DVMRP Prune |
マルチキャスト配送木の枝刈り(不要なパスの削除)を要求する |
8 |
DVMRP Graft |
マルチキャスト配送木の接ぎ木(新規パスの追加)を要求する |
9 |
DVMRP Graft Ack |
Graftメッセージに対する確認応答 |
- ある始点からグループに対して送られる最初のパケットは、ネットワーク全体に送信される。
- 下流にグループメンバーを持たないネットワークのDVMRPルーターは、上流のルーターに枝刈り(Prune)メッセージを送り、これ以上該当グループ宛てのパケットが届かないようにする。これにより、配送木が最適化され、始点をルートとする最短配送木が構築される。
- 一定の時間がたつと、枝刈りメッセージの有効期限が切れ、いったん枝刈りされたパスが元どおりになり配送木は初期状態に戻る。この繰り返しでマルチキャストトラフィックの配送が行われる。
- 枝刈りされたパス上にグループメンバーが登場したときは、該当するネットワークのDVMRPルーターがただちに接木(Graft)メッセージを上流に送り、配送木の枝が該当ネットワークにまで伸びるよう要求する。
個別のDVMRPルーターは次のような処理を行います。
- ある始点からグループに宛てた最初のパケットを受信したDVMRPルーターは、ルーター間で交換した経路情報に基づき、受信インターフェースが始点にもっとも近いインターフェースであるかどうかをチェックする。このチェックをリバースパスチェックと呼ぶ。もっとも近いインターフェースだった場合は、始点に対して最適な経路でないその他すべてのインターフェースからパケットの複製を送出する。受信インターフェースが始点に対する最適経路でなかった場合は、パケットをそれ以上転送しない。
- IGMP(後述)によって下流に該当グループのメンバーが存在しないことを確認した場合は、これ以上同グループ宛てのパケットを受信する必要がないため、上流のルーターにPrune(枝刈り)メッセージを送り、上流からのパケット送信をストップさせる。
- この枝刈り情報には制限時間が設けられており、一定の時間が経過すると枝刈りされていたパスが復活する。以後、枝刈り、復活のプロセスが繰り返される。
- また、いったん枝刈りされたパス上に新たなグループメンバーが登場してきた場合、該当ネットワークのDVMRPルーターは、上流にGraft(接ぎ木)メッセージを送り、グループ宛てのトラフィックの配送を再開するよう求める。Graftメッセージはアクティブな枝に到達するまで、始点に向かって次々とルーター間を転送されていく。これにより、新規グループメンバーへの配送経路が作成される。
IGMP(Internet Group Management Protocol)は、LAN上のマルチキャスト対応ルーターとホストがメッセージを交換しあい、LAN上にどのマルチキャストグループのメンバーがいるかを把握するためのプロトコルです。ルーターはIGMPを通じて得た情報をもとに、他のルーターから受け取ったマルチキャストパケットを配下のLANに転送するかどうか判断したり、他のルーターに対して特定グループ宛てのパケットを配送してくれるよう依頼したりします。
IGMPメッセージはIPを直接利用して配送されます。プロトコル番号は2(IGMP)です。
IGMPメッセージには以下の種類があります。
表 2
タイプ |
メッセージ名 |
説明 |
0x11 |
Membership Query |
サブネット上にどのグループのメンバーがいるかを調べるGeneral Queryと、特定グループにメンバーがいるかどうかを調べるGroup-Specific Queryの2種類のサブタイプがある。General Queryはサブネット上の全ホスト(224.0.0.1)に、Group-Specific Queryは該当グループアドレスに送信される。 |
0x16 |
(Version 2) Membership Report |
特定グループに所属するメンバーの存在を知らせる。報告先のグループアドレスに送信される。 |
0x17 |
Leave Group |
特定グループから脱退することを知らせる。サブネット上の全ルーター(224.0.0.2)に送信される。 |
- マルチキャストルーターは、IGMPが有効に設定されているすべてのインターフェース(LAN)から、全ホストマルチキャストアドレス(224.0.0.1)に宛てて、定期的にGeneral Membership Queryを送信し、LAN上にマルチキャストグループのメンバーがいるかどうかをたずねます。LAN上に複数のマルチキャストルーターが存在する場合は、インターフェースアドレスのもっとも小さいルーターが代表として問い合わせを行います。
- 特定マルチキャストグループのトラフィックの配送を希望するホストは、ルーターの問い合わせに対してMembership Reportを返送し、該当グループのパケットを配送してくれるよう依頼します。サブネット上に同じグループのメンバーが複数存在する場合は、乱数タイマーによってそのうちのひとつだけがMembership Reportを送信します。ルーターはLAN上にマルチキャストグループのメンバーが存在するか否かを知りたいのであって、メンバーの数を知りたいのではないからです。また、グループ最初のメンバーとなるホストは、自発的にMembership Reportを送信して、ルーターにグループへの参加を表明します。
- Membership Reportを受け取ったルーターは、該当LAN上のアクティブグループリストを更新します。一覧にはメンバーの存在するグループが掲載されており、この情報をもとにルーターは別のルーターから受け取ったマルチキャストパケットをLANに転送するべきかどうかを判断します。
- ホストがグループから抜けるときは、ルーターにLeave Groupメッセージを送ります。Leave Groupメッセージを受け取ったルーターは、該当グループに対するGroup-Specific Membership Queryを何回か送信し、LAN上にグループのメンバーがいなくなったことを確認すると、上流ルーターにトラフィック配送の必要がないことを伝えます。
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