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CentreCOM 9424T/SP-E、9424Ts/XP-E コマンドリファレンス 2.4
VRRP/概要・基本設定
- プロトコル概要
- 基本設定
VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は、複数のルーター(レイヤー3スイッチ。本章では以下適宜「ルーター」とします)をグループ化し、あたかも1台のルーターであるかのように見せかけることで、IPネットワークに冗長性を与えるプロトコルです。
VRRPの基本的な考え方は次のとおりです。
- 同一ネットワーク上にある複数のルーターをグループ化し、1台のように見せかける。このグループ全体をバーチャルルーター(VR = Virtual Router)と呼ぶ。
- バーチャルルーターを構成する各ルーターは次のものを共有し、互いに連携して動作する。
- VRID: バーチャルルーターを識別するための番号(1〜255)。
- バーチャルMACアドレス: バーチャルルーターへのARP要求に対して返されるMACアドレス。VRIDから導出される。
- バーチャルIPアドレス(プライマリーIPアドレス): バーチャルルーターのIPアドレス。クライアントホストには、このIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして設定する。
- バーチャルルーターを構成する各ルーターは、1〜255の優先度を持つ。バーチャルIPアドレスと物理インターフェースのIPアドレスが一致している場合、そのルーターの優先度は自動的に最高値の255となる(preferred master)。それ以外のルーターには、1〜254の優先度を設定する(デフォルトは100)。
- バーチャルルーターは、マスタールーター1台と、バックアップルーター1台以上から構成される。バーチャルルーター内でもっとも高い優先度を持つルーターがマスタールーターとなる。
- マスタールーターは、バーチャルIPアドレスとバーチャルMACアドレスを使い、実際にルーターとしての動作を行う。また、VRRP Advertisementパケットをマルチキャストグループアドレス224.0.0.18宛てに定期的に送信し、自らの健在をバックアップルーターに知らせる。また、自分より高い優先度を持つAdvertisementパケットを受信した場合は、バックアップルーターに移行する。
- バックアップルーターは、ルーターとしての動作は行わずに、Advertisementパケットを監視している。バックアップルーターは、Advertisementパケットが途絶えるとマスタールーターに障害が発生したものと見なし、新しいマスタールーターの選出プロセスに入る。
次に、実際に2台のルーター(スイッチ)を用いてIPネットワークに冗長性を持たせるための設定方法を示します。ここでは、次のようなネットワーク構成を例に解説します。

この例では通常スイッチAが使用されますが、スイッチAが故障すると、同スイッチが定期的に送信しているVRRP AdvertisementパケットをスイッチBが受信できなくなります。この場合、スイッチBはスイッチAがダウンしたものと見なしてバックアップルーターからマスタールーターに移行し、両方のセグメントに対するデフォルトゲートウェイアドレスを引き継ぎます。スイッチAが復旧すると、スイッチBは元のバックアップルーターに戻ります。
以下の例では、VLANの設定までは完了しているものとします。
スイッチAの設定
- 各VLANインターフェースにIPアドレスを割り当てます。
ADD IP INT=vlan-red IP=192.168.10.100 ↓
ADD IP INT=vlan-green IP=192.168.20.100 ↓
- VRRPを有効にします。
- VLAN-redにVRID=10を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.10.1とします。こちらをデフォルトのマスタールーターにするため、優先度をデフォルトの 100 よりも高い 101 に設定します。
CREATE VRRP=10 OVER=vlan-red IP=192.168.10.1 PRIORITY=101 ↓
- VLAN-greenにVRID=20を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.20.1とします。こちらをデフォルトのマスタールーターにするため、優先度をデフォルトの 100 よりも高い 101 に設定します。
CREATE VRRP=20 OVER=vlan-green IP=192.168.20.1 PRIORITY=101 ↓
- VLAN-greenがダウンした場合に VLAN-red側(VRID=10)の優先度を 99 に下げ、スイッチBがマスタールーターになるよう設定します。
ADD VRRP=10 MONITOREDINTERFACE=VLAN-green NEWPRIORITY=99 ↓
- VLAN-redがダウンした場合に VLAN-green側(VRID=20)の優先度を 99 に下げ、スイッチBがマスタールーターになるよう設定します。
ADD VRRP=20 MONITOREDINTERFACE=vlan-red NEWPRIORITY=99 ↓
スイッチBの設定
- 各VLANインターフェースにIPアドレスを割り当てます。
ADD IP INT=vlan-red IP=192.168.10.2 ↓
ADD IP INT=vlan-green IP=192.168.20.2 ↓
- VRRPを有効にします。
- VLAN-redにVRID=10を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.10.1とします。優先度はデフォルト値の 100 とします。
CREATE VRRP=10 OVER=vlan-red IP=192.168.10.1 ↓
- VLAN-greenにVRID=20を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.20.1とします。優先度はデフォルト値の 100 とします。
CREATE VRRP=20 OVER=vlan-green IP=192.168.20.1 ↓
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