[index] CentreCOM 9424T コマンドリファレンス 2.11

ハードウェアパケットフィルター/概要・基本設定


  - 基本動作
   - フィルターの構成
   - フィルター処理の流れ
  - 設定手順
  - コマンド例
  - 設定例
   - 特定スイッチポートからのみ外部へのUDP通信を許可
   - TCP片方向通信
   - 「マルチプルVLAN」的構成例
   - 特定ホスト通信許可の構成例
  - 注意事項
   - 本体宛てのパケット 
   - IGMP Snooping機能との併用


ハードウェアパケットフィルターは、ハードウェア(ASIC)レベルで入力パケットをフィルタリング(許可・拒否)する機能です。

ハードウェアパケットフィルターには以下の特長があります。


パケットのフィルタリング条件には、以下の各項目を使用できます。フィルタリング条件は、汎用のパケットフィルターであるクラシファイアによって定義します。クラシファイアの詳細については「クラシファイア」の章をご覧ください。


条件に一致したパケットに対しては、以下の処理(アクション)が可能です。



 

基本動作

ハードウェアパケットフィルターの基本動作について説明します。

 

フィルターの構成

ハードウェアパケットフィルターは、複数のエントリーをリストとして保持する「アクセスコントロールリスト(ACL)」から構成されます。エントリーは、クラシファイア(汎用パケットフィルター)とアクション、および適用対象のスイッチポート(入力ポート)で構成されます。


エントリーの構成は、次のとおりです。

表 1
ACL エントリーのID
DESCRIPTION エントリーの説明
ACTION マッチした場合のアクション
CLASSIFIERLIST エントリーに割り当てるクラシファイアのID
PORTLIST エントリーに割り当てるポート


ACLの仕様は、次のとおりです。


 

フィルター処理の流れ


ハードウェアパケットフィルターでは、パケット受信時に次の処理が行われます。

  1. 受信したパケットがエントリーにマッチするかどうか、ACLのエントリーIDの番号順に調べます。
  2. 条件にマッチした場合は、残りの条件は調べずに、その条件のアクションをします。
  3. エントリーにマッチしないパケットを出力します。

Note - 設定上の便宜を最優先して書いたものであり、実際の内部動作を正確に記述したものではありません。

 

設定手順

ハードウェアパケットフィルターの設定は、次の流れで行います。

  1. クラシファイアの作成(CREATE CLASSIFIERコマンド)
  2. ACLのエントリーの作成(CREATE ACLコマンド)

以下、各手順について詳しく解説します。

ここでは例として、ポート8に接続されているクライアントから、サーバー192.168.10.5宛てのパケットを遮断するよう設定します。

  1. クラシファイアを作成します。詳細は「クラシファイア」の章をご覧ください。


  2. ACLにエントリーを追加します。エントリーを追加するには、クラシファイア、マッチ時のアクション(許可か破棄)、エントリーを適用する入力ポートの指定が必要です。




基本設定は以上です。


 

コマンド例

■ 送信元MACアドレスが、00-00-f4-33-22-11のパケットを破棄


■ 192.168.10.100から192.168.20.0/24へのIPパケットを破棄


■ 192.168.30.100へのtelnetパケットを破棄。


■ 192.168.20.100のみ双方向の通信が可能。


■ ARPのみ双方向の通信が可能。



■ ACLの一覧を表示するには、SHOW ACLコマンドを使います。


■ クラシファイアの一覧を表示するには、SHOW CLASSIFIERコマンドを実行します。CLASSIFIERパラメーターに番号を指定すれば、該当するクラシファイアのみが表示されます。


■ ACLからエントリーを削除するには、DESTROY ACLコマンドを使います。



Note - ACLからエントリーを削除しても、クラシファイアは削除されません。ACLとクラシファイアの関連付けが削除されるだけです。クラシファイアを削除するには、DESTROY CLASSIFIERコマンドを使います。

 

設定例

 

特定スイッチポートからのみ外部へのUDP通信を許可

ハードウェアパケットフィルターを利用して、VLAN内の特定ポートからのみ外部へのUDP通信を許可する設定例を示します。ここでは、次のようなネットワーク構成を例に説明します。


ここでは、次のようなフィルタリング条件を考えます。


ポート単位でのフィルタリングには、DHCPクライアントのIPアドレスが変更された場合でも対応できるメリットがあります。

スイッチAの設定
  1. VLANの設定を行います。


  2. VLANインターフェースにIPアドレスを設定します。


  3. デフォルトルートを設定します。


  4. ハードウェアパケットフィルターの設定を行います。
設定は以上です。


 

TCP片方向通信

マッチ条件としてTCPの制御フラグSynとAckを使用し、片方のVLANからのみTCPの通信を開始できる設定例を示します。ここでは、次のようなネットワーク構成を例に説明します。


ここでは、次のようなフィルタリング条件を考えます。


スイッチAの設定

  1. VLANの設定を行います。


  2. VLANインターフェースにIPアドレスを設定します。


  3. ハードウェアパケットフィルターの設定を行います。


設定は以上です。

 

「マルチプルVLAN」的構成例

ポート1をVLAN10(共有)、ポート2をVLAN20(職員室) 、ポート3をVLAN30(教室)とし、VLAN10からは VLAN20とVLAN30両方に通信できるが、VLAN20とVLAN30間の通信は禁止する設定例を示します。ここでは、次のようなネットワーク構成を例に説明します。


スイッチAの設定
  1. VLANの設定を行います。


  2. VLANインターフェースにIPアドレスを設定します。


  3. ハードウェアパケットフィルターの設定を行います。
設定は以上です。


 

特定ホスト通信許可の構成例

VLAN10とVLAN20間の通信は破棄するが、ホストA(192.168.10.100)の通信は許可する設定例を示します。ここでは、次のようなネットワーク構成を例に説明します。


スイッチAの設定
  1. VLANの設定を行います。


  2. VLANインターフェースにIPアドレスを設定します。


  3. ハードウェアパケットフィルターの設定を行います。
設定は以上です。


 

注意事項

ここでは、設定時に注意が必要なハードウェアパケットフィルターの仕様について解説します。

 

本体宛てのパケット

スイッチ本体(CPU)宛てのパケットに対し、ハードウェアパケットフィルター機能は動作します。


 

IGMP Snooping機能との併用

ハードウェアパケットフィルターで、IPPROTOCOLにIGMPを指定したクラシファイアを使用した場合は、IGMP Snooping機能は有効にできません。








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