[index] CentreCOM 9600シリーズ コマンドリファレンス 2.7

PPP/概要・基本設定


  - 基本設定
   - PPPインターフェースの作成
   - IPアドレスの設定
   - 自動再接続
   - 接続・切断
   - 状態確認
  - その他オプション
   - 無通信時自動切断タイマー
   - 通信量リミッター
  - 設定例
   - 端末型接続
   - 端末型接続(スタティックENAT)
   - LAN型接続(LAN側グローバル)
   - LAN型接続(LAN側プライベート+DMZ)
   - LAN型接続(LAN側プライベート+スタティックNAT)


本製品は、Ethernet上でPPPを使用するPPPoE(PPP over Ethernet)に対応しています。ここでは、PPPの概要と基本設定について説明します。

Note - PPP関連の処理はソフトウェアによって行われます。PPPインターフェースと他インターフェース間のルーティングはソフトウェア処理です。ただし、PPPインターフェースに関係のないVLAN間のルーティングはハードウェア処理です。なお、ファイアウォールを使用する場合は、どのインターフェース間であっても、ルーティングはソフトウェア処理になります。

Note - PPP(PPPoE)とハードウェアIPフィルターは併用できません。PPPoEを使用するときは、ハードウェアIPフィルターを使わないでください。

 

基本設定

PPPの基本設定について説明します。

 

PPPインターフェースの作成

PPPインターフェースは、CREATE PPPコマンドで作成します。本製品をPPPoEクライアントとして使う場合、最低限必要な情報は次のとおりです。


■ PPP(PPPoE)インターフェース「0」を作成するには次のようにします。ここでは、例として、PPPユーザー名「user@isp」、PPPパスワード「isppasswd」、PPPサービス名「指定なし」、PPPoEを使用するVLAN「vlan10」とします。


以下、各パラメーターについて概説します。


 

IPアドレスの設定

作成したPPPインターフェースにIPアドレスを設定するには、ADD IP INTERFACEコマンドを使います。INTERFACEパラメーターには、PPPインターフェースを「PPPn」の形式で指定します。nはCREATE PPPコマンドで指定したインターフェース番号です。

■ アドレス1個を動的に割り当てられる「端末型」接続では、PPP接続時にIPアドレスを自動取得します。これには、ENABLE IP REMOTEASSIGNコマンドでリモート側から提供されたアドレスを使用できるよう設定した上で、PPPインターフェースに0.0.0.0を設定します。また、PPPインターフェース作成時に「IPREQUEST=ON」を指定しておく必要もあります。この場合、PPPの接続が完了するまでIPアドレスは未定となります。


■ アドレス1個を固定的に割り当てられる「端末型」接続では、次のようにして明示的にアドレスを設定することもできます。


■ 複数のアドレスを固定的に割り当てられる「LAN型」接続では、通常PPPインターフェースには有効なアドレスが割り当てられません(Unnnumbered = 「無番号」インターフェースなどと呼びます)。この場合、PPPインターフェースのIP設定は「端末型」と同様の自動取得にしておきます。


Note - PPPoEのLAN型接続におけるWAN側(PPP)インターフェースは、厳密にはUnnumberedではありません。IPCPネゴシエーションでLAN側用のネットワークアドレスを割り当てられることが多いようです。

 

自動再接続

FTTH、xDSLなどの準・常時接続環境において、局側からの切断時に自動再接続するには、次のようなトリガーとスクリプトを用意します。

Note - これらのトリガーを利用するには、PPPインターフェース作成時に「ECHO=ON」を指定しておく必要があります。「ECHO=ON」を指定した場合、対向装置に対して10秒間隔でLCP Echoパケットを送信し、3回連続でEcho-Replyが戻ってこなかった場合は、リンクがダウンしたと判断してトリガーイベントを発生します。インターフェーストリガーでこのイベントを捕捉することにより、リンクダウン時に自動的な対応をとることができます。


Note - この例ではLCPの状態を監視することによってPPPリンクの断絶を監視していますが、リンク断がうまく検出できないときは「CP=LCP」を「CP=IPCP」に変更してみてください。

■ 上記のトリガー設定では、PPPインターフェースのアップ・ダウンによってトリガー「1」の状態(有効・無効)が動的に変化します。そのため、WAN側インターフェースにケーブルを接続したまま設定を行うと、コマンド入力時と設定保存時でトリガー「1」の状態が変わってしまうことがあります。その場合、PPP の自動再接続機能が働かなくなりますので、必ず次のいずれかの方法で設定を行ってください。


設定が正しく保存されているかどうかを確認するには、SHOW FILEコマンドかSHOW SCRIPTコマンドで設定ファイルを表示し、トリガー「1」の設定内容を確認してください。正しく保存されている場合、トリガー「1」の設定は次のようになります。


手順が正しくなかった場合は、次のように「state=disabled」というパラメーターが付きます。この設定では、本製品起動直後に再接続機能が働きません。


この場合は、EDITコマンドで設定ファイルを開き、「state=disabled」を削除して上書き保存してください。

 

接続・切断

これまでに説明した設定では、本製品の起動直後にPPPoEセッションが確立され、以後常時接続された状態となります。したがって、PPPoEセッションの切断、再接続は手動で行う必要があります。

■ セッションを切断するには、DISABLE PPPコマンドでPPPインターフェースをディセーブルにします。


■ 再接続するには、ENABLE PPPコマンドでPPPインターフェースをイネーブルにします。


 

状態確認

■ PPPインターフェースの状態はSHOW PPPコマンドで確認できます。


表 1:CP(Control Protocol)の状態一覧
状態
内容
INITIAL 初期状態。OPENイベント未発生で物理層もDOWN状態
STARTING OPENイベントが発生したが物理層はまだDOWN状態
CLOSED 物理層はUPしているがOPENイベントは未発生
STOPPED 物理層はUPしているがDOWNまたはTIMEOUTイベントが発生
CLOSING リンクはUPしているがCLOSEイベントが発生しリンクを閉じようとしている状態
STOPPING リンクはOPENしているがリモート側がリンクを閉じようとしている状態
REQ SENT Configure-Requestを送信し、応答を待っている状態
ACK RCVD Configure-Requestを送信し、Ackを受信した状態
ACK SENT Configure-Requestを受信し、Ackを送信した状態
OPENED Ackを送受信し、リンクが確立した状態


■ PPPインターフェースの設定や、ISPから取得したアドレスなどの情報(ネゴシエーションによって決定されたパラメーター)は、SHOW PPP CONFIGコマンドで確認できます。


■ PPPインターフェースの統計カウンターはSHOW PPP COUNTERコマンドで確認できます。


 

その他オプション


 

無通信時自動切断タイマー

「基本設定」で紹介した設定では、本製品の起動直後にPPPoEセッションが確立され、以後常時接続された状態となります。さらに、前述のトリガーを設定しておけば、局側からリンクを切断された場合でも自動的に再接続を試みます。

一方、LAN側からWAN側への通信要求が発生したときに自動的にPPPoEセッションを確立し、無通信状態が一定期間続いたときにPPPoEセッションを切断させることもできます。これには、無通信時自動切断タイマーを使います。

■ 無通信時自動切断タイマーを使用するには、CREATE PPPコマンド、SET PPPコマンドのIDLEパラメーターにONを指定します。これにより、必要に応じて自動接続し、60秒間無通信状態が続くと自動的にリンクを切断するようになります。省略時はIDLE=OFFで、その場合は本製品が起動するとただちにPPPリンクを確立しようとします。また、無通信時の自動切断タイマーが無効であるため、原則的に接続したままとなります。


Note - 無通信時自動切断タイマーを使用するときは、「ECHO=OFF」の設定、および、自動再接続トリガーの設定は不要です。

■ IDLEパラメーターに秒数を指定することで、自動切断までの時間を変更することもできます。次の例では切断までの時間を175秒に変更しています。


 

通信量リミッター

通信量リミッター機能を利用すると、通信時間(リンクアップ時間)や送受信データ量があらかじめ設定しておいた限度を超えたときにPPPリンクを切断し、以後の通信を禁止することができます。時間やデータ量に基づく従量制課金の場合に使用すると便利です。

■ 通信限度は、CREATE PPPコマンド/SET PPPコマンドでインターフェースごとに行います。設定できるのは以下のパラメーターです。

表 2:PPPの通信限度設定パラメーター
パラメーター
意味
有効範囲
ONLINELIMIT 通信時間(リンクアップ時間) 1〜65535(時間)
INDATALIMIT 受信データ量 1〜65535(MB)
OUTDATALIMIT 送信データ量 1〜65535(MB)
TOTALDATALIMIT 送受信データ量(合計) 1〜65535(MB)


たとえば、ppp0の累積通信データ量を1GB(1024MB)までに制限するには、次のようにします。


上記の累積値は5分ごとにフラッシュメモリーに書き込まれ、本製品を再起動しても保持されるようになっています。また、累積データはPPPリンクの切断時にも記録されます。

■ 制限を解除するには各パラメーターの値としてNONEを指定します。


■ 現在の状態を確認するには、SHOW PPP LIMITSコマンドを使います。



■ 累積通信量が設定した限度に達すると、その時点でPPPのリンクが切断され、それ以上通信ができなくなります。このとき、SHOW PPP LIMITSコマンドを実行すると、限度を超えたカウンターの「Current」欄に「EXCEEDED」(超過)と表示されます。

この状態から再度通信を可能にするには、RESET PPPコマンドのLINKCOUNTERオプションで、該当する累積カウンターをクリアしてください。たとえば、送受信データ量(TOTALDATALIMIT)であれば、次のようにします。


 

設定例

PPPoEによるインターネット接続の設定例をいくつか紹介します。

Note - 以下の例はすべてファイアウォールを使用しています。ファイアウォールを使用するには、フィーチャーライセンスAT-FL-02が必要です。

 

端末型接続

PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。この例は、接続時にアドレスを1つ割り当てられる端末型の基本設定です。ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。また、LAN側クライアントの設定を簡単にするため、DNSリレーとDHCPサーバーも利用します。

ISPからは次の情報を提供されているものとします。

表 3:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 user@isp
PPPパスワード isppasswd
PPPoEサービス名 指定なし
IPアドレス グローバルアドレス1個(動的割り当て)
DNSサーバー 接続時に通知される


本製品には、次のような方針で設定を行います。


以下、本製品の基本設定とDHCPサーバーの設定についてまとめます。

表 4:本製品の基本設定
WAN側VLAN vlan2(wan):ポート1
LAN側VLAN vlan10(lan):ポート2〜6
WAN側(ppp0)IPアドレス 接続時にISPから取得する
LAN側(vlan10)IPアドレス 192.168.10.1/24
DHCPサーバー機能 有効


表 5:本製品のDHCPサーバーの設定
DHCPポリシー名 BASE
使用期限 7200(秒)
サブネットマスク 255.255.255.0
デフォルトルート 192.168.10.1
DNSサーバー 192.168.10.1
DHCPレンジ名 LOCAL
提供するIPアドレスの範囲 192.168.10.100〜192.168.10.131(32個)



Note - 本設定例では、PPPインターフェースのリンクアップ・ダウンによって、トリガーの状態が動的に変化します。そのため、以下の設定コマンドは本製品のWAN側インターフェース(vlan2)にケーブルを接続していない状態(PPPインターフェースがリンクアップしない状態)で入力してください。詳細については章末の「メモ」をご覧ください。

  1. 2つのVLAN、wan(VID=2)とlan(VID=10)を作成します。


  2. 各VLANにポートを割り当てます。


  3. VLAN wan(VID=2)上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターには、PPPoEを使用するVLANとPPPoEサービス名を指定します。VLANとPPPoEサービス名は、「VLANn-servicename」の形式で指定します。「n」はVLAN ID(VID)、「servicename」はISP等から指定されたPPPoEサービス名です。ISPからサービス名を指定されていない場合は、「any」を指定してください。


  4. ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用できるようにします。


  7. LAN側(vlan10)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISPとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。


  9. デフォルトルートを設定します。


  10. DNSリレー機能を有効にします。


  11. DNSリレーの中継先を指定します。通常、中継先にはDNSサーバーのアドレスを指定しますが、IPCPによりアドレスを取得するまでは不明であるため、ここではインターフェース名を指定します。


  12. ファイアウォール機能を有効にします。


  13. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  14. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  15. identプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  16. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  17. LAN側に接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、ppp0のIPアドレスを使用します。


  18. LAN側コンピューターのためにDHCPサーバー機能を有効にします。


  19. DHCPポリシー「BASE」を作成します。IPアドレスの使用期限は7,200秒(2時間)とします。


  20. DHCPクライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、本製品のLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。


  21. DHCPクライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。


  22. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  23. トリガー機能を有効にします。


  24. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  25. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。

 

端末型接続(スタティックENAT)

PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。

この例では、ダイナミックENATで固定割り当てのアドレス1個を共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止しつつ、スタティックENATを利用してWebサーバーを外部に公開します。また、LAN側クライアントの設定を簡単にするため、DNSリレーとDHCPサーバーも利用します。

ISPからは次の情報を提供されているものとします。

表 6:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 user@isp
PPPパスワード isppasswd
PPPoEサービス名 指定なし
IPアドレス 12.34.56.78/32(固定)
DNSサーバー 12.34.11.11、12.34.11.22


本製品には、次のような方針で設定を行います。


以下、本製品の基本設定とDHCPサーバーの設定についてまとめます。

表 7:本製品の基本設定
WAN側VLAN vlan2(wan):ポート1
LAN側VLAN vlan10(lan):ポート2〜6
WAN側(ppp0)IPアドレス 12.34.56.78/32(固定)
LAN側(vlan10)IPアドレス 192.168.10.1/24
DHCPサーバー機能 有効


表 8:本製品のDHCPサーバーの設定
DHCPポリシー名 BASE
使用期限 7200(秒)
サブネットマスク 255.255.255.0
デフォルトルート 192.168.10.1
DNSサーバー 192.168.10.1
DHCPレンジ名 LOCAL
提供するIPアドレスの範囲 192.168.10.100〜192.168.10.131(32個)



Note - 本設定例では、PPPインターフェースのリンクアップ・ダウンによって、トリガーの状態が動的に変化します。そのため、以下の設定コマンドは本製品のWAN側インターフェース(vlan2)にケーブルを接続していない状態(PPPインターフェースがリンクアップしない状態)で入力してください。詳細については章末の「メモ」をご覧ください。

  1. 2つのVLAN、wan(VID=2)とlan(VID=10)を作成します。


  2. 各VLANにポートを割り当てます。


  3. VLAN wan(VID=2)上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターには、PPPoEを使用するVLANとPPPoEサービス名を指定します。VLANとPPPoEサービス名は、「VLANn-servicename」の形式で指定します。「n」はVLAN ID(VID)、「servicename」はISP等から指定されたPPPoEサービス名です。ISPからサービス名を指定されていない場合は、「any」を指定してください。


  4. ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. LAN側(vlan10)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  7. WAN側(ppp0)インターフェースにISPから割り当てられたIPアドレスを設定します。


  8. デフォルトルートを設定します。


  9. ISPから通知されたDNSサーバーのアドレスを設定します。


  10. DNSリレー機能を有効にします。


  11. ファイアウォール機能を有効にします。


  12. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  13. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  14. identプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  15. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  16. LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、ppp0のIPアドレスを使用します。


  17. 本製品のWAN側のインターフェース(ppp0)の80番ポート宛てに送られたTCPパケットを、LAN側のWebサーバー(192.168.10.5)に転送するスタティックENATの設定を行います。


  18. LAN側PCのためにDHCPサーバー機能を有効にします。


  19. DHCPポリシー「BASE」を作成します。IPアドレスの使用期限は7,200秒(2時間)とします。


  20. DHCPクライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、本製品のLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。


  21. DHCPクライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。


  22. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  23. トリガー機能を有効にします。


  24. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  25. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。

 

LAN型接続(LAN側グローバル)

PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。グローバルアドレスを8個、16個などのブロック単位で固定的に割り当てられるLAN型接続の設定例です。この例では、NATを使用せず、LAN側端末にグローバルアドレスを直接割り当てます。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、特定のサーバーだけを外部に公開します。

ISPからは次の情報を提供されているものとします。

表 9:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 user@isp
PPPパスワード isppasswd
PPPoEサービス名 指定なし
使用できるIPアドレス 4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7)


本製品には、次のような方針で設定を行います。


以下、本製品の基本設定についてまとめます。

表 10:本製品の基本設定
WAN側VLAN vlan2(wan):ポート1
LAN側VLAN vlan10(lan):ポート2〜6
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered
LAN側(vlan10)IPアドレス 4.4.4.1/29
DHCPサーバー機能 使わない



Note - 本設定例では、PPPインターフェースのリンクアップ・ダウンによって、トリガーの状態が動的に変化します。そのため、以下の設定コマンドは本製品のWAN側インターフェース(vlan2)にケーブルを接続していない状態(PPPインターフェースがリンクアップしない状態)で入力してください。詳細については章末の「メモ」をご覧ください。

  1. 2つのVLAN、wan(VID=2)とlan(VID=10)を作成します。


  2. 各VLANにポートを割り当てます。


  3. VLAN wan(VID=2)上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターには、PPPoEを使用するVLANとPPPoEサービス名を指定します。VLANとPPPoEサービス名は、「VLANn-servicename」の形式で指定します。「n」はVLAN ID(VID)、「servicename」はISP等から指定されたPPPoEサービス名です。ISPからサービス名を指定されていない場合は、「any」を指定してください。


  4. ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


    Note - PPPoEのLAN型接続におけるWAN側(PPP)インターフェースは、厳密にはUnnumberedではありません。IPCPネゴシエーションでLAN側用のネットワークアドレスを割り当てられることが多いようです。

  7. LAN側(vlan10)インターフェースにISPから割り当てられたグローバルアドレスの先頭アドレス(4.4.4.1)を設定します。アドレスを8個や16個といった単位で割り当てられる場合は、ネットマスクが変則的になるので注意してください。


  8. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  9. デフォルトルートを設定します。


  10. ファイアウォール機能を有効にします。


  11. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  12. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  13. identプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  14. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  15. 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、LAN側サーバーへのパケットを通すための設定を行います。

  16. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  17. トリガー機能を有効にします。


  18. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  19. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。

 

LAN型接続(LAN側プライベート+DMZ)

PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。グローバルアドレスを8個、16個などのブロック単位で固定的に割り当てられるLAN型接続の設定例です。この例では、LAN側を2つのサブネットに分割し、一方をグローバルアドレスで運用するサーバー用(DMZ)、もう一方をプライベートアドレスで運用するクライアント用とします。クライアントはダイナミックENAT経由でインターネットにアクセスします。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、特定のサーバーだけを外部に公開します。

ISPからは次の情報を提供されているものとします。

表 11:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 user@isp
PPPパスワード isppasswd
PPPoEサービス名 指定なし
使用できるIPアドレス 4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7)


本製品には、次のような方針で設定を行います。


以下、本製品の基本設定についてまとめます。

表 12:本製品の基本設定
WAN側VLAN vlan2(wan):ポート1
DMZ側VLAN vlan5(dmz):ポート2〜3
LAN側VLAN vlan10(lan):ポート4〜6
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered
DMZ側(vlan5)のIPアドレス 4.4.4.1/29
LAN側(vlan10)のIPアドレス 192.168.10.1/24
DHCPサーバー機能 使わない



Note - 本設定例では、PPPインターフェースのリンクアップ・ダウンによって、トリガーの状態が動的に変化します。そのため、以下の設定コマンドは本製品のWAN側インターフェース(vlan2)にケーブルを接続していない状態(PPPインターフェースがリンクアップしない状態)で入力してください。詳細については章末の「メモ」をご覧ください。

  1. 3つのVLAN、wan(VID=2)、dmz(VID=5)、lan(VID=10)を作成します。


  2. 各VLANにポートを割り当てます。


  3. VLAN wan(VID=2)上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターには、PPPoEを使用するVLANとPPPoEサービス名を指定します。VLANとPPPoEサービス名は、「VLANn-servicename」の形式で指定します。「n」はVLAN ID(VID)、「servicename」はISP等から指定されたPPPoEサービス名です。ISPからサービス名を指定されていない場合は、「any」を指定してください。


  4. ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


    Note - PPPoEのLAN型接続におけるWAN側(PPP)インターフェースは、厳密にはUnnumberedではありません。IPCPネゴシエーションでLAN側用のネットワークアドレスを割り当てられることが多いようです。

  7. DMZ側(vlan5)インターフェースにISPから割り当てられたグローバルアドレスの先頭アドレス(4.4.4.1)を設定します。アドレスを8個や16個といった単位で割り当てられる場合は、ネットマスクが変則的になるので注意してください。


  8. LAN側(vlan10)インターフェースにプライベートIPアドレスを割り当て、クライアント用のサブネットとします。


  9. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  10. デフォルトルートを設定します。


  11. ファイアウォール機能を有効にします。


  12. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  13. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  14. identプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  15. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  16. LAN側(vlan10)ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには4.4.4.1を共用します。


  17. 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、DMZのサーバーへパケットを通すための設定を行います。


  18. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  19. トリガー機能を有効にします。


  20. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  21. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。

 

LAN型接続(LAN側プライベート+スタティックNAT)

PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。グローバルアドレスを8個、16個などのブロック単位で固定的に割り当てられるLAN型接続の設定例です。この例では、ISPから割り当てられたアドレスを本製品やホストに直接割り当てず、LAN側コンピューターはプライベートアドレスで運用します。クライアントはダイナミックENAT経由でインターネットにアクセスさせます。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、スタティックNATを使って特定のサーバーだけを外部に公開します。

ISPからは次の情報を提供されているものとします。

表 13:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 user@isp
PPPパスワード isppasswd
PPPoEサービス名 指定なし
使用できるIPアドレス 4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7)


本製品には、次のような方針で設定を行います。


以下、本製品の基本設定についてまとめます。

表 14:本製品の基本設定
WAN側VLAN vlan2(wan):ポート1
LAN側VLAN vlan10(lan):ポート2〜6
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered
LAN側(vlan10)IPアドレス 192.168.10.1/24
DHCPサーバー機能 使わない



Note - 本設定例では、PPPインターフェースのリンクアップ・ダウンによって、トリガーの状態が動的に変化します。そのため、以下の設定コマンドは本製品のWAN側インターフェース(vlan2)にケーブルを接続していない状態(PPPインターフェースがリンクアップしない状態)で入力してください。詳細については章末の「メモ」をご覧ください。

  1. 2つのVLAN、wan(VID=2)とlan(VID=10)を作成します。


  2. 各VLANにポートを割り当てます。


  3. VLAN wan(VID=2)上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターには、PPPoEを使用するVLANとPPPoEサービス名を指定します。VLANとPPPoEサービス名は、「VLANn-servicename」の形式で指定します。「n」はVLAN ID(VID)、「servicename」はISP等から指定されたPPPoEサービス名です。ISPからサービス名を指定されていない場合は、「any」を指定してください。


  4. ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


    Note - PPPoEのLAN型接続におけるWAN側(PPP)インターフェースは、厳密にはUnnumberedではありません。IPCPネゴシエーションでLAN側用のネットワークアドレスを割り当てられることが多いようです。

  7. LAN側(vlan10)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  9. デフォルトルートを設定します。


  10. ファイアウォール機能を有効にします。


  11. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  12. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  13. identプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  14. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  15. スタティックNATによるサーバー公開設定を行います。


  16. ダイナミックENATの設定を行います。LAN側のプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレス4.4.4.1に変換するよう設定します。


  17. 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。


  18. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  19. トリガー機能を有効にします。


  20. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  21. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。







(C) 2000 - 2006 アライドテレシスホールディングス株式会社

PN: J613-M6873-04 Rev.E