[index] CentreCOM 9600シリーズ コマンドリファレンス 2.7

IPv6マルチキャスト/PIM

備考:フィーチャーライセンス AT-FL-13 が必要


  - PIM-SM
   - 基本設定
   - RPを静的に設定する方法


 

PIM-SM

PIM-SM(Protocol Independent Multicast - Sparse Mode)は、DVMRPやPIM-DMとは異なり、明示的に要求を出したネットワークにだけトラフィックを届けるSparseモードのマルチキャスト経路制御プロトコルです。このプロトコルは、グループのメンバーがネットワーク上に広くまばらに分散しているような環境で最適な動作をするよう設計されています。グループへの参加を表明していないルーターにトラフィックが配送されることは原則としてありません。これを実現するため、グループのトラフィックをとりまとめるRP(Rendezvous Point)というセンタールーターを用意し、RPを起点とする共有木を作成してトラフィックを配送します。

 

基本設定

PIM-SMでは、次のような役割のルーターが必要です。

■ DR(Designated Router:代表ルーター:各サブネットに1台)
各サブネットにおいて、実際にマルチキャストパケットの転送を担当するルーターをDR(代表ルーター)といいます。PIM-SMでは、マルチキャストクライアントが存在するIPサブネットごとにDR(代表ルーター)が必要です。サブネット内に複数のPIMルーターが存在する場合、インターフェースに設定されたDRPRIORITYの値がもっとも大きなルーターがDRとなります。DRPRIORITYが同じときは、IPアドレスの大きなルーターがDRになります。同一サブネット上のPIMルーターは定期的にHelloパケットを送信して互いの状態を監視しており、DRがダウンした場合は次点のルーターがDRになります。

■ RP(Rendezvous Point:ランデブーポイント:各マルチキャストグループに1台)
PIM-SMネットワークの中核をなす重要なルーター。マルチキャストグループごとに用意します。マルチキャストパケットの送信者と受信者(のDR)は、送受信を始めるにあたってRPにメッセージを送り、このような送信者・受信者が存在するということを伝えます。最初、送信者はマルチキャストパケットをRPにユニキャストします。すると、RPは通知のあった受信者に対してのみ、パケットをマルチキャストで転送します。RPの候補(C-RP)が複数存在する場合、PRIORITY値のもっとも小さいルーターがRPに選出されます。

■ BSR(Bootstrap Router:ブートストラップルーター:PIM-SMネットワークに1台)
PIM-SMネットワークにおいて、RP候補とマルチキャストグループの一覧、および、各グループのRP一覧を管理・広告するルーター。複数のBSR候補(C-BSR)が存在するときは、PREFERENCE値のもっとも大きいルーターがBSRに選出されます。

ここでは、次のような構成のネットワークを例に、スイッチA(RP兼BSR)とスイッチB(スイッチCとDはBとほぼ同様の設定になります)の設定について解説します。

この例では、スイッチAにBSR(Bootstrap Router)とRP(Rendezvous Point)を兼務させます。

RPはマルチキャストグループごとに用意する必要があります。この例では、RP(スイッチA)にff0e::1111:2222:3333:0000〜ff0e::1111:2222:3333:ffffの範囲のマルチキャストトラフィックを担当させます。

表 1
VLAN名
VID
ネットワークアドレス
所属スイッチポート
VLAN AB 2 2001:1:1:200::/64 スイッチA(1-2)、スイッチB(1)
VLAN AC 3 2001:1:1:300::/64 スイッチA(3-4)、スイッチC(1)
VLAN AD 4 2001:1:1:400::/64 スイッチA(5-6)、スイッチD(1)
VLAN BB 20 2001:1:1:201::/64 スイッチB(2-6)
VLAN CC 30 2001:1:1:301::/64 スイッチC(2-6)
VLAN DD 40 2001:1:1:401::/64 スイッチD(2-6)



スイッチA(RP兼BSR)の設定

  1. VLANの設定を行います。


  2. IPv6モジュールを有効にします。


  3. VLANインターフェースにIPv6アドレスを割り当てます。また、設定するアドレスのプレフィックス部分(ネットワーク番号)をLAN上に通知するため、「PUBLISH=YES」を付けます。


  4. ルーター通知(RA)を有効にして、プレフィックスを通知するよう設定します。


  5. ユニキャストの経路情報を交換するため、RIPngを有効にします。


  6. 各VLANインターフェースでRIPngを有効にします。


  7. グループメンバー管理のためMLDを有効にします。


  8. 各VLANインターフェースでMLDを有効にします。


  9. IPv6用のPIM(PIM6)を有効にします。


  10. 各VLANインターフェースでPIM-SMを有効にします。


  11. BSR(ブートストラップルーター)として動作するよう設定します。PIM-SMネットワークには、最低1つのBSR候補が必要です。


  12. マルチキャストグループアドレスff0e::1111:2222:3333:0000〜ff0e::1111:2222:3333:ffffのRP(ランデブーポイント)として動作するよう設定します。PIM-SMネットワークでは、マルチキャストグループごとに最低1つのRP候補が必要です。


スイッチBの設定(CとDもほぼ同様です)

  1. VLANの設定を行います。


  2. IPv6モジュールを有効にします。


  3. VLANインターフェースにIPv6アドレスを割り当てます。また、設定するアドレスのプレフィックス部分(ネットワーク番号)をLAN上に通知するため、「PUBLISH=YES」を付けます。


  4. ルーター通知(RA)を有効にして、プレフィックスを通知するよう設定します。


  5. ユニキャストの経路情報を交換するため、RIPngを有効にします。


  6. 各VLANインターフェースでRIPngを有効にします。


  7. グループメンバー管理のためMLDを有効にします。


  8. 各VLANインターフェースでMLDを有効にします。


  9. IPv6用のPIM(PIM6)を有効にします。


  10. 各VLANインターフェースでPIM-SMを有効にします。


以上で設定は完了です。

■ IPv6用のPIM(PIM6)の設定を確認するにはSHOW PIM6コマンドを使います。

■ MLDの設定を確認するにはSHOW IPV6 MLDコマンドを使います。

 

RPを静的に設定する方法

本製品では、BSRを使わずに、RPを静的設定する方法もサポートしています。

ここでは、前の例と同じ構成のネットワークを例に、スイッチA(RP)とスイッチB(スイッチCとDはBとほぼ同様の設定になります)の設定について解説します。

この例では、すべてのスイッチに対し、スイッチAがRP(Rendezvous Point)であると、静的に設定します。BSR(Bootstrap Router)は使用しません。

RPはマルチキャストグループごとに用意する必要があります。この例では、RP(スイッチA)にff0e::1111:2222:3333:0000〜ff0e::1111:2222:3333:ffffの範囲のマルチキャストトラフィックを担当させます。

スイッチA(RP)の設定

  1. VLANの設定を行います。


  2. IPv6モジュールを有効にします。


  3. VLANインターフェースにIPv6アドレスを割り当てます。また、設定するアドレスのプレフィックス部分(ネットワーク番号)をLAN上に通知するため、「PUBLISH=YES」を付けます。


  4. ルーター通知(RA)を有効にして、プレフィックスを通知するよう設定します。


  5. ユニキャストの経路情報を交換するため、RIPngを有効にします。


  6. 各VLANインターフェースでRIPngを有効にします。


  7. グループメンバー管理のためMLDを有効にします。


  8. 各VLANインターフェースでMLDを有効にします。


  9. IPv6用のPIM(PIM6)を有効にします。


  10. 各VLANインターフェースでPIM-SMを有効にします。


  11. マルチキャストグループアドレスff0e::1111:2222:3333:0000〜ff0e::1111:2222:3333:ffffのRP(ランデブーポイント)として、スイッチAを静的に指定します。RPCANDIDATEには、スイッチAのPIM6インターフェースのうち、どれか1つのIPアドレスを指定します。


スイッチBの設定(CとDもほぼ同様です)

  1. VLANの設定を行います。


  2. IPv6モジュールを有効にします。


  3. VLANインターフェースにIPv6アドレスを割り当てます。また、設定するアドレスのプレフィックス部分(ネットワーク番号)をLAN上に通知するため、「PUBLISH=YES」を付けます。


  4. ルーター通知(RA)を有効にして、プレフィックスを通知するよう設定します。


  5. ユニキャストの経路情報を交換するため、RIPngを有効にします。


  6. 各VLANインターフェースでRIPngを有効にします。


  7. グループメンバー管理のためMLDを有効にします。


  8. 各VLANインターフェースでMLDを有効にします。


  9. IPv6用のPIM(PIM6)を有効にします。


  10. 各VLANインターフェースでPIM-SMを有効にします。


  11. マルチキャストグループアドレスff0e::1111:2222:3333:0000〜ff0e::1111:2222:3333:ffffのRP(ランデブーポイント)として、スイッチAを静的に指定します。


以上で設定は完了です。

■ IPv6用のPIM(PIM6)の設定を確認するにはSHOW PIM6コマンドを使います。

■ MLDの設定を確認するにはSHOW IPV6 MLDコマンドを使います。







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