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CentreCOM 9924Ts コマンドリファレンス 3.1
スイッチング/LACP(IEEE 802.3ad)
- 基本設定
LACP(IEEE 802.3ad Link Aggregation Control Protocol)は、対向するポート間でネゴシエーションを行い、トランクグループを自動的に設定する機能です。
Note
- LACPでは、トランクグループを「リンクアグリゲーショングループ(LAG)」と呼びますが、本マニュアルでは原則的に「トランクグループ」を使用します。
Note
- トランクグループの手動設定については、「スイッチング」/「ポート」をご覧ください(「ポートトランキング」)。
LACPによって自動設定されたトランクグループは、手動設定したトランクグループと同じように、論理的に1本のポートとして扱われます。また、トランクグループ内のポートに障害が発生しても残りのポートで通信が継続できるため、信頼性の向上にも貢献します。
LACPでは、次の条件をすべて満たすポート群が同一のトランクグループを構成する候補となります。
- 対向機器が同じ(同じ相手と接続されているポート群)
- 所属VLANが同じ(同じVLANに所属しているポート群)
- 通信速度が同じ(同じ通信速度で動作しているポート群)
- ポート鍵が同じ(同じポート鍵が設定されているポート群)
Note
- トランクグループは、すべて同一メディアタイプのポートで構成してください。たとえば、トランクグループ内に1000BASE-SXポートと1000BASE-LXポートを混在させるような構成はサポート対象外です。
Note
- 10G(XFP)ポート上でのLACPは未サポートです。10GポートではLACPを有効にしないでください。
Note
- LACPが有効なポートではポリシーベースQoSを使用できません。LACPが有効なポートに対してQoSポリシーを割り当てないよう注意してください(割り当てても動作しません)。
作成できるトランクグループの数は最大12(手動で設定したトランクグループを含む)、トランクグループの所属ポート数は最大4となります。グループ内のポートは隣接していなくてもかまいません。
前記の条件を満たすポートが5ポート以上ある場合は、以下の基準にしたがってメンバーポートが4ポート選択されます。
- ポートプライオリティーが最も小さいポート
- ポートプライオリティーが等しい場合は、ポート番号の小さいポート
選択されなかったポートはスタンバイ状態となり、メンバーポートがリンクダウンしたときに備えて待機します。メンバーポートがリンクダウンしたときはスタンバイ状態のポートが自動的に昇格し、リンクダウンしていた旧メンバーポートが再度リンクアップしたときは、旧メンバーポートがメンバーに復帰します。
なお、以下のポートではLACPを使用できません。これらのポートは、自動的にLACPの管理下から除外されます。
■ LACPを使用するには、ENABLE LACPコマンドを実行してLACPモジュールを有効にします(デフォルトは無効)。デフォルトでは、すべてのポートがLACPの管理下に置かれているため、LACPモジュールを有効化すると、前述の条件を満たすポート群がトランクグループに束ねられます。
■ 前述のとおり、デフォルトではすべてのポートでLACPが有効になっていますが、通常は特定のポートでのみLACPを有効化して使います。たとえば、ポート1〜4でのみLACPを有効化するには、DELETE LACP PORTコマンドを使って、それ以外のポートをLACPの管理下から外します。
あるいは、もう少し直感的な方法として、次のように指定することもできます。
DELETE LACP PORT=ALL ↓
ADD LACP PORT=1-4 ↓
■ 1つのトランクグループで同時に使用できるポート数は最大4ポートですが、より多くのポートでLACPを有効化しておくことにより、冗長性をさらに高めることが可能です。たとえば、ポート1〜6でLACPを有効化するには次のようにします。
DELETE LACP PORT=ALL ↓
ADD LACP PORT=1-6 ↓
このように設定すると、通常時はポート1〜4がメンバーポートに選択され、ポート5、6はスタンバイ状態となります。ここでポート1に障害が発生すると、ポート5がメンバーに選択されます。ポート1が復帰すると、再びポート1がメンバーに選択され、ポート5はスタンバイ状態に戻ります。
■ LACPモジュールの状態は、SHOW LACPコマンドで確認できます。
■ LACPの管理下にあるポートの情報は、SHOW LACP PORTコマンドで確認できます。
SHOW LACP PORT ↓
SHOW LACP PORT=1 ↓
■ LACPによって自動生成されたトランクグループの情報は、SHOW LACP TRUNKコマンドで確認できます。また、SHOW SWITCH TRUNKコマンドでも確認できます。
SHOW LACP TRUNK ↓
SHOW SWITCH TRUNK ↓
Note
- LACPの設定は、対向する両方のスイッチで行う必要があります。
Note
- LACPとオーバーラップSTP、LACPとポート認証、LACPとIPマルチキャスト関連機能(DVMRP、PIM、IGMP/IGMP Snooping、MLD Snooping)は併用できません(LACPによって生成されたトランクポートでは、オーバーラップSTP、ポート認証、IPマルチキャスト関連機能を使用できません)。
Note
- FDBにスタティックエントリーを登録している場合は、LACPを使用しないでください。
■ トランクグループ内のどのポートからパケットを送出するかは、L2、L3、L4ヘッダーの情報に基づいて決定されます。ENABLE SWITCH HASHコマンド、DISABLE SWITCH HASHコマンドを使うと、送出ポート決定に使うヘッダー情報を制御できます。
デフォルトでは、L2とL3のヘッダー情報を使って送出ポートを決定しますが、L4のヘッダー情報も使うようにしたければ、次のようにします。
Note
- ルーティング後トランクグループから送信されるIPパケットの送出ポートは、ENABLE SWITCH HASHコマンド、DISABLE SWITCH HASHコマンドの設定とは関係なく、L3ヘッダー情報にのみ基づいて決定されます。その他のパケットには、同コマンドの設定が適用されます。
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