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CentreCOM GS900Mシリーズ コマンドリファレンス 1.6.0
QoS/概要・基本設定
- 送信キューの送信方法
- 送信キューの重み付け
- プライオリティータグと送信キュー
- DiffServ(Differentiated Service)
- DSCP(DiffServ Code Point)
- ポートプライオリティーの割り当て
パケットごとに送信時の優先度を変化させるQoS(Quality of Service)機能について解説します。本製品はIEEE 802.1p準拠のプライオリティータグに基づいてパケットに送信キューを割り当てるQoSと、パケットのDSCP値に基づいてパケットに送信キューを割り当てるQoSに対応しています。
Note
- EAPパケット、DVMRPパケットに対しては、QoSは動作しません。
本製品では送信キューの処理方法を、重み付けラウンドロビン(Weighted round robin priority)と、絶対優先(Strict priority)のどちらで行うかを選択できます。
デフォルトでは、重み付けラウンドロビンが設定されています。この場合は、最大送信パケット数を設定して、送信キューごとの重み付けを行いラウンドロビン(Weighted round robin priority)方式で送信されますので、高いレベルの送信キューのパケット送信が終了するまで待つことなく、低いレベルのキューのパケット送信が行われます。
絶対優先(Strict priority)を選択した場合は、送信キューのレベル(優先度)の高いパケットが優先的に送信され、レベルの高いキューのパケット送信が終了するまで次のレベルのキューのパケットは送信されません。
■ 送信方式の変更は、SET QOS SCHEDULINGコマンドで指定します。
SET QOS SCHEDULING=STRICT ↓
本製品の各ポートは、それぞれ4レベル(0〜3)の送信キューを備えています(キュー3が優先度最高)。
送信キューの重み付けを行い、ラウンドロビン(Weighted round robin priority)で送信を行う場合には、送信キューの重み付けを変更することもできます。
■ 設定は、SET QOS HWQUEUEコマンドで行います。送信キューに重み付けを変更する場合には、次のように設定します。
SET QOS HWQUEUE=1 WEIGHT=5 ↓
設定された比率にしたがって、各キューのパケットは順番に送信されます。
プライオリティーキューのデフォルトの重み付けの比率は、下記のとおりです。
表 1
キュー番号(大きいほど優先度が高い) |
重み付けの比率 |
0 |
1 |
1 |
4 |
2 |
10 |
3 |
15 |
Note
- 送信キューに重み付けを行うには、優先度の高いキュー(キュー3が優先度最高)の比率が大きくなるように設定してください。同じ比率を設定することはできます。
■ 送信キューの重み付けは、SHOW QOS HWQUEUEコマンドで確認できます。
802.1QのVLANタグヘッダーには、3ビットのユーザープライオリティーフィールド(802.1p)が設けられています。

本製品は、このフィールドの値にしたがって、受信フレームの送信に優先度をつけることができます。
本製品の各ポートは、それぞれ4レベル(0〜3)の送信キューを備えています(キュー3が優先度最高)。
受信フレームがどのキューに入れられるかは、ユーザープライオリティー値とキューのマッピング設定によって決まります。
デフォルトのマッピングは次のとおりです。キューは番号が大きいほど優先度が高くなります。
VLANタグのないフレーム(タグなしフレーム)は、ユーザープライオリティー0(すなわちキュー1に入る)として扱われます。(タグなしフレームの扱いについては、後述の「ポートプライオリティーの割り当て」参照)
表 2
ユーザープライオリティー |
キュー番号 |
0 |
1 |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
2 |
5 |
2 |
6 |
3 |
7 |
3 |
■ ユーザープライオリティー値とキューのマッピングを変更するには、SET QOS HWPRIORITYコマンドを使います。たとえば、下図のようなマッピングにするには、次のコマンドを実行します。
SET QOS HWPRIORITY QUEUE=0,0,0,1,1,2,2,3 ↓
表 3
ユーザープライオリティー |
キュー番号 |
0 |
0 |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
1 |
5 |
2 |
6 |
2 |
7 |
3 |
■ ユーザープライオリティーとキューのマッピングを確認するにはSHOW QOS HWPRIORITYコマンドを使います。
DiffServ(Differentiated Service) |
DiffServ(Differentiated Service)は、ネットワーク境界(エッジ)で流入トラフィックをクラス分け・マーキングし、ネットワーク内部ではマーカーだけを見てQoSを適用できるようにする技術です。
DiffServでは、マーキング用にIPヘッダーのTOSオクテットを再定義しています。従来、TOSオクテットは3ビットの優先度フィールドと、3または4ビットのTOSフラグフィールド、および予約済みフィールドで構成されていましたが、DiffServでは先頭6ビットをDSCP(DiffServ Code Point)として定義しなおしています。DSCPフィールドは0〜63の値をとるマーカーフィールドであり、各値の意味は個々のネットワーク主体(DiffServドメイン)が独自に定義します。たとえば、DSCP=20は低遅延・狭帯域、DSCP=21は中遅延・広帯域などといった定義が可能です。

DSCP(DiffServ Code Point) |
IPヘッダーのDiffServフィールド(TOSフィールドとも呼ばれる)内にある6ビットのフィールドです。0〜63の値をとります。パケットを受信する機器に対して、該当パケットのトラフィッククラスを示すために使われます。DSCP値の意味は各機器が独自に管理し、それに基づいてパケットを処理します。
パケットのDSCP値にしたがってQoSを制御するネットワーク上の領域をDiffServドメインと呼びます。DiffServドメインの入り口にあたる機器では、IPアドレスやプロトコル、ポート番号など、DSCP以外の条件をもとにパケットを分類し、DiffServドメイン内で規定されたDSCP値を付加します。これにより、DiffServドメイン内ではDSCP値による統一的なQoSの実施が可能になります。
■ DSCP値とキューのマッピングを変更するには、SET QOS DSCPコマンドを使います。
SET QOS DSCP=0-3 QUEUE=1 ↓
デフォルトでは、すべてのDSCP値に、送信キュー0が割り当てられています。
本製品では、タグなしフレームを受信した場合、受信したポートに割り当てられたユーザープライオリティーに対応する、送信キューに入ります。デフォルトでは、すべてのポートに、ユーザープライオリティー0が割り当てられています。
■ ポートプライオリティーの設定(ポートへのユーザープライオリティーの割り当て)は、SET SWITCH PORTコマンドで行います。
SET SWITCH PORT=1 PRIORITY=7 ↓
上記の設定を行った場合、ポート1で受信したタグなしパケットは、送信キュー3に入ります。(デフォルトのマッピングによる)
Note
- 本製品のQoSの動作では、DSCP値に基づく方式、IEEE 802.1p準拠のプライオリティータグの値に基づく方式、ポートプライオリティーの割り当ての順で優先制御を行います。
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