[index] SwitchBlade 4000シリーズ コマンドリファレンス 2.6

IP/経路制御(RIP)


  - プロトコル概要
   - RIP Version1と2
  - 基本設定
  - RIPユニキャスト


ネットワークの規模が大きくなると、手動で経路情報を登録するスタティックルーティングでは管理の手間が大きくなり、設定ミスなどによる通信障害も起きやすくなります。ダイナミックルーティングは、ルーター間で経路情報を自動的に交換しあう「ダイナミックルーティング(経路制御)プロトコル」を用いて、経路情報の管理を自動化する方法です。本製品では以下のルーティングプロトコルを使用できます。


ここでは、RIPの設定手順について解説します。OSPFの設定については「経路制御(OSPF)」を、スタティックルーティングの設定方法については「IP」の「経路制御」をご覧ください。

 

プロトコル概要

RIP(Routing Information Protocol)は比較的小規模なネットワーク用に設計されたシンプルなダイナミックルーティングプロトコルです。RIPルーターは、自分の持つ経路表を定期的にブロードキャスト(RIP2ではマルチキャスト)し、隣接するルーターに経路情報を伝えます。RIPパケットを受け取った各ルーターは、自分の経路表と受け取った情報を比べ、必要に応じて経路エントリーを追加・削除・修正して経路情報を最新に保ちます。

RIPにはさまざまな制限がありますが、そのシンプルさゆえに設定が簡単であり、小規模なネットワークでは有効に機能します。より大規模なネットワークでは後述するOSPFのほうが適しています。

RIPはトランスポート層としてUDPを利用します。始点・終点ポートは520番です。

 

RIP Version1と2

現在使用されているRIPには2つのバージョンがあります。オリジナルのRIP(RIP Version 1)はRFC1058で、改良版のRIP Version 2はRFC2453でそれぞれ規定されています。

RIP Version1(以下RIP1)で交換される経路情報は次のとおりです。


RIP1にはサブネットマスクの概念がないため、RIP1の経路エントリーにはクラスA、B、Cに基づく標準マスクが適用されます。

一方、RIP Version2(以下RIP2)は、RIP1の未使用フィールドを用いて以下の点を改良しています。


 

基本設定

次のような構成のネットワークを例に、スイッチAでRIPを使用するための設定方法を説明します。


  1. VLANの設定を行います。


  2. IPモジュールを有効にします。


  3. VLANインターフェースにIPアドレスを割り当てます。


  4. 各VLANインターフェース上でRIPパケットの送受信が行われるようにします。


    デフォルトではRIP1が使用されます。RIP2を使う場合はSEND、RECEIVEパラメーターでRIP2を指定してください。


設定は以上です。これにより、VLAN white、VLAN orangeの両インターフェースでRIPパケットの送受信が行われ、他のルーターからの情報を元に経路表が動的に構築されていきます。

■ 経路表を確認するには、SHOW IP ROUTEコマンドを使います。


■ RIPインターフェースの設定を確認するにはSHOW IP RIPコマンドを使います。

■ RIPインターフェースを追加するには、ADD IP RIPコマンドでIPインターフェース(VLAN)を指定します。


■ RIPパケットの送受信をオフにするには、DELETE IP RIPコマンドでIPインターフェース(VLAN)を指定します。


■ RIPの受信のみで送信を行わないようにするにはSENDパラメーターにNONEを指定します。


■ 末端のネットワークなどでRIP情報の送信のみを行い、受信を行わないようにするにはRECEIVEパラメーターにNONEを指定します。


■ RIPインターフェースの設定を変更するにはSET IP RIPコマンドを使います。


■ スタティック経路をRIPで通知したくないときは次のようにします。デフォルトでは、スタティック経路を通知します(STATICEXPORT=YES)。


Note - スタティック経路をRIPで通知するよう設定している場合、スタティック経路のネクストホップが所属するインターフェースからも、同経路を通知します。

■ OSPF経路をRIPで通知するためには、OSBF ASBR(AS境界ルーター)の設定をし、さらにOSPF経路をRIPにエクスポートするよう設定する必要があります(SET OSPFコマンドのASEXTERNAL、RIPパラメーター)。

Note - OSPF経路をRIPで通知するよう設定している場合、OSPF経路のネクストホップが所属するインターフェースからは、同経路を通知しません。

■ RIP2の認証機構を使う場合は次のようにします。各ルーターに同じパスワードを設定してください。パスワードの最大長は16文字です。


■ RIPパケットの送受信統計はSHOW IP RIP COUNTERコマンドで確認できます。

■ RIPタイマーの変更はSET IP RIPTIMERコマンドで行います。

 

RIPユニキャスト

通常、RIPパケットはブロードキャスト(RIP1)またはマルチキャスト(RIP2)で送信されますが、本製品では、通信相手のIPアドレスを指定することにより、ユニキャストによる送受信も可能です。

■ 同一サブネット上のルーターに経路情報を送信するには、ADD IP RIPコマンドのSENDパラメーターにNONE以外(RIP1、RIP2、COMPATIBLEのいずれか)を指定し、IPパラメーターに相手ルーターのIPアドレスを指定します。たとえば、VLAN orange上のRIP2ルーター「192.168.20.2」に対して、経路情報をユニキャストで送信するには、次のようにします。この例では「192.168.20.2」からは経路情報を受信しません。


一方、「192.168.20.2」の側は次のように設定します。ここでは、送信側が「192.168.20.1」であるとします。こちらは受信のみの設定です。


■ 同一サブネット上にないルーターに経路情報を送信するには、ADD IP RIPコマンドのSENDパラメーターにRIP2かCOMPATIBLEを、IPパラメーターに相手ルーターのIPアドレスを、NEXTHOPパラメーターに相手ルーターから見て適切なネクストホップアドレスを指定します。ここでは、次の図のようなIPsec VPNの構成を考えます。

Note - 本例のような構成では、必ずRIP2を使ってください。RIP1パケットにはNext Hopフィールドがないため、ネクストホップアドレスを通知できません。


ここで、スイッチAからスイッチBにRIP2で経路情報を通知するには、スイッチAで次の設定を行います。IPにはスイッチBのアドレス(RIP2パケットの終点アドレス)を、NEXTHOPにはRIP2パケットのNext Hopフィールドにセットするネクストホップアドレス(ここでは、VPN-GW-BのLAN側アドレス)を指定します。


一方、スイッチBでは、スイッチAからのRIP2ユニキャストパケットを受信するために、次のような設定をします。IPにはスイッチAのアドレス(RIP2パケットの始点アドレス)を指定します。








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