[index] SwitchBlade x3100シリーズ コマンドリファレンス

PoE / 概要


   - 本製品のPoE給電仕様
   - ラインカードへの電力の割り当て
   - 給電時の優先順位
   - その他
   - コマンドの使用例

PoEカード「AT-SBx31GP24」の(Power over Ethernet)給電機能について説明します。

PoE(Power over Ethernet)は、UTPケーブルを使って、データと電力を同時に伝送する技術です。PoEの規格(IEEE 802.3at)では、電力を供給する側を「給電機器(PSE: Power Sourcing Equipment)」、電力の供給を受ける側を「受電機器(PD: Powered Device)」と呼びます。

本製品はクラス4 受電機器への給電が可能なIEEE 802.3at に対応しています。給電方式はケーブルの信号線(1,2,3,6)を使用して給電を行うオルタナティブAを採用しています。

本製品のPoE給電仕様

AT-SBx31GP24 のPoE 給電機能は、デフォルトですべてのPoE ポートで有効になっています。接続された受電機器の検出、電力クラスの識別を自動的に行い、必要に応じて給電を開始します。接続された機器が受電機器ではなく通常のイーサネット機器だった場合は、給電を行わず通常の10/100/1000BASE-Tポートとして動作します。

1ポートあたりの最大供給電力は30W、1ラインカードあたりの最大供給電力は720W、システム全体の最大供給電力は、PoE電源ユニット×1台使用時で1200W、PoE電源ユニット×2台使用時で2400Wです。IEEE 802.3atで規定されている電力クラス分けと、本製品が同時に給電可能なポートの最大数については、下表をご覧ください。

表 1:PoE電源ユニットと給電可能ポート数の関係
クラス
用途
受電機器の電力
給電機器の電力
PoE電源ユニット1台での同時給電可能ポート数
PoE電源ユニット2台での同時給電可能ポート数
0 デフォルト 0.44-12.95W 15.4W 77 155
1 オプション 0.44-3.84W 4.0W 240 240
2 オプション 3.84-6.49W 7.0W 171 240
3 オプション 6.49-12.95W 15.4W 77 155
4 オプション 12.95-25.9W 30.0W 44 80


ラインカードへの電力の割り当て

ファブリックコントロールカードは、受電機器が接続されているポートに割り当てられた電力の合計値を、システムの最大供給電力から差し引いた値(残りの電力)を、装着されているラインカード間で均等に分配することで、各ラインカードに割り当てる電力を管理しています。この処理は、受電機器の接続数が変わるたびに行われます。

たとえば、システム全体の最大供給電力が1200W、ラインカードAとラインカードBの2つのラインカードが装着されていると仮定します。ここで、ラインカードA にクラス1 受電機器を接続すると、ラインカードA の接続ポートに4W分の電力が割り当てられるので、1200W−4W=1196W で、1196Wがシステムに残された電力になります。これを2 台のカードで均等に分けると、1196W÷2 =598Wで、

ラインカードAに割り当てられる電力: 598W+4W=602W
ラインカードBに割り当てられる電力: 598W

となります。受電機器の接続数が増えるにしたがって、ラインカードに割り当てられる電力も大きくなります。

なお、システムに残された電力をラインカード間で分ける際に、均等に割り切れない場合、たとえば、1196Wの電力をラインカード10台で分けるような場合、1196W÷10= 119W余り6Wとなりますが、余りの6Wについては、もっとも優先度の高いラインカードに割り当てられます。

運用中に電源ユニットを取りはずすなどして最大供給電力量が変わった場合も、ファブリックコントロールカードはすぐに再計算を行い、各ラインカードに割り当てる電力値を変更します。

給電時の優先順位

ラインカードの実際の電力消費量がラインカードに割り当てられた電力を上回った場合
は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。

ポートの給電優先度は、CRITICAL(最高)、HIGH(高)、LOW(低)の3段階で設定でき、優先順位の同じポート間では、ポート番号の小さいほうが優先順位が高くなり、PoEカードを複数導入している場合は、スロット番号の小さい方が優先順位が高くなります。

初期設定では、全てのPoEポートの給電優先順位はLOWとなります。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(スロット0、ポート0が優先順位最高、スロット11、ポート23が優先順位最低)。

その他

PoE電源の電力使用量を監視するため、ログメッセージの出力、および、SNMPトラップ送信のしきい値を設定することができます。これには、SET POE THRESHOLDコマンドを使います。しきい値は、最大供給電力に対する割合(%)で指定します。初期設定は99%です。

PoE電源の電力使用量がしきい値を下から上、あるいは、上から下にまたぐと、ログメッセージが出力されます。また、SNMPトラップの設定がなされている場合はSNMPトラップメッセージも送信されます。SNMPトラップの設定については、「運用・管理」の「SNMP」をご覧ください。

コマンドの使用例

■ スロット0の0番から14番ポート、スロット1の0番から14番ポートの給電優先順位をCRITICAL(最高)に変更するにはSET POE INTERFACEコマンドを使います。


■ スロット1の0番から14番ポートの最大供給電力を22Wに変更するにはSET POE INTERFACEコマンドを使います。


■ 供給電力のしきい値を30%に変更するにはSET POE THRESHOLDコマンドを使います。


■ PoE給電機能の各種情報を確認するには、SHOW POE CARDコマンド、SHOW POE COUNTER INTERFACEコマンド、SHOW POE INTERFACEコマンドを使います。


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