[index] SwitchBlade x3100シリーズ コマンドリファレンス

IP / ARP


  - プロトコル概要 
   - コマンドの使用例
  - Local ARP Discard
   - 基本設定

IPアドレスから物理アドレス(MACアドレス)を検索するARP(Address Resolution Protocol)関係の機能について説明します。

プロトコル概要


Ethernet上での通信は、たとえ上位でIPを使用していたとしても、最終的にはEthernetアドレス(MACアドレス)を使って行われます。ARPはこれを支援するために開発されたIPの重要なサポートプロトコルです。

同じVLANに所属する2台のホストがIPで通信する場合を考えます。ホスト192.168.10.1はTelnetサーバー、ホスト192.168.10.100がTelnetクライアントだとします。

Telnetセッションを開始しようとするクライアントは、最初にARP Requestパケットをブロードキャストして、サーバーのIPアドレス「192.168.10.1」に対応するMACアドレスを要求します。これに対し、サーバーはARP Replyパケットでクライアントに自分のMACアドレスを伝えます。これで初めて、クライアントはサーバーにIPパケット(TCP Synパケット)を直接送信できるようになります。

ルーター越えの通信でもARPは使用されます。なぜならば、別のIPネットワーク上にあるホストと通信するためには、ルーターにパケットを送りつけてIPパケットの転送を依頼しなくてはならないからです。ルーターにIPパケットを送る手順は、前述したクライアント、サーバー間の通信と何ら変わりません。ルーターにIPパケットを届けるためには、最初にルーターのMACアドレスを知らなくてはならないからです。

通常IPホストは、ARPによって学習したMACアドレスとIPアドレスの対応付けをARPキャッシュと呼ばれるテーブルに保存しています。これは、ARPパケットのブロードキャストを減らすためです。IP通信の開始時には、最初にARPキャッシュを検索し、検索に失敗したときだけARPリクエストをブロードキャストします。また、ARPエントリーにはタイマーが設定され、一定時間通信のなかったエントリーは削除(エージング)されるようになっています。

コマンドの使用例


■ ARPエントリーを削除するには、CLEAR IP ARPコマンドを使います。


■ ARPキャッシュの内容を確認するには、SHOW IP ARPコマンドを使います。


Local ARP Discard

Local ARP Discardは、指定したIPアドレスのARP Requestを破棄し、余計なARP Request(broadcast)を他のポートに送信しないようにするための機能です。IPアドレスは固定またはダイナミックのどちらでも指定できます。

固定IPアドレスを指定する場合はグループを作成する必要があります。グループは、1つのVLANに属する必要があります。VLANにはIPアドレスのホストが異なるグループならば、複数指定できます。特定のインターフェースとVLANを関連付けたものは、1つのグループのみ属せます。

ダイナミックIPアドレスはDHCPサーバーとホスト間のDHCPACKメッセージの交換で指定されます。Local ARP Discard機能を有効にする前に、アドレスを学習する必要があるため12時間〜14時間後に、設定を続ける必要があります。


基本設定

Local ARP Discardは初期設定で無効です。

■ 固定IPアドレスでの設定方法を説明します。
  1. グループを作成し、VLANと関連付けを行います。


  2. IPアドレスとインターフェースを指定します。


  3. Local ARP Discardを有効にします。


  4. 設定を確認します。

    officer SEC>> SHOW MACFF VLAN=244
    
    --- MAC Forced Forwarding Status ---
    
    Interface      Mode    VLAN Group                Host            Type
    -------------- ------- ---- -------------------- --------------- -------
    10.0           Discard 244  A                    1.1.50.1        Static
    10.0           Discard 244  A                    1.1.50.5        Static
    10.0           Discard 244  A                    1.1.50.10       Static
    


■ ダイナミックIPアドレスでの設定方法
  1. VLANとインターフェースの関連付けを行います。

  2. MACFFを有効にします。MODEパラメーターはLEARNINGを選択します。本コマンドの実行後、12〜14時間ぐらい待ち学習されるの待ちます


  3. MACFFを有効にし、Local ARP Discardを有効にします。


  4. 設定を確認します。

    officer SEC>> SHOW MACFF VLAN=301
    
    --- MAC Forced Forwarding Status ---
    
    Interface      Mode    VLAN Group                Host            Type
    -------------- ------- ---- -------------------- --------------- -------
    10.0           Discard 301  -                    1.1.50.2        Dynamic
    10.0           Discard 301  -                    1.1.50.3        Dynamic
    


以上で設定は完了です。


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