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スイッチング / ポリシーベースQoS


   - プライオリティータグと送信キュー 
   - DSCP(DiffServ Code Point)
    - 設定手順

QoS(Quality of Service)関連機能について解説します。

本製品は、ユーザーが定義したポリシーマップに基づき、各トラフィッククラスに任意のサービスレベルを割り当てるポリシーベースQoSやパケットのDSCP値に基づいてパケットに送信キューを割り当てるQoSに対応しています。

ポリシーマップでは、クラスマップを用いてパケットをトラフィッククラスに分類し、それぞれに異なるサービスレベル(帯域や優先度、経路)を割り当てることができます。クラスマップでは、IPアドレスやTCP/UDPポート、DSCP(DiffServ Code Point)などに基づいたトラフィック分類が可能です。

Note - 同一ポート上において、ハードウェアパケットフィルターとポリシーマップを併用することは可能です。該当ポートで受信したパケットの処理は、ハードウェアパケットフィルター、ポリシーマップの順に行われます。ただし、次項で述べる制限事項があるので注意してください。

Note - ハードウェアパケットフィルターにマッチしたパケットに対して、ポリシーマップによるQoSは適用されません(ここでの「マッチ」とは、破棄(deny)だけでなく明示的な転送許可(permitなど)も含みます)。ハードウェアパケットフィルターで破棄(deny)のアクションだけを使用する場合は両者を併用しても問題はありませんが、ハードウェアパケットフィルターで破棄以外のアクションを使用する場合は、ハードウェアパケットフィルターとポリシーマップを併用せずに、ポリシーマップのフィルタリング機能を使ってフィルタリングを行ってください。

プライオリティータグと送信キュー

802.1QのVLANタグヘッダーには、3ビットのユーザープライオリティーフィールド(802.1p)が設けられています。

本製品は、このフィールドの値にしたがって受信フレームの送信に優先度を付けることができます。

本製品の各ポートは、それぞれ8レベル(0〜7)の送信キューを備えています(キュー7が優先度最高)。フレームは相対的にもっとも優先度の高いキューからのみ送信されます。たとえば、キュー3とキュー2にフレームが格納されている場合、キュー3が空になるまでキュー2内のフレームは送信されません。

割り当てられる帯域は次のようになります(数値は一番左が相対的にもっともレベルの低いキュー、一番右が相対的にもっともレベルの高いキューに割り当てられる帯域(%)を示しています)。



受信フレームがどのキューに入れられるかは、ユーザープライオリティー値とキューのマッピング設定によって決まります。デフォルトのマッピングは次のとおりです。VLANタグ付きのフレームは、このマッピングにしたがって処理されます。

Note - 本製品では常に8キューを使用します。

表 1
ユーザープライオリティー
8キュー番号
4キュー番号
0 0 0
1 1 0
2 2 1
3 3 1
4 4 2
5 5 2
6 6 3
7 7 3


■ ユーザープライオリティー値とキューのマッピングを変更するには、SET QOSコマンドを使います。たとえば、下図のようなマッピングにするには、次のコマンドを実行します。

表 2
ユーザープライオリティー
8キュー番号
4キュー番号
0 0 0
1 0 0
2 1 0
3 1 1
4 2 0
5 2 2
6 3 0
7 4 0


■ ユーザープライオリティーとキューのマッピングを確認するにはSHOW QOSコマンドを使います。


DSCP(DiffServ Code Point)

IPヘッダーのDiffServフィールド(TOSフィールドとも呼ばれる)内にある6ビットのフィールドです。0〜63の値をとります。パケットを受信する機器に対して、該当パケットのトラフィッククラスを示すために使われます。DSCP値の意味は各機器が独自に管理し、それに基づいてパケットを処理します。

パケットのDSCP値にしたがってQoSを制御するネットワーク上の領域をDiffServドメインと呼びます。DiffServドメインの入り口にあたる機器では、IPアドレスやプロトコル、ポート番号など、DSCP以外の条件をもとにパケットを分類し、DiffServドメイン内で規定されたDSCP値を付加します。これにより、DiffServドメイン内ではDSCP値による統一的なQoSの実施が可能になります。

設定手順

DSCPを使用した設定手順を説明します。ここでは、インターフェース1.0と2.0に接続しているサービスプロバイダーの機器に対してIPDSCPMAPの設定を行い、インターフェース1.1に接続しているVoIP機器(ボイストラフィック)にDSCP設定をタグ無しパケットで行い、インターフェース1.2に接続しているPC(データトラフィック)にはベストエフォートで設定します。
    1.インターフェース1.0,2.0 と 1.1に対してオプションを指定します。

    2.データトラフィック用にクラシファイアを設定します。

    3.クラシファイアのアクションを設定します。

    4.クラシファイアとインターフェースの関連付け、優先順を設定します。

    5.設定を確認します。

    officer SEC>> SHOW CLASSIFIER=qos_data
    
    --- Classifier Configuration Data -----------------
    
    Name         Field Match(es)                          Action(s)
    ------------ ---------------------------------------- --------------------
    qos_data     MACSOURCE=ANY                            SETQUEUE=0
                 IPSOURCE=ANY                             SETIPDSCP=0
                                                          SETBANDWIDTHCLASS=RED
                                                          SETVPRIORITY=0
    
    officer SEC>> SHOW CLASSIFIER=qos_data INTERFACE=1.2
    
    --- Classifier Configuration Data -----------------------------------------
    
    Interface Rank Name         Field Match(es)            Action(s)
    --------- ---- ------------ -------------------------- --------------------
    ETH:1.2   146  qos_data     MACSOURCE=ANY              SETQUEUE=0
                                IPSOURCE=ANY               SETIPDSCP=0
                                                           SETBANDWIDTHCLASS=RED
                                                           SETVPRIORITY=0
    
    
    officer SEC>> SHOW QOS INTERFACE=1.0,2.0
    
    --- Quality of Service Interface Settings ---
    
              Trust   Remark      Untagged Packet
    Interface IP DSCP 802.1p Bits Egress Queue
    --------- ------- ----------- ----------------
    ETH:1.0   Yes     Yes         0
    ETH:2.0   Yes     Yes         0
    
    
    officer SEC>> SHOW QOS INTERFACE=1.1
    
    --- Quality of Service Interface Settings ---
    
              Trust   Remark      Untagged Packet
    Interface IP DSCP 802.1p Bits Egress Queue
    --------- ------- ----------- ----------------
    ETH:1.1   No      -           6
    





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