[index] CentreCOM x230シリーズ コマンドリファレンス 5.4.4

インターフェース / Power over Ethernet


PoE給電機能のオン・オフ
電力クラスによる電力割り当て
給電時の優先順位
その他


本製品のPoE(Power over Ethernet)給電機能について説明します。


PoE(Power over Ethernet)は、UTPケーブルを使って、データと電力を同時に伝送する技術です。PoEの規格(IEEE 802.3af、IEEE 802.3at)では、電力を供給する側を「給電機器(PSE: Power Sourcing Equipment)」、電力の供給を受ける側を「受電機器(PD: Powered Device)」と呼びます。

本製品は、PoE規格に準拠した給電機器として、1ポートあたり最大30Wの電力供給が可能です。
装置全体の最大供給電力は、124Wです。
各ポートへの電力割り当ては、受電機器の電力クラスに基づいて行います。

Note - PoE利用時は、意図せずに給電優先度の高いPoE受電機器がダウンしないように、あらかじめpower-inline priorityコマンドで優先的に電力を提供するポートを設定してください。

PoE給電機能のオン・オフ

PoE給電機能に対応しているのは、本体内蔵の10/100/1000BASE-T PoEポート1〜8(AT-x230-10GP)です。


初期状態では、すべてのPoEポートでPoE給電機能が有効になっており、接続された受電機器(PD)の検出、電力クラスの識別を自動的に行い、必要に応じて給電を開始します。
接続されている機器が受電機器ではなく通常のEthernet機器だった場合は、給電を行わず通常の10/100/1000BASE-T Ethernetポートとして動作します。

Note - 本製品を給電機器(PSE)とカスケード接続する場合は、本製品のカスケードポートのPoE給電機能を無効に設定してください(power-inline enableコマンドをno形式で実行する)。

■ 指定したポートでPoE給電機能を無効にするには、該当ポートを対象とするインターフェースモードにおいて、power-inline enableコマンドをno形式で実行します。

awplus(config)# interface port1.0.17-1.0.24
awplus(config-if)# no power-inline enable


■ 指定したポートでPoE給電機能を再度有効にするには、power-inline enableコマンドを通常形式で実行します。

awplus(config)# interface port1.0.17-1.0.24
awplus(config-if)# power-inline enable


電力クラスによる電力割り当て

本製品はPoEポートに接続された受電機器の電力クラスを自動的に識別し、電力クラスに応じた電力を該当ポート用に割り当てます。

たとえば、PoEポートで検出された受電機器がクラス1だった場合、本製品は、この受電機器が実際に使用する電力量に関係なく、4W分の電力を該当ポートに割り当てます。これは、最大4Wまでの出力に対応できるよう、装置全体の最大供給電力のうち4W分を該当ポート用に確保するという意味です。
同様に、接続された受電機器がクラス2の場合は7W、クラス3の場合は15.4W、クラス4の場合は30Wの電力を確保します。

仮に10Wの出力で充分なクラス3受電機器を接続した場合でも、接続ポート用に15.4W分の電力が確保されるため、クラス3受電機器は8ポート(AT-x230-10GP)までしか同時給電できません。クラス3受電機器をこのポート数より多く接続した場合は、次項「給電時の優先順位」で述べる方法にしたがって優先順位の低いポートへの給電が停止されます。

PoE規格で規定されている電力クラス分けについては、下表をご覧ください。

表 1:電力クラス(参考)
クラス
用途
受電機器の使用電力
給電機器の出力電力
0 デフォルト 0.44〜12.95W 15.4W
1 オプション 0.44〜3.84W 4.0W
2 オプション 3.84〜6.49W 7.0W
3 オプション 6.49〜12.95W 15.4W
4 オプション 12.95〜25.5W 30W

Note - 電力クラスは、show power-inlineコマンドやshow power-inline interfaceコマンドで確認できます(Class欄やPowered device class欄)。

給電時の優先順位

PoE電源の電力使用量が装置全体の最大供給電力を上回った場合は、給電中のポートのうち、もっとも優先順位の低いポートへの給電を停止します。優先順位は次のようにして決定されます。

  1. ポートの給電優先度(power-inline priorityコマンドで設定)。critical(最高)、high(高)、low(低)の3段階。

  2. 給電優先度の同じポート間では、ポート番号の小さいほうが優先順位が高くなる。

Note - PoEポートからの出力電力が受電機器の電力クラスで規定された上限値(クラス1:4W、クラス2:7W、クラス3:15.4W、クラス4:30W)を超えた場合は、給電優先順位に関係なく該当ポートへの給電を停止します。

初期状態では、すべてのPoEポートで給電優先度がlowに設定されています。したがって、給電時の優先順位はポート番号の順になります(ポート1が優先順位最高)

■ ポートの給電優先度を変更するには、power-inline priorityコマンドを使います。

awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.8
awplus(config-if)# power-inline priority critical


その他

■ PoE電源の電力使用量を監視するため、ログメッセージの出力、および、SNMPトラップ送信のしきい値を設定することができます。これには、power-inline usage-thresholdコマンドを使います。しきい値は、装置全体の最大供給電力に対する割合(%)で指定します。初期設定は80%です。

awplus(config)# power-inline usage-threshold 90


PoE電源の電力使用量がしきい値を下から上、あるいは、上から下にまたぐと、ログメッセージが出力されます。また、SNMPトラップの設定がなされている場合はSNMPトラップメッセージも送信されます。

Note - SNMPトラップの設定については、「運用・管理」の「SNMP」をご覧ください。

■ PoE給電機能の各種情報を確認するには、show power-inlineコマンド、show power-inline countersコマンド、show power-inline interfaceコマンドを使います。


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