[index] CentreCOM x610シリーズ コマンドリファレンス 5.4.1

運用・管理 / RADIUSサーバー


  - 仕様
   - ローカルRADIUSサーバー
   - ローカルCA
  - 基本設定
  - 各種情報の確認
  - フォワーディングデータベースからのユーザー登録
  - ユーザー情報の書き出しと読み込み
  - 電子証明書の配布(ローカルCA機能)
   - ルートCA証明書の配布
   - ユーザー証明書の発行と配布
  - ローカルRADIUSサーバーの利用

本製品は、おもに小規模環境におけるポート認証機能での利用を想定したRADIUSサーバー機能(ローカルRADIUSサーバー)を内蔵しています。ローカルRADIUSサーバーを利用すれば、別途RADIUSサーバーを用意することなく、本製品だけでポート認証におけるAuthenticatorと認証サーバーを兼ねることができます。

また、IEEE 802.1X認証では認証局(CA)の発行する電子証明書を使用する場合がありますが、ローカルRADIUS機能には独自の証明書を発行するローカルCA機能が付属しているため、別途認証局(CA)を用意する必要がありません。

ここではポート認証機能そのものについては触れません。「インターフェース」の「ポート認証」をご覧ください。

仕様

ローカルRADIUSサーバーとローカルCAの基本的な仕様を以下に示します。

ローカルRADIUSサーバー


Note - 本製品のローカルRADIUS機能は、外部認証局(CA)の発行する電子証明書を使用できません。そのため、IEEE 802.1X認証を使用する場合には、本製品に付属するローカルCAの利用が必須となります。

ローカルCA

EAP-TLS、EAP-PEAPの認証には認証局(CA)が発行する電子証明書が必要ですが、ローカルRADIUS機能には独自の証明書を発行するローカルCA機能が付属しているため、別途認証局(CA)を用意する必要がありません。ローカルCAおよびローカルRADIUSサーバーの証明書は自動的に発行されるため、必要な作業はCA証明書を配布してSupplicantにインストールすることと、ユーザー証明書を発行・配布してSupplicantにインストールすることくらいです。


Note - 本製品のローカルCAで使用される自署ルートCA証明書やローカルRADIUSサーバーの証明書および秘密鍵は、リモートホストへのコピーができません。本製品のローカルRADIUSサーバー機能を用いたEAP-TLSまたはEAP-PEAP構成でネットワーク運用する場合はご注意ください。

基本設定

  1. ローカルRADIUSサーバーの設定を開始するには、radius-server localコマンドを実行します。

    awplus(config)# radius-server local
    Creating Local CA repository.....OK
    Enrolling Local System to local trustpoint..OK
    awplus(config-radsrv)# 
    


    radius-server localコマンドの初回実行時には、ローカルCA(ローカルなルート認証局)の初期設定(自署ルートCA証明書の発行など)やRADIUSサーバーの証明書発行などが自動的に行われ、またローカルホスト(127.0.0.1)をRADIUSクライアント(NAS)として自動登録します。具体的には、下記のコマンドが自動的に実行されます。

    !
    ! 以下はradius-server localの初回実行時に自動実行される内容です。
    ! (ランニングコンフィグに自動追加される内容)
    !
    awplus(config)# crypto pki trustpoint local
    awplus(config)# crypto pki enroll local
    awplus(config)# radius-server local
    awplus(config-radsrv)# nas 127.0.0.1 key awplus-local-radius-server
    


  2. ユーザーを登録します。


  3. 他の機器にも本製品のRADIUSサーバーを利用させたいときは、それらの機器をRADIUSクライアント(NAS)として登録する必要があります。該当機器のIPアドレス(RADIUSパケットの始点IPアドレス)と、アクセス時の共有パスワードをnasコマンドで設定してください。ここでは、172.16.10.2と172.16.10.3を持つ機器をRADIUSクライアントとして登録しています。

    awplus(config-radsrv)# nas 172.16.10.2 key naspas2
    awplus(config-radsrv)# nas 172.16.10.3 key naspas3
    


  4. 各種登録が終わったら、server enableコマンドでRADIUSサーバーを有効にします。

    awplus(config-radsrv)# server enable
    


基本設定は以上です。

■ ローカルRADIUSサーバーの初期状態では、UDPポート1812番で認証サービスを提供します。認証用のポートを変更するには、server auth-portコマンドを使います。

awplus(config-radsrv)# server auth-port 11812


■ ローカルRADIUSサーバーの初期状態では、サポートしているすべての認証方式(PAP、EAP-MD5、EAP-TLS、EAP-PEAP)が有効です。特定の認証方式を無効にしたい場合は、authenticationコマンドをno形式で実行します。

awplus(config-radsrv)# no authentication eapmd5


各種情報の確認

■ ローカルRADIUSサーバーの状態と統計情報を確認するには、show radius local-server statisticsコマンドを使います。

awplus# show radius local-server statistics


■ ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーの情報は、show radius local-server userコマンドで確認します。

awplus# show radius local-server user


■ ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーグループの情報は、show radius local-server groupコマンドで確認します。

awplus# show radius local-server group


■ ローカルRADIUSサーバーに登録してあるRADIUSクライアント(NAS)の情報は、show radius local-server nasコマンドで確認します。

awplus# show radius local-server nas


フォワーディングデータベースからのユーザー登録

フォワーディングデータベース(FDB)に登録されているMACアドレスを、MACベース認証用のユーザーデータとして登録したり、ユーザーデータのCSV(カンマ区切り)テキストファイルとして書き出したりすることもできます。

これには、copyコマンドの特殊書式(fdb-radius-usersキーワード)を使います。ファイルコピーに使うcopyコマンドにおいて、コピー元に「fdb-radius-users」を指定することで、FDB内のMACアドレスをユーザーデータとして扱うことができます。

■ FDBに登録されているMACアドレスをローカルRADIUSサーバーに直接登録する場合は、コピー先に「local-radius-user-db」を指定します。


Note - ローカルRADIUSサーバーの設定が行われていない場合(ランニングコンフィグ中にradius-server localコマンドがない場合)、ユーザーデータの登録はできません。また、登録されたユーザーデータはランニングコンフィグに反映されるだけなので、再起動後も使いたい場合は設定をスタートアップコンフィグに保存してください。

■ FDBに登録されているMACアドレスをローカルRADIUSサーバーに直接登録するのではなく、いったんファイルに書き出したい場合は、コピー先に任意のファイルパスを指定します。書き出したCSVファイルは、次節の「ユーザー情報の書き出しと読み込み」で述べる方法でローカルRADIUSサーバーに読み込むことができます。


ユーザー情報の書き出しと読み込み

ローカルRADIUSサーバーに登録してあるユーザーの情報(ユーザーおよびユーザーグループの情報)をCSV(カンマ区切り)テキストとして書き出したり、CSVテキストから読み込んだりすることもできます。

これには、copyコマンドの特殊書式(local-radius-user-dbキーワード)を使います。ファイルコピーに使うcopyコマンドにおいて、予約語「local-radius-user-db」をコピー元に指定すれば書き出し、コピー先に指定すれば読み込みの指示になります。

■ ローカルRADIUSサーバーのユーザー情報をファイルに書き出すには、コピー元に予約語「local-radius-user-db」を、コピー先に任意のファイルパスを指定します。


■ CSVファイルからローカルRADIUSサーバーのユーザー情報を読み込むには、コピー元にバックアップしたCSVファイルのパスを、コピー先に予約語「local-radius-user-db」を指定します。


Note - ローカルRADIUSサーバーの設定が行われていない場合(ランニングコンフィグ中にradius-server localコマンドがない場合)、ユーザーデータの読み込みはできません。また、読み込まれたユーザーデータはランニングコンフィグに反映されるだけなので、再起動後も使いたい場合は設定をスタートアップコンフィグに保存してください。

Note - 読み込み時は、ローカルRADIUSサーバー上のユーザー情報をいったんクリアしてから、CSVファイルの内容で置き換えます(copyコマンドでreplaceオプションを指定したのと同じ)。CSVファイルの内容を既存のユーザー情報に追加したい場合は、addオプションを明示的に指定してください。

Note - 読み込み中にエラーが発生した場合は処理を中断し、読み込み前のユーザー情報に戻ります。

電子証明書の配布(ローカルCA機能)

ローカルRADIUSサーバーに内蔵されているローカルCA機能の操作について説明します。

ルートCA証明書の配布

認証方式としてEAP-TLSまたはEAP-PEAPを使用する場合は、ローカルCAの電子証明書(ルートCA証明書)をSupplicantにインストールしておく必要があります(RADIUSサーバーの電子証明書を検証するため)。

■ ローカルCAの電子証明書をユーザーに配布するには、次のようにします。
  1. crypto pki export local pem urlコマンドを実行して、ローカルCAの証明書をPEM形式のファイルに書き出します。書き出し先のファイル名は任意ですが、拡張子を.cerか.crtにしておくとSupplicantへの取り込み時に便利です。

    awplus(config)# crypto pki export local pem url flash:/localca.cer
    


  2. 書き出したPEM形式ファイル(ここではflash:/localca.cer)をユーザーに渡し、Supplicantにインストールしてもらってください。

ユーザー証明書の発行と配布

認証方式としてEAP-TLSを使用する場合は、ローカルCA機能を利用して登録ユーザーの電子証明書(ユーザー証明書)を発行し、ローカルCAの電子証明書(ルートCA証明書)とともに、該当ユーザーの使用するSupplicantにインストールする必要があります(RADIUSサーバーに対し、正当なユーザーであることを証明するため)。

■ ローカルRADIUSサーバーに登録しているユーザーの電子証明書を発行し、ユーザーに配布するには、次のようにします。

  1. crypto pki enroll local userコマンドで発行対象のユーザー名を指定します。これにより、該当ユーザーの証明書と秘密鍵が発行され、ローカルCAの証明書レポジトリーに格納されます。

    awplus(config)# crypto pki enroll local user user11
    


  2. 発行した証明書と秘密鍵をcrypto pki export local pkcs12コマンドでPKCS#12形式のファイルに書き出します。書き出し先のファイル名は任意ですが、拡張子を.p12にしておくとSupplicantへの取り込み時に便利です。

    awplus(config)# crypto pki export local pkcs12 user11 flash:/user11.p12
    


  3. 書き出したPKCS#12形式ファイル(ここではflash:/user11.p12)を安全な方法でユーザーに渡し、Supplicantにインストールしてもらってください。

    Note - 書き出したPKCS#12ファイルには秘密鍵を保護するためのパスワードがかかっていないため、ファイルを入手すれば誰でも利用できます。PKCS#12ファイルの取り扱いには充分注意してください。

ローカルRADIUSサーバーの利用

■ 自機のローカルRADIUSサーバーを使用するには、RADIUSクライアントの設定において、IPアドレス「127.0.0.1」、共有パスワード「awplus-local-radius-server」を指定します。たとえば、Web認証機能において、ローカルRADIUSサーバーを使って認証を行う場合は、次のようにします。

awplus(config)# radius-server host 127.0.0.1 key awplus-local-radius-server
awplus(config)# aaa authentication auth-web default group radius


■ 他の機器から本製品のローカルRADIUSサーバーを使用する場合は、該当機器のRADIUSクライアントに対して下記の設定をしてください。なお、他の機器からアクセスさせる場合は、nasコマンドを使って、該当機器のIPアドレスと共有パスワードをあらかじめ登録しておく必要があります。

表 2
RADIUSサーバーのIPアドレス 該当機器から到達可能な本製品のIPアドレス
RADIUSサーバーの共有パスワード nasコマンドのkeyパラメーターで設定した文字列
認証用ポート番号 server auth-portコマンドで設定した値。未設定時は初期値の1812
アカウンティング用ポート番号 使用しない(ローカルRADIUSサーバーはアカウンティング機能をサポートしていないため)



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PN: 613-001613 Rev.A