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CentreCOM VX811R コマンドリファレンス 1.0.00
インターフェース/概要・基本設定
- インターフェースの階層構造
- インターフェース名
- 物理インターフェース
- スイッチポート
- Ethernetインターフェース
- データリンク層インターフェース
- VLANインターフェース
- Ethernetインターフェース
- PPPインターフェース
- ネットワーク層インターフェース
- IPインターフェース
ここでは、本製品が装備する物理インターフェースとその上に作成するデータリンク層インターフェース、ネットワーク層インターフェースの基本的な設定方法について解説します。物理インターフェースとデータリンク層インターフェースの間をとりもつ回線制御モジュールや、インターフェースの階層構造についても解説します。
ルーターの設定は、最下位に位置する物理インターフェースの上にさまざまな論理インターフェースを重ねていく形で行います。次に本製品のインターフェース階層図を示します。

最下層にあるインターフェースが、本体内蔵の物理インターフェース(ポート)です。本製品では、LAN側スイッチポート(PORT)、WAN側Ethernetポート(ETH)の2種類があります。
その上にあるのが、物理インターフェースに接続されている回線を制御するソフトウェアモジュールです。スイッチポート、Ethernetポートの場合は特に設定の必要がないため、明確な形では存在しません。トンネリングプロトコルL2TPを使う場合は、L2TPモジュールが仮想的な呼の発着信を制御します。ここまでがOSI参照モデルでの物理層に相当すると考えられます。
Note
- 図中の「L2TP」は、IPネットワーク上に仮想的な回線を構築するVPN(Virtual Private Network)用のトンネリングプロトコルです。詳細は「L2TP」の章をご覧ください。
回線制御モジュールの上位にくるのが、OSI参照モデルの第2層にあたるデータリンク層インターフェースモジュールです。本製品ではVLAN、Ethernet、PPPの3種類をサポートしています。この層では、単なるビット列をフレームと呼ばれる単位に組み立て、同一回線(データリンク)上での通信を制御します。Ethernetインターフェースは物理層とデータリンク層が一体となっているため、特に設定の必要はありません。LAN側スイッチポートは、ご購入時の状態で全ポートがvlan1(VLAN default)に所属していますが、VLANを追加作成することによって任意のグループに分割することができます。VLANの設定は、CREATE VLANコマンド、ADD VLAN PORTコマンドで行います。PPPの場合は、CREATE PPPコマンドで明示的にインターフェースを作成します。このとき、下位インターフェースとして、回線制御モジュールか物理インターフェースを指定します。
データリンク層の上には、第3層にあたるネットワーク層プロトコルのインターフェースモジュールが位置します。本製品ではIP(IPv4)をサポートしています。ネットワーク層インターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドを使って、データリンク層インターフェース上に追加(ADD)する形となります。
ここでは、インターフェースの名前付け規則について解説します。
インターフェース名は、インターフェースの種類を示す略称(ETH、PPPなど)に、インターフェース番号(0、1、2)またはVLAN ID(VID)をつなげた形式で表します。種類を示す略称は次のとおりです。
表 1:インターフェース名
種別略称 |
例 |
説明 |
物理インターフェース |
PORT |
port1 |
LAN側スイッチポート(1〜10) |
ETH |
eth0 |
Ethernetインターフェース(データリンク層と一体) |
データリンク層(論理)インターフェース |
PPP |
ppp0 |
PPPインターフェース |
VLAN |
vlan1 |
VLANインターフェース(数字はVLAN ID) |
ETH |
eth0 |
Ethernetインターフェース(物理層と一体) |
物理インターフェースの番号は固定です。本製品は以下の物理インターフェースを備えています。
- eth0(WAN用Ethernetポート0)
- port1~10(LAN側VDSLポート1〜8、LAN側Ethernetポート9〜10)
データリンク層インターフェースの番号は、Ethernetは物理インターフェースの番号と同じですが、PPPとVLANでは、CREATE PPPコマンド、CREATE VLANコマンドで作成するときにユーザーが指定した番号になります。PPPの場合は0〜511、VLANの場合は2〜4093(VID(VLAN ID)。VID=1はVLAN defaultが予約済み)から選択できます。
Note
- ご購入時の状態では、「default」という名前のVLAN(VID=1)が定義されており、すべてのスイッチポートがこのVLANに所属しています。VLANを複数必要としない限り、VLANの設定を意識する必要はありません。
Note
- LAN側に対してIPアドレスなどを設定するときは、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。
本製品で使用可能な物理インターフェースは以下の2種類です。
- LAN側スイッチポート(port)
- WAN側Ethernetインターフェース(eth)
物理インターフェースは、本製品と各種回線を接続するための接続口(ポート)です。ソフトウェア的に見ると、ポートを制御するドライバーなどを含んでおり、上位の回線制御モジュールやデータリンク層インターフェースにサービスを提供します。
Note
- 本製品は、このほかに非同期シリアルインターフェース(asyn)1ポートを装備していますが、同ポートはコンソール接続専用となっております。モデムなどを接続してのネットワーク接続はサポートしておりません。
以下、インターフェースの種類ごとに設定方法を説明します。
本製品のLAN側は10ポートの10/100M Ethernetスイッチ(うちポート1〜8はVDSL)になっており、複数のコンピューターを接続することができます。これらのポートは、port1〜port10(数字はポート番号)という名前で表します。
LAN側スイッチはポートVLANとタグVLAN(802.1Q)をサポートしているため、設定により任意のグループ分けが可能です。
ご購入時の状態では、すべてのスイッチポートが「default」という名のVLAN(vlan1)に所属しているため、複数のVLANを必要としないのであれば、特にVLANの設定を意識する必要はありません。デフォルト状態のまま、LAN側スイッチ全体を「vlan1」という名前のデータリンク層インターフェースとして扱うことができます。
VLANを複数作成する場合は、CREATE VLANコマンドでVLANを作成し、ADD VLAN PORTコマンドでVLANにポートを割り当てます。詳しくはこの章の「VLANインターフェース」および「VLAN」の章をご覧ください。
Note
- LAN側に対する上位層の設定(IPアドレスの割り当てなど)は、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。詳しくは「VLAN」の章をご覧ください。
■ スイッチポートはデフォルトでオートネゴシエーションが有効に設定されています。個々のポートの通信モード(通信速度とデュプレックスモード)を変更するには、SET SWITCH PORTコマンドを使います。
SET SWITCH PORT=9 POLARITY=MDIX SPEED=100MHALF ↓
■ LAN側スイッチの情報(MACアドレスなど)は、SHOW SWITCHコマンドで確認できます。
■ LAN側スイッチの各種統計カウンターは、SHOW SWITCH COUNTERコマンドで確認できます。
■ スイッチポートの情報は、SHOW SWITCH PORTコマンドで確認できます。
Ethernetインターフェースは、本製品をEthernet LAN(100BASE-TX、10BASE-T)に接続するためのインターフェースです。本製品はEthernetインターフェースを1つ備えており、「eth0」という名称を持っています。
Ethernetインターフェースを使用するにあたって、特に設定しなくてはならない項目はありません。Ethernetは物理層からデータリンク層(MAC副層)までをカバーする規格であるため、直接上位にIPインターフェースを作成することができます。eth0上にIPインターフェースを作成するには、次のようにします。
ADD IP INTERFACE=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
また、Ethernetインターフェースは、LANとの接続だけでなく、PPPoE(PPP over Ethernet, RFC2516)によるWAN接続にも使用できます。PPPoEはEthernet上でPPP(Point-to-Point Protocol, RFC1661)を使用するためのプロトコルで、xDSLなどのブロードバンドサービスで広く使用されています。
PPPoEインターフェースを作成する場合も、Ethernetインターフェースに対して特別な設定は必要ありません。CREATE PPPコマンドでPPPインターフェースを作成するときに、OVERパラメーターに「Ethernetインターフェース名」+ハイフン(-)+「PPPoEサービス名」を指定してください。ISPからPPPoEサービス名が指定されていない場合は、キーワードANYか任意の文字列を指定できます。たとえば、eth0上にPPPoEインターフェースを作成する場合、サービス名が「fuga」ならば「OVER=eth0-fuga」のように指定します。サービス名の指定がない場合は「OVER=eth0-any」とするか、任意の文字列を指定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-any ↓
■ Ethernetインターフェースはデフォルトでオートネゴシエーションが有効に設定されています。Ethernetインターフェースの通信モード(通信速度とデュプレックスモード)を変更するには、SET ETHコマンドを使います。
SET ETH=0 POLARITY=MDIX SPEED=100MHALF ↓
■ EthernetインターフェースのMACアドレスは、SHOW ETH MACADDRESSコマンドで確認できます。
■ Ethernetインターフェースに関する各種統計カウンターは、SHOW ETH COUNTERSコマンドで確認できます。
■ Ethernetインターフェースの統計カウンターは、RESET ETH COUNTERSコマンドでクリアできます。
■ Ethernetインターフェースのリンクステータスなどは、SHOW ETH STATEコマンドで確認できます。
SHOW ETH STATE ↓
SHOW ETH=0 STATE ↓
■ Ethernetインターフェースをリセットするには、RESET ETHコマンドを使います。
本製品で使用できるデータリンク層インターフェースは以下の3種類です。
- VLANインターフェース(vlan)
- Ethernetインターフェース(eth)
- PPPインターフェース(ppp)
データリンク層インターフェースは、物理インターフェースの上に直接作成する場合と、物理インターフェース上にセットアップした回線制御モジュール上に作成する場合があります。以下、それぞれのセットアップ方法について、例を挙げながら簡単に説明します。PPPインターフェースの詳細な設定方法については「PPP」の章を、VLANインターフェースの設定方法については「VLAN」の章をご覧ください(Ethernetインターフェースは特に設定の必要がないため、単独の章はありません)。
VLANインターフェースは、LAN側スイッチポートを束ねたデータリンク層インターフェースです。本製品は、設定により、LAN側スイッチポートを任意のグループに分割できます。VLANの種類としては、ポートVLANとタグVLAN(802.1Q)をサポートしています。
Note
- LAN側に対する上位層の設定(IPアドレスの割り当てなど)は、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。
ご購入時の状態では、「default」という名前のVLAN(VID=1)が定義されており、すべてのスイッチポートがこのVLANに所属しています。VLANを複数必要としない限り、VLANの設定を意識する必要はありません。この場合、LAN側スイッチ全体を「vlan1」という名前のデータリンク層インターフェースとして扱うことができます。
VLANを複数作成する場合は、CREATE VLANコマンドでVLANを作成し、ADD VLAN PORTコマンドでVLANにポートを割り当てます。
■ VLANを作成するには、CREATE VLANコマンドを使います。VLAN作成時には、VLAN名とVID(VLAN ID)の指定が必要です。
CREATE VLAN=white VID=10 ↓
■ VLANにポートを割り当てるには、ADD VLAN PORTコマンドを使います。
ADD VLAN=white PORT=1-3 ↓
■ VLANの情報を確認するには、SHOW VLANコマンドを使います。
■ VLANインターフェースは、Ethernetインターフェースとほぼ同等のデータリンク層インターフェースとして使用できます。たとえば、vlan10上にIPインターフェースを作成するには、次のようにします。
ADD IP INTERFACE=vlan10 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
Note
- VLANインターフェースは、Ethernetインターフェースとほぼ同等ですが、以下の点は異なります。ご注意ください。 (1) VLANインターフェース上ではPPPoEを使用できません。
より詳しくは「VLAN」の章をご参照ください。
Ethernetインターフェースは、物理層とデータリンク層が一体になっています。Ethernetインターフェースを使用するにあたって特別な設定は必要ありません。ネットワーク層インターフェースの設定時に、インターフェース名(eth0)を指定するだけで使用できます。
PPPインターフェースは、2点間のWAN接続に使用するデータリンク層インターフェースです。本製品ではEthernetインターフェース(eth)上にのみ作成できます。
ただし、トンネリングプロトコルL2TPを使用すると、IPネットワーク上に仮想的な回線(L2TPコール)を構築し、その上にPPPインターフェースを作成することもできます。これについては、「L2TP」の章をご覧ください。
PPPインターフェースはCREATE PPPコマンドで作成します。下位のインターフェースは、OVERパラメーターで指定します。
■ Ethernet上でPPP(PPPoE)を使用するには、OVERパラメーターに「Ethernetインターフェース名」+ハイフン(-)+「PPPoEサービス名」を指定します。ISPからPPPoEサービス名が指定されていない場合は、すべてのサービスを意味するキーワード「any」か任意の文字列を指定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-any ↓
必要なときだけ接続するようにするには、「IDLE=ON」を指定してオンデマンド接続を有効にします。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-any IDLE=ON ↓
Note
- VLANインターフェース上ではPPPoEを使用できません。
本製品で使用できるネットワーク層インターフェースはIPのみです。
ネットワーク層インターフェースは、ルーターの基本機能であるルーティングのためのインターフェースです。本製品をルーターとして機能させるためには、IPルーティングモジュールを有効にし、IPインターフェースを2つ以上作成する必要があります。
ネットワーク層インターフェースは、データリンク層インターフェースの上に作成します。以下、セットアップ方法を簡単に説明します。IPプロトコルの詳細な設定方法については、「IP」の章をご覧ください
IPインターフェースは、IPパケットの送受信を行うためのインターフェースです。IPモジュールを有効にし、IPインターフェースを複数作成した時点でIPパケットの転送(ルーティング)が行われるようになります。
IPインターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドでデータリンク層インターフェースにIPアドレス(とネットマスク)を割り当てることによって作成します。詳細は「IP」の章をご覧ください。
作成したIPインターフェースは、データリンク層インターフェースと同じ名前で参照できます。たとえば、Ethernetインターフェース「0」上に作成したIPインターフェースを他のIP関連コマンドで指定するときは「eth0」とします。
■ IPモジュールを有効化するには、ENABLE IPコマンドを実行します。
■ VLANインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.1.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ EthernetインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ PPPインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ PPPインターフェースをUnnumberedで運用するには次のようにします。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
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PN: 613-000415 Rev.B