運用・管理 / システム
本製品の管理機構にアクセスし、システム関連の基本的な操作や設定を行う方法について解説します。
なお本解説編では、管理用端末の準備から、システム関連の諸設定、設定の保存を経て、システムの再起動を行うところまで、順を追って操作することを前提に話を進めます。
ご使用にあたっての留意事項
本製品のルーター機能は弊社AlliedWare Plus製品群と同等の機能や操作性を持ちます。無線機能に関しては、弊社無線製品のTQシリーズ製品群と同等の機能を持ちます。そのため、無線APの設定はWeb GUIから行うことをお勧めします。
管理機構へのアクセス
本製品に対する設定は、管理用端末から本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)またはWeb GUIにアクセスして行います。
CLIにはWeb GUI上からもアクセスできます。
管理用端末には、次のいずれかを使用します。
ネットワーク上のWebブラウザー(Google ChromeまたはMozilla Firefox)
コンソールポートに接続したコンソールターミナル
ネットワーク上のSecure Shell(SSH)クライアント
Web GUIまたはSSHを使用するには、あらかじめコンソールターミナルからログインし、本製品にIPアドレス等を設定しておく必要があります。SSHの使用には本製品のSSHサーバーを有効化するための設定も必要です。
SSHサーバーの設定については「運用・管理」の「Secure Shell」 をご覧ください。
初回起動時のみAMFネットワーク未検出時の拡張動作 機能により、インターフェースeth1にIPアドレス192.168.1.1/24が自動設定され、Webサーバー、SSHサーバーも有効化されます。
Webブラウザー
Webブラウザーを使用して本製品のWeb GUIにアクセスする方法については、「Web GUI」/「準備」 をご覧ください。
コンソールターミナル
コンソールターミナルには、VT100端末装置か、VT100のエミュレーションが可能な通信ソフトウェア(をインストールしたコンピューター)を使用してください。本製品とコンソールターミナルの接続方法については、取扱説明書をご覧ください。コンソールターミナルの通信設定は次のとおりです。
表 1
通信速度
115200bps
データビット
8
ストップビット
1
パリティー
なし
フロー制御
ハードウェア(RTS/CTS)
エミュレーション
VT100
Backspaceキーのコード
Delete
コンソールターミナルを接続した状態で本製品の電源を入れると、起動メッセージに続いてログインプロンプトが表示されます。
すでに本製品が起動している状態でコンソールターミナルを接続した場合、画面に何も表示されないときは、「Enter」キーを押すとログインプロンプトが表示されます。
端末画面の1画面当たり表示行数を0に設定(画面単位での一時停止を無効化)した場合、show log コマンドなどの画面出力が自動折り返しされません。
SSHクライアント
SSHを使って設定を行うためには、本製品とSSHクライアントの両方に適切なIPアドレスが設定されており、互いにIPで通信できる必要があります。
本製品のご購入時にはIPアドレスが設定されていないため、あらかじめコンソールターミナルからログインして本製品にIPアドレスなどの設定を行っておいてください。IPアドレスの設定については、本解説編の「管理用IPアドレスの設定」および「IP」の「IPインターフェース」 をご覧ください。
また、本製品のSSHサーバーは初期状態では無効に設定されているため、IPの基本設定が済んだら、SSHサーバーを有効化するための設定も必要です。SSHサーバーの設定については「運用・管理」の「Secure Shell」 をご覧ください。
なお、起動時にAMFネットワーク未検出時の拡張動作 が機能した場合、SSHサーバーは有効化されますが、その設定はAMFネットワーク未検出時の一時的な設定であるため、運用上の必要性に応じて無効化してください。
SSHクライアントソフトウェアを使って本製品にSSH接続すると、ユーザー名とパスワード(公開鍵認証時は秘密鍵のパスフレーズ)の入力を求められます。どのような型式で入力を求められるかは、SSHクライアントソフトウェアによって異なります。
SSHサーバーの詳細設定については、「運用・管理」の「Secure Shell」 をご覧ください。
起動と停止
オプション(別売)のACアダプターを使用する場合は、上面の電源ボタンを押して押し込まれた状態にすると起動します。再度、電源ボタンを押して押し込まれていない状態にすると停止します。または、PoEスイッチから電源の供給を受けると起動し、電源の供給が止まると停止します。
コンソールターミナルを接続した状態で本製品の電源を入れると、起動メッセージに続いてログインプロンプトが表示されます。
起動後ログインプロンプトが表示されるまでの時間は、機種やファームウェアのバージョンによって異なりますが、おおむね一分程度かかります。
起動メッセージの内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例であり、内容も省略してありますので、ご了承ください。
起動時に以下のメッセージが10数回出力される場合がありますが、起動時のプロセスに関するメッセージで動作に影響はありません。
[* ] A start job is running for Ethernet…y Firmware Loader
...
Starting kernel ...
...
______________ ____
/\ \ / /______\
/ \ \_ __/ /| ______ |
/ \ | | / | ______ |
/ \ \ / / \ ____ /
/______/\____\ \/ /____________/
Allied Telesis Inc.
AlliedWare Plus (TM) v5.5.5-XX
Built: Xxx Xxx XX XX:XX:XX UTC XXXX
...
done!
awplus login:
ログイン
本製品の管理機構であるコマンドラインインターフェース(CLI)を利用するには、ユーザー名とパスワードを入力してログインする必要があります。ログインせずに管理作業を行うことはできません。
初期設定では、次に示す権限レベル15のユーザーアカウントが登録されています。初回ログイン時はこのユーザー名とパスワードでログインしてください。
ユーザー名:manager
パスワード:friend
ログインするには、「login:」プロンプトに対してユーザー名「manager」を、続いて表示される「Password:」プロンプトに対してパスワード「friend」を入力します。
awplus login: manager ↓
Password: friend ↓(実際には表示されません)
AlliedWare Plus (TM) 5.5.5 xx/xx/xx xx:xx:xx
% Default password needs to be changed.
awplus>
短いメッセージの後(上の例では「AlliedWare Plus ...」)、「awplus>」のようなコマンドプロンプトが表示されればログイン成功です。
ユーザー名やパスワードを間違えた場合は、「Login incorrect」というメッセージの後に「login:」プロンプトが再表示されるので、もう一度ログインを試みてください。
「% Default password needs to be changed.」は初期パスワードでログインしたときに表示されます。
セキュリティリスク低減のため、初期パスワードの変更をおすすめします。パスワードの変更はusername コマンドで行います。
一定回数(初期設定では5回)連続してログインに失敗すると、失敗したユーザーはロックアウトされ、一定時間(初期設定は5分)ログインすることができなくなります(失敗したユーザー以外ではログイン可能)。これらの設定は、aaa local authentication attempts max-fail コマンド、aaa local authentication attempts lockout-time コマンドで変更できます。
なお、初期設定ではコンソールログイン、リモートログインともにロックアウトの対象となりますが、aaa local authentication attempts max-fail remote-login-only コマンドを設定することにより、ロックアウトの対象をリモートログインに限定し、コンソールログインをロックアウトの対象外にすることも可能です。
SSH接続の場合、ログインプロンプトが表示されてから1分以内にログインしないと、SSHセッションが切断されます。切断までの時間は、ssh server login-timeout コマンドで変更できます。
コマンドモード
本製品のコマンドラインインターフェース(CLI)には「コマンドモード」の概念があります。各コマンドはあらかじめ決められたモードでしか実行できないため、コマンドを実行するときは適切なモードに移動し、それからコマンドを入力することになります。
ここでは、本解説編で使用しているコマンドモードと、それらのモード間を移動するための操作について簡単に解説します。より詳しくは、「運用・管理」の「コマンドラインインターフェース(CLI)」 をご覧ください。
本解説編で使用しているコマンドモードは次の4つです。
非特権EXECモード
特権EXECモード
グローバルコンフィグモード
インターフェースモード
以下、各モードとモード間の移動方法について概説します。
■ ログイン直後は「非特権EXECモード」です。
awplus login: manager ↓
Password: friend ↓(実際には表示されません)
AlliedWare Plus (TM) 5.5.5 xx/xx/xx xx:xx:xx
awplus>
コマンドプロンプト末尾の「>」が、非特権EXECモードであることを示しています。
非特権EXECモードでは、原則として情報表示コマンド(show xxxx)の一部だけを実行できます。
■ 非特権EXECモードでenable コマンドを実行すると、「特権EXECモード」に移動します。
awplus> enable ↓
awplus#
コマンドプロンプト末尾の「#」が、特権EXECモードであることを示しています。
特権EXECモードでは、すべての情報表示コマンド(show xxxx)が実行できるほか、システムの再起動や設定保存、ファイル操作など、さまざまな「実行コマンド」(コマンドの効果がその場かぎりであるコマンド。ネットワーク機器としての動作を変更する「設定コマンド」と対比してこう言う)を実行することができます。
■ 特権EXECモードでconfigure terminal コマンドを実行すると、「グローバルコンフィグモード」に移動します。
awplus# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
awplus(config)#
コマンドプロンプト末尾の「(config)#」が、グローバルコンフィグモードであることを示しています。
グローバルコンフィグモードは、システム全体にかかわる設定コマンドを実行するためのモードです。本解説編においては、ログインパスワードの変更やホスト名の設定、タイムゾーンの設定などをこのモードで行います。
■ グローバルコンフィグモードでexit コマンド、end コマンドを実行するかCtrl/Zキーを押すと、「特権EXECモード」に戻ります。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じです。
awplus(config)# exit ↓
awplus#
■ グローバルコンフィグモードでinterface コマンドを実行すると、「インターフェースモード」に移動します。
awplus(config)# interface eth1 ↓
awplus(config-if)#
コマンドプロンプト末尾の「(config-if)#」が、インターフェースモードであることを示しています。
インターフェースモードは、指定したインターフェース固有の設定を行うためのモードです。本解説編においては、IPアドレスの設定をこのモードで行います。
■ インターフェースモードでexit コマンドを実行すると、グローバルコンフィグモードに戻ります。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じです。
awplus(config-if)# exit ↓
awplus(config)#
また、インターフェースモードでend コマンドを実行するかCtrl/Zキーを押すと、「特権EXECモード」に戻ります。
awplus(config-if)# end ↓
awplus#
■ 特権EXECモードでdisable コマンドを実行すると、「非特権EXECモード」に戻ります。
awplus# disable ↓
awplus>
■ 特権EXECモードか非特権EXECモードでexit コマンド、logout コマンドを実行すると、ログアウトします。コマンド行が空の状態でCtrl/Dキーを押しても同じです。
awplus# exit ↓
awplus login:
実際には、ここに示した4つのほかにも多くのコマンドモードがあります。詳細については、「運用・管理」の「コマンドラインインターフェース(CLI)」 をご覧ください。
パスワードの変更
初期設定のパスワードを使い続けることはセキュリティー上好ましくありませんので、初回ログイン時に変更することをおすすめします。
ログイン後、managerアカウントのパスワードを変更するには次のようにします。
ログイン直後は非特権EXECモードなので、次のようにenable コマンド、configure terminal コマンドの順に実行して、グローバルコンフィグモードに移動します。
awplus> enable ↓
awplus# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
username コマンドを実行してパスワードを変更します。
awplus(config)# username manager password o10moDutch ↓
パスワードの設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。
ユーザー認証関連機能の詳細については、「運用・管理」の「ユーザー認証」 をご覧ください。
ホスト名の設定
ここまでの説明において、ログインプロンプトやコマンドプロンプトの先頭に「awplus」という文字列が表示されていることにお気づきでしょうか?
プロンプトの先頭部分はホスト名を表示するための領域です。初期状態ではホスト名として「awplus」が設定されており、これがプロンプトの先頭に表示されますが、本製品を複数管理している場合など、各システムに異なる名前を設定しておくと、現在どのシステムにログインしているのかがわかりやすくなり便利です。
■ ホスト名を設定するには、グローバルコンフィグモードのhostname コマンドを使います。
awplus(config)# hostname myrouter ↓
myrouter(config)#
コマンド実行とともに、コマンドプロンプトの先頭が「awplus」から「myrouter」に変更されたことに注目してください。ここでは仮に「myrouter」としましたが、実際には各装置を区別するのに適した名前を付けてください。
ホスト名の設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。
本解説編の残りの部分では、説明の流れ上、ホスト名を「myrouter」に設定しているものと仮定します。他の解説編やコマンド編では、原則として初期設定のホスト名「awplus」を用いますが、複数のシステムを使用する構成例などでは、各システムを見分けやすいよう「RouterA」、「RouterB」のようなホスト名を仮定する場合もあります。
hostname コマンドで設定したホスト名は、MIB-IIオブジェクトsysNameの値としても使われます。詳しくは、「運用・管理」の「SNMP」 をご覧ください。
システム時刻の設定
ログなどの記録日時を正確に保つため、システム時刻は正確にあわせて運用することをおすすめします。
システム時計の設定方法には手動で設定する方法と、NTPを利用して自動調整する方法がありますが、ここでは手動設定する方法について説明します。NTPの利用方法については、「運用・管理」の「NTP」 をご覧ください。
システム時刻の手動設定は次の順序で行います。
機器を使用する場所のタイムゾーン(時間帯)を設定する。
日付と時刻を設定する。
本製品はリアルタイムクロックを内蔵していないため、コマンドによる再起動、もしくは電源断による再起動が発生するたびに時刻をあわせる必要があります。これは、clock set コマンドを使って手動で行うこともできますが、NTPサーバーにアクセスできる環境では、NTPの利用をおすすめします。詳細は「運用・管理」/「NTP」 をご覧ください。
■ タイムゾーンを設定するには、グローバルコンフィグモードのclock timezone コマンドを実行します。たとえば、日本時間(JST: 協定世界時(UTC)より9時間早い)に設定する場合は、次のようにします。
myrouter(config)# clock timezone JST plus 9 ↓
タイムゾーンの設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。
本コマンドによりタイムゾーンの設定を変更したときは、設定を保存した後システムを再起動してください。
(再起動を実行するまで一部のログにタイムゾーンの設定が反映されず、ログ時刻の不整合が生じるため)
■ システム時刻(日付と時刻)をあわせるには特権EXECモードのclock set コマンドを使います。たとえば、「2012年12月24日 17時5分0秒」にあわせるには次のようにします。
myrouter(config)# exit ↓
myrouter# clock set 17:05:00 24 Dec 2012 ↓
clock set コマンドでは、日付と時刻を「時刻 日付」の順序で指定します。時刻は「時:分:秒」、日付は「日 月 年」の形式で指定します。時、分、秒、日が1桁のときは、ゼロ詰めして2桁にしてもしなくてもかまいません(例:1と01は同じ意味)。月は英語月名の先頭3文字以上で指定します。大文字小文字の区別はありません。
clock set コマンドは実行コマンドなので、実行後に設定保存の操作(後述)は必要ありません。一度も時刻合わせをしていない場合は、デフォルトの時刻「2010-01-01 00:00:00」からシステム時計がスタートします。
clock set コマンドで指定する時刻は、設定済みタイムゾーンにおける現地時刻です。タイムゾーンの設定に基づき、内蔵時計には協定世界時(UTC)換算の時刻が設定されます。本製品をUTC以外のタイムゾーンで使用する場合は、最初にタイムゾーンの設定を行い、その後時刻を設定してください。
表 2:月名一覧
1月(January)
Jan
2月(February)
Feb
3月(March)
Mar
4月(April)
Apr
5月(May)
May
6月(June)
Jun
7月(July)
Jul
8月(August)
Aug
9月(September)
Sep
10月(October)
Oct
11月(November)
Nov
12月(December)
Dec
■ 現在の日付と時刻およびタイムゾーンの設定を確認するにはshow clock コマンドを実行します。
myrouter# show clock ↓
Local Time: Mon, 24 Dec 2012 17:05:03 +0900
UTC Time: Mon, 24 Dec 2012 08:05:03 +0000
Timezone: JST
Timezone Offset: +09:00
Summer time zone: None
管理用IPアドレスの設定
前述のとおり、コマンドラインインターフェース(CLI)やWeb GUIには、Webブラウザー、SSHクライアントからアクセスします。
ただし、本製品のご購入時にはIPアドレスが設定されていないため、あらかじめコンソールターミナルからログインして本製品にIPアドレスなどの設定を行っておく必要があります。
ここでは、Ethernetインターフェースeth1にIPアドレスを設定し、同インターフェース配下のWebブラウザーやSSHクライアントからWeb GUIやCLIにアクセスできるよう設定してみます。
グローバルコンフィグモードに移動します。
myrouter# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
myrouter(config)#
IPアドレスの設定はインターフェースモードで行います。インターフェースモードに入るには、interface コマンドで対象インターフェース名(ここではeth1)を指定します。
myrouter(config)# interface eth1 ↓
myrouter(config-if)#
ip address コマンドでIPアドレスとマスク長を指定します。
myrouter(config-if)# ip address 192.168.0.1/24 ↓
myrouter(config-if)# end ↓
IPアドレスの設定は保存しないと再起動によって失われます。設定を保存する方法については後述します。
設定は以上です。これで、eth1配下のWebブラウザーやSSHクライアントからWeb GUIやCLIにアクセスできるようになります。
SSHクライアントからCLIへのアクセスを可能にするには、IPアドレスの設定だけでなく、SSHサーバー有効化のための設定も必要です。設定方法については、「運用・管理」の「Secure Shell」 をご覧ください。
■ インターフェースに割り当てたIPアドレスは、show ip interface コマンドで確認できます。
myrouter# show ip interface eth1 ↓
Interface IP-Address Status Protocol
eth1 192.168.0.1 admin up running
■ インターフェースに割り当てたIPアドレスは、show interface コマンドで確認することもできます。
myrouter# show interface eth1 ↓
Interface eth1
...
IPv4 address 192.168.0.1/24 broadcast 192.168.0.255
...
IPアドレス設定の詳細については「IP」の「IPインターフェース」 をご覧ください。
設定の保存
コマンドによって設定された内容の多くはランタイムメモリー上にあるため、本製品の電源を切ったり、再起動したりすると消えてしまいます。
設定変更時はこまめにコンフィグを保存することをおすすめします。
現在の設定内容を次回起動時にも使用したい場合は、ランタイムメモリー上の設定内容をファイルに書き出し、次回起動時に自動的に読み込まれるよう設定する必要があります。
ここでは、設定を保存し、次回起動時に復元する方法について簡単に解説します。設定保存の詳細については、「運用・管理」の「コンフィグレーション」 をご覧ください。
本製品には設定内容を表す独特の概念として、次の2つがあります。
表 3
ランニングコンフィグ(running-config)
ランタイムメモリー上にある現在の設定内容。電源断や再起動によって失われる。show running-config コマンドで内容を確認できる。ファイル操作コマンドにおいては、仮想的なファイル「running-config」としてコピーなどの操作が可能
スタートアップコンフィグ(startup-config)
起動時コンフィグ。システム起動の最終段階において自動的に復元される設定内容。フラッシュメモリー上にファイルとして保存されており、電源断や再起動を経ても失われない。show startup-config コマンドで内容を確認できる。ファイル操作コマンドにおいては、仮想的なファイル「startup-config」としてコピーなどの操作が可能。startup-configが実際にどのファイルを指しているかは、show boot コマンドで確認でき、boot config-file コマンドで変更できる
■ 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)は、show running-config コマンドで確認できます。このコマンドは特権EXECモード以上のどのモードでも実行可能です。
myrouter# show running-config ↓
!
service password-encryption
!
hostname myrouter
...
!
interface eth1
ip address 192.168.0.1/24
...
end
■ 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)を次回起動時にも使用したい場合は、ランニングコンフィグをスタートアップコンフィグにコピーして保存します。これを実現するもっとも一般的な方法は、特権EXECモードのcopy コマンドを使って次のようにする方法です。
myrouter# copy running-config startup-config ↓
Building configuration...
[OK]
■ copy コマンドの代わりにwrite file コマンドやwrite memory コマンドを使うこともできます。コマンドの機能自体はどれも同じです。
myrouter# write memory ↓
Building configuration...
[OK]
■ 正しく保存されたかどうかを確認するには、show startup-config コマンドでスタートアップコンフィグを表示します。
myrouter# show startup-config ↓
!
service password-encryption
!
hostname myrouter
...
!
interface eth1
ip address 192.168.0.1/24
...
end
再起動
本製品を再起動するには、特権EXECモードのreload コマンドまたはreboot コマンドを使います。2つのコマンドは同じ働きをします。
再起動を実行する前に、現在の設定内容(ランニングコンフィグ)を保存したかどうかご確認ください。設定の保存については、前節および「運用・管理」の「コンフィグレーション」 をご覧ください。
■ システムを再起動します。reload コマンドを実行すると、本当に再起動してよいか確認してくるので、再起動してよいなら「y」を入力して「Enter」キーを押してください。再起動をキャンセルするときは「n」を入力します。
myrouter> enable ↓
myrouter# reload ↓
reboot system? (y/n): y ↓
URGENT: broadcast message:
System going down IMMEDIATELY!
... Rebooting at user request ...
Restarting system.
reload コマンドを実行すると、ハードウェア的なリセットがかかり、ファームウェアのロードを行った後、スタートアップコンフィグを読み込んで起動が完了します。スタートアップコンフィグが設定されていない場合は、初期設定で起動します。
その他の機能
その他、システム関連の機能や操作について解説します。
起動用ファームウェアの設定
本製品のファームウェアは、拡張子.relを持つイメージファイルとして提供されます。
ファームウェアのイメージファイルは、フラッシュメモリーに保存(ダウンロード)し、起動用イメージファイルに指定することで使用します。フラッシュメモリーには、容量の許すかぎり何個でもイメージファイルを置くことができます。
システム起動時には、「通常用ファームウェア」に指定されたイメージファイルがロードされます。「通常用ファームウェア」をロードできなかった場合でも、「バックアップ用ファームウェア」のイメージファイルが設定されていれば、そちらで起動します。
バックアップ起動ファームウェアは未サポートです。
■ 通常用ファームウェアのイメージファイルは、boot system コマンドで指定します。同コマンドで指定するファイルは、フラッシュメモリーのルートディレクトリー(flash:/)になくてはなりません。また、拡張子は.relでなくてはなりません。
awplus(config)# boot system flash:/TQ7403R-5.5.5-0.2.rel ↓
5.5.5-0.2は説明用の架空バージョンであり、実際には存在しない可能性があります。
イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copy コマンドやwrite file コマンド、write memory コマンドなどでコンフィグに保存する必要はありません。
■ 起動用ファームウェアの設定は、show boot コマンドで確認できます。
awplus# show boot ↓
ファームウェアの更新手順
以上をふまえたファームウェアの更新手順は次のとおりです。
ファームウェアの更新は、ネットワークの実運用中に行わないでください。
ファームウェアの更新作業時には、各種のファイル操作が必要になります。ファイル操作の詳細については、「運用・管理」の「ファイル操作」 をご覧ください。
また、IPネットワーク経由でファイルをダウンロードするには、IPアドレスなどの設定が必要です。以下の説明では、IPの基本設定までは完了しているものと仮定します。IPアドレスの設定については、本解説編の「管理用IPアドレスの設定」および「IP」の「IPインターフェース」 をご覧ください。
ここでは説明のため、次の環境を想定します。(以下の説明では、実際のバージョンや画面とは異なる場合があります。)
現在のファームウェアバージョンは5.5.5-0.1
新しいファームウェアバージョンは5.5.5-0.2
5.5.5-0.2は説明用の架空バージョンであり、実際には存在しない可能性があります。
フラッシュメモリー上のファームウェアの更新手順
新しいファームウェアのイメージファイルを入手し、本製品への転送が可能な場所に保存します。本製品への転送が可能な場所とは、具体的には次の場所です。
本製品からアクセスできるTFTPサーバー上のディレクトリー
本製品からアクセスできるHTTP(Web)サーバー上のディレクトリー
本製品からアクセスできるSSHサーバー上のディレクトリー
(SSHサーバーは、SCPかSFTPによるファイル転送をサポートしている必要があります)
コンソールターミナルとして使用しているコンピューター上のディレクトリー
(ターミナルソフトウェアがZMODEMによるファイル転送をサポートしている必要があります)
show boot コマンドを実行して、現時点における起動用ファームウェアの設定を確認します。
awplus# show boot ↓
Boot configuration
--------------------------------------------------------------------------------
Current software : TQ7403R-5.5.5-0.1.rel
Current boot image : flash:/TQ7403R-5.5.5-0.1.rel (file exists)
Backup boot image : Not set
Default boot config: flash:/default.cfg
Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
Backup boot config: Not set
show file systems コマンドを実行して、フラッシュメモリーの空き容量を確認します(表示例は一例です。容量は機種によって異なります)
awplus# show file systems ↓
Size(b) Free(b) Type Flags Prefixes S/D/V Lcl/Ntwk Avail
-------------------------------------------------------------------
126.8M 79.1M flash rw flash: static local Y
...
この例では、空き容量が79.1MByteであると確認できます。空き容量とイメージファイルのサイズを比較して、イメージファイルを格納するのに充分な空きがあることを確認してください。空き容量が足りない場合は、dir コマンドでファイル一覧を参照し、delete コマンドで不要なファイルを削除して空きを作ってください。
copy コマンドを使って、新しいイメージファイルをダウンロードし、フラッシュメモリーのルートディレクトリーに保存します。ここでは、TFTPサーバー10.100.10.70から、イメージファイルTQ7403R-5.5.5-0.2.relをダウンロードするものとします。
awplus# pwd ↓
flash:/
awplus# copy tftp://10.100.10.70/TQ7403R-5.5.5-0.2.rel flash ↓
Enter destination file name [TQ7403R-5.5.5-0.2.rel]: ↓
Copying........................................
Successful operation
dir コマンドを使って、新しいイメージファイルが正しくダウンロードされたことを確認します。
awplus# dir ↓
12547211 -rw- May 10 2013 16:41:33 TQ7403R-5.5.5-0.2.rel
312 -rw- Nov 26 2011 09:11:19 default.cfg
...
boot system コマンドを使って、新しいイメージファイルを通常用ファームウェアに指定します。イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copy コマンドやwrite file コマンド、write memory コマンドなどでコンフィグに保存する必要はありません。
awplus# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
awplus(config)# boot system flash:/TQ7403R-5.5.5-0.2.rel ↓
show boot コマンドを実行して、起動用ファームウェアの設定を確認します。
awplus(config)# exit ↓
awplus# show boot ↓
Boot configuration
--------------------------------------------------------------------------------
Current software : TQ7403R-5.5.5-0.1.rel
Current boot image : flash:/TQ7403R-5.5.5-0.2.rel (file exists)
Backup boot image : Not set
Default boot config: flash:/default.cfg
Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
Backup boot config: Not set
設定に問題がなければ、reload コマンドかreboot コマンドでシステムを再起動します。再起動後は、新しいファームウェアで起動します。
awplus# reload ↓
reboot system? (y/n): y ↓
...
以上でファームウェアの更新は完了です。
ご購入時状態(AMFクリーン状態)での起動時における拡張動作
ご購入時状態(AMFクリーン状態)での起動時には、AMFネットワークの自動検出が行われ、検出できなかった場合には「AMFネットワーク未検出時の拡張動作」として、IPアドレス、SSHサーバーなどの自動設定が行われます。この拡張動作については、AMF応用編のAMFネットワーク未検出時の拡張動作 をご参照ください。
システム情報の確認
システムの基本情報を確認するための各種コマンドを紹介します。
■ システムの全般的な情報はshow system コマンドで確認できます。
■ メモリーに関する情報はshow memory コマンド、show memory history コマンドで確認します。
■ CPUの使用率はshow cpu コマンド、show cpu history コマンドで確認します。
■ システムプロセス、ユーザープロセスの状態は、show process コマンドで確認します。
ライセンスについて
AlliedWare Plus製品には、特定の機能を使用したり、特定機能のサポート数を拡張したりするための各種ライセンスが用意されています。
本セクションではライセンスに関連する操作について説明します。
各ライセンスの内容(利用条件等)はライセンス証書や案内文書でご確認ください。
ライセンス購入に必要なシリアル番号の確認方法
ライセンスのご購入時に必要なシリアル番号の確認方法を説明します。
■ シリアル番号はshow system serialnumber コマンドで確認します。
awplus> show system serialnumber ↓
XXXXXXXXXXXXXXXX
ライセンスキーのインストール
ライセンスを有効にするにはライセンスご購入時に発行された「ライセンスキー」を製品にインストールする必要があります。
ここでは、ライセンスキーのインストール方法と確認方法を説明します。
本セクションはAlliedWare Plus製品共通の内容になっています。製品や時期によってサポートするライセンスの種類や形式は異なります。詳細は弊社ホームページ等でご確認ください。
各ライセンスの内容(利用条件等)はライセンス証書や案内文書でご確認ください。
ライセンスキーには次の2つの形式があり、形式によってインストールや確認に使用するコマンドが異なりますので、以下では形式ごとに手順を説明します。
バイナリー形式 - ファイルとして提供されます
文字列形式 - パスワードのような文字列の情報として提供されます
ライセンスキーのインストールは、Web GUIの「ライセンス管理」 画面からも行えます。
バイナリー形式ライセンスキーの場合
バイナリー形式のライセンスキーは次の手順でインストールします。
お手元にライセンスファイルを用意した上で以下の手順を実行してください。
ライセンスファイルは製品によりメールまたはディスクで提供されます。また、製品にプリインストールされた状態で出荷される場合もあります。
製品に権限レベル15のユーザーアカウント(managerなど)でログインします。
ライセンスファイルを本製品のフラッシュメモリーに転送します。
ファイルの転送方法については、copy コマンドや「運用・管理 / ファイル操作」 などをご参照ください。
たとえばTFTPサーバー「192.168.10.5」からライセンスファイル「license.bin」を転送するには次のようにします。
awplus# copy tftp:/192.168.10.5/license.bin flash:/ ↓
license update file コマンドでライセンスファイル名を指定し、ライセンスキーをインストールします。
ライセンスファイル名(例ではlicense.bin)はお手持ちのファイル名に置き換えてください。
awplus# license update file license.bin ↓
show license external コマンドでライセンスが有効になっているかどうかを確認します。
ライセンスが正しくインストールされており、なおかつ有効期間内または有効期間開始前の場合は有効期間が表示されます。
awplus# show license external ↓
有効期間切れのライセンスはshow license external stored コマンドで確認できます。
上記手順の実行後に再起動は不要です。
文字列形式ライセンスキーの場合
文字列形式のライセンスキーは次の手順でインストールします。
お手元にライセンス証書などライセンスキー文字列の情報を用意の上、以下の手順を実行してください。
製品に権限レベル15のユーザーアカウント(managerなど)でログインします。
licenseコマンドでライセンス名とライセンスキー文字列を指定し、ライセンスキーをインストールします。
ライセンス名(例ではLicenseName)とライセンスキー文字列(XXXXXXXXXXXXXXXX)はライセンス証書に記載されているものに置き換えてください。
awplus# license LicenseName XXXXXXXXXXXXXXXX ↓
show license コマンドでライセンスが有効になっているかどうかを確認します。
ライセンスが正しくインストールされている場合は、ライセンス名が表示されます。
awplus# show license ↓
ライセンスを有効にするため、システムを再起動してください(reboot コマンド、reload コマンドなどを使用)。
awplus# reload ↓
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