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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #125

BGP-4:2つのISPに対するマルチホーム(ASパス長の操作による負荷分散)


ドメイン間経路制御プロトコルBGP-4(Border Gateway Protocol version 4)の設定例です。ここでは、2つのISPに接続するマルチホームの構成例を示します。BGP-4では、経路情報にさまざまな「属性」を付加することにより、他ASの経路選択プロセスに影響を与えることができます。この例では、各ISPに通知する経路のAS_PATH(ASパス)属性を操作することにより、下りトラフィックの負荷分散を試みます。また、自AS宛でないトラフィックの通過(トランジットサービス)を行わないよう設定します。


Note - 本機能はオプション機能ですので、ご使用にはフィーチャー(追加機能)ライセンスが必要です。

ここでは、次のような構成のネットワークを例に解説します。


AS 65030は3つのサブネット(プレフィックス)を持っており、ルーターA経由でISP1(AS 65010)と、ルーターB経由でISP2(AS 65020)と接続しています。AS 65030では、各ISPからの下りトラフィックが次のように負荷分散されることを望んでいます。


これを実現するため、AS 65030は各ISPに対し、各プレフィックス(192.168.10.0/24と192.168.20.0/24)のAS_PATH(ASパス)属性を次のように操作してISPに通知します。


ASパスは、プレフィックスがどのASを通って通知されてきたかを示すAS番号のリストです。BGP-4が経路を選択する場合は、ASパスが最も短い経路を選択します。このことを利用して、特定のプレフィックス宛のトラフィックを受け取りたくない場合に、ASパスを意識的に長くして他のASに通知することができます。

またこの例では、自AS宛のトラフィックだけを受け取るため、自AS内のプレフィックスだけをISP1、ISP2に通知するようにします。

Note - ISP2から学習した経路をISP1に再通知すると、ISP1からISP2に宛たトラフィックが自ASを通過する可能性があります。複数のASに接続しているときは、不要なトラフィックが自ASに流れ込まないよう、通知する経路情報の選別が必要です。


ルーターAの設定

  1. 専用線の設定を行います。


  2. PPPインターフェースを作成します。


  3. IPモジュールを有効にします。


  4. 各インターフェースにIPアドレスを割り当てます。


  5. 自AS番号を設定します。


  6. ISP1(AS 65010)のBGPピアを指定します。自分と異なるAS番号を持つピアはE-BGPピア(外部ピア)となります。


  7. ルーターBをBGPピアとして指定します。自分と同じAS番号を持つピアはI-BGPピア(内部ピア)となります。「NEXTHOPSELF=YES」は、自分自身をNEXT_HOPとして通知するための設定です。


  8. 自AS内のプレフィックスにマッチするASパスフィルター「1」を作成します。ASパス正規表現「^65030*$」は、ASパスが空であるか自AS番号(65030)のみ、すなわち、自AS内でBGPにインポートされた経路であることを示します。


  9. ルーターBから受信した自AS内のプレフィックスにマッチするASパスフィルター「2」を作成します。ASパス正規表現「^$」はASパスが空であることを示します。


  10. ルートマップ「add_myasn」を作成し、ASパスフィルター「2」にマッチする経路のASパスに自AS番号を3個余分に追加するエントリー「1」を追加します。


  11. BGPで配布する経路情報を指定します。ここでは静的経路(ローカル経路)を配布します。


  12. ISP1のE-BGPピア(192.168.100.2)に経路を通知するときに、ASパスフィルター「1」にマッチしたもの(自AS起源の経路)だけを通知するよう設定します。これにより、自AS宛のトラフィックだけがISP1から流れ込むようにします。


  13. ルーターB(192.168.30.2)から経路を受信するときに、ルートマップ「add_myasn」を適用し、自AS内起源の経路に自AS番号を3個余計に追加するよう設定します。


  14. 各BGPピアとのセッションを開始します。


ルーターBの設定

  1. 専用線の設定を行います。


  2. PPPインターフェースを作成します。


  3. IPモジュールを有効にします。


  4. 各インターフェースにIPアドレスを割り当てます。


  5. 自AS番号を設定します。


  6. ISP2(AS 65020)のBGPピアを指定します。自分と異なるAS番号を持つピアはE-BGPピア(外部ピア)となります。


  7. ルーターAをBGPピアとして指定します。自分と同じAS番号を持つピアはI-BGPピア(内部ピア)となります。「NEXTHOPSELF=YES」は、自分自身をNEXT_HOPとして通知するための設定です。


  8. 自AS内のプレフィックスにマッチするASパスフィルター「1」を作成します。ASパス正規表現「^65030*$」は、ASパスが空であるか自AS番号(65030)のみ、すなわち、自AS内でBGPにインポートされた経路であることを示します。


  9. ルーターAから受信した自AS内のプレフィックスにマッチするASパスフィルター「2」を作成します。ASパス正規表現「^$」はASパスが空であることを示します。


  10. ルートマップ「add_myasn」を作成し、ASパスフィルター「2」にマッチする経路のASパスに自AS番号を3個余分に追加するエントリー「1」を追加します。


  11. BGPで配布する経路情報を指定します。ここでは静的経路(ローカル経路)を配布します。


  12. ISP2のE-BGPピア(192.168.110.2)に経路を通知するときに、ASパスフィルター「1」にマッチしたもの(自AS起源の経路)だけを通知するよう設定します。これにより、自AS宛のトラフィックだけがISP2から流れ込むようにします。


  13. ルーターA(192.168.30.1)から経路を受信するときに、ルートマップ「add_myasn」を適用し、自AS内起源の経路に自AS番号を3個余計に追加するよう設定します。


  14. 各BGPピアとのセッションを開始します。


メモ

■ 経路表を確認するには、SHOW IP ROUTEコマンドを使います。


■ BGPピアの状態はSHOW BGP PEERコマンドで確認します。


■ BGP-4の経路表を確認するには、SHOW BGP ROUTEコマンドを使います。


■ BGP-4の設定情報を確認するにはSHOW BGPコマンドを使います。


■ ASパスフィルターの設定内容はSHOW IP ASPATHLISTコマンドで確認します。


■ ルートマップの設定内容はSHOW IP ROUTEMAPコマンドで確認します。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
SET PRI=0 MODE=TDM TDMSLOTS=1-24
CREATE TDM GROUP=isp1 INT=pri0 SLOTS=1-24
CREATE PPP=0 OVER=TDM-isp1
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.30.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0
SET IP AUTONOMOUS=65030
ADD BGP PEER=192.168.100.2 REMOTEAS=65010
ADD BGP PEER=192.168.30.2 REMOTEAS=65030 NEXTHOPSELF=YES
ADD IP ASPATHLIST=1 ENTRY=1 INCLUDE="^65030*$"
ADD IP ASPATHLIST=2 ENTRY=1 INCLUDE="^$"
ADD IP ROUTEMAP=add_myasn ENTRY=1 MATCH ASPATH=2
ADD IP ROUTEMAP=add_myasn ENTRY=1 SET ASPATH=65030,65030,65030
ADD BGP IMPORT=STATIC
SET BGP PEER=192.168.100.2 OUTPATHFILTER=1
SET BGP PEER=192.168.30.2 INROUTEMAP=add_myasn
ENABLE BGP PEER=192.168.100.2
ENABLE BGP PEER=192.168.30.2


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
SET PRI=0 MODE=TDM TDMSLOTS=1-24
CREATE TDM GROUP=isp2 INT=pri0 SLOTS=1-24
CREATE PPP=0 OVER=TDM-isp2
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.30.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.110.1 MASK=255.255.255.0
SET IP AUTONOMOUS=65030
ADD BGP PEER=192.168.110.2 REMOTEAS=65020
ADD BGP PEER=192.168.30.1 REMOTEAS=65030 NEXTHOPSELF=YES
ADD IP ASPATHLIST=1 ENTRY=1 INCLUDE="^65030*$"
ADD IP ASPATHLIST=2 ENTRY=1 INCLUDE="^$"
ADD IP ROUTEMAP=add_myasn ENTRY=1 MATCH ASPATH=2
ADD IP ROUTEMAP=add_myasn ENTRY=1 SET ASPATH=65030,65030,65030
ADD BGP IMPORT=STATIC
SET BGP PEER=192.168.110.2 OUTPATHFILTER=1
SET BGP PEER=192.168.30.1 INROUTEMAP=add_myasn
ENABLE BGP PEER=192.168.110.2
ENABLE BGP PEER=192.168.30.1





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