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CentreCOM AR415S 設定例集 2.9 #83

VRRP(WAN)


VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は、複数のルーターを連携させ1台のルーターであるかのように見せかけることで、IPネットワークの冗長構成を可能にする機能です。ここでは、WAN回線(メインルート:専用線、バックアップ:ISDN)を含むネットワーク構成におけるVRRPの使用例を示します。

ここでは、専用線128Kで接続されたルーターA・C間をメインルートとします。このルートに障害が発生した場合は、ダイヤルアップ(ISDN)回線のルーターB・D間を使用します。メインルートが復旧したら、ダイヤルアップ回線を切断し、元の専用線経路に戻るようにします。

ただし、この構成では、ルーターAまたはCのLAN側(vlan1)インターフェースがダウンした場合に、ダイヤルアップ回線への切り替えは行われますが、LAN側インターフェース復旧後、自動的にメインルートに戻ることはできません。これは、マスター切り替え後、ルーターBおよびDのVRRP優先度がルーターAおよびCよりも高くなるためです。


ルーターAの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「AC」を作成します。


  3. TDMグループ「AC」上にPPPインターフェース「0」を作成します。LQRをオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使って回線状態を監視します。Echoパケットの送信間隔は10秒とします(3回失敗でPPPダウンと見なす)。


  4. IPモジュールを有効にします。


  5. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  6. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  7. デフォルトルートを設定します。


  8. VRRPを有効にします。


  9. LAN側(vlan1)にVRID=1を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.1.1とします。また、優先度を101に設定します。


  10. WAN側(ppp0)がダウンした場合に LAN側(vlan1)バーチャルルーター(VRID=1)の優先度を 99 に下げ、ルーターBがマスタールーターになるよう設定します。


  11. トリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)などを使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  12. トリガー機能を有効にします。


  13. WAN側(ppp0)インターフェース(専用線メインルート)が復旧した場合に、VRID=1側(vlan1)の優先度を103に引き上げ、VRID=1側をマスタールーターに戻すスクリプトpppup.scpを実行するトリガーを作成します。


  14. VRID=1側がバックアップルーターからマスタールーターに移行した場合に、VRID=1側の優先度を初期状態の101に戻すスクリプトv1master.scpを実行するトリガーを作成します。


  15. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。







ルーターBの設定

  1. ISDNコール「BD」を作成します。


  2. ISDNコール「BD」上にPPPインターフェース「0」を作成します。LQRをオフにし、自動切断までの時間を120秒に設定します。


  3. IPモジュールを有効にします。


  4. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  5. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  6. デフォルトルートを設定します。


  7. VRRPを有効にします。


  8. LAN側(vlan1)にVRID=1を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.1.1とします。また、優先度はデフォルトの100とします。


  9. WAN側(ppp0)がダウンした場合に LAN側(vlan1)バーチャルルーター(VRID=1)の優先度を 100 に戻し、VRID=1側がバックアップルーターに戻るよう設定します。


  10. トリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)などを使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  11. トリガー機能を有効にします。


  12. WAN側(ppp0)インターフェース(ダイヤルアップ回線)がアップした場合に、VRID=1側(vlan1)の優先度を102に上げ、VRID=1側をマスタールーターに移行させるスクリプトpppup.scpを実行するトリガーを作成します。


  13. VRID=1側がバックアップルーターからマスタールーターに移行した場合に、ダイヤルアップ回線を強制的にアップさせるスクリプトv1master.scpを実行するトリガーを作成します。これは、メインルートがダウンしたときに実行されます。


  14. VRID=1側がマスタールーターからバックアップルーターに移行した場合に、ダイヤルアップ回線を強制的に切断するスクリプトv1backup.scpを実行するトリガーを作成します。これは、メインルートが復旧したときに実行されます。


  15. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



ルーターCの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「CA」を作成します。


  3. TDMグループ「CA」上にPPPインターフェース「0」を作成します。LQRをオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使って回線状態を監視します。Echoパケットの送信間隔は10秒とします(3回失敗でPPPダウンと見なす)。


  4. IPモジュールを有効にします。


  5. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  6. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  7. デフォルトルートを設定します。


  8. VRRPを有効にします。


  9. LAN側(vlan1)にVRID=2を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.2.1とします。また、優先度を101に設定します。


  10. WAN側(ppp0)がダウンした場合に LAN側(vlan1)バーチャルルーター(VRID=2)の優先度を 99 に下げ、ルーターDがマスタールーターになるよう設定します。


  11. トリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)などを使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  12. トリガー機能を有効にします。


  13. WAN側(ppp0)インターフェース(専用線メインルート)が復旧した場合に、VRID=2側(vlan1)の優先度を103に引き上げ、VRID=2側をマスタールーターに戻すスクリプトpppup.scpを実行するトリガーを作成します。


  14. VRID=2側がバックアップルーターからマスタールーターに移行した場合に、VRID=2側の優先度を初期状態の101に戻すスクリプトv2master.scpを実行するトリガーを作成します。


  15. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。




ルーターDの設定

  1. ISDNコール「DB」を作成します。


  2. ISDNコール「DB」上にPPPインターフェース「0」を作成します。LQRをオフにし、自動切断までの時間を120秒に設定します。


  3. IPモジュールを有効にします。


  4. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  5. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  6. デフォルトルートを設定します。


  7. VRRPを有効にします。


  8. LAN側(vlan1)にVRID=2を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.2.1とします。また、優先度はデフォルトの100とします。


  9. WAN側(ppp0)がダウンした場合に LAN側(vlan1)バーチャルルーター(VRID=2)の優先度を 100 に戻し、VRID=2側がバックアップルーターに戻るよう設定します。


  10. トリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)などを使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  11. トリガー機能を有効にします。


  12. WAN側(ppp0)インターフェース(ダイヤルアップ回線)がアップした場合に、VRID=2側(vlan1)の優先度を102に上げ、VRID=2側をマスタールーターに移行させるスクリプトpppup.scpを実行するトリガーを作成します。


  13. VRID=2側がマスタールーターからバックアップルーターに移行した場合に、ダイヤルアップ回線を強制的に切断するスクリプトv2backup.scpを実行するトリガーを作成します。これは、メインルートが復旧したときに実行されます。


  14. VRID=2側がバックアップルーターからマスタールーターに移行した場合に、ダイヤルアップ回線を強制的にアップさせるスクリプトv2master.scpを実行するトリガーを作成します。これは、メインルートがダウンしたときに実行されます。


  15. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=AC INTERFACE=bri0 SLOTS=1-2
CREATE PPP=0 OVER=TDM-AC LQR=OFF ECHO=10
ENABLE IP
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.1.100
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=1 OVER=vlan1 IP=192.168.1.1 PRIORITY=101
ADD VRRP=1 MONITOREDINTERFACE=ppp0 NEWPRIORITY=99
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 INT=ppp0 EVENT=UP CP=LCP SCRIPT=pppup.scp
CREATE TRIGGER=2 MODULE=VRRP EVENT=UPMASTER VRID=1 SCRIPT=v1master.scp


スクリプト「pppup.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=1 PRIORITY=103


スクリプト「v1master.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=1 PRIORITY=101


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=BD NUMBER=0612342222 INTREQ=bri0 PRECEDENCE=OUT SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-BD LQR=OFF IDLE=120
ENABLE IP
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.1.2
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=1 OVER=vlan1 IP=192.168.1.1
ADD VRRP=1 MONITOREDINTERFACE=ppp0 NEWPRIORITY=100
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 INT=ppp0 EVENT=UP CP=LCP SCRIPT=pppup.scp
CREATE TRIGGER=2 MODULE=VRRP EVENT=UPMASTER VRID=1 SCRIPT=v1master.scp
CREATE TRIGGER=3 MODULE=VRRP EVENT=DOWNMASTER VRID=1 SCRIPT=v1backup.scp


スクリプト「v1master.scp」 [テキスト版]
ACTIVATE ISDN CALL=BD


スクリプト「v1backup.scp」 [テキスト版]
DEACTIVATE ISDN CALL=BD


スクリプト「pppup.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=1 PRIORITY=102


ルーターCのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=CA INTERFACE=bri0 SLOTS=1-2
CREATE PPP=0 OVER=TDM-CA LQR=OFF ECHO=10
ENABLE IP
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.2.100
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=2 OVER=vlan1 IP=192.168.2.1 PRIORITY=101
ADD VRRP=2 MONITOREDINTERFACE=ppp0 NEWPRIORITY=99
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 INT=ppp0 EVENT=UP CP=LCP SCRIPT=pppup.scp
CREATE TRIGGER=2 MODULE=VRRP EVENT=UPMASTER VRID=2 SCRIPT=v2master.scp


スクリプト「pppup.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=2 PRIORITY=103


スクリプト「v2master.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=2 PRIORITY=101


ルーターDのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=DB NUMBER=0312341111 INTREQ=bri0 PRECEDENCE=IN SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-DB LQR=OFF IDLE=120
ENABLE IP
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.2.2
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=2 OVER=vlan1 IP=192.168.2.1
ADD VRRP=2 MONITOREDINTERFACE=ppp0 NEWPRIORITY=100
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 INT=ppp0 EVENT=UP CP=LCP SCRIPT=pppup.scp
CREATE TRIGGER=2 MODULE=VRRP EVENT=DOWNMASTER VRID=2 SCRIPT=v2backup.scp
CREATE TRIGGER=3 MODULE=VRRP EVENT=UPMASTER VRID=2 SCRIPT=v2master.scp


スクリプト「v2master.scp」 [テキスト版]
ACTIVATE ISDN CALL=DB


スクリプト「v2backup.scp」 [テキスト版]
DEACTIVATE ISDN CALL=DB


スクリプト「pppup.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=2 PRIORITY=102





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