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CentreCOM AR450S 設定例集 2.9 #139
PPPoEマルチセッションによる端末型インターネット接続+BROBA接続(ポータルプラン)
PPPoEマルチセッションの設定例です。ここでは、PPPoEのセッションを2本使って、インターネットとNTT-BBのブロードバンドコンテンツ/コミュニケーションサービス「BROBA」(ポータルプラン)に同時接続します。各ネットワークへのパケット振り分けはスタティックな経路制御により行います。また、DNSリレー機能を利用して、BROBAドメイン(broba.cc)の名前解決にはBROBAのDNSサーバーを使い、その他(インターネット)の名前解決にはインターネットサービスプロバイダー(ISP)のグローバルなDNSサーバーを使うよう設定します。
インターネットサービスプロバイダー(ISP)からは、次の情報を提供されているものとします。
表 1:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 |
user@isp |
PPPパスワード |
isppasswd |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
IPアドレス |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
DNSサーバー |
172.16.10.80 |
BROBAからは、次の情報を提供されているものとします。
表 2:BROBAから提供された情報
会員ID(PPPユーザー名) |
user@broba.cc |
会員パスワード(PPPパスワード) |
bbpasswd |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
IPアドレス |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
BROBAネットワークのアドレス範囲 |
61.197.0.0/16 |
BROBAネットワーク上で使われているドメイン |
〜.broba.cc |
DNSサーバー |
61.197.130.1 |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- スタティックルーティングにより、BROBAのCDN(Contents Delivery Network)宛てパケットと、それ以外のパケット(インターネット宛て)の転送先を振り分けます。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にWAN側へのアクセスができるようにします。
- ファイアウォールのダイナミックENAT機能を使用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、WAN側インターフェースに設定されたアドレスに変換します。インターネット宛てのパケットはISPから与えられたIPアドレスに、BROBA宛てのパケットはBROBAから与えられたIPアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターから、インターネット、BROBAへの同時アクセスが可能になります。
- BROBAのストリーミングコンテンツを視聴するため、ファイアウォールの動作を微調整します。具体的には、通常のファイアウォール設定に、フラグメント化されたUDPパケットを透過させる設定と、MPEG2データ用のUDPポートを開ける設定を追加します。
- ルーターのDNSリレー機能をオンにして、LAN側コンピューターからのDNSリクエストを、ISPのDNSサーバーあるいはBROBAのDNSサーバーに転送します。BROBAドメイン(broba.cc)に対するリクエストはBROBAのDNSサーバーへ、その他のドメインに対するリクエストはISPのDNSサーバーに転送します。この設定を機能させるため、LAN側のPCには、DNSサーバーアドレスとしてルーターのLAN側アドレス(192.168.10.1)を設定しておきます。
以下、ルーターの基本設定とDNSリレーの設定についてまとめます。
表 3:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース |
eth0 |
WAN側(ppp0)IPアドレス(1) |
接続時にISPから取得する |
WAN側(ppp1)IPアドレス(2) |
接続時にBROBAから取得する |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
DNSリレー機能 |
有効 |
表 4:ルーターのDNSリレーの設定
解決対象のドメイン |
リレー先のDNSサーバー |
broba.ccドメイン |
BROBAのサーバー(61.197.130.1) |
その他ドメイン |
ISPのサーバー(172.16.10.80) |

- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にインターネット(ISP)接続用のPPPインターフェース「0」を作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分にはPPPoEの「サービス名」を記述しますが、特に指定がない場合はどのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
Note
- ファームウェアバージョン2.7以降、「IDLE=OFF」(デフォルト)に設定されたPPPoEインターフェースでは、PPPoEセッションキープアライブ機能が働くため、リンクダウン時に自動的に再接続を試みます(リンクダウンを検出するため「ECHO=ON」の設定は必要)。そのため、以前のバージョンで使用していた自動再接続のためのインターフェーストリガーは必要なくなりました。ただし、トリガーの設定があっても問題はありません。以前の設定もそのまま使用できます。
Note
- バージョン2.7よりも前のファームウェアでPPPoEの自動再接続を行うにはインターフェーストリガーの設定が必要です。設定方法については、ご使用中のバージョンに対応したマニュアルをご覧ください。
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にBROBA接続用のPPPインターフェース「1」を作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分にはPPPoEの「サービス名」を記述しますが、特に指定がない場合はどのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=1 OVER=eth0-ANY ↓
- BROBAの会員ID(PPPユーザー名)と会員パスワード(PPPパスワード)を指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=1 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@broba.cc PASSWORD=bbpasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
Note
- ファームウェアバージョン2.7以降、「IDLE=OFF」(デフォルト)に設定されたPPPoEインターフェースでは、PPPoEセッションキープアライブ機能が働くため、リンクダウン時に自動的に再接続を試みます(リンクダウンを検出するため「ECHO=ON」の設定は必要)。そのため、以前のバージョンで使用していた自動再接続のためのインターフェーストリガーは必要なくなりました。ただし、トリガーの設定があっても問題はありません。以前の設定もそのまま使用できます。
Note
- バージョン2.7よりも前のファームウェアでPPPoEの自動再接続を行うにはインターフェーストリガーの設定が必要です。設定方法については、ご使用中のバージョンに対応したマニュアルをご覧ください。
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- インターネット接続用のWAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISPとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- BROBA接続用のWAN側(ppp1)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。BROBAとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートをインターネット(ISP)側に向けます。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- BROBAネットワークへの経路をスタティックに登録します。
ADD IP ROUTE=61.197.0.0 MASK=255.255.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- DNSリレー機能を有効にします。
- DNSリレーの中継先を指定します。最初に、インターネット上のドメイン名解決に使用するデフォルトのDNSサーバーとして、ISPのDNSサーバーを指定します。
ADD IP DNS DOMAIN=ANY PRIMARY=172.16.10.80 ↓
- BROBAネットワーク上のドメイン名「〜.broba.cc」に対するDNSリクエストは、BROBAのDNSサーバーに中継します。
ADD IP DNS DOMAIN=broba.cc PRIMARY=61.197.130.1 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
Note
- デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- インターネット接続用のWAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- BROBA接続用のWAN側(ppp1)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC ↓
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。インターネット宛てパケットの場合は、NATアドレスとしてppp0のIPアドレスを使用します。BROBA宛てパケットの場合は、NATアドレスとしてppp1のIPアドレスを使用します。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1 ↓
Note
- ファイアウォールのダイナミックENATでは、パケットがINTからGBLINTに転送されたときに、パケットの始点アドレスをGBLINTのアドレスに書き換えます。
- ストリーミング再生のため、フラグメント化されたUDPパケットを透過するよう設定します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net FRAGMENT=UDP ↓
Note
- デフォルトの設定では、再構成後のサイズが1800バイトを超えるIPパケットはファイアウォールで破棄されます。ストリーミングデータ(UDP)はフラグメント化されたIPパケットで配信されることが多いため、本設定を入れておかないと正常に視聴できないことがあります。
- MPEG2形式のコンテンツを安定して視聴するため、BROBA接続用のWAN側(ppp1)インターフェースで受信したUDPポート55001〜55010宛てのパケットを、PC-A(192.168.10.10)にフォワードします。
ADD FIREWALL POLICY=net RU=1 AC=ALLOW INT=ppp1 PROT=UDP GBLIP=0.0.0.0 GBLPO=55001-55010 IP=192.168.10.10 PO=55001-55010 ↓
Note
- ここでは、MPEGデータ用ポートであるUDPポート55001〜55010宛てのパケットをすべてPC-A(192.168.10.10)にフォワードしているため、MPEG2コンテンツの視聴はPC-Aからしか行えません。複数のPCからMPEG2コンテンツを視聴するための設定については「メモ」をご覧ください。
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ 本構成例では、ppp1で受信したUDPポート55001〜55010宛てのパケットをすべてPC-A(192.168.10.10)にフォワードしているため、MPEG2コンテンツの視聴はPC-Aからしか行えません。複数のPCから同時にMPEG2コンテンツを視聴するには、手順22のルールを変更する必要があります。
たとえば、3台のPC、PC-A(192.168.10.10)、PC-B(192.168.10.11)、PC-C(192.168.10.12)からMPEG2コンテンツを視聴するには、手順22を次のように変更してください。
ADD FIREWALL POLICY=net RU=1 AC=ALLOW INT=ppp1 PROT=UDP GBLIP=0.0.0.0 GBLPO=55001 IP=192.168.10.10 PO=55001 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RU=2 AC=ALLOW INT=ppp1 PROT=UDP GBLIP=0.0.0.0 GBLPO=55002 IP=192.168.10.11 PO=55002 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RU=3 AC=ALLOW INT=ppp1 PROT=UDP GBLIP=0.0.0.0 GBLPO=55003 IP=192.168.10.12 PO=55003 ↓
この設定をした場合、各PC上でMPEG再生ツール「Streaming MPEGクライアント」のポート設定を変更する必要があります。映像データ用ポート範囲の設定を、デフォルトの「55001〜55010」から次のように変更してください。詳しくは、MPEG再生ツールのマニュアルをご覧ください。
- PC-A:55001〜55010 → 55001
- PC-B:55001〜55010 → 55002
- PC-C:55001〜55010 → 55003
■ 本設定では、ルーター起動直後にPPPoEセッションが確立され、以後常時接続された状態となります。したがって、PPPoEセッションの切断、再接続は手動で行う必要があります。
- セッションを切断するには、次のコマンドでPPPインターフェースをディセーブルにします。
- 再接続するには次のコマンドでPPPインターフェースをイネーブルにします。
■ 常時接続ではなく、LAN側からWAN側に対して通信要求が発生したときに自動的にPPPoEセッションを確立し、無通信状態が60秒続いたときにPPPoEセッションを切断するには、次のコマンドを入力します。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY IDLE=60 ↓
SET PPP=1 OVER=eth0-ANY IDLE=60 ↓
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
CREATE PPP=1 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=1 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@broba.cc PASSWORD=bbpasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=61.197.0.0 MASK=255.255.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE IP DNSRELAY ↓
ADD IP DNS DOMAIN=ANY PRIMARY=172.16.10.80 ↓
ADD IP DNS DOMAIN=broba.cc PRIMARY=61.197.130.1 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1 ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net FRAGMENT=UDP ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RU=1 AC=ALLOW INT=ppp1 PROT=UDP GBLIP=0.0.0.0 GBLPO=55001-55010 IP=192.168.10.10 PO=55001-55010 ↓
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CentreCOM AR450S 設定例集 2.9 #139
(C) 2003 - 2009 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M3069-04 Rev.L
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