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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #143

Pingポーリングによるメイン回線からISDNバックアップへの自動切り替え(フレッツグループアクセス〜VRRP編〜)


センター、拠点間の通信にフレッツグループアクセス(以下「FGA」と省略します)を利用する際に、センター、拠点にマスター/バックアップルーターを各1台ずつ設置し、VRRPを使用して冗長構成するネットワークを構築します。

この例では、ルーターとして本製品をセンター側に2台(ルーターA / B)、拠点側に2台(ルーターC / D)設置するネットワーク構成を例に解説します。
ここでは、次の設定値を想定して説明します。

表 1:VRRPの構成
 
センター側
拠点側
VRID 10 20
VRIP 192.168.10.100/24 192.168.20.100/24
マスタールーター ルーターA ルーターC


表 2:各ルーターの設定
 
ルーターA
ルーターB
ルーターC
ルーターD
LAN側インターフェース IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.10.2/24 192.168.20.1/24 192.168.20.2/24
ppp0 IPアドレス Unnumbered Unnumbered Unnumbered Unnumbered
ISDN番号 - 03-1234-1111 - 06-1234-2222


また、次のような環境を想定しています。


■ 通常接続時(xDSL回線使用時)のセンター/拠点間の通信は以下のようなルートで行われます。



■ メイン回線で障害発生時(バックアップ回線(ISDN)使用時)のセンター/拠点間の通信は以下のようなルートで行われます。



ルーターAの設定

  1. eth0インターフェース上にppp0インターフェースを作成します。ここでは、サービス名に「ANY」を設定しています。また、PPPセッションがダウンしても、上位層でルート情報が保持されるように、IDLEタイマーを設定します。


  2. FGAに接続する際のPPPoE認証のユーザー名とパスワードを指定します。ここでは、BAPを「OFF」、ユーザー名に「user@fga」、パスワードに「fgapasswd」を設定しています。


  3. リンク状態の監視にLCP Echoパケットを使用するため、LQRを「OFF」、ECHOを「ON」に設定します。






  4. IPモジュールを有効にします。


  5. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  6. LAN側インターフェース(vlan1)にIPアドレス「192.168.10.1/24」を設定します。


  7. ppp0インターフェースのIPアドレスを「Unnumbered」に設定します。


  8. スタティックルートを設定します。この設定で、拠点のLAN側宛のパケットをルーティングします。


  9. スタティックルートを設定します。この設定で、ルーターCのLAN側インターフェース(vlan1)宛のPingポーリングのICMPパケットをルーティングします。


  10. ルーターCのLAN側インターフェース(vlan1)を監視対象としてPingポーリングの設定をします。ここでは、PingポーリングIDを「1」に設定しています。NORMALINTERVALは監視対象機器がUPの時のポーリング間隔(秒)、UPCOUNTは機器の状態が「Down」「Critical Down」から「UP」に戻るのに必要な連続した「応答あり」の数です。SAMPLESIZEは、到達性判断のために保持しておくPingパケットの数です。ここではNORMALINTERVALを「10」、UPCOUNTを「5」、SAMPLESIZEを「10」に設定しています。


  11. Pingポーリングを有効にします。ここでは、PingポーリングIDを「1」に設定しています。


  12. VRRPを有効にします。


  13. vlan1にVRID=10を割り当てます。バーチャルIPアドレスは「192.168.10.100」に設定します。優先度はデフォルト(100)のままです。


  14. スクリプト「pingd.scp」を作成します。pingd.scpでは、VRID「10」の優先度を「98」に下げます。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)などを使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  15. スクリプト「pingu.scp」を作成します。pingu.scpでは、VRID「10」の優先度を「100」に戻します。


  16. トリガー機能を有効にします。


  17. PingポーリングによりデバイスのUPを検出すると、先に作成したスクリプト「pingu.scp」を実行するトリガー「4」を作成します。


  18. PingポーリングによりデバイスのDOWNを検出すると、先に作成したスクリプト「pingd.scp」を実行するトリガー「5」を作成します。


  19. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


ルーターBの設定

  1. ISDNコールを定義します。ここではコール名を「BACKUP」とし、接続先番号として「0612342222」を指定しています。「PRECEDENCE=IN」は、ルーターDと同時に通信が発生した場合に、着呼を優先するよう指定するものです。


  2. 発番号IEのチェックをONに指定します。設定を「ON」にすると、着信時に相手の発番号をチェックし、「06-1234-2222」(ルーターD)からの着信だった場合にだけ、着呼を受け付けます。


  3. ISDNコール「BACKUP」上にppp0インターフェースを作成します。ここでは、IDLE(無通信時に切断するまでの時間)を「60」に設定しています。


  4. LQR、BAPを「OFF」に設定します。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  7. LAN側インターフェース(vlan1)にIPアドレス「192.168.10.2/24」を設定します。


  8. ppp0インターフェースのIPアドレスを「Unnumbered」に設定します。


  9. デフォルトルートを設定します。


  10. VRRPを有効にします。


  11. vlan1にVRID=10を割り当てます。バーチャルIPアドレスは「192.168.10.100」に設定します。優先度は「99」に設定します。


  12. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


ルーターCの設定

  1. eth0インターフェース上にppp0インターフェースを作成します。ここでは、サービス名に「ANY」を設定しています。また、PPPセッションがダウンしても、上位層でルート情報が保持されるように、IDLEタイマーを設定します。


  2. FGAに接続する際のPPPoE認証のユーザー名とパスワードを指定します。ここでは、BAPを「OFF」、ユーザー名に「user@fga」、パスワードに「fgapasswd」を設定しています。


  3. リンク状態の監視にLCP Echoパケットを使用するため、LQRを「OFF」、ECHOを「ON」に設定します。






  4. IPモジュールを有効にします。


  5. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  6. LAN側インターフェース(vlan1)にIPアドレス「192.168.20.1/24」を設定します。


  7. ppp0インターフェースのIPアドレスを「Unnumbered」に設定します。


  8. スタティックルートを設定します。この設定で、センターのLAN側宛のパケットをルーティングします。


  9. スタティックルートを設定します。この設定で、ルーターAのLAN側インターフェース(vlan1)宛のPingポーリングのICMPパケットをルーティングします。


  10. ルーターAのLAN側インターフェース(vlan1)を監視対象としてPingポーリングの設定をします。ここでは、PingポーリングIDを「1」に設定しています。NORMALINTERVALは監視対象機器がUPの時のポーリング間隔(秒)、UPCOUNTは機器の状態が「Down」「Critical Down」から「UP」に戻るのに必要な連続した「応答あり」の数です。SAMPLESIZEは、到達性判断のために保持しておくPingパケットの数です。ここではNORMALINTERVALを「10」、UPCOUNTを「5」、SAMPLESIZEを「10」に設定しています。


  11. Pingポーリングを有効にします。ここでは、PingポーリングIDを「1」に設定しています。


  12. VRRPを有効にします。


  13. vlan1にVRID=20を割り当てます。バーチャルIPアドレスは「192.168.20.100」に設定します。優先度はデフォルト(100)のままです。


  14. スクリプト「pingd.scp」を作成します。pingd.scpでは、VRID「10」の優先度を「98」に下げます。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)などを使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  15. スクリプト「pingu.scp」を作成します。pingu.scpでは、VRID「10」の優先度を「100」に戻します。


  16. トリガー機能を有効にします。


  17. PingポーリングによりデバイスのUPを検出すると、先に作成したスクリプト「pingu.scp」を実行するトリガー「4」を作成します。


  18. PingポーリングによりデバイスのDOWNを検出すると、先に作成したスクリプト「pingd.scp」を実行するトリガー「5」を作成します。


  19. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


ルーターDの設定

  1. ISDNコールを定義します。ここではコール名を「BACKUP」とし、接続先番号として「0312341111」を指定しています。「PRECEDENCE=OUT」は、ルーターBと同時に通信が発生した場合に、発呼を優先するよう指定するものです。


  2. 発番号IEのチェックをONに指定します。設定を「ON」にすると、着信時に相手の発番号をチェックし、「03-1234-1111」(ルーターB)からの着信だった場合にだけ、着呼を受け付けます。


  3. ISDNコール「BACKUP」上にppp0インターフェースを作成します。ここでは、IDLE(無通信時に切断するまでの時間)を「60」に設定しています。


  4. LQR、BAPを「OFF」に設定します。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  7. LAN側インターフェース(vlan1)にIPアドレス「192.168.20.2/24」を設定します。


  8. ppp0インターフェースのIPアドレスを「Unnumbered」に設定します。


  9. デフォルトルートを設定します。


  10. VRRPを有効にします。


  11. vlan1にVRID=20を割り当てます。バーチャルIPアドレスは「192.168.20.100」に設定します。優先度は「99」に設定します。


  12. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
CREATE PPP=0 IDLE=999999999 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 BAP=OFF USERNAME=user@fga PASSWORD=fgapasswd
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY LQR=OFF ECHO=ON
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INTERFACE=vlan1 IPADDRESS=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INTERFACE=ppp0 IPADDRESS=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INTERFACE=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.1 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD PING POLL=1 IPADDRESS=192.168.20.1 NORMALINTERVAL=10 UPCOUNT=5 SAMPLESIZE=10
ENABLE PING POLL=1
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=10 OVER=vlan1 IPADDRESS=192.168.10.100
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=4 MODULE=PING EVENT=DEVICEUP POLL=1 SCRIPT=pingu.scp
CREATE TRIGGER=5 MODULE=PING EVENT=DEVICEDOWN POLL=1 SCRIPT=pingd.scp


スクリプト「pingd.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=10 PRIORITY=98


スクリプト「pingu.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=10 PRIORITY=100


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=BACKUP NUMBER=0612342222 PRECEDENCE=IN
SET ISDN CALL=BACKUP SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 IDLE=60 OVER=ISDN-BACKUP
SET PPP=0 OVER=ISDN-BACKUP LQR=OFF BAP=OFF
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INTERFACE=vlan1 IPADDRESS=192.168.10.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP INTERFACE=ppp0 IPADDRESS=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INTERFACE=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=10 OVER=vlan1 IPADDRESS=192.168.10.100 PRIORITY=99


ルーターCのコンフィグ [テキスト版]
CREATE PPP=0 IDLE=999999999 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 BAP=OFF USERNAME=user@fga PASSWORD=fgapasswd
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY LQR=OFF ECHO=ON
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INTERFACE=vlan1 IPADDRESS=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INTERFACE=ppp0 IPADDRESS=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INTERFACE=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.1 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD PING POLL=1 IPADDRESS=192.168.10.1 NORMALINTERVAL=10 UPCOUNT=5 SAMPLESIZE=10
ENABLE PING POLL=1
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=20 OVER=vlan1 IPADDRESS=192.168.20.100
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=4 MODULE=PING EVENT=DEVICEUP POLL=1 SCRIPT=pingu.scp
CREATE TRIGGER=5 MODULE=PING EVENT=DEVICEDOWN POLL=1 SCRIPT=pingd.scp


スクリプト「pingd.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=10 PRIORITY=98


スクリプト「pingu.scp」 [テキスト版]
SET VRRP=10 PRIORITY=100


ルーターDのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=BACKUP NUMBER=0312341111 PRECEDENCE=OUT
SET ISDN CALL=BACKUP SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 IDLE=60 OVER=ISDN-BACKUP
SET PPP=0 OVER=ISDN-BACKUP LQR=OFF
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INTERFACE=vlan1 IPADDRESS=192.168.20.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP INTERFACE=ppp0 IPADDRESS=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INTERFACE=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ENABLE VRRP
CREATE VRRP=20 OVER=vlan1 IPADDRESS=192.168.20.100 PRIORITY=99





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