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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #51

PPPoEによるLAN型インターネット接続(スタティックNAT)


PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。グローバルアドレスを8個、16個などのブロック単位で固定的に割り当てられるLAN型接続の設定例です。この例では、ISPから割り当てられたアドレスをルーターやホストに直接割り当てず、LAN側コンピューターはプライベートアドレスで運用します。クライアントはダイナミックENAT経由でインターネットにアクセスさせます。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、スタティックNATを使って特定のサーバーだけを外部に公開します。

ISPからは次の情報を提供されているものとします。

表 1:ISPから提供された情報
PPPユーザー名 user@isp
PPPパスワード isppasswd
PPPoEサービス名 指定なし
使用できるIPアドレス 4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7)


ルーターには、次のような方針で設定を行います。


以下、ルーターの基本設定についてまとめます。

表 2:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース eth0
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered
LAN側(vlan1)IPアドレス 192.168.10.1/24
DHCPサーバー機能 使わない



ルーターの設定

  1. WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。


  2. ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。






  3. IPモジュールを有効にします。


  4. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  5. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  6. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  7. デフォルトルートを設定します。


  8. ファイアウォール機能を有効にします。


  9. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  10. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  11. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  12. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  13. スタティックNATによるサーバー公開設定を行います。


  14. ダイナミックENATの設定を行います。LAN側のプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレス4.4.4.1に変換するよう設定します。


  15. 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。


  16. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


メモ

■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。


記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。


■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。


記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。

まとめ

ルーターのコンフィグ [テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.2 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.2
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.3 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.3
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.4 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.4
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.2 GBLPORT=80 IP=192.168.10.2 PORT=80
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.3 GBLPORT=25 IP=192.168.10.3 PORT=25
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53





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