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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #21

ISDNによる専用線バックアップ(インターフェーストリガー)


インターフェーストリガーを利用して、ISDNを専用線メイン回線のバックアップとして使用する設定例です。この例では2つのPPPインターフェースを作成し、通常はメイン側だけを使用します。メイン回線ダウンのトリガーが起動したときは、デフォルトルートを変更し、ISDN回線上のバックアップ用インターフェースが使用されるようにします。

ここでは、次のようなネットワーク構成を例に解説します。

表 1
 
ルーターA
メイン回線 専用線128Kbps
TDMグループ名 PRIMARY
バックアップ回線 ISDN Bチャンネル×2
対向拠点BのISDN番号 03-1234-1111
ISDNコール名 SECONDARY
ISDN発着優先 発呼優先
ISDN識別方式 発番号識別
WAN側物理インターフェース(専用線) bri0
WAN側物理インターフェース(ISDN) bri1
ISPとの契約IPアドレス 202.100.1.0/24
WAN側(ppp0)IPアドレス(メイン) Unnumbered(対ISP)
WAN側(ppp1)IPアドレス(バックアップ) Unnumbered(対拠点B)
LAN側(eth0)IPアドレス 202.100.1.1/24



ルーターAの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「PRIMARY」を作成します。


  3. バックアップ用のISDNコール「SECONDARY」を作成します。発呼にはbri1を使うよう指定します。


  4. TDMグループ「PRIMARY」上にPPPインターフェース「0」を作成します。LQRをオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使って回線状態を監視できるようにします。

    LCP Echo Requestパケットは、デフォルト10秒間隔で送信されます。3回連続でEcho Replyが戻ってこなかった場合、本製品は回線がダウンしたと認識します。


  5. ISDNコール「SECONDARY」上にバックアップ用のPPPインターフェース「1」を作成します。LQRはオフにします。また、NUMBER=2を指定して、Bチャンネル2本(128Kbps)を使用するよう設定します。また、「IDLE=ON」を指定してダイヤルオンデマンドを有効にします。


  6. IPモジュールを有効にします。


  7. EthernetインターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. PPPインターフェース「0」にIPアドレス「0.0.0.0」を割り当て、Unnumberedを使用するよう設定します。


  9. PPPインターフェース「1」にIPアドレス「0.0.0.0」を割り当て、Unnumberedを使用するよう設定します。


  10. デフォルトルートをppp0(プライマリー)側に設定します。


  11. トリガー機能を有効にします。


  12. ppp0のダウン時に「down.scp」を実行するトリガー「1」を作成します。ダウン検出にはLCP Echoを使用します。


  13. ppp0のアップ時に「up.scp」を実行するトリガー「2」を作成します。アップ検出にはLCP Echoを使用します。


  14. デフォルトルートをppp1(バックアップ)側に切り替えるスクリプト「down.scp」を作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  15. デフォルトルートをppp0(プライマリー)側に切り替え、ISDN回線を切断するスクリプト「up.scp」を作成します。


  16. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。




メモ

■ トリガースクリプトは、内蔵スクリーンエディター(EDITコマンド)を使って編集することもできます。詳しくは、取扱説明書ならびにコマンドリファレンスをご覧ください。
■ 手順4で、LCP Echo Requestパケットの送信間隔を変更したい場合は、ECHOパラメーターに送信間隔を秒数を指定してください(デフォルトは10秒)。たとえば、20秒間隔で送信させたい場合は次のようにします。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=PRIMARY INT=bri0 SLOTS=1-2
ADD ISDN CALL=SECONDARY NUMBER=0312341111 PREC=OUT SEARCHCLI=ON INTREQ=bri1
CREATE PPP=0 OVER=TDM-PRIMARY LQR=OFF ECHO=ON
CREATE PPP=1 OVER=ISDN-SECONDARY NUMBER=2 IDLE=ON LQR=OFF
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=202.100.1.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 INTERFACE=ppp0 EVENT=DOWN CP=LCP SCRIPT=down.scp
CREATE TRIGGER=2 INTERFACE=ppp0 EVENT=UP CP=LCP SCRIPT=up.scp


スクリプト「down.scp」 [テキスト版]
DELETE IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXT=0.0.0.0


スクリプト「up.scp」 [テキスト版]
DELETE IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXT=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0
DEACTIVATE ISDN CALL=SECONDARY





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