<前頁
次頁>
<<
>>
↓
目次 (番号順
(詳細)・
回線別
(詳細)・
機能別
(詳細))
CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #105 
L2TP+IPsecによるリモートアクセス型VPN
L2TPによるリモートアクセス型VPNの設定です。この例では、LAC・LNS間のL2TPトンネルをトランスポートモードIPsec(ESP)で暗号化し、インターネット上を流れるデータの安全性を確保しています。
ここでは、次のような構成のネットワークを例に解説します。
Note
 - IPsecを使用するには、通信データの暗号化と復号化を行うすべてのルーターに別売の暗号ボードまたは暗号・圧縮ボードを装着する必要があります。
最初にルーターA(LNS)、ルーターB(LAC)のインターネット接続設定とL2TPの基本設定についてまとめます。ルーターA、Bは、インターネット経由でL2TPのトンネルを張ります。この例では、トンネルは必ずLAC(ルーターB)側から張られます。
表 1:ISP接続とL2TPの基本設定
  |   | 
  ルーターA | 
  ルーターB | 
  | TDMグループ名 | 
  ISPA | 
  ISPB | 
  | 回線速度 | 
  128Kbps | 
  128Kbps | 
  | WAN側(ppp0)IPアドレス | 
  Unnumbered | 
  Unnumbered | 
  | LAN側(eth0-0)IPアドレス | 
  200.100.10.1/29 | 
  200.100.20.1/29 | 
  | LAN側(eth0-1)IPアドレス | 
  192.168.10.1/24 | 
  − | 
  | L2TP終端アドレス | 
  200.100.10.1 | 
  200.100.20.1 | 
  | L2TPサーバーモード | 
  LNS | 
  LAC | 
  | L2TPサーバーパスワード | 
  l2tpA | 
  − | 
  | BAY0 | 
  BRIインターフェースカード(AR021) | 
  BRIインターフェースカード(AR021) | 
  | BAY1 | 
  − | 
  BRIインターフェースカード(AR021) | 
さらに、LAC・LNS間のL2TPトンネルをIPsecで暗号化します。そのときの設定は次のとおりです。トランスポートモードのESPを使って、ルーター間のL2TPパケット(始点・終点UDPポート1701)だけを暗号化します。
表 2:IKEフェーズ1(ISAKMP SAのネゴシエーション)
  | ルーター間の認証方式 | 
  事前共有鍵(pre-shared key) | 
  | IKE交換モード | 
  Mainモード | 
  | 事前共有鍵 | 
  secret(文字列) | 
  | Oakleyグループ | 
  1(デフォルト) | 
  | ISAKMPメッセージの暗号化方式 | 
  DES(デフォルト) | 
  | ISAKMPメッセージの認証方式 | 
  SHA1(デフォルト) | 
  | ISAKMP SAの有効期限(時間) | 
  86400秒(24時間)(デフォルト) | 
  | ISAKMP SAの有効期限(Kbyte数) | 
  なし(デフォルト) | 
  | 起動時のISAKMPネゴシエーション | 
  行わない | 
表 3:IKEフェーズ2(IPsec SAのネゴシエーション)
  | SAモード | 
  トランスポートモード | 
  | セキュリティープロトコル | 
  ESP(暗号+認証) | 
  | 暗号化方式 | 
  DES | 
  | 認証方式 | 
  SHA1 | 
  | IPsec SAの有効期限(時間) | 
  28800秒(8時間)(デフォルト) | 
  | IPsec SAの有効期限(Kbyte数) | 
  なし(デフォルト) | 
  | IPsecの適用対象IPアドレス | 
  200.100.10.1:1701/udp ←→ 200.100.20.1:1701/udp | 
  | インターネットとの平文通信 | 
  行わない | 
LNS(ルーターA)の設定は次のとおりです。LNSは、トンネル(LAC)経由でリモートユーザーからのダイヤルアップ接続を受け入れるルーターです。ユーザーが接続してきたときに動的にPPPインターフェースを作成し、IPアドレスプールから空きアドレスを割り当てます。
表 4:LNS(ルーターA)の設定
  | IPアドレスプール | 
  POOL(192.168.10.20〜192.168.10.30) | 
  | 登録ユーザー(パスワード)(1) | 
  AAA(PasswordA) | 
  | 登録ユーザー(パスワード)(2) | 
  BBB(PasswordB) | 
LAC(ルーターB)の設定は次のとおりです。LACは、ISDN経由でリモートユーザーからの接続を受け付け、LNSとの間にL2TPトンネルを確立し、ユーザーからのPPPフレームをトンネル経由でLNSに中継するルーターです。
表 5:LAC(ルーターB)の設定
  | ISDN番号 | 
  03-1234-1111 | 
  | ISDNコール名 | 
  RMT(ダイヤルアップ受け入れ用) | 
  | ISDN発着優先 | 
  着呼優先(専用) | 
最後にリモートユーザー(ルーターC)の設定についてまとめます。リモートユーザーは、通常のダイヤルアップPPP接続ができればよく、L2TPやIPsecに対応している必要はありません。ルーターCは、LAN側端末からの通信要求に応じてLACにダイヤルアップします(ダイヤルオンデマンド)。これは、物理的にはLACとの接続ですが、L2TPの働きにより実際にはLNSにダイヤルアップしたことになります。LNSとの間にPPPセッションが確立すると、通常の認証処理を受け、ルーターAのLAN側アドレスを1つ動的に割り当てられます。端末型の接続になるため、ダイナミックENATを使ってルーターCのLAN側端末が外に出られるようにしています。
表 6:リモートユーザー(ルーターC)の設定
  | ISDNコール名 | 
  LAC(LACへのダイヤルアップ用) | 
  | ISDN発着優先 | 
  発呼優先(専用) | 
  | PPPユーザー名 | 
  AAA | 
  | PPPパスワード | 
  PasswordA | 
  | WAN側(ppp0)IPアドレス | 
  LNS(ルーターA)から動的割り当て | 
  | LAN側(eth0)IPアドレス | 
  192.168.20.1/24 | 
なお、PC-Dの設定については、ご使用のTA、オペレーティングシステムのマニュアルをご覧ください。インターネットサービスプロバイダー(ISP)にダイヤルアップするときと同様の設定になります。

- IPsecはセキュリティーモードでないと動作しないので、同モードで管理設定を行うことのできるSecurity Officerレベルのユーザーをあらかじめ登録しておきます。
  
    ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER ↓
  
Note
 - Security Officerのパスワードは厳重に管理してください。
 - 最初に、ISP-Aとの接続のための設定を行います。BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。
  
    SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
  
 - bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「ISPA」を作成します。
  
    CREATE TDM GROUP=ISPA INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
  
 - PPPインターフェース「0」を、TDMグループ「ISPA」上に作成します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPA LQR=OFF ↓
  
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースをマルチホーミングし、eth0-0にグローバルアドレスを、eth0-1にプライベートアドレスを設定します。
  
    
ADD IP INT=eth0-0 IP=200.100.10.1 MASK=255.255.255.240 ↓
ADD IP INT=eth0-1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
    
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
  
 - L2TPトンネル経由で接続してくるリモートユーザー(ルーターCとPC-D)のための設定を行います。最初に、リモートユーザーをユーザー認証データベースに登録します。
  
    
ADD USER=AAA PASSWORD=PasswordA LOGIN=NO ↓
ADD USER=BBB PASSWORD=PasswordB LOGIN=NO ↓
    
  
 - トンネル経由でユーザーが接続してきたときに動的に作成するPPPインターフェースのテンプレート「1」を作成します。接続時の認証はCHAP、PAPのどちらでも行えるようにし、アドレス割り当てにはIPアドレスプール「POOL」を使うようにします。
  
    CREATE PPP TEMPLATE=1 IPPOOL=POOL AUTHENTICATION=EITHER ↓
  
 - IPアドレスプール「POOL」を作成し、ユーザーに割り当てるアドレスの範囲を指定します。
  
    CREATE IP POOL=POOL IP=192.168.10.20-192.168.10.30 ↓
  
 - ここから、L2TPの設定を行います。最初にL2TPモジュールを有効にします。
  
 - L2TPサーバーをLNSモードで起動します。
  
 - LAC(ルーターB)からのトンネル接続要求時に相手を認証するためのパスワード「l2tpA」を設定します。
  
    SET L2TP PASSWORD=l2tpA ↓
  
 - LAC「200.100.20.1」からの接続時に動的作成するPPPインターフェースの雛形として、PPPテンプレート「1」を使うよう指定します。
  
    ADD L2TP IP=200.100.20.1 PPPTEMPLATE=1 ↓
  
 - ここからがIPsecの設定になります。最初にISAKMP用の事前共有鍵(pre-shared key)を作成します。ここでは鍵番号を「1」番とし、鍵の値は「secret」という文字列で指定します(ルーターBと同じに設定)。
  
    CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret" ↓
  
Note
 - CREATE ENCO KEYコマンドは、コンソール上でログインしている場合のみ有効なコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵スクリーンエディター)等で設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても無効になりますのでご注意ください。
 - ルーターBとのIKEネゴシエーション要求を受け入れるISAKMPポリシー「i」を作成します。KEYには、前の手順で作成した事前共有鍵(鍵番号「1」)を、PEERには対向ルーターのIPアドレスを指定します。
  
    CREATE ISAKMP POLICY="i" PEER=200.100.20.1 KEY=1 SENDN=TRUE ↓
  
 - IPsec通信の仕様を定義するSAスペック「1」を作成します。鍵管理方式「ISAKMP」、プロトコル「ESP」、暗号化方式「DES」、認証方式「SHA」に設定します。この例ではすでにL2TPのトンネルが存在するため、デフォルトのトンネルモードは使用せずに、トランスポートモードを使用します。相手ルーターのUDP1701番ポート宛に送受信されるL2TPパケットだけを暗号化する形になります。
  
    CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA MODE=TRANSPORT ↓
  
 - SAスペック「1」だけからなるSAバンドルスペック「1」を作成します。鍵管理方式は「ISAKMP」を指定します。
  
    CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1" ↓
  
 - ISAKMPメッセージを素通しさせるIPsecポリシー「isa」を作成します。ポリシーの適用対象を、ローカルの500番ポートからリモートの500番ポート宛のUDPパケット(ISAKMP)に設定します。
  
    CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP ↓
  
Note
 - ISAKMPを使用する場合は、必ず最初のIPsecポリシーでISAKMPメッセージが通過できるような設定を行ってください。「IPsecポリシー」は設定順に検索され、最初にマッチしたものが適用されるため、設定順序には注意が必要です。検索順はSHOW IPSEC POLICYコマンドで確認できます。また、検索順を変更するには、SET IPSEC POLICYコマンドのPOSITIONパラメーターを使用します。
 - L2TPパケットを暗号化するIPsecポリシー「L2」をPPPインターフェース「0」に対して作成します。鍵管理方式には「ISAKMP」を、PEERにはルーターBのIPアドレスを、BUNDLEには前の手順で作成したSAバンドルスペック「1」を指定します。また、LAD、LPORT、RAD、LPORTで対象となるパケットの条件を指定します。
  
    
CREATE IPSEC POLICY="L2" INT=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=200.100.20.1 ↓
SET IPSEC POLICY="L2" LAD=200.100.10.1 LPORT=1701 RAD=200.100.20.1 RPORT=1701 TRANSPORT=UDP ↓
    
  
 - IPsecモジュールを有効にします。
  
 - ISAKMPモジュールを有効にします。
  
 - Security Officerレベルのユーザーでログインしなおします。
  
 - 動作モードをセキュリティーモードに切り替えます。
  
    ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE ↓
  
Note
 - セキュリティーモードでは、Security OfficerレベルでのTelnetログインが原則として禁止されています。セキュリティーモードにおいて、Security OfficerレベルでTelnetログインしたい場合は、あらかじめRSO(Remote Security Officer)の設定を行っておいてください(本章末尾のメモを参照)。
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
- IPsecはセキュリティーモードでないと動作しないので、同モードで管理設定を行うことのできるSecurity Officerレベルのユーザーをあらかじめ登録しておきます。
  
    ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER ↓
  
Note
 - Security Officerのパスワードは厳重に管理してください。
 - 最初にISP-Bとの接続のための設定を行います。BRIインターフェース「1」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。
  
    SET BRI=1 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
  
 - bri1のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「ISPB」を作成します。
  
    CREATE TDM GROUP=ISPB INT=bri1 SLOTS=1-2 ↓
  
 - PPPインターフェース「0」を、TDMグループ「ISPB」上に作成します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPB LQR=OFF ↓
  
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにISPから割り当てられたグローバルアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=200.100.20.1 MASK=255.255.255.240 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
  
 - リモートユーザー(ルーターCとPC-D)からの接続に対し、アクセスサーバーとしての役割を果たすための設定を行います。最初にPPPテンプレート「1」を作成し、ISDN経由でユーザーが接続してきたときに動的に作成するPPPインターフェースの基本属性を設定します。
  
    CREATE PPP TEMPLATE=1 LOGIN=USER AUTHENTICATION=EITHER ↓
  
 - ユーザーからの接続を受け入れるISDNコール「RMT」を作成します。接続先番号「0」は自分からは発呼しないことを示します。また、不特定ユーザーからの着呼を受け入れるため「INANY=ON」を指定し、「USER=PPP」で着呼時にPPPインターフェースを動的作成するよう指定しています。動的作成するインターフェースの属性は、PPPテンプレート「1」で定義します。
  
    ADD ISDN CALL=RMT NUMBER=0 PREC=IN INANY=ON INTREQ=bri0 USER=PPP PPPTEMPLATE=1 ↓
  
 - 次にL2TPの設定を行います。最初にL2TPモジュールを有効にします。
  
 - L2TPサーバーをLACモードで起動します。
  
 - ユーザーがダイヤルアップ接続してきたときに、どのLNSに中継するかを設定します。以下の設定では、LACにダイヤルアップ接続してきたすべてのPPPユーザー(USER=ALL)をLNS「200.100.10.1」(IP=200.100.10.1)に中継します。PASSWORDはLNSに接続するためのパスワードです。また、「ACTION=DATABASE」は、LNSのアドレスとしてIPパラメーターの値を使うことを示します。
  
    ADD L2TP USER=ALL ACTION=DATABASE IP=200.100.10.1 PASSWORD=l2tpA ↓
  
 - ここからがIPsecの設定になります。最初にISAKMP用の事前共有鍵(pre-shared key)を作成します。ここでは鍵番号を「1」番とし、鍵の値は「secret」という文字列で指定します(ルーターBと同じに設定)。
  
    CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret" ↓
  
Note
 - CREATE ENCO KEYコマンドは、コンソール上でログインしている場合のみ有効なコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵スクリーンエディター)等で設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても無効になりますのでご注意ください。
 - ルーターBとのIKEネゴシエーション要求を受け入れるISAKMPポリシー「i」を作成します。KEYには、前の手順で作成した事前共有鍵(鍵番号「1」)を、PEERには対向ルーターのIPアドレスを指定します。
  
    CREATE ISAKMP POLICY="i" PEER=200.100.10.1 KEY=1 SENDN=TRUE ↓
  
 - IPsec通信の仕様を定義するSAスペック「1」を作成します。鍵管理方式「ISAKMP」、プロトコル「ESP」、暗号化方式「DES」、認証方式「SHA」に設定します。この例ではすでにL2TPのトンネルが存在するため、デフォルトのトンネルモードは使用せずに、トランスポートモードを使用します。相手ルーターのUDP1701番ポート宛に送受信されるL2TPパケットだけを暗号化する形になります。
  
    CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA MODE=TRANSPORT ↓
  
 - SAスペック「1」だけからなるSAバンドルスペック「1」を作成します。鍵管理方式は「ISAKMP」を指定します。
  
    CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1" ↓
  
 - ISAKMPメッセージを素通しさせるIPsecポリシー「isa」を作成します。ポリシーの適用対象を、ローカルの500番ポートからリモートの500番ポート宛のUDPパケット(ISAKMP)に設定します。
  
    CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP ↓
  
Note
 - ISAKMPを使用する場合は、必ず最初のIPsecポリシーでISAKMPメッセージが通過できるような設定を行ってください。「IPsecポリシー」は設定順に検索され、最初にマッチしたものが適用されるため、設定順序には注意が必要です。検索順はSHOW IPSEC POLICYコマンドで確認できます。また、検索順を変更するには、SET IPSEC POLICYコマンドのPOSITIONパラメーターを使用します。
 - L2TPパケットを暗号化するIPsecポリシー「L2」をPPPインターフェース「0」に対して作成します。鍵管理方式には「ISAKMP」を、PEERにはルーターBのIPアドレスを、BUNDLEには前の手順で作成したSAバンドルスペック「1」を指定します。また、LAD、LPORT、RAD、LPORTで対象となるパケットの条件を指定します。
  
    
CREATE IPSEC POLICY="L2" INT=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=200.100.10.1 ↓
SET IPSEC POLICY="L2" LAD=200.100.20.1 LPORT=1701 RAD=200.100.10.1 RPORT=1701 TRANSPORT=UDP ↓
    
  
 - IPsecモジュールを有効にします。
  
 - ISAKMPモジュールを有効にします。
  
 - Security Officerレベルのユーザーでログインしなおします。
  
 - 動作モードをセキュリティーモードに切り替えます。
  
    ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE ↓
  
Note
 - セキュリティーモードでは、Security OfficerレベルでのTelnetログインが原則として禁止されています。セキュリティーモードにおいて、Security OfficerレベルでTelnetログインしたい場合は、あらかじめRSO(Remote Security Officer)の設定を行っておいてください(本章末尾のメモを参照)。
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
- LACにダイヤルアップするためのISDNコール「LAC」を作成します。
  
    ADD ISDN CALL=LAC NUMBER=0312341111 PREC=OUT INTREQ=bri0 ↓
  
 - ISDNコール「LAC」上にダイヤルオンデマンドのPPPインターフェースを作成します。「IPREQUEST=ON」を指定して、LNS(ルーターA)からIPアドレスを取得するように設定します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=ISDN-LAC IPREQUEST=ON IDLE=60 ↓
  
 - LNSにPPP接続するためのユーザー名とパスワードを設定します。
  
    SET PPP=0 USER=AAA PASSWORD=PasswordA ↓
  
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - IPCPネゴシエーションでLNS(ルーターA)から割り当てられたIPアドレスを、PPPインターフェースで使用できるように設定します。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、LNS(ルーターA)との接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
  
 - LNSとの接続がIPアドレスを1つだけ割り当てられる端末型なので、LAN側端末が外に出られるようにダイナミックENATを使用します。最初にIP NATモジュールを有効にします。
  
 - LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定し、グローバルアドレスとしてppp0のIPアドレス(LNSから割り当てられたアドレス)を使用するよう指定します。
  
    ADD IP NAT IP=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 GBLINT=ppp0 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
■ セキュリティーモードに移行すると、Telnet経由でルーターにログインすることができなくなります。セキュリティーモードでTelnetログインしたい場合は、あらかじめRSO(Remote Security Officer)コマンドを使ってログインを許可するホストのIPアドレスを指定しておく必要があります。
たとえば、ネットワーク192.168.10.0/24上のすべてのホストからTelnetログインを許可する場合は、次のようにします。
  
    
ENABLE USER RSO ↓
ADD USER RSO IP=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 ↓
    
  
ルーターA(LNS)のコンフィグ
[テキスト版]
* 「#」で始まる行は、コンソールから入力しないと意味を持たないコマンドか、設定ファイル(.cfg)に記述しても無効なコマンドを示しています。詳細は本文の説明をご覧ください。
ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER ↓ 
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓ 
CREATE TDM GROUP=ISPA INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPA LQR=OFF ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ADD IP INT=eth0-0 IP=200.100.10.1 MASK=255.255.255.240 ↓ 
ADD IP INT=eth0-1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓ 
ADD USER=AAA PASSWORD=PasswordA LOGIN=NO ↓ 
ADD USER=BBB PASSWORD=PasswordB LOGIN=NO ↓ 
CREATE PPP TEMPLATE=1 IPPOOL=POOL AUTHENTICATION=EITHER ↓ 
CREATE IP POOL=POOL IP=192.168.10.20-192.168.10.30 ↓ 
ENABLE L2TP ↓ 
ENABLE L2TP SERVER=LNS ↓ 
SET L2TP PASSWORD=l2tpA ↓ 
ADD L2TP IP=200.100.20.1 PPPTEMPLATE=1 ↓ 
# CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret" ↓ 
CREATE ISAKMP POLICY="i" PEER=200.100.20.1 KEY=1 SENDN=TRUE ↓ 
CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA MODE=TRANSPORT ↓ 
CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1" ↓ 
CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP ↓ 
CREATE IPSEC POLICY="L2" INT=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=200.100.20.1 ↓ 
SET IPSEC POLICY="L2" LAD=200.100.10.1 LPORT=1701 RAD=200.100.20.1 RPORT=1701 TRANSPORT=UDP ↓ 
ENABLE IPSEC ↓ 
ENABLE ISAKMP ↓ 
# LOGIN secoff ↓ 
# ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE ↓ 
 | 
ルーターB(LAC)のコンフィグ
[テキスト版]
* 「#」で始まる行は、コンソールから入力しないと意味を持たないコマンドか、設定ファイル(.cfg)に記述しても無効なコマンドを示しています。詳細は本文の説明をご覧ください。
ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER ↓ 
SET BRI=1 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓ 
CREATE TDM GROUP=ISPB INT=bri1 SLOTS=1-2 ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPB LQR=OFF ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=200.100.20.1 MASK=255.255.255.240 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓ 
CREATE PPP TEMPLATE=1 LOGIN=USER AUTHENTICATION=EITHER ↓ 
ADD ISDN CALL=RMT NUMBER=0 PREC=IN INANY=ON INTREQ=bri0 USER=PPP PPPTEMPLATE=1 ↓ 
ENABLE L2TP ↓ 
ENABLE L2TP SERVER=LAC ↓ 
ADD L2TP USER=ALL ACTION=DATABASE IP=200.100.10.1 PASSWORD=l2tpA ↓ 
# CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret" ↓ 
CREATE ISAKMP POLICY="i" PEER=200.100.10.1 KEY=1 SENDN=TRUE ↓ 
CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA MODE=TRANSPORT ↓ 
CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1" ↓ 
CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP ↓ 
CREATE IPSEC POLICY="L2" INT=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=200.100.10.1 ↓ 
SET IPSEC POLICY="L2" LAD=200.100.20.1 LPORT=1701 RAD=200.100.10.1 RPORT=1701 TRANSPORT=UDP ↓ 
ENABLE IPSEC ↓ 
ENABLE ISAKMP ↓ 
# LOGIN secoff ↓ 
# ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE ↓ 
 | 
ルーターCのコンフィグ
[テキスト版]
ADD ISDN CALL=LAC NUMBER=0312341111 PREC=OUT INTREQ=bri0 ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-LAC IPREQUEST=ON IDLE=60 ↓ 
SET PPP=0 USER=AAA PASSWORD=PasswordA ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE IP NAT ↓ 
ADD IP NAT IP=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 GBLINT=ppp0 ↓ 
 | 
CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #105 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
<前頁
次頁>
<<
>>
↑
目次 (番号順
(詳細)・
回線別
(詳細)・
機能別
(詳細))