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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #112 
PPPoEインターネット接続環境におけるL2TP LAN間接続(IP/AppleTalk。両側アドレス固定)
PPPoEでインターネットに接続している2つの拠点をL2TPで結ぶVPN構築例です。この例では、グローバルアドレス8個を固定的に割り当てられているサイトと、グローバルアドレス1個を固定的に割り当てられているサイトの間をL2TPのトンネルで接続し、IPとAppleTalkを通します。
Note
 - L2TPはPPPをトンネリングするだけで、暗号化などのセキュリティー機能は持っていません。暗号化が必要なときは、IPsec(トランスポートモード)と併用する必要があります。なお、L2TPとIPsecの併用が必要なのは、VPN上でIP以外のプロトコル(IPXやAppleTalk)を使いたいときだけです。VPN上で使うプロトコルがIPだけであれば、IPsec(トンネルモード)単体で目的を達成できます。
各拠点は、ISPから次の情報を提供されているものとします。
表 1:ISPから提供された情報
  |   | 
  ルーターA | 
  ルーターB | 
  | PPPユーザー名 | 
  user@ispA | 
  user@ispB | 
  | PPPパスワード | 
  isppasswdA | 
  isppasswdB | 
  | PPPoEサービス名 | 
  指定なし | 
  指定なし | 
  | 使用できるIPアドレス | 
  4.4.4.0/29 | 
  12.34.56.78/32 | 
  | 接続形態 | 
  LAN型(アドレス8個固定) | 
  端末型(アドレス1個固定) | 
ルーターA側(LAN型アドレス8個固定)では、LAN側インターフェースをマルチホーミングして、グローバルサブネットにサーバーを、プライベートサブネットにクライアントを配置します。ルーターBは、ダイナミックENATを使用した通常の端末型設定(アドレス1個固定)です。
以下、ルーターA、Bの基本設定についてまとめます。
表 2:ルーターA、Bの基本設定
  |   | 
  ルーターA | 
  ルーターB | 
  | WAN側物理インターフェース | 
  eth1 | 
  eth1 | 
  | WAN側IPアドレス(1) | 
  Unnumbered(ppp0-0) | 
  12.34.56.78/32(ppp0) | 
  | WAN側IPアドレス(2) | 
  4.4.4.1/32(ppp0-1) | 
  − | 
  | LAN側IPアドレス | 
  192.168.10.1/24(eth0-1) | 
  192.168.20.1/24(eth0) | 
  | DMZ側IPアドレス | 
  4.4.4.2/29(eth0-0) | 
  − | 

この構成においてL2TP VPNを構築するときのポイントは次のとおりです。
- ルーターAでは、WAN側(ppp0)インターフェースをマルチホーミングし、そのうちの一方(ppp0-1)にグローバルアドレスの1つを設定します。ルーターAが送信するL2TPパケットの始点アドレスにはこのアドレスがセットされます。このような設定をするのは、PPPoEのLAN型接続ではWAN側(ppp0)インターフェースにネットワークアドレス(ホスト部が0のアドレス。始点アドレスとしては使用できないため事実上のUnnumbered)が割り当てられるためです。詳細は章末の「メモ」をご覧ください。
 - L2TPパケット(始点・終点UDPポート1701)がファイアウォールで遮断されないようにルールを設定します。
 
L2TPの設定は次のとおりです。L2TPトンネルは、ルーターAのグローバルアドレス(4.4.4.1)とルーターBのグローバルアドレス(12.34.56.78)の間に張られます。トンネル上に張った仮想PPPコネクション(ppp1−ppp1)はプライベートLAN間を接続するためのもので、IPとAppleTalkのパケットを通します。
表 3:L2TP・IP・AppleTalk設定
  |   | 
  ルーターA | 
  ルーターB | 
  | L2TPコール名 | 
  remote | 
  remote | 
  | L2TP終端アドレス | 
  4.4.4.1 | 
  12.34.56.78 | 
  | L2TP発着優先 | 
  発呼優先 | 
  着呼優先 | 
  | L2TPサーバーモード | 
  LAC/LNS兼用(BOTH) | 
  LAC/LNS兼用(BOTH) | 
  | L2TPサーバーパスワード | 
  l2tpA | 
  l2tpB | 
  | WAN側(ppp1)IPアドレス | 
  Unnumbered | 
  Unnumbered | 
  | LAN側(eth0)AppleTalkネットワーク番号 | 
  10 | 
  20 | 
  | LAN側デフォルトゾーン名 | 
  NetA | 
  NetB | 

- WAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth1-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=eth1-ANY ↓
  
 - ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
  
    SET PPP=0 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
  
Note
 - PPPoEのLAN型接続におけるWAN側(PPP)インターフェースは、厳密にはUnnumberedではありません。L2TPを使用する本例ではこのことが設定に影響を与えてきます。詳しくは章末の「メモ」をご覧ください。
Note
 - ファームウェアバージョン2.6以降、「IDLE=OFF」(デフォルト)に設定されたPPPoEインターフェースでは、PPPoEセッションキープアライブ機能が働くため、リンクダウン時に自動的に再接続を試みます(リンクダウンを検出するため「ECHO=ON」の設定は必要)。そのため、以前のバージョンで使用していた自動再接続のためのインターフェーストリガーは必要なくなりました。ただし、トリガーの設定があっても問題はありません。以前の設定もそのまま使用できます。
Note
 - バージョン2.6よりも前のファームウェアでPPPoEの自動再接続を行うにはインターフェーストリガーの設定が必要です。設定方法については、ご使用中のバージョンに対応したマニュアルをご覧ください。
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
  
 - LAN側(eth0-0)インターフェースにISPから割り当てられたグローバルアドレスのうちの1つ(4.4.4.2)を設定し、擬似的なDMZとして使用します。アドレスを8個や16個といった単位で割り当てられる場合は、ネットマスクが変則的になるので注意してください。
  
    ADD IP INT=eth0-0 IP=4.4.4.2 MASK=255.255.255.248 ↓
  
 - LAN側(eth0-1)インターフェースにプライベートIPアドレスを割り当て、クライアント用のサブネットとします。
  
    ADD IP INT=eth0-1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースをマルチホーミングし、ppp0-0をUnnumberedに設定します。
  
    ADD IP INT=ppp0-0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - WAN側(ppp0-1)インターフェースにISPから割り当てられたグローバルアドレスの先頭アドレス(4.4.4.1)を32ビットマスクで割り当てます。デフォルトルートをこのインターフェースに向けることで、L2TPパケットの始点アドレスとしてこのアドレスが使われるようにします。
  
    ADD IP INT=ppp0-1 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.255 ↓
  
 - デフォルトルートをppp0-1に向けて設定します。これは、ルーターAが送信するL2TPパケットの始点アドレスとして、ppp0-1のアドレスが使われるようにするためです(通常、本製品自身がパケットを送信するときは、送出インターフェースのアドレスを始点アドレスとして使います)。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0-1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
  
 - L2TPモジュールを有効にします。
  
 - L2TPサーバーの動作モードをBOTHにします。
  
    ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
  
 - 他のL2TPサーバーから接続要求を受けた際の認証用パスワードを設定します。
  
    SET L2TP PASSWORD=l2tpA ↓
  
 - L2TPコール「remote」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。PASSWORDには、接続先で認証を受けるためのパスワードを指定します。
  
    ADD L2TP CALL=remote IP=12.34.56.78 TYPE=VIRTUAL REMOTE=remote PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpB ↓
  
 - L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。
  
    CREATE PPP=1 OVER=TNL-remote IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
  
 - L2TP仮想回線上のPPPインターフェース「1」をUnnumberedに設定します。このインターフェースは、両拠点のプライベートLAN同士を接続する仮想インターフェースです。
  
    ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - 経路情報を設定します。ルーターBのLAN側(192.168.20.0/24)宛のパケットは、L2TP上のPPPインターフェース「1」を通じて送り出します。
  
    ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp1 NEXT=0.0.0.0 ↓
  
 - AppleTalkモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにAppleTalkポートを作成します。「SEED=10」はシードルーターとして機能させるためのパラメーターで、LAN側のAppleTalkネットワーク番号を10としています。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=10 ↓
  
 - LAN側ネットワークのデフォルトゾーン名を設定します。ここではNetAという名前にしています。
  
    ADD APPLETALK ZONE=NetA PORT=1 DEFAULT ↓
  
 - L2TP仮想回線上のPPPインターフェース(ppp1)にAppleTalkポートを作成します。「DEMAND=ON」はルーティング情報(RTMP)の交換を行わないようにするための指定です。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=ppp1 DEMAND=ON ↓
  
 - スタティックルートを設定します。この例ではRTMPを使っていないため必須です。
  
    ADD APPLETALK ROUTE=20 PORT=2 HOPS=2 ↓
  
 - ファイアウォール機能を有効にします。
  
 - ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
  
    CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
  
 - ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
  
Note
 - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
 - ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
  
    DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
  
 - ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側(eth0-1)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0-1 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - DMZ側(eth0-0)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0-0 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - WAN側(ppp0-0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0-0 TYPE=PUBLIC ↓
  
 - WAN側(ppp0-1)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0-1 TYPE=PUBLIC ↓
  
 - L2TP上のPPPインターフェース(ppp1)をPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PRIVATE ↓
  
 
 - LAN側(eth0-1)ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスにはppp0-1に割り当てた4.4.4.1を共用します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0-1 GBLINT=ppp0-1 GBLIP=4.4.4.1 ↓
  
 - 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、DMZのサーバーへパケットを通すための設定を行います。
- Webサーバー(4.4.4.3のTCP80番)へのパケットは通過させます。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=TCP IP=4.4.4.3 PORT=80 ↓
  
 - SMTPサーバー(4.4.4.4のTCP25番)へのパケットは通過させます。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=25 ↓
  
 - DNSサーバー(4.4.4.4のTCP、UDP53番)へのパケットは通過させます。
  
    
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=UDP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓
    
  
 
 - 相手ルーターから受信したL2TPパケット(UDP1701番)がファイアウォールを通過できるように設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net RULE=5 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=UDP GBLPO=1701 GBLIP=4.4.4.1 PO=1701 IP=4.4.4.1 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
- WAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth1-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=eth1-ANY ↓
  
 - ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
  
    SET PPP=0 OVER=eth1-ANY USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF BAP=OFF ECHO=ON ↓
  
Note
 - ファームウェアバージョン2.6以降、「IDLE=OFF」(デフォルト)に設定されたPPPoEインターフェースでは、PPPoEセッションキープアライブ機能が働くため、リンクダウン時に自動的に再接続を試みます(リンクダウンを検出するため「ECHO=ON」の設定は必要)。そのため、以前のバージョンで使用していた自動再接続のためのインターフェーストリガーは必要なくなりました。ただし、トリガーの設定があっても問題はありません。以前の設定もそのまま使用できます。
Note
 - バージョン2.6よりも前のファームウェアでPPPoEの自動再接続を行うにはインターフェーストリガーの設定が必要です。設定方法については、ご使用中のバージョンに対応したマニュアルをご覧ください。
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースにISPから割り当てられたIPアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.255 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
  
 - L2TPモジュールを有効にします。
  
 - L2TPサーバーの動作モードをBOTHにします。
  
    ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
  
 - 他のL2TPサーバーから接続要求を受けた際の認証用パスワードを設定します。
  
    SET L2TP PASSWORD=l2tpB ↓
  
 - L2TPコール「remote」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。PASSWORDには、接続先で認証を受けるためのパスワードを指定します。
  
    ADD L2TP CALL=remote IP=4.4.4.1 TYPE=VIRTUAL REMOTE=remote PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpA ↓
  
 - L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。
  
    CREATE PPP=1 OVER=TNL-remote IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
  
 - L2TP仮想回線上のPPPインターフェース「1」をUnnumberedに設定します。このインターフェースは、両拠点のプライベートLAN同士を接続する仮想インターフェースです。
  
    ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - 経路情報を設定します。ルーターAのLAN側(192.168.10.0/24)宛のパケットは、L2TP上のPPPインターフェース「1」を通じて送り出します。
  
    ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp1 NEXT=0.0.0.0 ↓
  
 - AppleTalkモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにAppleTalkポートを作成します。「SEED=20」はシードルーターとして機能させるためのパラメーターで、LAN側のAppleTalkネットワーク番号を20としています。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=20 ↓
  
 - LAN側ネットワークのデフォルトゾーン名を設定します。ここではNetBという名前にしています。
  
    ADD APPLETALK ZONE=NetB PORT=1 DEFAULT ↓
  
 - L2TP仮想回線上のPPPインターフェース(ppp1)にAppleTalkポートを作成します。「DEMAND=ON」はルーティング情報(RTMP)の交換を行わないようにするための指定です。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=ppp1 DEMAND=ON ↓
  
 - スタティックルートを設定します。この例ではRTMPを使っていないため必須です。
  
    ADD APPLETALK ROUTE=10 PORT=2 HOPS=2 ↓
  
 - ファイアウォール機能を有効にします。
  
 - ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
  
    CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
  
 - ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
  
Note
 - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
 - ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
  
    DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
  
 - ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側インターフェース(eth0)をPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - WAN側インターフェース(ppp0)をPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
  
 - L2TP上のPPPインターフェース(ppp1)をPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PRIVATE ↓
  
 
 - LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、ppp0のIPアドレスを使用します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=ppp0 ↓
  
 - 相手ルーターから受信したL2TPパケット(UDP1701番)がファイアウォールを通過できるように設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP GBLPO=1701 GBLIP=12.34.56.78 PO=1701 IP=12.34.56.78 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
■ PPPoEのLAN型接続では、IPCPネゴシエーションによって、WAN側(PPP)インターフェースにネットワークアドレス(ホスト部が0のアドレス)が割り当てられます。ネットワークアドレスはホストアドレスとしては使用できないため事実上Unnumberedと同じですが、厳密に言うと専用線接続などで使用するUnnumberedとは異なります。
ルーター自身がWAN側インターフェースからIPパケットを送出する場合を考えます。純粋なUnnumberedでは、送出インターフェースにアドレスが設定されていないため、他のインターフェースのアドレスを使用します。しかし、PPPoE LAN型の場合は、まがりなりにもWAN側インターフェースにアドレスが設定されているため、パケットの始点アドレスとして本来使用できないネットワークアドレスが使用されてしまいます。
通常は、ルーター自身がパケットを送信することがないため、このことを意識する必要はありません。しかし、L2TPを使用するときなどは、始点アドレスに有効なアドレスが使われるよう注意が必要です。これには、WAN側インターフェースをマルチホーミングし、一方に有効なアドレスを設定した上で、デフォルトルートをそちらに向ける必要があります。ここでは、ISPから4.4.4.0/29のアドレスを割り当てられているものと仮定します。
  
    
ADD IP INT=ppp0-0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp0-1 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.255 ↓
ADD IP INT=eth0-0 IP=4.4.4.2 MASK=255.255.255.248 ↓
ADD IP INT=eth0-1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0-1 NEXT=0.0.0.0 ↓
    
  
これにより、LAN側からWAN側へのパケットはppp0-1にルーティングされ、始点アドレスとして4.4.4.1が使用されるようになります。
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
  
    
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
    
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
ルーターAのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth1-ANY ↓ 
SET PPP=0 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓ 
ADD IP INT=eth0-0 IP=4.4.4.2 MASK=255.255.255.248 ↓ 
ADD IP INT=eth0-1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0-0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0-1 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.255 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0-1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE L2TP ↓ 
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓ 
SET L2TP PASSWORD=l2tpA ↓ 
ADD L2TP CALL=remote IP=12.34.56.78 TYPE=VIRTUAL REMOTE=remote PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpB ↓ 
CREATE PPP=1 OVER=TNL-remote IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓ 
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp1 NEXT=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE APPLETALK ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=10 ↓ 
ADD APPLETALK ZONE=NetA PORT=1 DEFAULT ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=ppp1 DEMAND=ON ↓ 
ADD APPLETALK ROUTE=20 PORT=2 HOPS=2 ↓ 
ENABLE FIREWALL ↓ 
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓ 
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0-1 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0-0 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0-0 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0-1 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0-1 GBLINT=ppp0-1 GBLIP=4.4.4.1 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=TCP IP=4.4.4.3 PORT=80 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=25 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=UDP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=5 AC=ALLOW INT=ppp0-1 PROTO=UDP GBLPO=1701 GBLIP=4.4.4.1 PO=1701 IP=4.4.4.1 ↓ 
 | 
ルーターBのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth1-ANY ↓ 
SET PPP=0 OVER=eth1-ANY USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF BAP=OFF ECHO=ON ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.255 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE L2TP ↓ 
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓ 
SET L2TP PASSWORD=l2tpB ↓ 
ADD L2TP CALL=remote IP=4.4.4.1 TYPE=VIRTUAL REMOTE=remote PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpA ↓ 
CREATE PPP=1 OVER=TNL-remote IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓ 
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp1 NEXT=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE APPLETALK ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=20 ↓ 
ADD APPLETALK ZONE=NetB PORT=1 DEFAULT ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=ppp1 DEMAND=ON ↓ 
ADD APPLETALK ROUTE=10 PORT=2 HOPS=2 ↓ 
ENABLE FIREWALL ↓ 
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓ 
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=ppp0 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP GBLPO=1701 GBLIP=12.34.56.78 PO=1701 IP=12.34.56.78 ↓ 
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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #112 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
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