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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #53 
Ethernetによる端末型インターネット接続(DHCP)
ケーブルモデムやxDSLモデムを介して、Ethernetでインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します(PPPoEは使用しません)。CATV系プロバイダーなどによく見られる接続形態です。この例では、DHCPによりグローバルIPアドレスを動的に割り当てられる端末型接続の基本設定を示します。ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。また、LAN側クライアントの設定を簡単にするため、DNSリレーとDHCPサーバーも利用します。
ISPからは、以下の情報を提供されているものとします。
表 1:ISPから提供された情報
  | IPアドレス | 
  グローバルアドレス1個(DHCPによる動的割り当て) | 
  | ゲートウェイアドレス | 
  DHCPサーバーから通知される | 
  | DNSサーバー | 
  DHCPサーバーから通知される | 
Note
 - ISPによっては、これらの情報に加えて「コンピューター名」を指定される場合があります。その場合は、SET SYSTEM NAMEコマンドでコンピューター名を設定しておく必要があります。詳しくは本章末尾のメモをご覧ください。
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- WAN側(ISP側)EthernetインターフェースのIPアドレスとネットマスクは、ISPのDHCPサーバーから取得します。また、ゲートウェイアドレスとDNSサーバーアドレスも、DHCPサーバーから入手し、自動的に設定します。
 - ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
 - ファイアウォールのダイナミックENAT機能を使用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターからインターネットへの同時アクセスが可能になります。
 - ルーターをDHCPサーバーとして動作させ、LANに接続されたコンピューターにIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーアドレスの情報を提供します。
 - ルーターのDNSリレー機能をオンにして、LAN側コンピューターからのDNSリクエストを、ISPのDNSサーバーに転送します。上記DHCPサーバーの設定により、LAN側コンピューターに対しては、DNSサーバーアドレスとしてルーター自身のIPアドレスを教えます。
 
以下、ルーターの基本設定とDHCPサーバーの設定についてまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
  | WAN側(eth1)IPアドレス | 
  DHCPサーバーから取得する | 
  | LAN側(eth0)IPアドレス | 
  192.168.10.1/24 | 
  | DHCPサーバー機能 | 
  有効 | 
表 3:ルーターのDHCPサーバー設定
  | DHCPポリシー名 | 
  BASE | 
  | 使用期限 | 
  7200(秒) | 
  | サブネットマスク | 
  255.255.255.0 | 
  | デフォルトルート | 
  192.168.10.1 | 
  | DNSサーバー | 
  192.168.10.1 | 
  | DHCPレンジ名 | 
  LOCAL | 
  | 提供するIPアドレスの範囲 | 
  192.168.10.100〜192.168.10.131(32個) | 

- IPモジュールを有効にします。
  
 - ISPのDHCPサーバーから取得したIPアドレスを、WAN側(eth1)インターフェースに割り当てるよう設定します。また、デフォルトルート、DNSサーバーアドレスの設定も、DHCPサーバーからの情報に基づいて自動的に行われます。
  
    
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=eth1 IP=DHCP ↓
    
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
  
 - DNSリレー機能を有効にします。
  
 - ファイアウォール機能を有効にします。
  
 - ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
  
    CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
  
 - ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
  
Note
 - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
 - ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
  
    DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
  
 - ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側(eth0)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - WAN側(eth1)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1 TYPE=PUBLIC ↓
  
 
 - LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、WAN側(eth1)インターフェースのIPアドレスを使用します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=eth1 ↓
  
 - LAN側PCのためにDHCPサーバー機能を有効にします。
  
 - DHCPポリシー「BASE」を作成します。IPアドレスの使用期限は7,200秒(2時間)とします。
  
    CREATE DHCP POLICY=BASE LEASETIME=7200 ↓
  
 - DHCPクライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、ルーターのLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。
  
    ADD DHCP POLICY=BASE SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
  
 - DHCPクライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。
  
    CREATE DHCP RANGE=LOCAL POLICY=BASE IP=192.168.10.100 NUMBER=32 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
■ 接続時に「コンピューター名」の指定が必要な場合は、手順1の前に以下のコマンドを実行してください。ここでは、ISPから「deilla1234-2」というコンピューター名を使うよう指示されたものと仮定します。
  
    
SET SYSTEM NAME=deilla1234-2 ↓
    
  
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
  
    
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=eth1 FILTER=0 ↓
    
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
ENABLE IP ↓ 
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓ 
ADD IP INT=eth1 IP=DHCP ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ENABLE IP DNSRELAY ↓ 
ENABLE FIREWALL ↓ 
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓ 
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=eth1 ↓ 
ENABLE DHCP ↓ 
CREATE DHCP POLICY=BASE LEASETIME=7200 ↓ 
ADD DHCP POLICY=BASE SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓ 
CREATE DHCP RANGE=LOCAL POLICY=BASE IP=192.168.10.100 NUMBER=32 ↓ 
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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #53 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
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