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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #9 
ISDNによる端末型インターネット接続(DNSリレー/DHCPサーバー)
ISDN回線を使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)にダイヤルアップ接続します。接続時にアドレスを1つ割り当てられる端末型の基本設定に、DNSリレーとDHCPサーバーの設定を追加しています。ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。
DNSリレーは、本ルーターに対するDNSリクエストを、他のサーバーにリレーする機能です。
クライアント側で本ルーターをDNSサーバーに指定しておけば、DNSサーバーのアドレスが変更されても、本ルーターに設定されているサーバーアドレスを変更するだけですみます。個々のクライアントの設定は変更する必要がないため、管理・保守効率が向上します。
ここでは、ISDN経由の端末型ダイヤルアップでISPに接続している環境でDNSリレーを使用するための設定例について説明します。
表 1:ISPから提供された情報
  | ISPアクセスポイントの番号 | 
  03-1234-5678 | 
  | PPPユーザー名 | 
  ispuser | 
  | PPPパスワード | 
  isppasswd | 
  | 使用できるIPアドレス | 
  グローバル1個(動的割り当て) | 
  | DNSサーバー | 
  接続時に通知 | 
  | 接続形態 | 
  端末型ダイヤルアップ | 
この例では、DHCPサーバー機能を併用し、本製品自身をDNSサーバーとして使うよう各クライアントに通知しています。実際には、本製品は受け取ったDNSリクエストをISPのネームサーバーにリレーします。
表 2:ルーターの基本設定
  | ISDNコール名 | 
  ISP | 
  | WAN側物理インターフェース | 
  bri0 | 
  | マルチリンクPPP(MP) | 
  使用する | 
  | WAN側(ppp0)IPアドレス | 
  ISPから動的割り当て | 
  | LAN側(eth0)IPアドレス | 
  192.168.10.1/24 | 
  | DHCPサーバー機能 | 
  使用する | 
表 3:ルーターのDHCPサーバーの設定
  | DHCPポリシー名 | 
  subnet10 | 
  | 使用期限 | 
  3600(秒) | 
  | サブネットマスク | 
  255.255.255.0 | 
  | デフォルトルート | 
  192.168.10.1 | 
  | DNSサーバー | 
  192.168.10.1(ISPのDNSサーバーへ転送) | 
  | DHCPレンジ名 | 
  ip10 | 
  | 提供するIPアドレスの範囲 | 
  192.168.10.128〜192.168.10.130(3個) | 

- ISPのアクセスポイントにダイヤルアップするISDNコール「ISP」を作成します。また、発呼に使用するインターフェースとしてbri0を指定します。
  
    ADD ISDN CALL=ISP NUMBER=0312345678 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0 ↓
  
 - PPPインターフェース「0」をISDNコール「ISP」上に作成します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=ISDN-ISP IDLE=60 LQR=OFF BAP=OFF ↓
  
 - ISPへの接続に必要なユーザー名とパスワードを設定します。また、ISPからIPアドレスを取得するため、「IPREQUEST=ON」を指定します。
  
    SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd IPREQUEST=ON ↓
  
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - IPCPネゴシエーションでISPから割り当てられたIPアドレスを、PPPインターフェースで使用するよう設定します。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
  
 - DNSリレー機能を有効にします。
  
 - 接続確立までISPのDNSサーバーアドレスが不明なため、DNSリクエストの転送先として、IPCPネゴシエーションを行うインターフェース名「ppp0」を指定します。
  
    SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓
  
 - ファイアウォール機能を有効にします。
  
 - ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
  
    CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
  
 - ICMPはPingパケット(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
  
 - ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、TCP-RSTを返すよう設定します。
  
    DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
  
 - ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側(eth0)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
  
 
 - エンハンストNATの設定を行います。LAN側(eth0)ホストのプライベートIPアドレスを、ISPから割り当てられたグローバルアドレス(ppp0のアドレス)に変換するよう設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=ppp0 ↓
  
 - 不要な発呼を防ぐため、LAN側からのMS-Networksパケット(UDPポートの137〜139番)を遮断するファイアウォールルールを作成します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 ACTION=DENY INT=eth0 PROTO=UDP PORT=137-139 ↓
  
 - DHCPサーバー機能を有効にします。
  
 - DHCPポリシー「subnet10」を作成します。IPアドレスの使用期限は3,600秒(1時間)とします。
  
    CREATE DHCP POLICY=subnet10 LEASETIME=3600 ↓
  
 - クライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、ルーターのLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。ここへ送られたDNSリクエストは、DNSリレー機能によりISPのDNSサーバーに転送されます。
  
    ADD DHCP POLICY=subnet10 SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
  
 - クライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。ここでは、192.168.10.128〜192.168.10.130の3個を指定しています。
  
    CREATE DHCP RANGE=ip10 POLICY=subnet10 IP=192.168.10.128 NUMBER=3 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
  
    
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
    
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
ADD ISDN CALL=ISP NUMBER=0312345678 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0 ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-ISP IDLE=60 LQR=OFF BAP=OFF ↓ 
SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd IPREQUEST=ON ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE IP DNSRELAY ↓ 
SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓ 
ENABLE FIREWALL ↓ 
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓ 
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=ppp0 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 ACTION=DENY INT=eth0 PROTO=UDP PORT=137-139 ↓ 
ENABLE DHCP ↓ 
CREATE DHCP POLICY=subnet10 LEASETIME=3600 ↓ 
ADD DHCP POLICY=subnet10 SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓ 
CREATE DHCP RANGE=ip10 POLICY=subnet10 IP=192.168.10.128 NUMBER=3 ↓ 
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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #9 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
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